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意思決定のカタチをデザインする(全2記事)

2025.12.25

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ペペロンチーノの材料調達と配送計画は“同じ問題” 日常とビジネスの意思決定に共通する「アクションの型」とは [2/2]

提供:Gurobi Optimization Inc.

ペペロンチーノの材料調達と配送計画は「同じ問題」

平井:あとは、これも教育の中で使っているものですけれども、その意思決定のモデルイメージ、つまり意思決定にはいくつかの類型があるよねというお話です。

ここでは巡回セールスマン問題とジョブショップスケジューリング問題のお話をしていますが、アクションに注目すると、先ほど話したペペロンチーノの材料調達と、ラストワンマイルの配送計画って同じ問題の形をしています。

「じゃあ、ペペロンチーノを調理する時にどんな手順でやりますか?」というのと、生産計画って一口に言ってもいろいろあるけれども、「どのオーダーや作業を、どの設備で、いつ開始するか?」という生産計画と同じ形をしています。

そこから実は日常の問題、日常のイシューもビジネスイシューも同じ形をしていることに気づいてもらいつつ、だから、日常とビジネスは切り離せるものではなくて、同じものとして考えるといいよ、という話をしています。

その時に何に注目すればいいのかというと、アクションの形に注目してみる。そう考えると「あれ? 実はまったく別の領域の問題だったとしても、実は問題の型は同じに見える。それならモデルを流用することができるんじゃないか?」と考えられるようになると思います。それによって、「モデルをイチから作ることをしなくていいんじゃないの?」みたいな話をしたりしています。

「どうなりたいか?」を先に考えないと“犬の道”をたどることになる

平井:あとは、意思決定デザインの優先順位についてですが、「イシューの骨格は先に定義する」というのと、「イシューの輪郭は後に定義する」と書いています。なぜかというと、一番大事なのはあなたが何をしたいかということだからです。

結局、何を目指して何をしたいかが大事で、それ以外は外にあるものですよね。コンサルの仕事はイシューの輪郭から考えることが多い印象ですが、実はその中で自縄自縛になってしまって本当にいい答えにたどり着けないだとか、限られた解空間の中で一生懸命考えなきゃいけなくなってしまいます。

そうならないためには、「どうなりたいの? どうしたいの?」を考えてください、と。それは最適化に限らず、意思決定全般でそうしてくださいという話をしています。

「犬の道」と書いてありますが、これは『イシューからはじめよ(―知的生産の「シンプルな本質」)』の中で安宅和人さんが使っている言葉で、それを意思決定デザインに当てはめるとどうなるかというのが、この図になります。

やはり価値は、その種類や優先順位が定義できないと、フラフラフラフラとなって、アクションに一貫性が生まれない。アクションがちゃんと定義できないと、意味のないアクションが繰り返される。「意味あるの、それ?」みたいなことになってしまう。一生懸命やって何の成果も得られませんでしたみたいな話になりますよね。

また、ルールと前提条件が正しく定義されていないと、非現実的なアクションが選択されます。「いや、それは無理でしょう」「そんな物理法則を変えるなんて」みたいな。

でも、先ほど言ったように、あまりに厳格過ぎると、これもまた安宅さんの言葉の中に、「知り過ぎたバカ」というのがありますが、自縄自縛に陥って凡庸なアクションが残ることになります。

参照情報もリファレンスが正しくないと、そもそもの現状認識や価値判断、ひいてはアクションを誤ってしまいます。逆に多くの情報を取り込み過ぎると、今度は情報が多過ぎて選べない。結局、アクションに落ちないといったことになります。なので、そうならないように必要十分な情報に触れましょう、みたいな話をしています。

生成AIと数理モデルで作る「Whole Decision Catalog」

平井:最後に「最適化×生成AI」という話になりますが、先に前提の話をさせてください。

僕は「Cognition = Optimization」と考えていまして、最終的なアクションの前には教育や学習、あとは五感から脳への刺激と、脳の中にある知識・経験・勘と、自分なりの世界観・価値観があって、それによってアクションが生まれると捉えると、人間の認知って最適化なのでは? と考えています。

私はデザイン系の学科を卒業しているのですが、バックミンスター・フラーという人がいまして、「宇宙船地球号」という言葉の生みの親であり、フラーレンという物質があるじゃないですか。あれの語源になった人だったり、「宇宙船地球号」という言葉を作った人だったりします。

