今の中国経済に必要なことは量ではなく、質

ジェリー・ヤン氏(以下、ジェリー):中国経済のことは誰もが気にしているね。中国経済の停滞が世界経済に影響を与えるんじゃないかと。ジャックはそれについてどう思う? 株式市場はバブルの象徴のようなものになったけど。ジャックの目から見て、中国はどうなっていくと思う? ジャックがエコノミストじゃないのは知っているけど、どうなっていくかはよく分かってるでしょ?

ジャック・マー氏(以下、ジャック):そうだね。まず西洋の人たちは中国について懸念を抱いていると思うけど、これは良いことだと思ってるよ。いつも西洋人が中国のことを気に病んでくれてたら、中国経済は上がるからね。

(会場笑)

その人たちが「中国人には明るい未来が待ってる」と考えると、逆に中国経済は下がっちゃうからね。彼らは過去30年中国の成長を疑ってきたけど、それで構わないんだ。お互いに理解するのには時間がかかるからね。

中国は何年も10パーセント、11パーセント、12パーセントと成長を続けてるけど、そんなに長く続くとは思えないんだ。例えば身長120センチメートルだった人が180センチメートルになったとしても、そのペースで成長し続けられるわけじゃないからね。成長し続けないといけないのは身体のサイズじゃなくて、脳の質なんだ。

特に最近では、まず1つ目に10〜15パーセントの成長を持続するのは不可能だと思う。2つ目に、中国にはスローダウンするのを学ぶことが必要だったんだ。たとえば水とか空気とか、我々が使っているあらゆる資源を見ても、それは不可能だし馬鹿げているよね。

中国はたくさんのお金を生み出し、医療や病院に使ったけど、これは上手くいかないんだ。反対にぼくのような人は、中国は7パーセントまでスローダウンをしていると考えている。これは悪くないことだけど、たとえ7パーセントでも世界的に見れば最速で成長しているんだ。

総GDPの7パーセントで成長してるって考えると、相当なお金になるんだよ。このお金をもっといい方法で使うべきなんだ。必要なのは量より質だからね。30年前は量が必要だったけど、いまは質なんだ。

だから西側の人たちは、中国には質がないといけないという高い期待を持っていると思うんだ。中国は空気や汚染をコントロールしないといけないし、これをやって、あれもやらないといけないと。我々がそれを始めたとき、みんな心配し出したんだ。それは良いけど、経済がスローダウンし始めた。

中国経済のエンジンとなる3つの要素

他の面でも、中国経済はそんなに悪くないと思うよ。その要因は2つある。

まず、3つのマークというのがあって、インフラ投資、輸出、国内消費。この3つが常に中国が誇りを持っていたものなんだ。この3つが中国の経済成長のエンジンなんだ。でもインフラ投資がスローダウンした。輸出もスローダウンした。この2つが政府にとって得意なことで、喜んでやっていた。政府には輸出と投資に対するパワーがあるからね。

ただ、ひとつ苦手だったのが消費だった。消費は政府によって決められるわけじゃなく、起業家精神や市場経済によって決められるからね。

だから我々のような立場の人間は、機会を創造しないといけない。政府じゃなくて、我々の出番なんだ。30年間政府は経済を自分たちのやり方でやってきたけど、これからは我々のやり方でやっていく。ぼくはこれを本当の市場経済へのチャンスだと考えているんだ。

中国を活性化させる「消費」

もう1つは昨日の会議でも言ったけど、アメリカと中国の間で文化の違いに対する誤解がたくさんあるんだ。アメリカ人にとっての経済のスローダウンとは、人びとがお金を持っていないことを言うんだ。でも違う。中国人は明日のお金の使い方を知っているよね。

(会場笑)

未来のお金か、他人のお金、ですね。

(会場笑)

でも我々中国人にとっては貯金が習慣となっています。いつも銀行に貯金をしています。中国人は長年貧乏だったので、不安を感じると銀行に貯金してしまうんです。お金を持っていても、貯金してしまいます。我々にはいつか過酷な日々が来るということを知っていますからね。

中国の銀行預金高は世界最大なんです。アメリカにも多額の貯金をしてますけどね。

(会場笑)

過酷な日々がいつ来るのかが分かれば、みんな買い物をしてお金を払うようになるんです。いまは、その過酷な日々がやってきました。それでも人は買い物をし始めています。我々の数字やWebサイトから分かりますが、我々は中国全土の12パーセントを占める最大の小売業者です。消費は依然として順調に伸びています。特に景気が悪いと人はオンラインで買い物をし始めます。その方が安いですからね。

