AIネイティブなERPで“経営の半歩先”を切り拓く──。属人化・人手不足・非財務情報への対応などの変化の波が押し寄せる今、SCSKの「PROACTIVE」は業務効率化を超え、経営判断を支えています。前編では、AIによるさまざまな部門の業務の自動化、健康経営支援の「Uwell(ユーウェル)」、CO2排出を見える化する「ココカルテ」など、最新のDXソリューションについて、同社執行役員の菊地真之氏と志村尊氏が語りました。
PROACTIVEで描く「半歩先の着実な未来」
菊地真之氏(以下、菊地):こんにちは。SCSKのPROACTIVE事業を統括しております菊地と申します。本日はご来場いただきまして、誠にありがとうございます。

本日のイベントには約500名ほどの方々に参加いただいております。また、ご支援くださったスポンサー企業のみなさまにもあらためて深く感謝申し上げます。

昨年(2024年)、まさにこの場で
AIやDXの取り組みについてご紹介いたしました。AIをどのように取り入れるか。ERPの次の姿はどこにあるのか。そのようなテーマを中心に議論し、早いもので1年経ちました。この1年でPROACTIVEもERPから企業のプラットフォームに変わっています。そして7,500社の企業さまにご活用いただいております。
実際にPROACTIVEを活用いただいてる企業のみなさま、一部の方々をこちらに掲載させていただいております。今日登壇いただく企業さまもございます。
さて、今日私がこの場でお伝えしたいことはたった1つです。それは「PROACTIVEは半歩先の着実な未来を叶える」ということです。半歩先とは、決して大げさな未来予測ではございません。みなさまのすぐそばにある次の選択肢として、安心して活用できる環境を提供する。そういったデジタルソリューションを提供しますということです。

例えば業務の効率化を超えて経営判断を支援する、あるいは新しいビジネスモデルを実現する。そんな一歩を可能にするのがPROACTIVEです。
経営企画・経理・人事・生産管理・情シスが抱える、多様な課題
菊地:本日はこの場に、経営企画・経理・人事・生産管理・情報システムなど、さまざまな部門のお客さまにお越しいただいております。
立場ごとに直面している課題は少しずつ違ってくるとは思います。ただ、どの部門もいまだExcelを利用した手作業かつ属人的な業務が多く残っている。なかなかデジタル化はできていない。そういった課題に直面していらっしゃるみなさまです。

例えば経営企画部門の方。この場にもいらっしゃると思いますが、会社全体の動きをリアルタイムに把握するのはとても難しいことです。PROACTIVEは、全社の事業状況をリアルタイムに集計できます。経営指標に基づいた全社データ、そして経営サイクルを把握することが可能になります。
経理部門の方であれば、月末・月初の処理に追われる話だと思います。PROACTIVEはその集計を自動化し、経営に対して洞察を与えることができる。そういった(本業に)専念できる環境を提供します。
人事部門の方にとっては、採用、育成、そして離職防止が大きな課題になるかと思います。従業員のデータを見える化し、組織の動きを俯瞰することで、先手の対応が可能になっていると私たちは考えています。
生産管理部門の方は、日々柔軟に生産計画を立てることはなかなか難しい環境だと思います。政治的・経済的にも予想外の事態が多く発生する中で、事業予測が立てづらいことが多いかと思います。PROACTIVEは市場変化に即座に対応します。そして生産計画の精度を向上させます。
そして情報システム部門の方は、新しいシステム導入に伴って運用負荷が高くなるといった懸念を持たれる方が多いと思います。また、昨今セキュリティの問題が非常に多くなってきています。ここ数日、ニュースなどでも騒がれているように、システムに対するセキュリティは企業にとって致命的です。

PROACTIVEは標準化と柔軟性を両立し、現場に負担をかけずに同期できます。PROACTIVEは、こうした部門ごとの悩みを半歩先を目指して支援しております。
人手不足と属人化をAIで補う“次の働き方改革”
菊地:ここで社会全体の課題に目を向けてみたいと思います。人手不足ですね。現場の人が足りない、作業が追いつかない。こういったことを多く聞きます。例えば製造業の場では、ベテラン社員が退職し、技術を受け継ぎづらい。そんな状況が出てきています。
小売業では、店舗運営に必要な人員が確保できず、止むにやまれずサービス品質が低下していくような状況も出てきています。
人手不足を解消するのはまさにAIの力です。数字の読み取り、膨大な物理作業はPROACTIVEに任せてください。AIと人が共に働くことで、人はもっと人にしかできない業務に集中する。こういった環境をみなさまにご提供します。

各部署のみなさまにとって、人とPROACTIVEがどのように働けるのかを考えてみたいと思います。
例えば経営企画部門の方。AIが全社データをリアルタイムで読み取り、視座を提供できます。また、売上・利益・販管費など、経営に欠かせない重要な予測を立てることに貢献します。
経理部門の課題に対しては、経理データの自動集計で貢献します。業務効率化を最大限享受できます。AIが法改正や制度変更にも自動で対応します。
人事部門の方に対しては、休暇・残業などの各種申請の消費フローを示します。ふだんの人事業務から給与、まもなく年末調整までAIが支援します。そして社員のスキルデータも把握します。
生産管理部門の方に対しては、AIが保全計画の作成に必要なデータの収集・投入の自動化を支援します。サプライチェーンを把握して、みなさまの生産計画の精度を上げます。
そして情報システムの方は、既存システム資産と連携することができます。SOC1に基づいた安全なデータ管理、セキュリティをお約束します。

