既婚者のためのソーシャルプラットフォーム「カドル」では、専業主婦と経営者、看護師と弁護士など、さまざまな職業の方同士がマッチングし、新たな化学反応を生み出しています。1,000万組以上のマッチング実績を持つ同サービスの活用方法から、ビジネスネットワーキングツールとしての適切な利用法、忙しい既婚者でも無理なく人脈を育てるコツまで、Third Hub株式会社の渡辺祐介氏が具体的なアドバイスをお話しします。
前回の記事はこちら 専業主婦と経営者の組み合わせが生む「新しい価値観」
──利用者の職業を見ていて、「この組み合わせはおもしろそうだな」と感じることはありますか? 実際にどんな職業の方同士がマッチングしているんでしょう?
渡辺祐介氏(以下、渡辺):それはもう、本当にたくさんありますよ。これまで(2025年時点で)1,000万組以上のマッチング実績があるカドルですが、職業の組み合わせから生まれる新しい可能性は毎日のように感じています。その中でも特に印象的なのが、専業主婦の方と経営者の方のマッチングですね。
──それは確かに意外な組み合わせですね。どのような化学反応が起きるんですか?
渡辺:専業主婦の方は、家事や育児を通じて「効率的な家事の方法」「育児や教育の工夫」といった、生活に密着したリアルな知見をお持ちなんです。
一方、経営者の方は「ビジネス」という分野で幅広く多様な視点を持っている。日々考えていることがまったく違う立場同士なんですが、だからこそマッチングして意見を交流することで、お互いに新しい発見があるんです。
──具体的にはどのような効果が?
渡辺:専業主婦と経営者という一見異なる立場の出会いが、生活の苦労やビジネスの大変さを掛け合わせることで、お互いのパートナーに対するリスペクトや存在への感謝を再認識するきっかけになっているんです。結果として、家庭を円満に過ごすための新しい価値観が生まれています。
──それはすばらしい副次効果ですね。
渡辺:こうした事例を見ていると、「カドルは単なる既婚者同士の交流の場を超えて、さまざまな立場の方の視点をつなぎ、新しい家庭のあり方を生み出せる場になっている」と感じています。
ビジネス専用の新機能を設ける予定はない
──もし今後、カドルをより「ビジネス活用しやすいサービス」にするとしたら、どんな機能があると良いと思いますか? 開発予定はあるんでしょうか?
渡辺:これは明確にお答えしたいのですが、カドルは「既婚者同士が家庭や職場以外で安心して交流できる場」を提供することが目的なので、ビジネス専用の新機能を設ける予定はありません。
──それは意外ですね。ビジネス需要があるなら、そちらに舵を切ることは考えていないんですか?
渡辺:いえ、ビジネス利用を前提とした開発は考えていません。カドルが優先するのはあくまで生活や趣味、家庭の悩みを共有するための既婚者同士の交流活性化なんです。
今後の開発方針も、「既婚者同士で友人や趣味仲間、悩みを共有できるパートナーといった、多様なつながりを後押しできる環境づくり」です。家庭や職場以外で新しい人間関係を築きたい方、育児・家事・仕事の悩みを共有できる友人や相談相手を求める方を中心にした機能を検討しています。
──でも、結果的にビジネスにつながることもあるわけですよね?
渡辺:もちろんです。私たちが構想・実装する機能が育児・家事・仕事の悩み解決だけでなく、副次的な効果としてビジネス面でも既婚者のみなさんのお役に立てるなら、運営スタッフ一同、これ以上うれしいことはありません。
──「既婚者向けビジネスネットワーキング」という市場について、どの程度の可能性があると考えていますか?
渡辺:可能性は十分にあると思います。既婚者は家庭や育児で時間や心理的な制約を抱える一方で、安定した基盤を持つ方が多く、同じ立場同士で安心して交流できる場へのニーズは確実に存在しています。
──課題はありますか?
渡辺:課題は、プライベートとビジネスのバランスを崩さないことですね。既婚者にとって最も大切なのはあくまで家庭で、専業主婦の方やパートタイムの方など、職業も多岐にわたります。
家庭を守りながらビジネスにも参入するという大きなハードルをどう両立させるかが、この市場を開拓する上での鍵だと思います。
適切な活用方法として「ビジネス利用を全面に出すのは控えて」
──もし読者の方が「カドルをビジネスネットワーキングツールとして活用してみたい」と思った場合、どんなアドバイスがありますか? プロフィールの書き方なども含めて教えてください。
渡辺:これは重要なポイントですね。まず大前提として、カドルはビジネス専用サービスではなく、既婚者が安心して交流できる場なので、基本的にはビジネス目的での利用は推奨していません。
──ということは、ビジネス色は出さないほうが良いということですか?
渡辺:そうです。前面に「ビジネス利用」を押し出すのは控えていただきたいです。やり取りを重ねて親密な関係になった相手に対して、自然にキャリアや仕事の話題が出てくるケースはあると思います。でも、そうした自然な流れでないと、うまく関係を構築するのは難しいんです。カドルを利用する方の主目的は家庭や仕事の愚痴を話したい、相談したいというものが大多数ですから。
──具体的には、プロフィールや最初のメッセージではどう書けば良いんでしょうか?
渡辺:プロフィール作成や最初のメッセージでは、ビジネス利用を全面に出すのは控えて、「家庭や仕事の相談ができる人を探している」「趣味友を見つけたい」といった内容にすることをお勧めします。
また、相手には家庭があることを理解して、無理のない頻度でやり取りし、相手の時間を尊重した対応を心がけることが大切です。
──NGな行動もあるんですか?
渡辺:はい。いきなりの勧誘、個人情報の要求、過度な連絡はアカウントBAN対象になりますので、絶対に避けてください。
──つまり、どんなマインドセットが大切なんでしょうか?
渡辺:ビジネス目的を前面に出すのではなく、既婚者同士の共感をベースに置くことが何より大切です。自然に関係を築くことから始めていただければと思います。