サツマイモをさらに売り込んでいくために独立

ふくだ峰之氏(以下、ふくだ):プロフィールを見たら……今度ビギンじゃない活動するわけ?

新谷:そうですね。ちょうど4月に退職をして、これからサツマイモの部門と販売という部分を強化して新しく独立することになりまして、本当の意味でサツマイモ農家を目指そうかなと思ってます。

ふくだ:サツマイモ作るわけ?

新谷:作ってもっともっと売り込んでいくということですね。元々農園ビギンというのは、米農家なんですね。

米が7〜8割で、それ以外にスイカ、メロン、トマト、カリフラワーなどを作っていて、頒布会もやりながら、いろんな野菜とお米のセットを送ってたんですね。

それも継続するんですが、小千谷には他にもいっぱいいい素材があるんで、そういうものをどんどん私が売り込んでいこうと。今までの農園ビギンの商品以外もどんどん売り込むというイメージでやっていく予定です。

ふくだ:いろんな農作物、サツマイモもそうかもしれないけども、ある種委託じゃないけれども、農家さんと「じゃあ、売ってきて」みたいな、それで売り先を見つけていくっていう感じ?

新谷:そうです、農家さんをもっともっと増やしていく感じですね。私1人で何町分も作れないので、他に高齢者の方でも作れると思うので、長く農業界の雇用を拡大していきたいんですね。

サツマイモってすんなり参入しやすい分野でもあるので、サツマイモ農家さんを増やして、私がどんどん仕入れて、どんどん販路拡大をしていく。

私が1人で作るのは限界があっても、いろんな農家さんから作ってもらう。それで販路があることによって安心して作れるので、私が頑張って農業の営業マンになりますというイメージでやっていこうかなと。

ふくだ:今までの農業ってどっちかというと、土地があるから作って、売り先はあとで考えて……みたいなね。

だけど工業製品とかは逆で、こういうマーケットがあるからこういうものを作ろうっていう、マーケット重視じゃない。それを(農業で)逆にするってこと? マーケットが大きくなればなるほど、「買いたい人がいるから作ってね」みたいなそういう話になってくわけでしょ。可能かね。

新谷:芋はこれから来ると思います。

(会場笑)

農業はこれからの成長産業

田村篤久氏(以下、田村):さっきのコンテンツの話じゃないですけど、やっぱりコンテンツホルダーじゃないですか。

その生産者の方がアンバサダーとして中央にきていただいて、マーケットも作って、さらに地元で雇用も増やしていきつつ、もっと生産量も増やしていきたいってすごいですよね。

ふくだ:そういう意味では、農業にかかわっている人たちの意識改革が絶対的に必要なのは、マーケットがないのに作ったって売れない。あるいは、マーケットが不確かなのに作ったって高くは売れない。

やっぱりマーケットを意識するっていうことはすごく重要で、それで自分たちが苦手なのはわかっているんで、わかる人と組んでやっていくっていうふうに役割をもう1度見直しするとね、僕の持論は、これ総理も言っているけれども……農業ってこれからの成長産業だよね。

新谷:はい。

サツマイモの販路の開拓

ふくだ:だから、どれだけマーケットを作っていけるかだね。でも自信があるっていうんならいいじゃない? それでどんどん広げてもらって。

新谷:特にこのオレンジのサツマイモは、私は本当にこれからいいなと思っているので、日本で多分これだけの量を作っているのは私だけじゃないかなっていう気もしているんですね。

田村:例えばこれ、都内の人が手に入れようと思ったら方法はあるんですか。

新谷:去年テレビで出た時もどこも売ってないんですね。問い合わせはかなりきて、今少しずつ都内にも販路を見つけて開拓しているところなんで、今シーズンからは都内でも買えるようになります。

ふくだ:いやあ、たくましいね。だけどしつこいようだけど、マーケットを見つけていくって結構大変じゃない。だって新しい売り先を決めていくわけだから。それ何かコツがあるわけ?

