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リクルートワークス研究所所長 大久保幸夫氏(全1記事)

2015.11.04

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夫の態度がストレスに? 働く母親への調査でわかったこと

提供:リクルート

リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏が、リクルートグループが推進する「iction!(イクション)プロジェクト」のイベントで講演しました。iction!は「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」をキーワードに、「はたらく育児」を応援するプロジェクトです。リクルートワークス研究所の調査によれば、働く女性がプライベートで最もストレスを感じることは、なんと夫の態度だったそうです。多様なストレスに押しつぶされそうな人を救うためにiction!はどんな活動をしていくのか、大久保氏が語りました。(2015年9月4日・14日のログ)

「はたらく子育て」はリクルートが取り組むべき課題

大久保幸夫氏(以下、大久保):こんにちは。このテーマ、前からリクルートがやるべきだと、ずっと思い続けてきたことで、やっと実現しそうです。しかも、こんなにたくさんの人が集まってくれて。すごいうれしいです。

どんなことを今まで考えながら、ここにたどり着いてるかっていうこと、このために少し調査もしてますので、そんなことを皆さんにご紹介しながらポイントをお話したいと思います。

「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る」ということなんですけど、これはさっき小安さんも言ってたように、「共に」の部分、結構いろんな思いを込めてまして、「共に」の相手は誰なのかと。

今仕事と育児を両立している人たちに参加してもらいながら、共に創るっていうのもあるし、「共に」の相手の中には行政の人たちとか、NPOの人たちとか、ほかには実際我々のクライアントの人たちも入ってくるんですが、僕の頭の中に浮かんでる言葉は従業員と実はOB、OGだったんです。

リクルートは、もともと男性とか女性とか関係なく、この会社ではみんな同じように仕事をしてるし、女性のリーダーもたくさんいるわけですよね。

世の中、女性が活躍するシーンっていうのが進んでますけど、そういう女性のリーダーがたくさんいる中でいけば、この問題っていうのは全然他人事じゃなくて、自分たちのことであると思います。

そして、この問題は女性だけでも解決できないし、男性だけでも解決できない。リクルートの中では男性、女性が組んで、この問題ができるはずなんで、まさしく今できる状態がリクルートには整ってると思いました。これは完全に社員参加であると。

ですから、どれだけ社内からたくさんのいいアイデアが出てくるかが、成功するかどうかのポイントなんだろうと思ってました。

今までリクルートの中で、「こういうことを、自分はやりたいんだよな」と思っている人がいっぱいいるはず。さっき甲田さんがおっしゃっていただいたようなことを、たまたま自分が思いついて、リクルートの中では実現できずに辞めて、外でやり始めてる人もいると思います。

そういう人たちにも改めて一緒に手を組んでもらって、できればいいんじゃないかなっていうのが、僕がこの「共に」という言葉の中に込めた思いなんです。

妊娠時に会社を辞めてしまう問題は改善されていない

これは調査やった結果ですけど、3つのポイントに目を付けました。

1個目は妊娠、出産時に辞めなくてすむようにしたいということです。実際には妊娠して子どもを産むというタイミングで仕事の場から離れていく人たちがたくさんいます。

それをなくするために、今まで国は育児休業制度を充実させたりとか、さまざまな施策をやってきたんですよ。やってきたんだけど、実はこの問題って本質的にはあまり改善してないんですよね。あんまり変わってない。

もちろん子どもを産んで小さいときには、子育てに専念をして子どものそばにいたいという価値観は、それは全然結構だし、いいんですけれども、実は第一子出産後に辞めた人の4割の人が辞めたことを後悔してるっていうのが、僕らが調査した結果で出てきたんです。「だったら何とかしようよ」ということですね。

国も今、ずいぶん熱心に取り組んでるんですけれども、なかなかうまくいっていません。この間も女性活躍推進法案が成立をしましたけど、この問題は国がやって、そんな簡単に解決する問題ではないだろうなと思います。

女性活躍も今、いろいろ発表されてますが、トイレに注目するとか、何かどっか的はずれな感じがするわけです。

(会場笑)

大久保:これはやっぱり、「うちでやったほうがいいな」と思うんです。どこに注目をするかが大事だと思うんですね。

結婚をして、妊娠をして、そのときには「できれば育児と仕事を両方やっていきたいな」って思ってる人が、そのあとのいろんなプロセスで、結果的には諦めて、やっぱり辞めるって至るまでの間に、何があるのか。

その間に、いろんな試行錯誤や悩みがあって、残念ながら辞める道を選んだ人たちは、何を助けてあげたらよかったのかというのを考えてもらいたいんですね。どうしたら、その中のどこに着目したら、貢献ができるんだろうというのが、1つ目のテーマです。

働きながら子育てする女性、最大のストレスは夫?

