「なぜその選択をしたのか」を考える

DaiGo氏:例えばですけど、相手が彼女でもいいし、女性だったら彼氏でもいいんですけど、ご飯食べに行ったとしますね。ご飯を食べに行ってメニューを選ぶじゃないですか。

その時に、なんでそのメニューを選んだのかっていうのを考えるんですよ。どういうふうに考えてメニューを選んだのか。

例えば「なぜ酢豚じゃなくて。よだれ鶏だったのか」みたいな。「油淋鶏だったのか」とか考えるわけですよ。「なんで中華じゃなくてフレンチにしたのかな今日」とか考えるわけですよ。

例えば、昼に重いものを食べてたからさっぱりしたものが食べたいと思ったのかなとか。そういうふうに考えていくわけですね。それが相手の思考を辿るっていうことです。 

どちらかというと、結果が合ってるかどうかよりも思考が辿れてるかどうかのほうが大事です。

(ニコニコ動画のコメント)「よだれどりって聞こえたwww」

よだれ鶏です。よだれ鶏って、そういう料理があるんですよ。例えば、エンターテイメント的に言えば、「この中からメニュー選んでください」ってタレントさんに渡しますよね。渡して、「あなたが選んだのは酢豚ですね」って当てたとするじゃないですか。それで拍手で終わりなんですけど、それじゃあダメなんですよ。

酢豚を選ぶ前に迷ったのか、そうじゃないのかとか。なぜ酢豚を選ぼうと思ったのか。好きな食べ物だからか、たまたま最近酢豚を食べてないから食べたくなって選んだのか。そういうのがわかるかどうかが、大事なんですよ。

結果よりも過程が大事

だから結果じゃないんですよ。「その過程を読めるかどうか」っていうのが相手の心理を読むってことなんです。だからパフォーマンスばっかやってると、よくこう言われるんですよ。「当てられてすごいですね」って。

でも、当てるのは誰でもできるんですよ。誰でもできるとは言わないですけど。マジック的なパフォーマンスじゃないですけど、そういうのでも当てることはできるし。それはエンターテイメントとしては極上のものだと僕は思うんですけど。

メンタリストはそうであってはいけないと思うんですね。むしろ、そういう思考の過程がわからないとどうなるかっていうと、最終的な結果として答え合わせができるものしかできなくなっちゃうんですよ。一般的なビジネスとか日常生活に使えないんです。

恋人が本当に自分のことを好きなのか確かめたいと思ったとするじゃないですか。確かめるために答え合わせが必要だとこれ気まずいですよね。自分が「君はね、俺のことが好きだと思うんだけど」とは普通は言わないです。

自分が相手を好きで、相手も好きだと思っているかどうか確かめるために、「僕は君のことが好きだ」って言ったとしますよね。で、「いや、私はそんなでもない」って言われたら終わりですね。

だから「その過程を読める」ってどういうことかというと、この行動と、この行動と、この行動、そして「この表現は恐らく“好き”に繋がってるだろう」と読むわけです。そうするとその答え合わせをしなくても、確信が持てるようになる。

だから過程を読む練習というのをぜひしてみてください。結果は大事ではないです。過程がすごく大事です。

電車の乗客がどこの駅に降りるか分析していた

これをすごく僕が練習したのは、電車に乗っている時ですね、目の前の人がどこの駅で降りるのかっていうのを分析するわけですよ。答え合わせをした時に違ったと。

ちょっと違う駅で降りちゃった、2、3駅手前で降りちゃったって結果が起きたら、 なぜそこで降りたのかっていうのを考えるんですね。

てんで勘違いの場合っていうのは思考の辿り方が間違っているから、それはそれでプラスですよ。新しい発見がそこにありますから。ノートとかに記録しておくっていうのが大事です。全てのエラーを全ての成功例となるべく記録する。それで比較をすると。

