現場ではなかなかAIが使われない──そんな課題を抱えたまま、導入検討で足踏みしている企業は少なくありません。本記事では、経費精算システム「楽楽精算」をはじめとした業務効率化サービスを展開するラクスと、音声×AIでコミュニケーションを可視化する「MiiTel」のRevCommが登壇。
セキュリティやハルシネーションへの不安、データ未整備という“壁”にどう向き合い、AIを業務に根づかせていくのかを率直に語ります。日々の業務そのものをAIのナレッジに変えることで、現場に負担をかけず成果につなげるヒントが詰まった対談です。
「楽楽自動応対」のラクスと「MiiTel」のRevCommが登壇
馬渡拓海氏(以下、馬渡):みなさま、お待たせしました。あらためましてオープニングとして、簡単にそれぞれの自己紹介をできればと思います。まず最初に、ラクスの鈴木さまよりお願いしてもよろしいでしょうか?
鈴木諒一氏(以下、鈴木):はい。株式会社ラクスの鈴木と申します。本日はみなさま、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私はラクスで、問い合わせ自動応対システムの「楽楽自動応対」と、メールマーケティングサービスの「楽楽メールマーケティング」という2商材のマーケティング部門を幅広く担当しております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

簡単に弊社の紹介もさせていただければと思います。ラクスは、ラクに導入ができてラクに使えるクラウドサービスの開発・販売を行っている会社になります。

経費精算システムの「楽楽精算」など、バックオフィス向けのサービスをはじめとして、私が担当している「楽楽自動応対」や「楽楽メールマーケティング」といったフロントオフィス向けのシステムも提供しており、企業さまの社内業務を幅広くご支援させていただいている会社となります。
旧「メールディーラー」が「楽楽自動応対」に名称変更
鈴木:今回メインでお話に出てくる「楽楽自動応対」は、AI機能を活用して過去の応対情報をナレッジ資産として活用していく問い合わせ自動応対システムです。
2001年の提供開始から、お客さまのニーズをもとに機能をアップデートして、便利で使いやすいシステムへと進化してきました。
今日お話を聴いてくださっている方々の中には、「楽楽自動応対?」と(笑)……。「『メールディーラー』じゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実はこの10月に、「メールディーラー」を「楽楽自動応対」に名称変更することをお知らせしており、サイトや管理画面の名称変更を順次対応しています。これからはぜひ、「楽楽自動応対」として覚えていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
馬渡:はい、鈴木さん、ありがとうございます。では、RevCommの中村さまもお願いしてもよろしいでしょうか?
「AI×Voice×Cloud」でコミュニケーションを可視化
中村有輝士氏(以下、中村):はい、わかりました。あらためまして、中村と申します。本日はお集まりいただきありがとうございます。
簡単な経歴を書いていますが、私の強みは、BPOのコールセンターに10年勤め、各業種を体験したことです。本当にコールセンターの大変さや喜びを経験しています。その経験を活かして、今は株式会社RevCommで「MiiTel Call Center」というプロダクトのプロダクトマーケティングマネージャーを担っております。

簡単に我々の会社紹介もできたらと思うのですが、RevCommは「Revolution×Communication」ということで、AI×Voice×Cloudを活用したソフトウェアやデータベースの開発を行っております。

提供しているサービスは、私が担当している「MiiTel Call Center」というカスタマーサポートに関するサービス以外にも、「MiiTel RecPod」や「MiiTel Meetings」など、Web会議や対面でも可視化できるものになっています。

どういうことかというと、会話データなどをAIで解析して、データに基づいて最適な一手を見いだすことができます。

具体的に言うと、文字起こしだけでなく、トーク解析や感情認識ができるツールで、ダッシュボード上で統計表示ができます。みなさまの環境でビッグデータ化、資産化ができるようなものになっております。

我々は、今までブラックボックス化されていたビッグデータなどをどんどん溜めていって、アプリケーション上でChatGPTなどの生成AIが使えるツールを提供しています。