日本取引所グループ(JPX)さまに、PROACTIVEを長くお使いいただいています。常務執行役員の田倉聡史さまとこの前お話をする時間をいただきました。「まさにAIはなくてはならないインフラのようなものです」といったコメントでした。業務とAIの融合は欠かせない時代です。そして、今取り組むべき課題です。
財務領域に加えて、非財務領域への対応が、企業の未来と投資家からの信頼を左右する
菊地:それでは、ここから変化する経営のあり方についても広く見ていきたいと思います。
今、新しいルールに「即応」した経営が求められています。地球環境、市場環境、政治環境。この変化に伴い、市場や消費者からもさまざまな要請が出てきています。伴って、国際ルールも大きくダイナミックに変化しています。その流れにしたがって、私たちが注視したのは非財務の領域です。

もちろん経営の評価には、財務指標は非常に重要なファクトです。しかし、それと同様に大事になってきているのが非財務の領域です。
非財務領域への対応が、企業の未来と投資家からの信頼を左右する。こんな時代になってきています。人、組織、環境。これらに対する情報が、売上以外で評価される部分が今よりも大きくなっている、そんなシーンも記憶にあります。実際に東証の企業価値評価において、非財務領域への取り組みが大きな判断材料となっているのがよくわかります。

ここにいらしている多くのみなさまは、これから着手していかなければならない領域と感じている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。具体的に何をすればよいかを模索していらっしゃる方もいるかと思います。
PROACTIVEが特に力を入れているのは外部データとの突合です。まさに財務・非財務領域の両方のデータを活用し、外部データを突合して企業経営に生かすことが可能です。財務、販売、生産、人事といった社内データを横断的に結びつけることができます。

私たちのソリューションは非財務領域と財務領域をつなぎ、企業価値の向上にフォーカスします。
SCSKの12期連続増収増益を支える、健康経営支援サービス「Uwell(ユーウェル)」とは
菊地:SCSKは健康経営にも積極的に取り組んでいます。従業員の健康は、企業の持続的な成長に直結します。社員一人ひとりが安心・安全に働ける環境は経営にとっても大きな価値となります。私たちSCSKは長年、経済産業省の健康経営銘柄に選ばれています。10年以上この銘柄に選ばれ続けている企業は他にはありません。
そして、この健康経営は私たちSCSKの12期連続の増収増益を支えています。そこで健康経営のノウハウをまとめ、伴走を支援するサービスを立ち上げました。
「Uwell(ユーウェル)」です。健康経営の基準となるデータ収集を支援し、人事データと関係する情報を組み合わせることで、働き先を未然に防ぐ仕組みを提供します。

健康経営はなかなか難しいと思いますが、なんとなくの取り組みで終わらせない。従業員にとって働きがいのある、ウェルビーイングが実現できる企業を作ることができます。
CO2排出量を算出する「ココカルテ」の仕組み
菊地:また、SCSKは長年環境対策にも積極的に取り組んできました。取引先や調達される部材、価格だけではなく、その企業が環境対策を行っているかどうか。こういったことを考慮することが求められ始めています。
一見コストと相反する関係性にあるように思えますが、実際には市場や投資家からの信頼につながり、最終的には企業価値の向上に貢献しています。SCSKは環境対策でも国内外から高い評価をいただいています。そのノウハウを基に、環境課題に対応する新たなソリューションをリリースしました。
「ココカルテ」であります。「ココカルテ」はCO2の排出量を算出する仕組みです。会計データを基にCO2の排出量を算定しています。つまり、誰にとってもわかりやすいデータを達成する仕組みです。それにより、客観的・定量的な環境対策を実現することができます。財務領域と非財務領域、この組み合わせでみなさまの半歩先の企業経営の未来を私たちは支援しています。

先日の対談で、住友商事執行役員の巽達志さまとお話しする機会がありました。「地政学的なリスクが非常に増加している時代においても、PROACTIVEは期待に応え続けるパートナーであってほしい」。そんな期待の言葉をかけられました。私たちはテクノロジーでお客さまを支えています。
ERPの進化とAI活用で経営の意思決定はどう変わるか
菊地:さて、私たちは32年間ERPを提供してまいりました。1990年代、ERPは大規模な導入が中心でした。時間もコストもかかり、誰もが重いシステムだと感じていました。2000年代からは、クラウドの普及により、ERPはスピードおよび柔軟性を手に入れました。
そして2010年代からはデータ活用が進み、ERPは単なる効率化や経営のツールから、経営を支える基盤的な役割を担い続けていきました。
私たちは32年間、こういった歴史の中で7,500社のお客さまに伴走してきました。そして今、ERPはAIを組み合わせた新しいステージに来ています。効率化、経営の管理だけでなく、未来を見通す力を持つ存在へと進化しています。

私は常々、お客さまのパートナーでありたいと思いながら、今までのキャリアを歩んできました。ERPもまた、経営者や現場に寄り添うパートナーであるべきです。そして今、PROACTIVEは企業や経営を支えるプラットフォームへと進化しています。だからこそ、私はPROACTIVEを推進しています。
その先にあるのは、AIを活用しているという感覚すらなくなる社会だと思っています。自然に業務や経営判断、日々日々の活動に溶け込み、まるで空気や水のように当たり前の存在になる。それが今後のAIの活用の姿になっています。

そういったデジタル環境をみなさまに対して提供していき、さらなる経営の高度化、業務の効率化に向けて共に歩んでいきたいと思っています。それではみなさま、私たちと一緒に半歩先の着実な未来へ進みましょう。