上司のスタンプラリーやExcelへの多重入力、紙中心の申請業務など、アナログな業務課題を抱えていた大英産業株式会社。そんな同社の全社DXを主導したのは、文系元営業社員たちでした。kintoneを使い、現場の声をその場で反映する「ライブ改善」を重ねることで、基幹システムから来場予約、週報、契約、人事申請まで次々と刷新していきます。専門知識がなくてもDXは実現できる──全社員を巻き込んだ実践のプロセスを語りました。
文系元営業マンが全社員をまるごと“DX人財化”
柚田耕太郎氏(以下、柚田):「(文系)元営業マンによる全社員まるごと“DX人財化”ストーリー」です。よろしくお願いします!
江﨑菜那氏(以下、江﨑):よろしくお願いします!
(会場拍手)
柚田:私たちは大英産業株式会社です。大英産業株式会社は、分譲マンション事業、分譲一戸建て事業、中古再販事業、街づくり事業など、住まいに関わるさまざまな商品を取り扱っております。

「ライフスタイルに合った良質な『すまい』を提供し、持続的に発展する『まち』をつくる」。このようなミッションの下、街の開発者、ディベロッパーとして事業をしております。
本社は福岡県の北九州市。事業エリアは九州・山口地方です。1968年創立で、今期で58期目を迎えました。売上高は370億円。土地の仕入から建物の建築、販売した後のアフターサポートまですべてワンストップで行っております。社員数は約500人。老若男女さまざまな社員が大英産業で働いております。
そんな大英産業で働く私たち2人の自己紹介をします。私が柚田耕太郎です。大学の経済学部を卒業した後に1年間、戸建の営業を経験しました。2年目から今の部署でシステム担当として働いています。
江﨑:江﨑菜那です。文学部を卒業後、マンション営業として2年間、その後システム担当としてこの部署に異動してきました。ちなみにこのような舞台で話すことが夢の1つでした。

そんな「文系元営業マンによる全社員まるごと“DX人財化”ストーリー」です。ちなみに「この中で文系の方、いらっしゃいますか?」っていう質問をしたいんですけれども、ここでもう1つ私の夢をかなえさせてください。
私が「文系?」と聞くので、文系の方は元気良く「イェーイ!」と手を挙げていただきたいです。
それでは準備はいいですか? 文系?
(会場挙手、「イェーイ!」の声)
「kintone」をもうすでに使っている人!
(会場挙手、「イェーイ!」の声)
kintoneをもっと使えるようになりたい人!
(会場挙手、「イェーイ!」の声)
ありがとうございます。10分後みなさんは、うちの会社もすぐにもっとDXできると思ってもらえます。
決裁のための上司のスタンプラリー、Excelへの多重入力問題
江﨑:まずはkintone導入前の課題についてです。突然ですが想像してください。こんな経験、ありませんか? 二重、三重入力、終わらない社内業務。

外で開けない社内システム。入力のために仕方なく帰社。決裁のために上司のデスクのスタンプラリー。わかりづらいシステム。鳴りやまない問い合わせ電話。
これ、すべて4年前の大英産業です。kintone導入前に使用していた基幹システムは、UIが悪い。できることが少ない。作業工数が多い、PCでしか見られない、開発が柔軟に行えない、開発・修正はベンダー依存、そして何よりもExcelへの多重入力が大きな問題でした。

そこで私たちはさまざまなセミナーに出向き、基幹システムをkintoneに移行しました。kintoneでは顧客管理、物件管理、契約管理を行います。
柚田:ここからは、私たちが作成した「基幹システムkintone」のご紹介です。まず左上のお客さま軸の部分です。お客さまの基本情報は顧客マスタに登録し、そのお客さまと商談に進んだら、内容を商談アプリに登録します。

次に左下の建物軸の部分です。物件全体の基本情報は物件マスタに登録。そこから1部屋ごとに分かれた細かい情報は号室アプリに登録していきます。そして右側の契約アプリで、商談アプリと号室アプリの情報を集合させ、どのお客さまにどのお部屋を契約していただいたかを管理しています。
このように作成した私たちのkintoneは、誰でも直感的に操作できます。外出先でもスマホで確認でき、多重入力も激減しました。また、蓄積されたデータで分析もできるようになりました。
kintoneで「いいシステムができた!」と思ったのに…
柚田:「いいシステムができた! みんなに喜んでもらえる!」と思ったのですが、いまいち受け入れられない。社員からは、「前とやり方が違う」とか、「前のシステムではできたのに、kintoneではできなくなった」。挙句の果てには、「これならkintoneにしないほうがよかった」。このような声が聞こえてくることもありました。

それもそのはずで、私たちは旧システムをkintoneで作り替えただけでした。多少の改善はありましたが、それよりもイチから覚えることのほうが手間という状態でした。

それでも私たちは「みんなの業務を楽にしたい」という思いから、部署ごとに定例会を開きました。ここでkintoneの良さが出ます。直感的な操作で設定も簡単。開発がしやすかったです。実際にその場でアプリの設定画面を見せながらライブ改善を行いました。

このようなライブ改善をさまざまな部門で繰り返し行うことで、「意外と悪くないね! こんなこともできるんやね!」「簡単にいろいろと変えられるね! もうできたと!?」「じゃあ、こんなこともできる? こういうふうにしたいんやけど……」。このようにkintoneへの批判が少しずつ期待に変わっていきます。
来場予約・来場アンケート業務の「3つの課題」
柚田:ここからは基幹システム以外の具体的な活用事例についてです。まず1つ目は、来場予約・来場アンケートのDX事例です。
まずお客さまが来場予約をすると、その情報を社員がkintoneに登録。そこからお客さまが来場すると、このような紙のアンケートに記入をしていただいておりました。その紙のアンケートを見てまた社員がkintoneに登録。そこからお客さまとの商談に進む。このような業務の流れでした。

ここには解決したい課題が3つありました。1つ目の課題が、予約フォームが外注だったことです。外注だったのでコストが発生していましたし、修正や更新が手間でした。

課題の2つ目が、多重入力の発生です。来場予約の情報をkintoneに登録する場面と、紙のアンケートをkintoneに登録する場面で多重入力が発生していました。

3つ目の課題が、未記入項目がたくさんあったことです。紙でアンケートを取得していたので、お客さまが答えづらい質問は空白のまま提出されておりました。

このような課題を解決するために、私たちはkintoneを活用しました……が、基本機能だけでは難しい部分もあります。そんな時は、プラグインやkintone連携サービスです。
私たちは、kintoneとトヨクモのこの3つの連携サービスを活用して業務改善を行いました。まず、紙で取得していたアンケートを「FormBridge」に変更しました。

次に、このようなカレンダー表示の来場予約フォームを作成しました。

お客さまは自分の予約したい枠をクリックすると、そこから個人情報の入力欄に進みます。予約可能日のカレンダー表示は「kViewer」で、お客さま情報の入力欄はFormBridgeで、カレンダーに表示している予約枠の増減の自動計算は「DataCollect」で行っています。