その他の違いについて。私の祖母はタンスの中にシャツを1枚しか持っていません。母は3枚で、私の娘の世代になると50枚になります。

(会場笑)

そしてその48パーセントは全然着ないんです。これが国内消費と言われています。

(会場笑)

我々はこういった行動を促進しないといけません。人びとがお金を使うようにするわけですが、これが政府の苦手なことです。我々はどうすればいいのかを知っています。私は一般的に言ってポジティブな方ですが、2〜3年もすると問題が出てくるかもしれません。

アンチ汚職だと言われるかもしれませんが、法に則ったルールは市場経済にとって素晴らしい基盤を築いてくれるんです。贈収賄なんてしたくありませんよね。中国には不公平な環境なんて欲しくないですよね。だから市場経済は法に則ったルールであり、クリアで透明でフェアなんです。

私は今年も昨年も良くなかったと思います。だから起業家精神が必要なんです。経済を活性化させるビジネスが必要なんです。ぼくはポジティブなので、みんなが心配しているとき私はハッピーなんです。でもみんながハッピーになりすぎると、今度はぼくが心配になってきます。

(会場笑)

国家主席が心配しているようなことは気にしないでください。誰も気にしていないようなことを気にしてください。それがチャンスなんです。ぼくがポジティブなのは、バカではないからです。問題はありますが、それを少しずつ解決しなければいけません。それだけです。

アメリカと中国のコラボはワールド・ドリームを生む

ジェリー:テイクオフするためのサービス経済と、それから3番目のエンジンとして中国を活性化するという消費に対する見方は正しいと思うよ。政府の政策よりももっとビジネスが必要になるだろうね。それがアリババだけでなく、すべての人に対してチャンスになると思う。

ジャック:ところで、新しい経済についてなんだけど。伝統的な経済は低迷していますね。でも新しい経済は驚くほど成長しています。BATだけでなく、素晴らしいスタートアップがたくさんあるんです。これらが期待の星であり、中国が進むべき道なんです。伝統的な経済を維持するんじゃなくてね。

昨日に戻れる人なんていません。もし戻れたとしても、戻りたいと思う人はいないでしょう。

ジェリー:ぼくの考えでは、政府とビジネスコミュニティのリーダーシップ両方が、その違いはそんなに大きくないと強調しているよね。アメリカと中国は関係を維持して、向こう30年の問題を解決しなければいけない。協働のための努力が必要なんだ。

ジャック:確かに、もしアメリカと中国がコラボレートできれば、多くのアメリカン・ドリーム、チャイニーズ・ドリーム、ワールド・ドリームを実現できると思う。でも協力できなければ、そんなことはできないよね。

Yahoo!買収時の思い出

ジェリー:そうだね。それじゃあ少し話を変えようか。今日は起業家精神について話すために来ていると思うんだけど、アリババが創業されたとき、Eコマースなんてものはなかったけど、アリババに至るまでは、ジャックもシリアル・アントレプレナーだったわけだよね。

ジャックは政府についても知っているよね。1997年に初めて会ったとき、ジャックは政府にいて、スタートアップ企業の間に入ってたはず。いつも何かを創造することを夢見ていたよね。政府にいたときに見たことを少し話してもらえるかな。スタートアップを立ち上げたジャックのストーリーについてはみんな知っていると思うけど、それから杭州市に戻ってアリババを始めたわけだから、そこが重要だと思うんだよね。

だからそれを話してもらって、それからどうやって1999年のアリババ立ち上げを決めたのかを話してもらえるかな。

ジャック:オーケー。ジェリーはぼくのことを良く知っているからね。ところでジェリーは起業家であるだけでなく、素晴らしい投資家でもあるんです。最高の投資家のひとりじゃないかな。そうでしょ?

