お知らせ
お知らせ
CLOSE

「自走するエンジニア」の育て方 - 答えを教えない研修が生む人材力の差(全2記事)

2025.11.27

Brand Topics

PR

「考えろ」と言うだけの上司が組織を壊す 自律型人材が育たない本当の理由 [1/2]

提供:株式会社ジョブサポート

現代の企業では、指示を待つだけでなく自ら考え行動できる「自走するエンジニア」の育成が急務となっています。しかし、多くの組織では個人の能力向上のみに注目し、環境づくりの重要性を見落としがちです。エール株式会社取締役の篠田真貴子氏と株式会社ジョブサポート講師責任者の朝蔭崇之氏が、真の自走力とは何か、そして「答えを教えない研修」がなぜ効果的なのかを語り合います。

現代の企業が抱える人材育成の悩み

——今回は「『自走するエンジニア』の育て方」というテーマで、お二人の対談という形式でお話を聞かせていただければと思っています。

篠田さんは自律型人材のお話を、朝蔭さんのジョブサポートでは自走力のあるエンジニアを育てるというところをメインに置いているかと思いますので、そこをうまくお話を聞かせていただければと思います。

まず、最近どういう悩みが多いのか、どういう企業からどういう相談を受けることが多いかというところをお聞かせください。

朝蔭崇之氏(以下、朝蔭): 弊社は主に新人の育成に携わっています。まれに中堅層やプロジェクトマネージャーを志している方からの依頼もありますが、メインは新人教育になっています。

主な悩みとしては、報連相ができない、質問を自主的に行えない、設計書が読めない、スケジュール管理や自己管理全般がプロジェクトの水準に達していないといった点です。技術を教えてくれる研修はいくらでもあるけれども、そういったところから鍛えることができるのであればお願いしたいというところでお預かりすることが多いですね。

篠田真貴子氏(以下、篠田): 私たちは対象としては管理職層を対象にご相談を受けることが多いです。背景の文脈としては、会社の組織運営全体をより社員の方々が自律的に働く方向に重心を変えていきたいということがあります。

それに当たっては、現場の社員と直接接する管理職の方々がその考え方を理解することで、コミュニケーションのありようがかなり変わってくるので、そこができるようにしたいというのが、まずご依頼いただく企業の背景にあるんですね。

私たちが実際ご提供する研修の内容としては、管理職の方々が「聴く」ということが、テクニカルというよりも本当に根っこのスタンスからできるようになることで、それを組織運営に活かしていただくというものがあります。

もう一つはキャリアに光を当てて、キャリア自律というものをご本人が考える機会を作ったり、あるいは管理職の方がキャリア面談を部下としましょうという流れがあるので、それに対して準備ができるようにするといったことが具体的な内容になります。

大企業と、最近はけっこうオーナー系のもうちょっと規模の小さい会社からも引き合いをいただいています。大きな背景としては人的資本経営みたいなところがあるんですが、これが大企業の中でも具体的な課題と紐づいて浸透してきたように感じます。

より規模の小さいオーナー系の中小企業においても、人材確保であったり、今いる人々の力をより発揮していただくためにこういう考え方が必要だという問題意識が広がっているのかなと感じています。

「自走する人材」とは何か?よくある誤解

——お二人とも教えている立場は異なりますが、どこの企業も抱えている悩みには似ている部分があるように思います。エンジニアにおいても自分たちで動ける、自律できる人をどう育てていくかというところは共通の部分があるのではないでしょうか。

まず篠田さんに、自走する人材と自律型人材というのは主にどういう人を指すのか、そしてここで生じるよくある誤解を含めて教えていただければと思います。

篠田: これを細かくどう定義するかは、基本的にはその職場職場に応じているとは思うのですが、私から見ると、自走するとか自律的だということを個人の能力だというふうに寄せ過ぎていないかなという問題意識があります。

私自身の例を出して恥ずかしいのですが、私は企業経営に携わる立場なので、私の個に備わった能力としては自律的なほうだとは思います。しかし、そんな私も子どもが小学生の時、PTAのお仕事があてがい扶持で回ってきて、「やれ」と言われた時、まったく自律性を発揮することなく、自走はぎりぎりしましたけど、過去から引き継いだものを見て、言われたことをやるだけで、それが良かったのかどうかもよくわからない状況に陥りました。

