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意思決定のカタチをデザインする(全2記事)

2025.12.25

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ペペロンチーノの材料調達と配送計画は“同じ問題” 日常とビジネスの意思決定に共通する「アクションの型」とは [1/2]

提供:Gurobi Optimization Inc.

意思決定デザインの実践において、各要素をどう考えていけばいいのか。日立コンサルの平井氏は計画レイヤーから始めることの効果、「KPI多過ぎ問題」の解決法、変えられるルールと変えられないルールの見極め方を解説します。 さらに、データからではなく「何をしたいか」を先に決めるべき理由や、ペペロンチーノの調理と生産計画が同じ問題構造であることなど、日常とビジネスをつなぐ視点を提示。生成AIと数理モデルを組み合わせた「Whole Decision Catalog」構想についても語ります。

「KPI多過ぎ問題」の解決法

平井伸幸氏(以下、平井):ここからは、意思決定デザインを実際に進めていく時に、4つの要素をどう考えたらいいのかという話をしていきます。

最初はアクションです。SCMでは一般的に意思決定のレイヤーを戦略と計画と実行に分けています。

イシュー、問題の繰り返し性に着目すると、戦略はそこまで多くはないけど、計画と実行は、比較的繰り返し性が高いです。なので1度モデルを作ると使い回しがしやすい。価値を生みやすいので、最適化の導入を始める時は計画や実行レイヤーの意思決定から始めるとよいと思います。

次はタイムスケールですね。戦略はだいたい年単位で行うことが多く、計画は数週間や月といった単位。実行は日単位や時間単位の本当に細かいタイミングになりますが、これまでの経験上、計画レイヤーの意思決定をユースケースとして始めるといいのかなと考えています。

また多くのビジネスイシューというのは、時間の概念が入ってくると思います。では時間はどう考えたらいいのか、というのがこの図になります。

まずは締切、フェンスになっている部分があります。また、どのくらいの長さを計画の対象期間とするかであるとか、どのくらいのメッシュ・粒度で計画するのか、どのくらいのサイクル(頻度)で計画を繰り返すのか、といったことを考えます。

この時、意思決定の瞬間とアクションの開始の瞬間は必ずしも一致しませんよね。当然準備期間が必要です。

「こういったところの長さはどれくらいなんですか?」だとか、お客さまとコミュニケーションを取る際にスケジューリングの話になった時には、こういったことを気にしてモデルを組んでいったりしています。

あとは、これは内部の教育でも使っているんですけれども、アクションの軸はまとめられるので、意味のあるまとめ方をしましょうという話です。

実は、僕は筋トレを趣味でやっていますが、「どんな種目を、どのくらいの重量で、どのくらいの回数で、それを何セット。インターバルは何分で、それをどの順番でやるのか?」とすると、1、2、3、4、5……6つの軸になってしまいます。ただ、さすがに僕はベンチプレスを150キロ上げることはできないので、「そもそもそれは選択肢にならないんじゃない?」と。

なので中央の4つの軸、How Much、How Many……重量、回数、セット数、インターバルのところは実はまとめることができるので、いくつかの有効な選択肢を残してトレーニングボリュームと考えてみます。

そうすることで軸が3つに減って、3つなら人間も考えやすくなるし、それはすなわち機械も選択肢が狭まってより早くより良い解にたどり着ける、という話をしています。

ここからは価値についての説明になります。価値の基本的な考え方として最大化、最小化、平準化を気にしてください、というような話をしています。

最大化、最小化は言わずもがな、最近やはりお客さまの中で増えている、特にSCM領域で増えているのは、この平準化という部分のように感じます。

というのも、物流2024年問題とかがありましたけれども、そうすると限られたリソースの中でどれだけ安定的にビジネスを続けていくのかが問われるようになり、単純にグラフの灰色の面積を最大化・最小化するだけでなくグラフの線の部分をいかに安定させるかも大事になっていますよ、ということを教育中にはお話ししています。

あとは、先週も社内でも話題に挙がったのが、「KPI多過ぎ問題」でして。「どうやって減らしましょうか?」という話を質問されることがあります。

僕の中での基本的な考え方は、KPIツリーを作ってその相関関係を見ることになりますが、その時、何がシナジーになっていて、どれがトレードオフになっているかというのを確認しましょうと話しをしています。

例えばラストワンマイルの配送計画問題を考えると、CO2の排出量は走行距離、もっと言えば走行した時間距離におおよそ比例するかと思います。

そう思うと、個別のトラックのCO2排出量を直接観測するのは難しいかもしれませんが、時間距離が最小化されれば、おのずと1台1台のトラックのCO2排出量も減っていくはずですよね。

このように、何がキーで何が観測可能なのかを考える。さらにそれらの相関関係。一緒に減らせる、もしくは増やせるものなのか。それともかち合ってどちらかを優先しなきゃいけないものなのか。それをお客さんと明らかにして合意形成をしてくださいというようなお話をしています。

冒頭でもお話をしたんですけれども、意思決定がモデル化されることによって、権限委譲が可能になりますよね。

では、権限委譲を機械なり人なりにできることで副次的に生まれる価値があるはずで、むしろこちらのほうが僕は重要なんじゃないかと思っています。

つまり、現実世界のイシュー、問題があって、それを意思決定デザインによってバーチャル空間に投映してモデル化し、権限委譲ができるようになると、先ほどのウェルビーイングでも話をしましたけれども、人間は余った時間ができて他のことを考え始める余裕が生まれます。その余裕でモデルやオペレーションそのものをもっと良くすることにリソースを使えるようになりますよね。