僕の指導教官がすごくフラーが好きで、フラーの話をたくさんしてくれたのですが、実はフラーは「ダイマクション」というコンセプトを提唱していて、そのコンセプトは「最初のリソースで最大をなす」というものなんですね。僕は今最適化に携わっていますが、ダイマクションのコンセプトは最適化のコンセプトと共通していて、奇妙な偶然を感じています。

そのフラーに影響を受けて『Whole Earth Catalog』という、ヒッピー文化によって作られた雑誌があって。

「紙のGoogle」と呼ばれているんですが、ジョブズが卒業式スピーチで話した、有名な「Stay hungry. Stay foolish.」は、ここから引用されていたりします。

なぜこんな話をしたのかというと、僕は「『Whole Earth Catalog』みたいに、意思決定そのものをモデル化してカタログにできるのでは?」と考えているからです。そのためにここまで前提の話をしてきました。

こちらは、人工知能学会でもお話ししたんですけれども、「Whole Decision Catalog」とちょっと安直な名前を付けていますが、人が生成AIとどう関わったらいいのか? というお話をした時に、LLMやVLMをUIとして使うのがいいのでは、と考えました。

そういう意思決定をする時には、相談の内容に応じて数理モデルを選んだりカスタマイズしたり、または新しく生成するプロセスを挟んで、それによって意思決定に対する透明性だとか再現性を高めることができると考えています。

そうして出てきたサジェストに対して人間はレビューして、意思決定の形を「鍛える」プロセスがある。で、最終的に意思決定をしてアクションに落としていく。

この時人間にとって大事なことは、「意志つまりエゴ(自我)を持つこと」「意思決定したいこと、アクションしたいことに対するリテラシーを持つこと」だったり。あと一番大事なのは、「意思決定・アクションして、その結果に責任を持つこと」、つまりコミットメントだと思います。

この3つが次の時代において、ビジネスパーソンに限らず人間の要件として大事になってくるのでは? と考えています。実は意思決定の形を鍛えるフローは「Gurobot」でもかなりいい感じにできていたりするので、僕も今絶賛使用中です。

最後にまた抽象的なお話をしますが、最適化というのは、『よく判断すること』だと私は考えています。

デカルトの言葉を引用したいと思うんですけれども、「よく行うためには、よく判断すれば十分」というものがあり、これは意思決定とアクションが一体不可分ということを示していると僕は考えています。

ただ、「よく判断する」ためには、意思決定したいものの形がよくデザインされていることが必要なんじゃないかって。そのために意思決定デザインをうまく使うことができるのではないか? もしくは使うようにしていきたいなと考えています。

長々とお話ししてしまいましたが、以上としたいと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

平準化の目的関数は「最大値の最小化」と「最小値の最大化」をセットで組む

司会者:平井さま、ありがとうございました。少しお時間がありますので、質疑応答を実施させていただきます。Q&Aシステムのほうにいくつかご質問をいただいているので、そちらから質問をさせていただければと思います。

「日立コンサルティング、平井さま。価値を平準化に置く場合、どのように目的関数を定義されることが多いでしょうか?」ということですけれども、いかがでしょうか?

平井:これって、どういうことを聞いていますでしょうか。

司会者:先ほどのスライドの中でさまざまな目的関数であるとか、どういったものを目的にするというふうなお話があったかと思うんですけれども、その中の1つに、例えば物流であるとかの平準化の時に、実際にはどのような目的関数を設計されたり、例えばどういった指標を使うのかというふうなご質問なのかなと思います。

平井:あんまり難しいことはしていなくて、最大値の最小化をしています。ただそれだけだと凹みができてしまうことがあるので、最小値の最大化もセットで組むことが多いです。

どちらかといえば最大値の最小化のほうが優先度は高く、その中でなるべく平準化されるように最小値の最大化も重みを低くして組み込む、といった感じでしょうか。

司会者:ありがとうございます。

平井:だから非常にオーソドックスなやり方ですよ。

司会者:どこかが極端に大きくなることがなく、どこかが極端に小さくなることがなく、というふうなイメージですね?

平井:です。

司会者:はい、ありがとうございます。それではお時間も来てまいりましたので、質疑応答を以上とさせていただければと思います。ありがとうございました。

平井:はい、ありがとうございました。

(会場拍手)

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