競合他社の品揃えを毎日最新の情報でチェック
テレサ:先ほどのタグ付けの話は、どういった意味があるかというと、例えば他社さんはこの夏のシーズンの中で、どんな色のものが展開されているのか。素材など、いろいろな軸から、自分が見たいものに絞り込んだりすることができます。
さらに個々の商品は、1個1個見るのはもちろん、ざっと視覚的にまず把握していくのがいいと思うんですが、一方で木と森の話があるように、全体の品揃えの妥当性やバランスを見ていく時は絞るんですね。
例えば、各ブランドの競合他社の「Shorts」は、短パンとスカートのカテゴリーの中に、さらに細かく、ミニスカートなのか、デニムの短パンなのか、普通の他の素材の短パンなのか、スカートの丈はロングなのか。
そういう細分化された商品カテゴリーの中で、それぞれの競合他社が、どのくらいの商品を打ち出しているかといった配分が見られるんですね。(システムの画面上で表示される)水玉の大きさが大きければ大きいほど、商品カテゴリーの中で、多くの商品が展開されていることになります。
例えば自社の全体の品揃えの中では、他社さんと比べてどこが足りないのか。あるいは競合他社さまもみんな、こちらのカテゴリーでけっこう多く打ち出しているのであれば、自分も乗り遅れないように。
逸見:そっち(同じ方向)に行くのか、逆に差別化するのかというところですよね。
テレサ:最近よくあるトレンドを把握されているのであれば、他社さんがホワイトスペースのところは狙っていくべきなんじゃないかといった、品揃えの意思決定に関するヒント。これは、やはりまた人がこういう情報を集めて作っていこうとすると回らないと思いますので。
逸見:今まではね。
テレサ:このプラットフォームでは、毎日最新の情報をいつでも見られるといったような、また違うスピード感が(あります)。
各ブランドが人力でやっていた作業を自動化
橋永:必ず各ブランドさんでそういった(チェックをする)方がいて、バイトを雇ったりしているんです。問題は、今までの競合の範囲が広がっていって、例えば日本だけならいいんですけど、韓国のマーケットとか、それこそシンガポールのマーケットといった時に、やはり(現地のトレンドが)わからないんですよね。
そういったものを自動化できるというところです。今回は、日本のメーカーやブランドも含むということですが、これがすでに昔から(人の手によって)行われていて、パブリックな情報をサマライズして、分析に使っている会社さんがいらっしゃるということですね。
林拓人氏(以下、林):今のはたぶん一例だと思うんですけど、これは本当に消費財流通だと、マジで人をかけています。
テレサ:(笑)。
逸見:(笑)。今ちょうど、商品マスターとかやっていますからね。
林:求められていて。例えば飲料メーカーさんは、週1回新商品が発売されるので、月曜日の何時になったら、全員でホームページを見て、そこから画像と商品名ごとに、規格みたいなものをExcelにまとめていくようなことをやっているんですよ。今日もたぶん。
逸見:やっていますね。
林:そう。なので、みんなにこれを知ってもらうべきですね。
橋永:ありがとうございます。なので、今日はちょっと1つ目のトピックとして持ってきました。
林:ドキドキしちゃいましたもの。
逸見:ずっと、いつ林さんが口を切るかと思っていたんです。
橋永:(笑)。
林:口を切っていいのかなと。
関税問題や海外展開ブランドの価格戦略にも有用
テレサ:ぜひぜひ。あとはよく、特に海外展開しているお客さまが気にされているのが、価格戦略なんですね。
国内でしたら、だいたい把握しているんですが、やはり海外に行く時は、現地のプレイヤーもそうですし、グローバルのプレイヤーが現地で展開している場合もあります。値付けによって収益性はぜんぜん変わってくるんですよね。高すぎても売れなくなりますし、低すぎても利幅が。
逸見:減りますからね。
テレサ:なので、ちょうどいいところを狙うという使い道として(ご利用いただいています)。(デモ画面を指して)プライスアーキテクチャ(価格構造)のチャートです。先ほどの軸は商品のカテゴリーでしたが、こちらは価格帯ですね。現地の競合他社さんがどういう価格帯で出されているのか。
今は日本に絞っているんですが、国を増やしていきますと、同じブランドでも、実は海外では少し価格帯が違うということが見えてくることがあるんですね。これは極めて大事なことです。
私は、実は最近フィリピンに出張してきたんです。そこで、ある日本のブランドが最初にこの市場に入った時は、なかなかみなさんに合わない価格にしていたんですね。弊社のCMI(消費者市場インサイト調査:Consumer Market Insight-Research)のお客さまなんですが、実は最近「(価格を)変えたんですね」という話があって。
(それまでは価格帯が乖離していたことで)フィリピンの現地のアパレルブランドが、みんな少しずつ困りつつありまして、価格戦略がやはり(適切な水準に)近寄っていくことによって、消費者の購買行動はぜんぜん違ってくる。
逸見:変わるんですね。
テレサ:そういった、非常に大事な(戦略に活用いただけるんですね)。
橋永:そうですね。あとは今、特にアメリカでこのCMIが注目を集めているのが、まさに関税の問題なんですよ。要は、「価格をどう転嫁したらいいか」というのを、マーケットの動向を見ながら、どのタイミングでどれくらい上げているんだみたいな話ですね。そこに今すごく、このソリューションが使われています。