新谷:そうですね。大変だと思ったからこそ私がやりたいっと思ったんですね。農家さんはやっぱり汗をかいて、本当に現場で頑張っているので。

田村:ご自身もされているから一番わかるわけですよね。

新谷:そうですね。ずっとその畑仕事、田んぼ仕事をやってく中で、それをやって都会に来て、スーツ着て、営業するっていうのは本当に大変だなって思ったんですね。

ふくだ:うん、うん。

新谷:なので、私は10年ビギンでやってきて、それでもこの分野は好きだな、やりたいなって思ったんでこれから農業の現場をしながらそういう農産物のPRができれば、農家さんに喜んでもらえるんではないかなって思っています。

ふくだ:なるほどね。これを海外なんかに売ろうって気はないの?

新谷:思ってます。

ふくだ:海外はどういう感じで売ろうっていうイメージが何かあるんですか。

新谷:私は国際農業開発学科という学科だったんで、大学時代タイ、ベトナム、フィリピンで農業実習をしていたんですね。

ふくだ:うん、うん。

新谷:やっぱり海外は、これから視野に入れていきたいと思いますし。ただ、農家さんがいきなりというのはやっぱり難しいので、これからもっと勉強が必要だと思います。

農家自身も売っていくということ、作ることと売ることを両方視野に入れた生産が必要なんじゃないかなって思います。

田村:何か技術的なところとかもあるんですかね。その物自体っていうのも、もちろんわかりやすいと思うんですけれども。

新谷:他の国々も、とにかく日本に追いつけ追い越せのイメージでやっているので、本当にいい物が海外でもできるようになってるんですね。特にお米もそうで。

田村:お米は本当にそうですよね。

新谷:なので、そういうのを知って、危機感を持つというのが大事かなって思いますね。日本はやっぱりあぐらをかかずに、良い物を本当の意味でやっていく。

やっぱり真っ直ぐな気持ちで農業に取り組むということを、もう一度、1から考えると良い販路が見つけられるんではないかなと。

インターネットの販促の力

ふくだ:結局、付加価値が高い販路じゃなきゃだめでしょ。

新谷:そうですね、はい。

ふくだ:例えば中国で価格競争下に置かれても、それこそ作っている量から言えばそういう戦い方はできないわけじゃない?

どれだけ付加価値が高い物として売っていくことができるんだろうかっていう。商売になるとね。この付加価値が高いっていうメッセージをどうやって市場に出すかだよね。

新谷:そうですよね。でも、実際に売れていく図が見えることによって、農家ってわかると思うんですよね。自分の作っている農産物1個がいくらかも知らないっていうのは結構(農家の)現実で。

ふくだ:そりゃそうだね。

新谷:そうなんですよね。でも、自分がこれだけ愛情込めて作ると、これだけの価値がつくんだということを(生産者に)見せることが大事かなって思うんですよ。

どういう所で売られていて、どういう方にいくらで買ってもらっているんだと。今まではその売られている現場が見ることができなかった。やっぱりそれはありますね。

ふくだ:そういう意味では、インターネットが出てきたことによって、いろんな情報を共有できるようになってきてるでしょ。

新谷:そうですね。

ふくだ:その新しい展開をしていく上にも、昔に比べればやりやすいでしょう。

新谷:インターネットの力は本当に大きくて、先ほどのアスパラのフラワーアレンジメントもFacebookで呼びかけたんですね。そしたら韓国からも注文があって。

ふくだ:へー!

田村:ほー。

新谷:はい、韓国に住んでいる日本人の方から注文があって、東京にいるお母さんに送りたいと。そういうことが可能なんだなって思ったんですね。

やっぱり新潟から発信して、そのお客様は新潟ではなくて世界に広めていけるんだというのをすごく感じているので。

農産物や生産者のストーリーが付加価値になる

ふくだ:海外にこのサツマイモを売ろうと思ったらまずはどっから行くんですか?