(会場笑)

ジェリーは本当にスマートなんですよ。Yahoo!(中国)と交渉していたときのことはよく覚えています。Yahoo!の買収について、10億ドル(1千億円)の取引です。今では良い取引になりますが、当時は大変リスキーで簡単ではありませんでした。その年、何年も前ですが、交渉は決裂寸前でした。ジェリーはそのときCEOじゃなかったよね。

そんなときジェリーから電話が来て、「今夜飲みに行かないか」と誘われたんです。最後の努力ですね。

ジェリー:それでめちゃくちゃ飲んだんだよね。

ジャック:小さな日本料理屋に連れて行かれて、こんなに大きい日本酒を頼んだんです。

(会場笑)

ジャック:それを一緒に飲んで、Yahoo!がどれだけ素晴らしい企業かということを確かめ合ったんです。飲んだ後、交渉を前向きに検討しようということになりました。それが人生で一番高い日本酒ですね。

(会場笑、拍手)

ジャック:いまでは日本酒に関しては、ちょっと警戒してるよ。

ジェリー:分かる分かる。

(会場笑)

ジェリー:この後また日本酒を飲ませようと思ってるけど、もう少し良いやつだよ。

ジャック:じゃあそろそろ質問に答えようか。

(会場笑)

「アイデアがあるならやってみろ」アリババを立ち上げた理由

ジャック:シアトルから中国に、インターネットは世界を変える、これは大きくなる、という夢を持って帰国したものの、ジャック・マーにも同僚にも、それが成功するかどうかは分かりませんでした。同僚には、誰かは成功するかもしれないけど、ぼくらじゃないだろう、と言っていました。

ぼくらはものすごく働かないといけませんでした。中国での辛い日々、1996年や1997年はどこにも行けませんでした。友人や家族、親戚からすべて集めても、2,000ドル(24万円)しか調達できなかったんです。

我々はChina Telecomと競合していました。彼らは我々を倒すことはできませんでした。我々も生き残りたかったので。もちろん我々もChina Telecomを倒すことはできませんでした。そこで彼らが70パーセント、我々が30パーセント出資して、ジョイントベンチャーをつくりました。

私は彼らが我々に対して好意的であると考えていたんですが、愚かでした。彼らは我々を潰すために近づいてきたのでした。私は北京に行かなければいけないと言って、政府に加わりました。彼らがインターネットを広める援助をしてくれるだろうと思ったのです。

そこで政府の海外貿易機関に入りました。政府の仕事自体は楽しかったのですが、政府はインターネットをビジネスにするというプロモーションなど一切してくれませんでした。インターネットの哲学は、人びとのビジネスを発展させようとすることだからです。政府はそれを同時にコントロールしようとします。完全に異なる哲学が働いているのです。

彼らはスマートで良い人たちですが、インターネットを管理とコントロールにどうやったら使えるかと考えているのです。しかし我々はコントロールするのではなく、人のビジネスを発展させるべきだと考えています。そんなときにジェリー・ヤンと出会ったのです。

そこで政府にはもうチャンスはないと思いましたが、諦めるべきではないと思いました。絶望的な気分でしたが、考えに考えてもう一度やろうと決めました。そこで杭州市に戻り、18人の生徒や友人をアパートに集め、1999年の2月21日にビデオを撮って未来について語りました。みんな私のことをクレイジーだと思っていましたが。

(会場笑)

でもほとんどの人は仕事を見つけられないんです。だからアイデアがあるならやってみろよと。良かったと思うのは、すべてのビデオを保存していることです。たぶんほとんどのビデオは取ってあるはずです。過去16年の、すべての会議のビデオです。我々の犯したすべての過ちを知るためです。未来におけるすべての意思決定が、若い世代に学ぶ機会を与えるのです。

10年毎に何が起こったのか、なぜこの判断をしたのか、ということを公開していきます。Yahoo!との議論についても、なぜYahoo!と組んだのかを公開します。すべてビデオに撮ってあるので、いつか公開しますね。

主要都市ではなく、杭州市を選んだ理由

ジャック:そう、1999年にビジネスを始めましたが、なぜ北京ではなく杭州市にしたのかと聞かれます。

ジェリー:杭州市はいまでは起業家のハブになっているけど、当時は―

ジャック:当時は違ったね。そのときはノキアの調子がすごく良かったんだ。ノキアはどこにあるでしょう? 小さな半島の細いところに本部があるんです。そんなところにいるべきところじゃないだろうと。それは心臓がどこにあり、ビジョンがどこにあるかということなんです。

北京はSOが大好きで、ビジネスでステイできます。上海は多国籍企業が大好きです。IBMもマイクロソフトも受け入れてくれるだろうと。スタートアップや起業家のことは忘れろと。北京だったら何者にもなれません。上海でもダメです。杭州市に戻ったら、我々はまだローカルファミリーの子どもです。

(会場笑)

ジェリー:田舎の子どもはよく褒められるし、世話されるからね。杭州市はアリババの恩恵をすごく受けていると思うけど、杭州市もずっと起業家的だったよね。アリババの持っているものを強めることができた。

