良かれと思った「完全希望休」で現場は大混乱、無駄な作業が増加
漆川:「よし! これで真の従業員ファースト。稼げる環境とプライベートの充実を図れる」と私は考えました。これでうまくいくだろうと。

まったくいきませんでした。現場は大混乱です。完全希望休制度なんていうものをやったものですから、ドライバーの方から毎月紙で勤務の申請希望が届きます。それを事務の方が転記してホワイトボードに貼る。

仕事を管理するための管理をExcelや紙やホワイトボードを使って行っているという状況でした。当然人の手が何回も入るので、ホワイトボードの貼り忘れ、紙の出し忘れ、転記漏れ、さまざまな問題が起こり、現場は大混乱になりました。

つまり、私は仕事を作ったのではなく無駄な作業をたくさん作ってしまったと。こんな状況に会社が陥ってしまいました。

そこで私は、社労士の先生からkintoneというものがあるとちょっと聞いて、まずバス、タクシー、送迎の仕事情報をkintoneに集約するところから始めていきました。
当時会社の中では、紙台帳で仕事の案件を管理をしていたので、携帯で仕事の情報が見られる。私は、これで会社もうまくいくだろうと感動しました。

ところが、そんなことはありませんでした。実は、彼女が中心になってkintone導入を進めてくれた萩原さんです。40代で2年前にパートで入ってくれた方なんですが、この方を中心にkintone導入を進めていきました。
ちなみに今日、顔写真をちょっと出してくれとお願いをしたんですが、かたくなに断られましたので、このイラストになります。ご了承ください。
「社長、案件情報だけじゃダメ」パート従業員の助言でシステムを再構築
漆川:そして、彼女を中心に進めていきました。じゃあ、kintoneを入れたら解決をしたのか? 実はまったく解決しませんでした。案件の情報はkintoneの中に入っている。それを携帯で管理ができるという状況でしたが、まったく解決しませんでした。
整備士の方が車を整備しようと出てきたら、その車にドライバーが乗って出ていっている。ドライバーが出勤をしてきたら、仕事が付いているつもりが、実は付いていない。このようなトラブルが多発しました。
ここで萩原さんが、「社長、案件情報を入れているだけじゃダメですよ」と。「車両情報やドライバーの勤怠情報を入れなければ機能しませんよ」と助言をしてくれました。

そこで彼女は、広島の地元のビットリバーさんという会社を見つけてきました。そこと一緒に、ドライバーと案件、車両の情報がマッチングできて一括管理できるシステムを1年ぐらいかけて作り上げてくれました。
私たちが作ったシステムがこれです。ドライバーの勤怠情報は、ドライバーが毎月LINEから希望勤務を出していきます。それをkintoneに自動で取り込んでいきます。

また、そのkintoneの中で車両情報の車検の情報、3ヶ月点検の情報などが入ったもの。そして、案件情報が入ったものと、kintoneの中でマッチングをしていく仕組みを作ってくれました。もちろん、既存のシステムともAPIで連携をして作るようなことをしてくれました。
これによって、整備士の目線から見たい情報、ドライバーの目線から見たい情報、そして事務の方から見たい情報を一括で管理できるようになっていきました。今までホワイトボードで管理していた仕事の情報は、アフターのように一括で管理できるように見やすくなりました。
教育より「シンプルな仕組み化」に注力、PCが苦手な高齢者も活用
漆川:また、高齢者が非常に多いので、高齢者でも使えるように、簡単にLINEで申請できるような「Kanal-WEB」というものを連携して使っております。字はなるべく大きく、そしてこのKanal-WEBの中で自分の仕事情報も確認できるような仕組みになっております。

kintoneの運用がスタートしましたが、当時はたくさんの課題もありました。なかなかパソコンに慣れていない会社でもありましたので、レコード削除や入力漏れの頻発、ベンダーさんとのやりとりに想定以上の時間がかかりました。

人と車両のミスマッチングや、人に頼った管理、車両の情報がkintoneに入っていないなど、運用が始まった当初はいろんなトラブルが発生していきました。

その中で私は考え方として、従業員一人ひとりにこれを使ってもらえるように教育するのではなく、とにかくシンプルな仕組み化をすることにこだわりました。
シンプルって実は大変難しかったです。教育して使ってもらえるようにするのは簡単だけれども、「シンプル」を作り込んでいって使ってもらえることにとにかく力を入れていきました。

