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オリエンタルランドをひもとく──未来を形づくる成長の方程式(全2記事)

2025.11.27

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9割がリピーターでも“飽きられない”仕掛け 馬渕磨理子氏×オリエンタルランドが語る、体験価値と「成長の3本柱」

提供:株式会社オリエンタルランド

東京ディズニーリゾート®を運営するオリエンタルランドは、テーマパークの刷新やホテル、さらにはクルーズ事業へと挑戦の場を広げています。1つの新エリアにかかるコストが、かつての東京ディズニーシー®の建設費と並ぶほどに膨らむ今、それを支えるのは「体験価値」を循環させる仕組み。舞浜一極集中を超え、新たな事業をどう生み出すのか。その挑戦の舞台裏について、同社執行役員の霜田朝之氏と経済アナリストの馬渕磨理子氏が対談します。

コストに見える“本気度”──エリア1つがかつての東京ディズニーシー並み

馬渕磨理子氏(以下、馬渕):私は、オリエンタルランドの成長投資にとてもワクワクしています。テーマパークの刷新、ホテル事業、そしてクルーズ事業への参入。2029年度時点で営業キャッシュ・フロー3,000億円、2035年度に売上高1兆円という大きな地図を掲げた時、「成長の方程式」が見えるかどうかが大事ですよね。

今日は、内部視点と投資家視点の両眼で“回る投資”の仕組みをひもといていきたいと思っています。

霜田朝之氏(以下、霜田):よろしくお願いします。結論から言うと、私たちの根っこはずっと「体験価値」のご提供です。そこで得たキャッシュを、また次の体験づくりに充当する。この循環を、「パーク・ホテル・クルーズ」の三本柱でさらに強くしていく考えです。

実は、24年前にできた東京ディズニーシー自体が、その当時で東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ®を含めて、全部で約3,350億円かかっていたんですね。でも、今はファンタジースプリングスのエリアで同じぐらいのコストがかかるようになっています。

馬渕:えっ、パーク内の1つのエリアで!? 資材や人件費が高いんでしょうか。

霜田:資材・人件費が高騰しています。だからこそ、ちゃんと回収できる仕組みと、持続的に投資を回していける体力が重要だと考えています。

クルーズ事業への挑戦と勝算

馬渕:3つの柱として挙げられていたクルーズ事業は、まさに「次の体験づくり」ということですね。クルーズ船は東京タワーを横にしたものより長いくらいということですが、そんなに大きいんですね。投資額も3,300億円と。

霜田:そうですね。やはりクルーズに期待されている方は非常に多いです。海外で成功しているビジネスモデルですので、海外の投資家の方々にも注目いただいていますね。

今の日本でクルーズというと、ご年配の方がリタイアされた後にゆったりと行かれるイメージですが、ファミリーや若者層など今までの国内マーケットとは違うところにチャレンジするような意気込みでやっております。

馬渕:ご年配の方とお孫さんという掛け算もありそうですね。アメリカなどではクルーズが非常に人気ですが、日本でもそうした文化が定着するかどうかは、オリエンタルランドさんが取り組み始めてどうかというくらいの……。

霜田:そこにチャレンジしたいなと思っています。今後、本格的に船を作り始めますので、今はいろいろと準備をしているところですね。


「クルーズ事業」で舞浜一極集中から脱却

馬渕:航路はどの辺りを回るイメージなんですか?

霜田:
まずは、東京国際クルーズターミナルを主要な発着拠点として、多様な航路も楽しんでいただけるようにしたいと思っています。クルーズは、いろいろなところに泊まって降りてというイメージもあると思いますが、まずは2泊から4泊ぐらいのショートクルーズですね。もう本当に船の中でどっぷりとディズニーの世界観を体験していただける航海です。

馬渕:楽しみですね。ちょっと深掘りすると、例えばパークですと「単価×入園者数」=収益だと思いますが、クルーズは「単価×日数」になるんでしょうか。

霜田:基本的にはパークとホテルを合わせたような考え方なので、クルーズは「単価×人数」ですね。

馬渕:ちなみに、今のパークのファンの方々を取り入れたいのか、プラス新規の方を獲得していきたいというところではどうですか?
 
霜田:両方目指していきたいんですけれども、やはりこの東京ディズニーリゾートの2,800万人から3,000万人のゲストが基盤になると思います。クルーズに関しては今、年間で40万人ぐらい乗っていただくのを想定していまして、基本はパークとはまた違う体験をしていただきたいというところが目的になります。

馬渕:わかりました。舞浜一本足打法などと言われてきた中で、違う軸を打ち出されてきたんだなと思います。天候の影響なども受けにくいので、すごくおもしろいなと思っているんですけど、ここはどういう視点ですか?

霜田:おっしゃるとおり、舞浜一極集中はリスクでもあり強みでもあるかなと思うんですが、やはりパーク、ホテル、クルーズという「3本目の柱」を作りたいということですね。

馬渕:新たなクルーズ事業を育てていくということですね。

1〜2年後に控える、人気アトラクションの大型刷新

馬渕:また、2026年度以降は、東京ディズニーランド®に、ディズニー映画『シュガー・ラッシュ』の世界を舞台としたアトラクションや「スペース・マウンテン」と周辺エリアの一新も予定されていると。こちらもファンのみなさまはとても楽しみにされていますよね。

投資家視点でも、パークの付加価値が高まるんじゃないかと期待しているんですが、見どころは何ですか?