ジェリー:でもジャックのストーリーに反論しないといけないね。どこかにビデオがあるだろうけど。

(会場笑)

私がYahoo!にいたとき、10年前のことだけど、Yahoo!が中国でのビジネスを上手く組立てられないであろうということは明らかだったんだ。当時はアリババのタオバオと競合する製品を持っていて、日本ではすごく上手くいっていたから、同じアイデアが中国でも使えるだろうと思っていた。

その当時はeBayとも競合していたんだけど、とある地元企業にやられちゃったんだ。なんだこの地元企業は、と思ったらそれがタオバオだったんだね。誰がやってるんだと聞くと、ジャック・マーだって言うから、それはきっとぼくが数年前に会ったジャック・マーと同じやつだと思ったんだ。

ジャック:だからぼくと闘おうと思ったんだね。

(会場笑)

成功者になろうとしている若者をターゲットに

ジェリー:そうだね。でも実際にはみんながタオバオの中のやつはすごいと言っていて、本当にそいつを引き出したかったんだ。だからアリババとジャックが我々に協力してくれて、とてもラッキーだったよ。

誰もがアリババというブランドを知っているけど、アメリカの多くの人は実はアリババの製品を使ったことがない。西洋の顧客にとってのアリババって一体どうなんだろう? AmazonやeBayとの違いは何なんだろう? 似てるのか、違うのか、ジャックが考えるアリババの定義を教えてもらえるかな。

ジャック:これは我々の失敗だね。アメリカのユーザーに提供できるようなサービスがないんです。ただここにいる中国のみなさんは、ほとんど我々のことを知って頂いていると思います。これまでに我々のサービスを使って頂いたことがある中国人の方は?

(意外とパラパラとしか手が挙がらない)

ジャック:ありがとうございます。

ジェリー:3億8千万人しかいないからね。

(会場笑)

ジャック:質問については後から話しましょう。中国に行くと、たくさんの中国政府機関が会話に誘ってくれました。先ほど我々のサービスを使ったことがある方を聞いたときはほとんど手が挙がりませんでしたが、実際はすべての家族が使っているんです。

2003年から2004年にかけての我々の戦略は、すでに成功した人たちを変えるのはとても難しい―彼らはあまり話を聞き入れてくれないからです―だから成功者になりたい人を支援しよう、若者に焦点を当てようという戦略にしたのです。

古代中国の歴史では、親を同意させたら子どもも同意したし、もし結婚したいなら、子どもではなく、親を説得しないといけないとされていました。今日では違います。子どもを説得すれば、親を変えることができます。だからその年には若者に焦点を当てたんです。

AmazonでもeBayでもなく「中国ビジネスのインフラ」

でもさっきの質問に答えるとすると、アメリカ人はアリババのことを「あー、アメリカのAmazonだね」と言うんです。「ノー」「じゃあeBay?」「ノー」という感じです。これが非常に古典的なアメリカの方々の考え方です。このような考え方がなければ、理解しないし、気に入りもしないし、買うこともありません。

我々はeコマース企業ではありませんが、恐らく世界最大のeコマースビジネスをしています。我々はeBayではありません。我々自身がモノを売ったり買ったりすることはありません。eコマース企業になろうとしている会社を支援しているんです。これが我々とAmazonとの違いです。

すべての会社はAmazonのようになるべきです。Amazonは、たまたまWebサイトを持った古典的なビジネスです。

(会場笑)

それが合っていようと間違っていようと、すべてのメーカーはオンラインで売るべきだと思っています。直接売ったり買ったりするのは複雑すぎます。これに配送まで入ったらもっと複雑になります。だからすべての人びとがeコマースを利用すべきだと考えています。ペイメントやマーケットプレイス、配送システム、データをビジネスを構築するために利用するんです。

我々は何者なのか。世界最大のペイメントを持っています。恐らくご存知ないと思いますが、PayPalの11倍です。売上ではeBayとAmazonを足した額よりも大きいです。また中国では3千万以上のパッケージを1日で配送しています。実はアメリカ全土の配送量を足しても3千万より少ないんです。

このように巨大なビジネスをしているんですが、eコマース企業だと思われているんです。我々が何者かというと、中国ビジネスのインフラなんです。

アリババが掲げる大きな理想

もし買い手や売り手を見つけたければ、我々のマーケットプレイスがお手伝いします。タオバオです。もしペイメント・ファイナンシャルサービスを利用したければ、アリババ・ファイナンスがお手伝いします。データサービスが必要なら、アリ・クラウド・データサービスがお手伝いします。