直感的に触れるUI。実はこれは、裏側で自動制御や自動入力の機能が走っております。業務フローの見直しも何度も何度も行っていきました。

中にはLINE自体を知らないドライバーさんもいらっしゃいました。そういった方には一人ひとり丁寧に、「お孫さんに写真を送ったらどうですか?」ということを言いながら教えていきました。
平均年齢は6歳若返り、売上・給与は20%アップ、管理部門は増員ゼロ
漆川:結果、現在では、仕組み化により若手の採用も大変進み、ドライバーの平均年齢は64歳から58歳まで下がりました。26歳の最年少のドライバーも生まれました。

そして、売上も人員もアップし、当時35名だったドライバーは73名まで増え、平均給与、売上も昨年比で20パーセントずつアップしました。

何よりうれしいのは、管理メンバー9名のままでこのコントロールを行っているということです。中には30万円が50万円に給料がアップしたドライバーもいました。

当時は考えられませんでしたが、「社長、結婚しようと思うんです」「家を建てようと思うんです」「今度、子どもが生まれるんです」。こういった報告をドライバーから聞くことができるようになり、大変うれしかったのを覚えています。
また、勤怠専任者の話です。当時は、完全希望休や多能工化を実現するために紙やExcelで管理をしていました。この後ろ姿の写真はモリナガさんという方ですが、彼女は自分のパートの勤務時間をほとんど転記作業、確認作業に費やしていました。

この時間がkintoneを入れたら8割削減。彼女は、今までの作業ではなく、ツアー企画などの売上につながる仕事に従事してくれています。

さらに従業員の方たちはみんなで「クレーム管理をkintoneでやろう」「売上管理をkintoneでやろう」「メールの共有のkintoneの新機能を使ってみよう」など、どんどん私たちの会社でもkintoneの利用の機能追加を自分たちで行ってくれています。

kintoneは今や、私たちニコニコ観光にとって大変大きな武器になっていると感じております。
kintone導入成功の鍵は「専任メンバー」と「シンプルな仕組み」
漆川:点在していた情報をkintoneに集約し、仕事という名の作業をなくし、本来やるべき仕事に集中できている。これはkintoneのおかげだと思っております。

今後の取り組みです。私たちは新しい拠点の立ち上げや新サービスの立ち上げを予定をしていきます。もちろん、その中でもkintoneを使っていきたいと思っております。

kintoneでは今後、給与計算機能の追加や新事業所との連携、またバスのシステムとの連携も進めていきたいと思っております。
まとめです。kintoneの導入には、今回うちではパートタイマーの萩原さんという方でしたが、彼女のような専任メンバーは必要だということ。

そして、人に教育をしてシステムを使ってもらうのではなく、いかにシンプルな仕組みを作り、使ってもらいやすいシステムを作っていくのかが重要だと考えております。
このkintoneは、事業を成長させるためのパートナーでもあり、今や私たちの大変大きな武器にもなっております。これからもkintoneと共に会社を成長させていきたいと思っております。本日はご清聴ありがとうございました!
(会場拍手)
沖沙保里氏(以下、沖):漆川さん、ありがとうございました! 最初は取っ組み合いのところからスタートしたと思うんですけれども、そこからコミュニケーションを取っていって、ここまで会社を育て上げられて。長い道のりだったかと思いますが、感慨深いところではあるんじゃないかなと思います。
漆川:はい。
社内のキーパーソンはどう見つける?
沖:ありがとうございます。ご質問させていただければと思いますが、まとめの「やはり萩原さんみたいな方が必要です」というところですが、(お話を)聞きながら、社員の中にはまだちょっと見つけられていないかなという方も多いかと思うんですけれども。

こういうヒントがあるよという、見つけるポイントなどがあれば教えていただければと思いますが、何かあったりしますでしょうか?
漆川:大変難しい質問ですね。
沖:難しかったですか(笑)?
漆川:萩原さんは、実はぜんぜんシステムやパソコンに強い方ではなかったんですね。本当にたまたまです。なので、私の考え方ですが、ピンポイントで見つけていくのはなかなか難しいのかな。
まずはいろんな方にやってみてもらって、興味を持った方が手を挙げてくれるかたちがいいんじゃないかなと思います。
沖:ありがとうございます。すみません、難しい質問にうまく答えていただいて(笑)、ありがとうございました。
漆川:答えになっていませんでした(笑)。
沖:それでは、あらためまして、ニコニコ観光、漆川さんでした。大きな拍手をお願いします! ありがとうございました!
あなたもkintoneの活用事例を大きな舞台で発表してみませんか? kintone hiveではご登壇いただけるkintoneユーザーの方を募集しています。
立場や業種に制限はなし。自社の事例をわかりやすく、オープンにご共有いただける方のエントリーをお待ちしております。
