LLMO(大規模言語モデル最適化)でやるべきことは?
宮坂:ありがとうございます。あともう1つ気になったことがあります。もしかするとこのあとのパートでお話しいただけるかもしれないんですけど、LLMOは何をやったらいいんでしょうか。
浅井:そこはいろいろな切り口があります。このあともお伝えしようかなと思っていたんですが、さっきお伝えしたようにブランドを作るのがすごく重要なのかなと思っています。
今は自社の発信と、ほかのサイトから「いいよ」と言われるのがすごく重要かなと思っています。すごくわかりやすいイメージで言うと、おすすめの記事にみなさんのサービスが載せられている。「SEO会社おすすめ10選」みたいな記事にLANYがちゃんと登場する。
それが自分たちの欲しい切り口で紹介されているのは、今だと比重としてはすごく重くなっているので、こういったところは重要かなと思っていますね。
ただ、もっといろいろな切り口があります。今のはすごく各論なので、これだけやっていればいいというものじゃないんですけど(笑)。そういったところをイメージとして持っていただけるといいのかなと思っています。
宮坂:ありがとうございます。
プラットフォームの影響を受けずに、ユーザーに直接情報を届けるには
馬渡:ありがとうございます。もう少しご質問したいと思いつつ、時間もあるので次のアジェンダに進めさせていただければと思います。
では次の3番目のアジェンダです。これからどのようなアプローチが重要になるかについて、ラクスの宮坂さまを中心にお話しいただきます。
宮坂:では、これから何が重要になっていくのかというところを、私どもの観点からご紹介できればと思います。
先ほどLANYさんがおっしゃっていたように、情報の探し方が変わってきているということで、私たち企業がコンテンツを通してお客さまと接点を持つのが、以前と比べるとちょっと難しくなった部分もあるのかなと思っております。
コンテンツを作る目的は、そもそもお客さまが探し物をしている時に、見つけていただくことで接点を作ったり、あとはそれを役立てていただくことで「この企業さんの発信する情報、いいな」と信頼を寄せてもらう。

みなさんも同業他社の方々がいらっしゃると思うんですが、そういった方々と比べて自社を選んでいただけるようにするという目的がそもそもあったかと思います。「コンテンツが少し届きづらくなりましたよ」という状況で、「直接」コンテンツを届ける手段がより重要になってきたと感じております。
では、直接コンテンツを届ける手段で何があるか考えてみたんですが、例えばメール、SMS、LINE、郵送DM。あとは会員制コミュニティのような、お客さまのメールアドレス、電話番号、住所といった個人情報を使って直接アプローチするようなものと考えております。

SNSでフォローしてもらうといった手段もあると思うんですが、発信した情報がお客さまのタイムラインで表示されるかどうかがプラットフォームのアルゴリズムに左右されてしまったりするので、確実に届くものとは違うかなと思っております。
なのでメールや郵送DMといった、プラットフォームに影響されず自社でやりたい時にできるものの価値を、相対的に社内で上げておくのがおすすめです。
専門知識やリソース、予算がなくても始められる“接点づくり”
宮坂:そしてコンテンツを届ける手段として、この中で専門知識やリソース・予算にかかわらず、一番気軽に取り入れやすいのは、メールかなと思っております。
先ほどメールの特徴は、プラットフォームに依存しないで企業がお客さまに直接コンテンツを届けられることにあるとお伝えさせていただきました。そのほかにも、他のコンテンツの届け方と比べてもいくつか利点があると思うので、あらためてお伝えできればと思います。