配送に関しては、多すぎるほどの人材を製品の配送に確保しています。アメリカの方々からはいつも「どうやって配送できるんだ」「なんで自前の配送業者を持たないんだ」と質問されますが、アメリカと中国の違いは、アメリカにはUPSやFederal Expressなどの素晴らしいシステムがあることです。アメリカの伝統的なeコマース企業はいまだにそれに補充しているんです。

中国では、1日に4千万のパッケージが配送されています。何人必要でしょうか? 10年以内に3億のパッケージが配送されるようになると我々は踏んでいます。昨年の11月11日には、1日に2億7千万個を配送しました。

でもまだまだいけます。交通と売りをコントロールするからです。こんなことをするのは、我々が配送について懸念を抱いているからです。もし11月に雪が降れば、冬が来れば、中国全土の交通が麻痺してしまいます。これが我々の懸念です。

10年以内に、少なくとも1千万人が中国でモノを運んでいると考えています。たとえ1千万人を配送のために雇ったとしても、マーケットシェアの10パーセントしかないんです。道路上で1千万人のドライバーを管理できるとは思っていません。毎日自動車事故が多発しているからです。だから他の人たちを促進しなければいけないんです。

このように我々はインフラを築いています。10年以内に──これは我々のミッションでもありますが──ビジネスをもっと簡単にしたいと思っています。どんなビジネスでも、恐らく中国の70、80のビジネスが、もし顧客を見つけたければ、我々がお手伝いします。ファイナンシャル・サービスも、配送サービスも、物流も、マーケティングも、データもお手伝いします。

だから個々のサービスは我々のビジネスのほんの一部でしかなく、ビジョンはもっと大きいのです。恐らく今年か来年にはウォルマートよりも大きくなるでしょう。7年前シニアマネジメント──副社長のようなものですが──が杭州市に来て、一緒に飲みました。日本酒じゃないですよ。

(会場笑)

彼に「10年以内にウォルマートよりも大きくなりますよ」と言いました。とても良いビジョンを持ってるでしょ?

(会場笑)

頭脳以上に女性が大切な理由

ジェリー:ジャックは主要な顧客としてのSMBに対して、絶え間ないフォーカスを持ってるよね。そういうビジネスのプラットフォームをつくろうとしているけど、そのフォーカスは常にあるよね。

ジャック:その通り。フォーカスは変わっていないんだよ。だから今年ウォルマートよりも大きくなると言ったんだけど、それがメインではないんだ。世界にはモノを売ることに特化したもう1つの企業がある。我々は我々自身で売買をすべきだとは思っていなくて、他社が売買を出来るように手伝いをすべきなんだ。

現在我々のサイトには、1,000万の売る力を持ったスモールビジネスがあります。彼らにトラフィックと知識とデータを提供し、配送を手助けして、サードパーティを使う。1000万のスモールビジネスをひとつにまとめるんです。それが世界でもっとも強力な経済になり、そのやり方を変えるつもりはありません。

我々が好きなのはスモールビジネスと若者と、女性です。

(会場笑、拍手)

ジェリー:なんで女性が出てくるんだよ。

ジャック:アメリカのビッグメディアに「ジャック、なぜあなたの会社にはそんなに女性が多いんですか?」と聞かれました。「何か問題でも?」と言ったんですが、実は社員の52パーセントが女性なんです。

ジェリー:シニアマネジメントチームは?

ジャック:マネジャークラスは33パーセントが女性で、シニアマネジャークラスでさえ24パーセントが女性です。CUもCFも女性で、それを誇りに思っています。若手に至っては60パーセントが女性なんです。今世紀と前世紀の違いは、前世紀が筋肉の競争だったのに対して、今世紀は頭脳の競争です。

頭脳は女性も男性も同じだと思いますが、もう1つの論点は、今世紀がフレンドリネスを使おうとしているということです。自分自身よりも、他者を気遣う。これがITの時代とDTの時代の違いです。我々は、女性の方が男性よりも他人への配慮に長けていると思ったんです。

(会場笑)

ジャック:だってそうじゃないですか。女性は子どもや夫の世話をして……(依然として会場とジェリーは笑っている)ぼくは本当のことを言ってるんだよ!

(会場拍手)

ジャック:それが我々が女性をサポートする理由です。多くの家庭では、買い物の際に女性が何を買うかを決めるということが分かっています。

(会場笑)

ジャック:これがもっとも重要な決定なんです。

ジェリー:反論できないね。

(会場笑)