(ニコニコ動画のコメント)「どこを見るの?」これ見るポイントっていうのもいろいろあって、表情だったり持ち物だったり。人によっては、寝てる人とか見るとわかるんですよ。寝てる時って人間って完全に寝てるわけじゃなくて、降りるべき駅になったら降りるじゃないですか。

だから駅名とかそういう独特な特徴、ポイントの切り替えが必ずその駅の前であるとか、ガタンって変な揺れ方をするとか。そういうのをけっこう記録しているんですね、人間の脳って。

そういうのに体が反応してるんで、この人はけっこう寝るなとか。あとは、服装の乱れ方だったり、眠りの深さだったりを見た時にこの人はけっこう遠くから乗ってるなと。そろそろ降りるなと。

なんでかっていうと、通勤時間の平均が4、50分くらい。日本だったら48分っていわれてるんですね。てことは大体48分以内の所で降りる可能性が高い。乗り換えがあんまりないような電車とかだった場合は、どの辺から乗っているだろうから、この辺の駅で降りるはずだとかそういうのを見るわけです。

だから、相手の表情を見るだけじゃなくて、統計的な知識だったりとかその他の学問とかも動員してくるっていうのがすごく大事ですね。使えるものは全て使って下さい。

メンタリズムは心理学ではない

メンタリズムは心理学だと思っている方いますけど、心理学ではないです。メンタリズムって思想なんですよ。例えば、プラグマティズムとかファシズムとかあるじゃないですか。ファシズムはあんまり良い例じゃないけど。

イズムって主義とかそういう意味なんですけど。メンタリズムってメンタルにイズムがついてるんですね。だから主義なんですよ。

人間の心をいかに掴み誘導するか。もともとは大衆先導に使われたテクニックがメンタリズムですから。そういうふうな意味でいうと、人を動かすためにどんな科学が使えるかっていうのを考えた時に、僕はパフォーマンスの形上、人の心をすごく読んでいるので、心理学に見えるんです。

心理学者は読まないですからね、基本的に。そういう学問ではないんです、心理学って。人間の傾向とか、大まかな性質っていうのを知るためにある学問ですから。

よく心理学者の方に言われるんです。「人間の心を読むってそれは心理学じゃないと思うんだ」って。それは仰る通り。だから僕は心理学者になろうと思ったことは一度もないですね。

電車で男子高校生にからまれたことがある

(ニコニコ動画のコメント)「DaiGoさんは今でも電車使うんですか?」実は僕、電車のほうが車よりも好きなんです。本を盛大に読めるので、ノートもとれるじゃないですか。車はさすがにね。最近、本は読むんですけど、腹をくくって。酔うんですけど。ノートはとれないね、やっぱり。

今、電車に乗ると若干面倒臭いので。昔そういうのあったんです。高校生が前に集団で乗ってて、僕は友達と電車に乗ってたんですけど。前の高校生たちが(僕に)気付いて遊び始めるんですよ。消しゴムみたいな小さい物を持って、友達と前でやってるんですね。

(両手を握って前に出して)「どっちに(消しゴム)持ってる?」って。で、言うんですよ。「でもこれ、DaiGoだったらわかるんじゃね、わかるんじゃね?」みたいな。っていう厄介なからまれ方をしたことはありますね。

僕友達と隣でしゃべってて、こうでさ、こうでさって。(高校生たちは)前でずっとやってるんですよ。「わかるんじゃね? これDaiGoだったらわかるんじゃね?」って言うから「これはこうで、多分、あれは右なんだよね。それから多分もう1回握り直したら、今のテンションでいくと、もう1回多分右に握るんだよね。もう1回右にいったら、多分そこまで強い意志はないはずだから、左に」みたいなふうに(僕は友達に)言ってるんですよ。僕はね、一応返すっていうね(笑)。

電車を降りる時に、「今左持ってるでしょ」みたいに言って出て行くっていうのをやったことがありましたね。一応ね、悪意がなければね。