これは一例ですが、特にジョブサポートさんが扱っているような若手の方だと、その方の基礎力を上げることはもちろん必要ですが、同時に、職場の環境や周りとの関係で自律的に動けるようなものを作っているのかどうかというのは一考の余地があります。

例えばですけど、ものすごく、これ、極端な言い方をすれば、「もしかすると自走とか自律って、言っている上司側もろくな考えがなくて、ふんわりと自分が思っているアウトプットどおりに指示もしないけどいつの間にか出てきたらうれしいなと思っている可能性はないですか?」ということでもあります。

細かいところでいくと、それこそもうジョブサポートさんがそのへんはご専門だと思うんですけれども、同じ仕事を渡してやってもらうのでも、伝え方一つでまったくアウトプットが変わってくるのは当然のことです。なぜなら人は独りぼっちで仕事をするわけではなく、周りとの関係の中で仕事は成果を出すものだから、この関係づくりは社員の方一人でやるものではなく、双方なんですね。

だから周りの人の関わり方も、この人の自走する仕事ぶりを作っているという、この認識はもうちょっとあるとお互い幸せなのではないかと思うことがよくあります。

——なるほど。自走だから、その人だけががんばればいいというイメージになりがちですが、そうではなくて、周りの環境も含めてそういうふうにできる状態を作ることが大事なんですね。

篠田: そうです。ちょっと加えさせていただくと、例えば朝蔭さんが触れていらっしゃった「質問してこない」という問題も、これはちょっといじわるな言い方になってしまいますが、質問せずに一人でその上の方がOKなアウトプットを出してきたら、それは「自走している」ということになりますよね。質問もせずにちゃんと出せたのだから。

その結果のアウトプットや納期がいまいちなので、「だったら早く質問しろよ」という話になるというのが一つの例です。「自走って何を願って言っているんですか?」ということをよく考える必要があります。

繰り返しになりますが、仕事は自分の趣味ではないので、周り、直接は上司や同僚でしょうし、最終的にはお客さまに「これは価値があるね」と認めていただいて初めて仕事になります。常に他者と一緒に価値を作っていくものだとすると、自走という言葉も、勝手に一人でやったら魔法のようにアウトプットが出ますというのは、ちょっとあり得ない幻想だと思いますね。

エンジニアの自走力と環境づくり

——なるほど。ここらへん、朝蔭さん、ちょっとお話を聞いていて、例えばエンジニアの自走力、今言った自律みたいなところだとどうお考えになりますか?

朝蔭: 環境づくりをないがしろにしてはいけないというところはすごく共感できます。そこが根本にない限り本人の能力を求めてはいけないとは私も思います。

ただ、これは環境づくりが先か、個の能力を伸ばすことが先かという話ではないと思います。新人側も環境づくりを先に求めてくるところがありますので、マネジメントする側が両者の意見を聞きながらチームづくりをする必要性があります。お互いの言い分を聞き、譲り合えるところを探さないといけません。

新人側も環境に依存してしまって、環境を作ったところで自走する力がなければ、ただ環境に乗っかっているだけで流れるプールのように仕事をするだけになってしまいます。私としては、環境をつくりながら本人自身の能力を高める必要性があると思います。

ただ、今の上司が明確な指示を出しているかというところでいうと、私も自分の部署に関しては気をつけていますが、他部署や他企業を見ると、要求がまず抽象的で、何を達成基準にしているのか、どこでそれを効果測定して評価しているのかがよくわからないと思うことはあります。

篠田: 朝蔭さんの受け取っていただいたとおりで、「ご本人の能力が足らずでもよいのだ」とはまったく思っていません。

さっき触れられていた納期の問題なども含めて、社員の方を中心に語るならば、周りの力を借りる力こそが自走力の源であって、自走力というのは独りぼっちで最後までやり切ることではないと受け取っていただければと思います。

朝蔭: そうですね。今の新人の方は人の力を借りることができないという問題点があります。これは質問することができないというのとは少し語弊があって、新人に関心を持たない上司は、教養が足りないとか言って、それがないから質問できないんだと考えてしまいがちです。

しかし今の若い人たちはけっこう神経質で慎重なんですよ。なので、「力を借りることができない」が正しいと思っています。力を借りるための手段を年代が上の層のほうが知っているので、それを教えてあげるというのが私の考え方に近いですね。

篠田: すごく納得感がありますね。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

次ページ: 「答えを教えない研修」の意味

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!