「23歳の日本人に生まれ変わりたい」日本の新たな黄金期を専門家が解説

日本の新たな黄金期に向かって

Tech in Asia 2015
に開催

2015年9月7日に開催された「Tech in Asia Tokyo 2015」にエコノミストのイェスパー・コール氏が登壇。「日本の新たな黄金期に向かって」をテーマに講演を行いました。同氏はグローバルイノベーションとテクノロジー投資の観点から日本経済のポテンシャルを解説して、「生まれ変わるなら日本人の23歳になりたい」と述べる理由と将来の日本に起こる変化について語りました。

日本の新たな黄金期の始まり

イェスパー・コール氏:今日はみなさんに「日本は現在、新たな黄金期の始まりにある」ということをお伝えしに来ました。

日本について、悲観的な意見を持つほうがよっぽど簡単だということは承知しています。「コールさん、329年後には16人しか残っていないと言われるこの国を、どうやって楽観的に見ることができるのか」と言う人もいるでしょう。人口減少の問題ですが、これはナンセンスです。

これからの300年のことを心配する必要はありません。5年から10年の間に起こることも心配する必要はありません。今後の日本に対する予測は、実はかなり良いのです。私の考えをいくつかお話します。

まず初めに、みなさんが私の立場になったと考えてみてください。日本の一番良いところはどこでしょうか。エレベーターピッチだと思ってください。みなさんには15秒の時間があります。

なぜ日本のために自分の貯金や、血と汗と涙を捧げるべきなのでしょうか。日本のもっとも偉大な点とは何なのでしょうか。これは後からでも話せるので、「赤提灯」でちょっと飲みましょう。

(会場笑)

知的財産の創造と造船業

私の答えは、日本経済は信じられないぐらいリッチだということですが、その鍵は知的財産です。これは国民所得がどれくらい研究開発(R&D)に充てられているかを表す図です。

90年代から2000年を通じて、日本はGDPの3.4%を投資し続けてきました。私の母国であるドイツは約2.5%です。これはすごいことです。日本ではイノベーションや知的財産の創造をかなり重視していると言えます。知的財産の創造には終わりがありません。

アメリカでは研究開発の50%が、政府や軍産複合体によって行われています。つまりみなさんや私のような一般人には、投資ができないということです。

しかし日本では、82%の研究開発が我々のような民間企業によって行われています。我々が投資家や起業家として、おもしろい開発に参加することができるのです。

もちろん知的財産を得て、特許を取り、商業化できるかどうかはまた別の話です。全世代が良い仕事に就いていたわけではありませんから。

絶え間ない改善、イノベーションへの注力を示す証拠は、ちょっと変わった産業ですが、なんと造船業です。造船というといかにも19世紀的ですが、日本は2〜3年で回復しました。再び世界一の造船国家になったのです。

なぜか。船は排気ガスを出し、CO2をばらまくので規制強化が起こり、規制に対する世界的なムードを引き締め、CO2の削減が始まりました。

それで日本の企業がそのテクノロジーに投資するようになり、船を運用するには日本に行かなくてはならなくなりました。

日本に起こっている変化

本当の変化も起こっています。日本の米の価格は中国より安くなっているのです。これはみなさんにとってはどのような意味があるのでしょうか。農業の競争が激化し、農業に関するエンジニアリングにチャンスが生まれています。

私は30年日本にいますが、私の価値は昔のほうが高かったんです。最低賃金を見てみると、他のアジア諸国の方はよくおわかりだと思いますが、「賃金を上げろ」という圧力が大きな問題になっています。それとは逆に日本はいまでは比較的安くなっています。

ストックマーケットやシェアプライスに焦点を当てなければなりませんが、日本はアセットプライスも比較的安くなっているのです。

上場企業の株価収益率は、絶えずトレーディングを行ってきたニ世代にわたってアメリカを下回っています。日本は知的財産を得て、バックボーンをもち、グローバルに戦えるようになりました。グローバル経済にプライスをバックし、それがチャンスになっているのです。