まず1通あたりの単価が安いことですね。メールは利用するツールによってかもしれないですけれども、一定の料金で送り放題だったりするので、比較的低コストに実施できるかなと思っております。
みなさん、これからお客さまとの接点を作っていきたいとか、必要なタイミングが来たら思い出してもらえるようにしたいという目的で、メールをご検討いただくと思います。そうなると、私たちとお客さまとの信頼関係の構築はこれから、という方々がターゲットになるわけですよね。
そういった、まだ私たちのことをよく知らない方がターゲットになるのであれば、週1回とかそこそこの頻度で実施しないと、覚えていただいたり、思い出していただける状態が維持しづらいかなと思います。ですので、低コストでたくさん(の接点を作ることが)できるのは非常に魅力的なのかなと思います。
生成AIが大量の情報を拾ってくる時代だからこその「差別化」
宮坂:あとは「1 to 1の内容で一斉配信できる」というところです。宛名を差し込んだり、本文に過去お話しした内容を差し込んだりというところで、工夫次第で一斉配信にならずに済むというか、1対1でのご案内に見えるようにできるのも良いのかなと思っております。
また、生成AIがインターネット上の情報を拾って、だいたいのことを教えてくれるようになっていると思うんですけれども。あえてネットに公開していない情報を、メルマガ会員の方だけに公開するような活動もありなんじゃないかなと思っております。
もちろん、情報そのものが未公開でもいいですし、メルマガ会員の方に対してはメールの本文や記事などでもう1段踏み込んだ話をするとか、さらにわかりやすい説明をしてあげるとか。公開情報との差をあえて作ってみるのもおもしろいかもしれないなと思っております。
あと、これは私個人の意見も入ってくるんですが、メールのご案内であればお客さまが要不要を気軽に判断できて、あまりお客さまの時間を拘束しないで済むのも気に入っていますね。気になるメールだけ、大丈夫な時間にさっと見ていただければ十分なのかなと。
それで、その内容がお客さまのお役に立って、良かったと思っていただけるような体験を積み重ねていけると、何かあった時に思い出していただける企業になれるのかなと思います。
送る方も低コストで楽だと思うんですけれども、受け取る側も意外と情報の受け取り方としては気楽にできるものなのかなと思っております。
これからメール配信者側がより気をつけるべきこと
宮坂:ただ一方で、「メールをたくさん送ると良くないのでは」というご質問をたくさんいただきまして。そういった心配をされる方がいるように、あまり良くない体験をされてきた方もいらっしゃるんじゃないかなと思っております。
このようなことを防ぐために、今までもそうだったんですけれども、メールの配信者側が、これからより気をつけていただきたいことがあるなと思っております。
一番は「無理に開封させようとしない」ことなのかなと思っています。コンテンツマーケでメールを送る目的は、そもそもお客さまに知ってもらって信頼関係を作り、いざとなったら頼ってもらうということだと思うんですけれども。
メールを開封させておいて「なんか思ったのと違う」といった、裏切るようなことは極力避けたほうがいいんじゃないかなと考えております。
その裏切りの一例と思っていただければというものは、件名で引きの強いコンテンツをご案内しておきながら、本文の中にはたくさんのコンテンツがあって、よく探さないとそれが見つからなかったり、すごく下のほうに入っていたり。
たまに見かけるんですが、こういったメールはあんまり良くないんじゃないかなと考えております。件名でご紹介する内容は、メールを開封してすぐ見える「ファーストビュー」と呼ばれる範囲に入れたほうが、実際にクリックもされやすいです。

あえて下のほうに設置して「そのほかの内容にも目を通してもらおう」というのは、やめたほうがいいんじゃないかなと思っております。
なので、メールで信頼関係を作っていこうと思ったら、まず件名で本文の内容を端的に表すこと。あと紹介した内容は見つけやすい位置、一番上に入れていただくこと。
当たり前にやっていらっしゃる方もいる内容だとは思うんですが、こういったメールを作り続けることで、必要な時に必要な情報をさっと共有してくれる企業になっていけるんじゃないかなと考えております。
メール施策の最初の一歩は「顧客リスト」作成から
宮坂:もしこの講演を聞いていただいている方で、「『メールいいな』と思ったけどまだやっていない」「何から始めたらいいんだろう」という方がいらっしゃったら、2つだけアドバイスさせていただきます。

1つが、顧客リストを作るところから始めればいいかなと思っております。過去にいただいたお名刺をExcelでデータのリストにするとかですね。このあたりは配配メールでご協力できる部分もあるので、お困りの方がいたらアンケートでお声がけいただければと思います。
あとは、メルマガを送るのにBCCの機能を使わないことですね。OutlookやGmailにBCCの機能があると思うんですけど、毎年たくさんの企業がこの方法を使って、誤ってtoやCCに宛先を入れてしまい、情報漏洩の事故を起こしております。
この方法が危険だということは、配信者側はもちろんなんですけど、たくさんの受信者の方ももう知っています。BCCでメルマガが届いただけで、ちょっと「情報管理、大丈夫か?」という企業の印象になってしまいますので、信頼関係を作っていくことが目的であれば、使わないほうがいい手段です。配配メールでなくてもいいので、何か専用のツールを使うことを念頭に置いてください。
私からのお話で最後に、生成AI時代のコンテンツマーケティングでメールを送るとなると、メール配信における生成AIの活用どころが気になる方もいらっしゃると思うので、少し触れておきます。
特にメール件名や本文の作成には利用できるかなと思います。ご案内したいコンテンツを生成AIに取り込んで、メールの件名と本文のセットをいくつか作ってもらうようなイメージですね。
それをより端的に表現できるように自分でブラッシュアップしていくか、もしくは追加の指示をいくつか送っていくことで、生成AIと壁打ちしながらブラッシュアップしていけば、ゼロイチで作るよりちょっと楽になるんじゃないかなと思っております。