では、私からの自己紹介と会社紹介は以上になります。
馬渡:中村さま、ありがとうございます。
AI活用が進まない要因はセキュリティとハルシネーションへの懸念
馬渡:ではさっそく本題に移るのですが、「なぜAIは使えるのに“使われない”のか?」。こういったテーマについてお話ができればと思います。
ここに関しては、実際に現場のリアルなAI活用の課題に対して、今けっこう向き合われている視聴者の方も多いかなと思います。RevCommの中村さま、ラクスの鈴木さまより、ちょっとディスカッションみたいな感じで、いろいろとトークができればなと思います。
では中村さま、どうでしょうか? 実際になぜAIは使えるのに、今は使われていないのか、率直なご意見があったらお伝えいただければなと思います。
中村:ありがとうございます。まず、生成AIのコールセンターでの活用は、この1年でまた増えてはきているのかなと思っています。2025年の『コールセンター白書』が販売され、そのデータでも本格運用しているところや活用が始まっているところのデータは増えてはいます。
ただ、ほとんどがまだ限定的に利用しているところなので、まだまだ使いこなせないところは多いのかなと感じている状況です。
「どうしてか?」という本質的な部分になりますが、AIを使う時に、みなさまの中で「セキュリティが心配だ」「ハルシネーションが心配だ」というところが、けっこうボトルネックになっているのではないかと感じています。
選択肢が増えすぎて困る現場、AI訴求はベンダーの必須事項に
中村:このあたりは鈴木さんはどうでしょうか?
鈴木:中村さんとは、この間の池袋のコールセンター展(コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京)でもお話しさせていただき、一緒に回らせていただいたりもしたのですが、やはり中村さんのおっしゃるとおりで。
我々は2024年度も、コールセンター展というサポートの方々向けの展示会に出展はしていたのですが、やはりAIを扱うベンダーさんが非常に多いなというところで、逆に「AI」と訴求していないと、お客さまが立ち止まってくれないぐらいの印象を受けました。中村さんのところも同じような感覚ですかね?
中村:そうですね。
鈴木:RevCommさんも出展されていたかなと思うんですが、ぶっちゃけどうでした?
中村:ありがとうございます。そこでいくと、生成AIやAIエージェントでできることが増えているので、我々ベンダーからするとAIは必須と感じつつ。今回の視聴者さんのようなお客さまからすると、選択肢が増え過ぎて困っているところもあるのかなとちょっと感じたりはして。
AI活用が進まない企業の背景にあるもの
鈴木:そうですね。私もまさに同じようなことを感じています。弊社も含めて、すごくいろんなサービスにAIが搭載されて、AI活用が世の中的にも一般的になってきているのかなとは感じてはいます。
ただ、我々の社内でもやはりAIの活用は進めていく方針で動いてはいるのですが、お客さまのお声を聞くと、「いや、まだどういうAIの活用の仕方が正しいのかわからないよね」とか、その方針が決まっていなかったり。
あとは、セキュリティ面ですよね。先ほどおっしゃったように「データってどうなるんですか?」「漏えいしたりしないんですか?」みたいな、漠然とした不安をすごくお客さまからよくうかがうところではあるかなと思うので。
我々としてはAIの活用を促進してはいくのですが、いろんな企業さまに聞くと、なかなか進んでいないなという印象はあります。中村さんの中で、その大きな要因はどんなところにあると思われますか?
中村:すみません、そのお話に入る前に、さっきのデータを見せながら話せばよかったなと思ったんですけど(笑)。
活用は増えるも本格運用は1割強、情報収集や検討段階が半数以上
中村:一応、右側が『コールセンター白書2024』のデータ。左側の青いほうが『コールセンター白書2025』のデータで、ちょっとグラフのかたちが変わっているのであれなんですけど。

『コールセンター白書2024』は、活用を検討中というグレーで、まだ「すでに活用している」は18.9パーセントとかで20パーセントもいっていないのですが。
2025年の『コールセンター白書』になると、本格運用しているのが12パーセントも出てきて、限定的な範囲で運用しているところが43パーセントで、増えてはいるのかなというところは感じています。
とはいえ、まだまだ情報収集中ですとか、検討段階ですとか、PoC中ですというところも、半数まではいかないんですけど大半を占めているので、本当に本格活用というところはこれからなのかなと思っています。
やはり導入に関しての課題でいくと、右側が『コールセンター白書2024』で、左側が『コールセンター白書2025』なのですが、やはりハルシネーションとか情報セキュリティは、2024年も上位に来ていて、2025年は選択肢が増えたのですが、引き続きここの上の部分があるなと思っています。

ここの懸念、セキュリティの部分は、さらにみなさま、知ったということもあるんだと思うのですが、AIについての知識が増えて、「ヤバいんじゃないか?」というところが増えてきているのかなとは思っていますね。
ガイドライン未整備で「シャドーAI」が横行するリスクも
鈴木:そうですよね。この間の展示会でも、やはりお客様からけっこうな数のキーワードとして出てきたのは、シャドーAIだったりとかですね。公式に推奨はしていないけれども、やはり業務の中で個人的に使っていることって、けっこういろんな企業さまの中であるのかなと。
やはり管理職の方からすると不安に思われる方も多いのかなというのは、このセキュリティ面のところなのかなと思いますよね。中村さんとかも、個人的にChatGPTとか使っていたりします?
中村:プライベートでは使います。それこそ、Geminiとかで「お薦めのお店を教えて」とか。
鈴木:(笑)、わかります、わかります。
中村:というのはありますけど、業務では使わないですね。やはり怖いからというのがあるので。