史上最悪のノーベル賞
ロボトミー手術の光と影

The Worst Nobel Prize Ever Awarded

科学そのものに善悪はありませんが、科学の成果が結果として悪いことに使われてしまうことは、歴史上何度も繰り返されてきました。今回サイエンスチャンネル「SciShow」が紹介するのは、ノーベル賞も受賞しているロボトミー手術です。アントニオ・エガス・モニスは精神疾患に対する効果的な治療法でしたが、大きな副作用があったのでした。ある技術をめぐる光と影をご覧ください。(SciShowより)。

科学の成果が悪いことの利用されることもある

マイケル・アランダ氏:科学って、なかなかややこしいですね。と言っても、複雑な数式とか、難しい専門用語のことじゃないですよ。同じ実験を10回やって、同じ結果がなかなか出てこないということでもありません。科学は、危険な要素含んでいるという意味でややこしいのです。

以前、化学者のフリッツ・ハーバーのことを話しましたね。彼の発明のおかげで、肥料ができるようになり、何百万人もの人が恩恵にあずかりました。でも、彼自身はその発明を肥料ではなくて、化学兵器の開発に利用したのです。現在の宇宙飛行に使われている技術の大半も、元をたどれば、ナチスの弾道ミサイルの開発から生まれたものなのです。

もちろん、科学自体に悪意があるわけではありません。科学自体は良いとも悪いとも言えないのです。しかし、科学の成果が、最終的に悪いことに利用されてしまうということはこれまで度々起きてきました。

ポルトガルの医師、アントニオ・エガス・モニスがやったことはまさにその典型と言えます。モニスは、いろんな精神疾患の治療に極めて有効な外科手術を開発し、仲間から絶賛されました。そして世界中、とくにアメリカの神経科学者、外科医、精神科医がそれを取り入れるようになりました。

しかし程なく、その手術は、患者に取り返しようのないダメージを与える、非人間的と非難されても致し方のないものだと判明したのです。それでも、モニスはその功績でノーベル医学賞を受賞しました。それは一番悔やまれるノーベル賞と言えるかもしれません。モニスの受賞理由はロボトミーの開発だったからです。

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