あとネタがない時に生成AIの手を借りるのもありかなと思うんですが、自社サービスの販促につながり、かつお客さまにとっては参考になる優良なコンテンツほど、生成AIだけでは作りきれなかったりするものです。
記事の構成案だけ作ってもらうとか、メモをベースに記事に文字起こししてもらうといった、細かい作業部分を切り出して任せるイメージで使うといいんじゃないかなと思っております。では、私からの話は以上とさせていただきます。
顧客に「役立つ情報を送ってくれるぞ」と思われるポイント
浅井:今、僕も聞かせていただいていて、ちょっと質問が思い浮かんだんですけど。弊社もメールなどをたくさんお送りしていて、今コンテンツはAIを使ってめちゃくちゃ作れるようになっています。これだけ情報を作れちゃう時代に、ラクスさんでは工夫して届けるようなことをされているんですか?
宮坂:やはり、先ほどお話しした信頼関係の構築のためには、「役立つ情報を送ってくれるぞ」とわかっていただくことが大事かなと思っています。例えばメールを送る時に、「件名の中にメールの内容をちゃんと入れる」ことはわりと意識しているかなと思います。
先ほどの例ですと、件名で「メルマガにAI活用し成果を出す秘訣とは?」と書いてあるので、そこで実際にやってみた事例をいくつか並べているような記事をご案内させていただいています。
これだけコンテンツに関わる内容が件名の頭からバーッと入っていれば、メルマガでのAI活用で成果を出したい方が興味を持って開封して、すぐにコンテンツにたどり着けるようになっているかなと思います。
こんなふうに「お客さまにとって知りたい情報かどうか」が、件名をちらっと見ればすぐに察しがつくような内容にして配信してあげることを意識しております。
参考になる情報、ならない情報がたくさんあると思うので、極力わかりやすくお渡しし、できるだけ役に立つだろうというものをこちらで想像して、仮説を立ててご案内することを意識しております。
あとはリストを分けて、送るメールの内容や表現を変更したりもしております。「こういった目的でこのようなお客さまにご案内するので、こういった表現にしていこう」という前提を詰めていくと、伝わりやすい情報になっていくんじゃないかなと考えております。
生成AIに好まれるコンテンツ作りのための施策
馬渡:宮坂さん、ありがとうございます。では、最後のアジェンダに移りますが、具体的に何をすべきか。今回のイベントのテーマである「今すぐ動ける施策」について、一言いただければと思います。まずはLANYの浅井さんからお願いしてもよろしいでしょうか。
浅井:はい、ありがとうございます。先ほど「今すぐできる」みたいなところで、若干施策をお伝えしてしまったんですが。
もしみなさんが、もういわゆるSEO、コンテンツマーケみたいなことをやられていたら、すぐにやれることはAIに引用されやすいような文章構造で、まずは自社メディアの発信をしたり。メルマガもそうだと思うんですけど、そういうものをどんどん作っていくのがいいんじゃないかなと思っていますね。

例えば結論ファーストだったり、Q&A形式で質問と答えがバコっとまとまっていると、AIがその情報を引っ張りやすいということがあるので。そういったことを意識して文章を作ってあげると、すごくいいんじゃないかなと思っています。

今あるコンテンツがAIにとって情報が取りやすいかたちになっているか。数字がめちゃくちゃまとまっているものはけっこう好まれるコンテンツなので、そういう作り方をしていくといいんじゃないかなと思っています。

もしみなさんが、まだぜんぜんベースとなるSEOをされていないのでしたら、ぜひSEOを意識して始めていただくのがいいのかなと。これはさっき言ったとおりで、やはりベースはSEOかなと思っています。

そこにブランドという要素がどんどん強くなると思っているので、我々として重要だと思っているのは「カテゴリーエントリーポイント」と呼んでいるものです。

さっきハーマンミラーの椅子で例を出したんですけど、要するに「姿勢をよくする椅子」と思われたいのか、「おしゃれな椅子」と思われたいのか、はたまた「30代におすすめの椅子」と思われたいのか。どういう切り口でみなさんに想起をしてもらいたいかというところ。
もし今からSEOをやるなら、そこを意識していただくと、LLMOも意識できるんじゃないかなと思っています。例えば30代の椅子に関連するコンテンツを作るといった情報の発信ができて、中長期で生成AIに情報を拾ってもらって、自社を想起させることができるかなと思うので。

ぜひそういうことまで考えてコンテンツ設計をして、どんどん発信をしていく。あとはさっき言ったようにいろいろなメディアで「いいよね」と思われるようなPRをしたり、載せてもらうような活動をがんばっていくのが、手前にあるといいのかなと思っています。
メール施策をなんとなく始めた方・実施中の方へのアドバイス
宮坂:ありがとうございます。私からも最後にちょっとだけ、今からできる施策を共有させていただければと思います。

メールをこれから始めたい方には、「リスト作成と配信ツールの準備ですよ」とお伝えしたんですが、なんとなく始めた方は「何のためにやっているのか」という目的や目標の確認、あと「定期配信を週1回以上やってみよう」ですとか、振り返りを実施すること。
実施されている方は、今日「これから大事になってきますよ」とお伝えした、メールの特徴を活かした配信ですね。1 to 1メール、セグメント配信、限定感のあるコンテンツを意識していただければいいのかなと思います。
詳しい配信設計やテクニック、成果につながるちょっとしたアドバイスのお話は、当社の単独セッションでご紹介させていただきますので、ぜひご覧ください。では、馬渡さんにお戻しします。
馬渡:ありがとうございました。あっという間に過ぎてしまったんですけど、LANYの浅井さま、そしてラクスの宮坂さまのご登壇でございました。本日はありがとうございました。
浅井・宮坂:ありがとうございました。