霜田:やはり「スペース・マウンテン」は、オープン以来非常に人気があるんですよ。今回はそこを思い切って約705億円かけて刷新します。従来スペース・マウンテンがあったところを少しセットバックし、周辺の環境開発もします。

パークのホテルは稼働率「95パーセント以上」

馬渕:そしてホテルも非常に人気ですよね。何が魅力になっているんでしょうか?

霜田:やはりパークとのアクセスが良く一緒に楽しめることと、日本ではここにしかないディズニーホテルというブランド力かなと思います。東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルや東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリー®ホテルなどのリゾート内のホテルは、95パーセント以上の稼働率です。

実は、東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルができたことによって、平均客室単価も上がりました。やはりゲストの方にはニーズがあると考えています。

馬渕:ホテルができたことで収益も上がっているんですね。高級ラインのお部屋もあるということですが、その背景というのは?

霜田:やはり、いろいろな選択肢があったほうがいいと考えています。東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテルは少しお手頃な価格なんですが、他のディズニーホテルは、少し高くてもいいお部屋やいい体験がしたいという需要にお応えするためです。

馬渕:東京ディズニーリゾートのファンの方って、すごく裾野が広いと思うんですよね。日本全体では物価高や実質賃金もマイナスで厳しいという流れがありますが、こういったテーマパーク消費は自分への特別な体験として、それに見合うお金を払っていくというところも見えます。ここはどうお考えでしょうか?

霜田:やはり経済の影響はまったく受けないわけではないんですが、今ゲスト1人当たりの単価として約1万7,000円ぐらいいただいているんですね。我々としては本当にうれしいのと同時に、この期待に応えなければというところがあります。だからこそ、ここでの体験価値が重要になってくると思います。

投資家も注目する「1デーパスポート」の価格設定

馬渕:客単価も上がってきているということですが、この裏側の戦略について具体的に教えてください。

霜田:投資家の方々が一番注目されるのが単価の部分ですね。今、「1デーパスポート」は価格を6段階で販売していますが、この価格改定をどうするかによって、収益が変わってきます。

これが注目されているのと、最近非常に好調なのが、「ディズニー・プレミアアクセス」です。有償ではありますが、アトラクションやショーの待ち時間を短縮してご利用いただける仕組みがあります。

この1デーパスポートは正確にはダイナミックプライシングというより、6段階の価格をカレンダーの中で割り振っているかたちなんですね。エアライン(航空会社)やホテルのように、直前で値段が変わることはないので、「この日とこの日で値段が違うからどっちに行こうかな?」と選べるようになっています。

馬渕:来園者の方からすると、いろいろな選択肢が増えて足を運びやすくなりますね。

グッズ販売の好調の理由

馬渕:あとはグッズの販売も好調で、これが客単価の伸びにもつながっているんですよね?

霜田:はい。東京ディズニーリゾートのグッズ販売が好調な背景として、コアファンの女性にたくさんのグッズをご購入いただいていることが挙げられます。これは我々の強みでもあるかなと思っています。あとは、日本人はお土産を買うのが好きというカルチャー的な側面もあって、客単価の伸びにつながっています。

馬渕:グッズに関しては、「ダッフィー&フレンズ20周年」の関連商品がすごく売れているのでしょうか?

霜田:ダッフィーは東京ディズニーシーの象徴的な商品なんですが、非常に人気でして、みなさん、ダッフィーと一緒にパークに来るという楽しみ方をされています。

馬渕:毎年、何がみなさんに喜んでいただけるのかを考えながら商品訴求をされているんですか?

霜田:そうですね。例えば「周年」ごとに限定グッズを出しますので、その年しか買えないものやロゴが入っているものも好評であったりします。また、ダッフィーは洋服なども販売していますね。

馬渕:昔遊んだ「着せ替え人形」的な世界観をそれに当てはめる感じで、おうちでも楽しめるという。そこも客単価の上昇にうまく反映されているんですね。

霜田:はい、おっしゃるとおりですね。

リピーター9割、だからこそ求められる「新しい体験」

馬渕:そしてリピーターですね。年に何回も来場される方がたくさんいらっしゃると思うんですが、どういうふうにリピーターの方々を獲得されているんでしょうか。

霜田:来園されているゲストの90パーセント以上はリピーターの方々なんですね。こうした方々を維持、拡大していくためには、やはり来ていただくたびに何か新しい体験や発見が必要です。そのために、10年以上の単位で開発計画を検討しながら、キャッシュ・フローをどんどん回しています。

馬渕:なるほど。だから長い間、本当に何度もリピートで来場されるんですね。1年という短い中で、「何回来ても新鮮だな」と思っていただく仕掛けはどうされているんですか?

霜田:やはりイベントですね。シーズンごとに全部イベントが違うので、来園のたびに新しいイベントを体験していただけます。特にハロウィーンとクリスマスが人気ですが、新年はニューイヤーイベント、今は「ディズニー・パルパルーザ」という、ディズニーのキャラクターをフィーチャーしたイベントも開催しています。

馬渕:そうしたたゆまぬ努力によって、いつ来ても新鮮で新しい楽しみができるということなんですね。何度もやっていくと、だんだん「他にないかな?」となっていく気もしますが、それでもアイデアが出てくるものですか?

霜田:どんどんハードルが上がっていっています。ただ、そこはやはりディズニーと一緒に組んでいる強みがあります。彼らは海外でも同じようなことをしていますから、そういった情報やノウハウが共有できるんですね。

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