新谷:国ですか?

ふくだ:うん。

田村:地域でも。

ふくだ:この辺とか。

新谷:東南アジアに売りたいなと思って。

田村:やっぱりご自身が行ってたっていうのが。

新谷:行ったことがあるというのもあるんですが、でも将来的なところで、本当のイメージは、私はまず新潟に来てもらいたい。

新潟の風景と環境を見てもらって、新潟のファンになってもらいたい。そしたらその後に新潟の良さを知って、国に帰ってから新潟の良さを広げたいというイメージがあるので、国を私が選ぶというより、来てファンになってもらいたいという意味で、とにかくエリアは広く持ちたいなって思っていますね。

ふくだ:インバウンドじゃないけれど、作ってるとこだとか、そういう所にみんな来てもらって、それを海外の人にもどんどんやってもらうっていうことかね。

新谷:はい、そうです。それをすることによって、やっぱりファンになる。そこに行きたいって言う。自分も物を買う時に思うんですが、今ってどこでも買えるじゃないですか?

田村:便利になってるからこそね。

新谷:別に農家を選ばなくても買えるようになって、スーパーでも手に入る。それなのに、わざわざ新潟の物を買ってくれるということに意味があると思うんですね。

それはきっとその物の背景であり、ストーリーでありっていうものがあると思うので、新潟の物がいいかな、あの芋の人から買おうかなって思ってもらうことにまた意味があるんで、そういう付加価値というのは、農家そのものにある気がします。

なので、やっぱり閉じこもってないでどんどん出して、あの人から買いたい、あの人の作った物を食べてみたいって思ってもらえることが大事かなって思います。

ふくだ:今日も深いね。

田村:深いですね。

ふくだ:やっぱり一度、そこの畑に行かなきゃなんない。

田村:行かないといけないですね。

新谷:これはツアー私が組みますので、はい。錦鯉と闘牛と。

(会場笑)

田村:やっぱ土を触って。

新谷:そうですね、サツマイモ植え体験とか。

ふくだ:1回行かなきゃだめだね。

新谷:そうですね。空き家がいっぱいあるんで、住んでしまうっていうのもいいかもと思うので。

田村:(笑)。

新谷:ぜひ移住とか。やっぱり来てもらわないと、肌で感じる良さというのが(わからない)。

ふくだ:そりゃそうだよ。今日も、もうあっという間なんですよ。最初に何かいろいろ食べたから早かったのかなって。

田村:これ、いわゆるこの商材単位の開発も続けていかれているんですよね。

新谷:そうですね。サツマイモのいろいろな物で提案していきたいっていうのがあるので、今作っているお菓子はこの3種類なんですが。

とにかく芋を作っている者として、いい形でサツマイモを宣伝していきたいなと思っています。冷凍の焼き芋とかね。とにかくいろんなアイデアを出していますね。

ふくだ:冷凍の焼き芋ね。

田村:そういえば、冷凍の焼き芋ってない。

新谷:真夏に食べる。

ふくだ:おいしそうだね。

新谷:そうすると、好きな時に食べられる。

ふくだ:その冷凍にした物をシェーカーでガッとやって、こうシャーベット状の焼き芋に、そこにコンデンスミルクか何かかけたら、最高においしそうな感じしない。

新谷:ぜひ渋谷辺りで(笑)。

ふくだ:いっちゃいます?

新谷:いっちゃっていいですか? よろしくお願いします。

ふくだ:何か最後見てる方に言いたい事ないですか? もう5万人ぐらいの方見てますから。

(会場笑)

新谷:とにかく、サツマイモ見たら思い出してください。はい、新潟に是非来てもらいたいと思います。はい。

ふくだ:はい、今日はどうもありがとうございました。みなさんサツマイモ食べてくださいね。それではみなさん、さようなら。

新谷:ありがとうございました。

(会場拍手)