2つ目は、育児と仕事の両立をしている人たちに、すごいストレスがたまってるということがわかりました。この問題をちゃんと明らかにしようということで、ストレス調査というのをやりました。

これ来月発表する予定ですが、子どものいる男性と女性、両方とも仕事してる人を比較して分析をしてるんですが、ストレス項目を、実際に相談、援助に当たってるソーシャルワーカーの経験から115項目拾い出してきて、ストレスに対する経験率と、ストレスの数値評価をやってもらったんです。

それを分類していくと、14個ぐらいのストレス群に分かれていくんです。なかなか衝撃的な結果が出てます。

ちなみに最もストレス値が高くて、最も多くの人たちが感じているストレス群は何かというと、夫の態度ストレスっていうのがある。

(会場笑)

大久保:「まさか、これが1番になるとは」って正直思ったんですけど、簡単に言うと家事や育児に対する非協力ということも、もちろん含んでるんですが、それ以上に態度が気に入らんという。

(会場笑)

大久保:よく言われることですけど、家事とか育児とか手伝うと。「手伝うじゃないだろう」ということですよね。

仕事終わって、うちに帰ってきて、自分が夕飯の準備してるときにテーブルに座って、子どもを膝の上に乗っけてビールを飲み始めると。「なぜ、それが子育てに参加してることになるのか」と。「なぜ、そのときに私のグラスにはビールが注いでないの」と。

(会場笑)

大久保:そういうことの積み上げが、実は結構大きなストレスだったりするわけです。というふうにストレスを分類してみると14個に分かれて、かつ、そのストレスごとが、いろんな形で相関してる。つながってるということもわかります。

ですから解決しなきゃいけない切り口は、この中に山のように含まれています。恐らく育児の問題は、女性の問題である以上に男の問題です。男を解決するっておかしいけど。

(会場笑)

大久保:男性視点からの解決アプローチも相当重要で、ここに踏み込めるかどうかがリクルートらしさにつながるのかなという気もしています。これが2つ目ですね。

育児をしながら仕事に復帰したい人の支援を考える

3つ目は、無理なく始められる仕事をつくるということにフォーカスをいたしました。

1回辞めて、育児をしてますと。「仕事を、もう1回やりたいんだよね」という人はたくさんいます。たくさんいるんですけれども、そのもう1回やりたいっていうスタンスがわりとフワッとしてるんですね。

やりたいと言ってるんだけど、やらないんです。やれないとも言えるんですけど、そんなに各論の具体的な話じゃなくて、何となくそこまでたどり着かない。その人たちに何か、もう一歩踏み出すきっかけをつくってあげるのは、どういうことなんだろうか。

具体的に3時間で働ける仕事をつくるっていうことも大事かもしれないけど、その半歩踏み出す、一歩踏み出すっていうところのエネルギーが足りないんです。これをどうしたらいいかということを、すごく悩んでます。

もちろん仕事を探したいと思ってる女性の中には、切迫した収入に関するニーズを持ってた人もいます。その人たちが制約要件がある中で、ちゃんと生活に必要な十分なお金を稼ぐための仕事は、どの様なものかっていうことも入ってますよね。

これだけでも中を細かく見ると、いろんな切り口があることで、たくさんの視点から考えてもらいたいです。

かといって時間に制限があるからと言って、単調で賃金の少ない仕事をたくさん振りまくようなことはしたくないんですよ。そういうこだわりを持って、この問題を解決しにいきたいなというふうに思っています。

全体、3つ大きくカテゴリーをつくって、今回はアイデアを募集をいたしますが、ベンチャーですから。一応、新規事業開発なので、事業化できそうな見通しの立つアイデアのほうがよりいいですし、もちろんできれば、そこそこ規模の大きな事業になったほうがいいというのもあるんですけど。それ以上にどれだけたくさんの人が、この公募に参加してくれたかどうかの数が、すごく大事だと思ってます。

リクルートの我々の知恵で、どれだけの数のプランが出てくるのか。そしてそのプランには、どれだけたくさんの視点が含まれてるのか。

ストレスに押しつぶされそうな人を救ってあげたい

この全体の問題には、切り口が山のようにあります。どこに目を付けるのかっていうのが大事なのかなと。その目の付けどころがたくさん出てくることによって、新しい大きなうねりがつくり出せるんじゃないかなと思うんですよね。

だからとりあえず第一歩、きょう176名の人が、この場にエントリーをしてくれたということで、すごく大きな価値がある。その176名の人たちから176個かどうかわかりませんけれども、たくさんの目の付けどころのアイデアが出てくることに、すごく大きな価値があると思う。そこに期待をしております。

辞めなきゃいけない、辞めたあとに後悔する人を救ってあげていただきたい。もうストレスに押しつぶされそうになっていて、とりあえず「もう無理」という一歩手前まで来てる人を救ってあげたい。ずっと仕事を始めたいんだと思いながら、どうしてもうまく、そこにたどり着けない人を救ってあげていただきたいと思っています。

皆さんきょうは、それを何とかしようという気持ち満々で来ていただいたと思いますので、このあとの時間も含めて、まず自分はどこに目を付けようかということを考えていただけるといいかなと。

それから、きょうの場で間に合わなくてお配りできないんですけど、この『働くマザーのストレス調査報告書』というのを10月に発表アップする予定ですので、じっくりと

見てください。その14種類のストレスと、そのストレス群のつながり方が書いてありますので、参考にしていただければと思っています。

そのほかワークスからも、これに関連していろんな情報を発信しようと思ってますので、そういうものもさらに活用していただきながら、参加していただければと思っています。たくさん参加してください。よろしくお願いします。

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