より大きな絵を描くと、もう少し他の要素がありますが、これは基本的に違います。私はこの30年間日本にいますが、この30年で何人の総理大臣が、1年半以上その座に就いていたでしょうか。実は2人しかいないのです。中曽根さんと小泉さんだけです。その他はすべて1年半以内に退いています。

私やみなさんのような投資家は、そこに影響をおよぼすことができます。我々は政権の安定性を欲しているのです。私はみなさんが安部総理を好きかどうかは気にしません。また「赤提灯」で議論しましょう。

(会場笑)

我々は権力の中に入ることができるのです。少なくともこの3年間で。経済活動重視の起業家は、より起業家精神を得ようとしたり、法人税をより削減しようとしたりします。経済活動重視の政策には継続期間がありますが、我々は粘り強く待っています。なぜなら我々が欲しているのは、不確実性や誰かがルールを変えることだからです。

もうひとつは少し経済寄りの話です。日本はかつて余るほどの労働者を抱えていましたが、いまでは労働者が不足しています。これは良いニュースです。

不足を抱えているとき労働者や資本の再編成を考え始めます。より影響力をもち、より生産的になるためにどうするかと。これは大きな問題です。

日本は赤字国家なので、生活の質を保つためにグローバルキャピタルに依存しています。国内の起業家と同様に、海外の企業や起業家にとっても日本に来るとても良い機会です。

生き返れるなら23歳の日本人になりたい

最後に2つのことをお話します。私のようにならないでください。私はあんな小さな子どもでした。1985年のことです。いまは太ってしまいましたが。私は生き返れるなら23歳の日本人になりたいです。

人口統計を見てみると、66歳以上の人口はこれから東京オリンピックまでに毎年43万4千人増えていきます。それがみなさんのマーケットです。高齢者に対する衣食住の充実です。

次のステップを見てみると、36〜65歳の人口は縮小しています。しかし本当のスイートスポットは、私の考えでは25〜35歳です。

この世代の日本人の数は、これから東京オリンピックまで毎年23万人ずつほど減っていきます。不足は競争を生み、その結果女性の力が重要になり、既婚女性のインテリジェンスとエネルギーが活かされるのです。

私のアメリカ人の友人は10日ほど前に、就職活動中の大学生を見にいきました。10日間でそのうちの97%が仕事を得ました。すばらしいですね。アメリカではその割合はいまや50%以下です。

みなさんにとって他にも重要なのは、マーケットを見てみると、若い日本人の学生で借金をしている人はほとんどいないということです。不足が需要を生み出すのですが、日本人の若者はこの点が優れています。

おまけに1点。私は、日本は人口統計のスイートスポットだと思っています。国内のダイナミクスにより、過去20年でサラリーマンや終身雇用が減りました。もはや典型的な雇用形態ではなくなりつつあります。

今日では40%の日本人がパートタイムとして雇われています。多くの会社がパートからフルタイムに再雇用し始めています。

パートタイムとフルタイムの違いは、主に2個とプラス1個があります。1つ目は、パートタイムの年収は約50%低いのです。その理由は、フルタイムの場合は、15% がヘルスケアなどの恩恵を受けており、35%はボーナスを受け取っているからです。日本の企業は年に夏と冬の2回ボーナスを支給しますからね。もしパートから正社員に再雇用されたら、収入は約50%アップするのです。

2つ目の違いはクレジットへのアクセスです。パートタイム労働者はクレジットカードを手に入れることができず、住宅の購入などもできません。

フルタイムワーカーになればクレジットカードで買い物をすることができます。この12ヵ月で、住宅市場やクレジットマーケット、消費者のファイナンスマーケットがこの世代で初めて成長しているのです。

もうひとつは、起業家になることに大きな利点があるということです。企業の設立からの年数を見てみると、設立から5年以内の企業はこの10年で200万人分の仕事を創り出しています。

設立から5〜10年の会社は50万人分の新たな仕事を創り出しました。設立から10年以上の会社は、逆に職を恐竜のように破壊しています。

だから起業家精神が必要とされているということですね。日本はみなさんに大きなチャンスを与えてくれているのですよ。

ありがとうございました。

(会場拍手)

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