ということは、より抽象度の高いイシューに対して限られたリソースを使えるようになる、それはもしかしたら新しいイノベーションの苗床になるかもしれません。

実は意思決定デザインと最適化によって、それ自体が生む価値だけでなく、もっと大きい価値を作ることができるはずだよねという話をして、だから最適化っていいよねという話を、会社の中ではしています(笑)。

「物理的ルール」は破れないが、「組織のルール」は変えられる

平井:ここからはイシューの輪郭パートです。まずはルールや前提条件になります。ルールのカテゴリもいくつかあって、それらを分けて考えようというお話です。

まず一番破れないのは物理的ルールですよね。我々は物理法則を破ることはできません。シミュレーションであれば変えられますが、ハードウェア仕様も含めて変えなきゃいけない。シミュレーションだったら変えていいんですけれどもね。でも、基本的にはほぼ不可です。

法的ルールもあります。少なくともビジネスではよっぽどロビー活動がうまくない限り変えることはできないと思います。なので、ここもなかなか変えるのが難しいですよね。

では我々が実際に変えることができるルールは何かというと、組織や意思決定者のルールだったりします。

手前味噌になりますが、コンサルが入ることの良さというのはこうした組織のルールやオペレーションのフローも含めて「最適化によってどう変わるのか? どうすべきなのか? それによってどんな利得が得られるのか?」というところも大域的に議論をしていけることだと考えています。

最後の意思決定者のルールは非常に有用ではあるけども、同時に厄介であることは、たぶんみなさんお気づきだと思います。ベテランの勘とか経験則ですね。

人ってその都度、なんていうんでしょう、無意識に無意識に条件を変えていることがあって、そのおかげで短時間で実用的な解にたどり着くことは人間のすばらしさ、人間の能力というのを感じさせてくれるのですが、それが本人にも見えていないから扱うのがすごく厄介です。ここを見えるようにするのがすごく大事だなと思っています。

「じゃあ、どうするの?」というと、そこを私は暗黙知の形式知化と呼んでいますが、どうしてもサイクルを何回か回す必要があります。

私もそうでしたが、モデルを作って、計画案を作って、レビューしていただくと、お客さまからは「なんか違うんだよなぁ」といったことを言われます。その違和感について尋ねるといろいろお話ししてくださるので、それを基にモデルを改善します。

ここで用心が必要なのは、それが本当に必要なのかということです。

お客さま大事だということも、BtoCのお客さまを例に取ると、「エンドユーザーは本当にそこを気にしていますか?」みたいなこともあったりするわけですよね。

でもそこが、ただそれが我々が対面するお客さまにとっては大事にしているとだと、ここの説得が大変だったりしますね。僕もそこは悩んでいて、うまく言葉にできていないところではあります。

しかしながら、暗黙知を形式知化していくことは今後人口減少していく日本の社会・時代において、より大事になるかなと考えています。


「あなたが何をしたいか?」を先に決めるべき理由

平井:ここからは参照情報・データの話に移りたいと思います。日本語の「情報」という言葉にはいくつかの英語の概念が包含されていると思っています。

まず1つ目は、「Data」です。あるままの形と言えばいいでしょうか。保存されている状態の形です。そこから「Information」になると、人が認識できるような形になります。例えば図や表ですね。

さらに「Intelligence」になると、なんらかの示唆があり、「Insight」になるのですが、僕は、意思決定デザインの考え方に合わせて「××すべき」と書いています。アクションにならないと情報には価値が出ませんから、やはり「××すべき」というのを最初に考えなきゃいけないと考えています。

Insightつまりアクションに対し「では、何のためにそのアクションを取るのか?」というと、それはIntelligence、「なぜなら××であるから」という裏付けが必要になります。さらにそれらを裏付けるものとしてのInformationがあり、それらはDataを加工して作られるわけです。

例えばお客さんからのご相談の中には、「こういったデータがありますけど、何かできませんか?」といった話です。ただ、「あなたがどうしたいか?」だとか、「想定するユーザーさんが何をしたいか?」ということが一番大事ですよというお話をします。

なので、まずはどんなデータがあるかはいったん脇に置いて、「どんなことをしたいと思っているんですか?」とか、「どうなりたいと思っているんですか?」ということを先に決めるようにしています。

そうしないと、データからこういったことができるからこれをやってみるかって行っても、実際にユーザーが喜ばないものができることが多かったと経験的に感じていますので、「まずあなたが何をしたいですか? あなたが何かしてあげたいと思っている人がどうしたいのか、あなた方の意志をまず見せてください」という話をするようにしています。

参照情報とかデータに関しては、枚数が少なくて申し訳ないんですけれども、こんなふうに基本的には考えています。

あとはTipsというほどでもありませんが、教育やお客さまとお話をする際には問題を適切なサイズに分解しましょうという話をしています。

例えばSCM計画では、実はそこにはサブイシューとして、下流から、販売計画、流通計画、在庫計画、生産計画、あとは調達計画があります。

さらに、それらの計画の下にもいくつかのオペレーションがあって、そこにはまた意思決定が存在する。つまりサブイシューがたくさんぶら下がって相関関係を描いています。

その時に僕らは、一応ビジネスコンサルなので、「じゃあ、どこがボトルネックになっているか」をデータから見てみたりとか、あとは意思決定の相関関係や主従関係を確認しています。

それらを見定めて、「ならば、ここから始めてみませんか?」というような提案。いくつかユースケースがある中で一番クリティカルな部分にフォーカスして提案をするようにしています。

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