販売力があるブランドほどカラーバリエーションも豊富
テレサ:こういうのですごくおもしろいと思うのが、アパレルやホームファッションの色配分ですね。わかりやすい色配分になっているのか。自社と比べると、最近のトレンドカラーを捉えているか・捉えていないのかですね。
例えばZARAさんの分布でしたら、ゴールドなど各細分化しているカラーの中で、どんな商品を実際に打ち出されているかといったような見え方ですね。
逸見:(円グラフでブランドごとの商品のカラーバリエーションが示されている)このチャート、おもしろいですね。私はファッションの得意な小島(健輔)先生という方にいつも教えていただいているんですけど、小島先生がまさにこのチャートを作っていらっしゃるんですよね。やはりその時に、いろいろなブランドによって(多少違いはあるものの)、基本的にはけっこうみんな寄せている。
暖色系に寄せるか、寒色系に寄せるか。ただ、まさにグローバルSPAブランドなどは全方位をやりつつ、ある程度の物量も作らなきゃいけないから、最低ロットや販売数、店舗数と連動して。まさにそことサプライチェーンも全部ひっくるめて、デザインを考えているという話を教わっていたんですけど、まさにそれがこうやって可視化されるんですね。すごいな。
テレサ:ありがとうございます。
橋永:ブランドによっては、けっこう黒っぽい感じのデザインが(笑)。
テレサ:あるんですね。
逸見:あと逆に、寄せずにあまり幅広く作っちゃうと、物が余るというんですよね。だから、販売力がどこまであるかによって、カラーバリエーションもどこまで広げられるか(が変わってくる)という話を教わりました。
林:やはりグローバルSPAブランドはすごいな。
テレサ:(笑)。
逸見:そうなんです。売り切る力と、カラーバリエーションと、サイズのバリエーションとを全部追いかけていますものね。
テレサ:そうなんですよ。
逸見:途中から生産を増加したりね。あのコントロール力ですよね。まさにPLM(製品ライフサイクル)の話ですよ。
橋永:(アジェンダの)1個目でも、これくらい時間をかけちゃっていますね。続きがまだありますのでね。
生成AIで新しいワンピースを開発
テレサ:次ですね。じゃあ、市場の外部情報をいかに自社の品揃えに反映していくかというところは、自社製品を見つつ企画を立てていくことになります。
アイデア出しの加速に入っていきます。こちらはちょっとファッション寄りの話になるんですが、デザイナーやマーチャンダイザーが、最初に商品を考えていく時は、スケッチをしたりネットからイメージ画像を拾ってきたりするプロセスがあるかと思います。

こちらのフォーカスとしては、とにかくいかにいろいろな部材のアイデアを出していって、その中で一番自社のブランドに合ったものをピックアックしていくかだと思うんですね。
ソリューションの1つとしては、生成AIの技術を活用して、アイデアをどんどん出していくような感じです。例えば、今回は新しいワンピースを1着、開発してみたいなと考えています。
生成AIを使った、いろいろな画像生成のアイデア生成の方法があるかと思うんですが。よくあるのが、例えばデザイナーさんがマーチャンダイザーさんと話している時は、クイックに描いているスケッチ画像がいいわけですよね。こういったデザイナーのアイデアやビジョンを、一緒にアイデア出ししているマーチャンダイザーやマーケチームに伝えるのがなかなか大変なこともあるかなと思います。
例えば、デザイナーさんがみんなと一緒に考えている時は、試しにオレンジのワンピースを作りましょうとか、素材はリネン素材でやりましょうとかですね。
本当にびっくりすると思うんですが(笑)、生成AIではきれいないろいろな画像が出てきて、バリエーションなども作っていってくれるんですね。
従来の業務でしたら、画像もイラレ(Adobe Illustrator)で描いたり、いろいろやらなければならないので、けっこう時間がかかるプロセスなんですが。今、もう雑談している数秒の間に(デザインイメージが画面上に表示されています)。
(一同笑)
テレサ:そうです。けっこういろいろな……出てきているかと思います。
1週間かかっていたプロセスをわずか数秒に
逸見:しかもここまで立体感がある。今まではどんなに早くしても、デザイナーが描いてパタンナーが起こしたものをマーチャンダイザーが見るという、1週間ぐらいのプロセスですね。
テレサ:ちょっとボツになったら、またやり直しだったり。
逸見:そうそう。
テレサ:そういうプロセスを、もうこの数秒でできるように。
逸見:質感がいいですよね。ちゃんと生地別にできるということですよね。
テレサ:そうなんですよね。そして、例えばバリエーションをどんどん増やしていくかと思います。今はこういう襟のものにしているんですが、ポロ襟にしたらどうなるかとかというのを1つ追加したりしています。
こちらにポロ襟が付いている服があって、どの部分を合体させて参考にしたいのかというのを(選びながら)、襟を入れていったり。
林:そこがプロンプトエンジニアリング。
テレサ:そうなんです。プロンプトを入れているようなかたちです。
林:すばらしい。
逸見:それでジェネレートを。
林:やはりそうですよね。こうなりますよね。
テレサ:ワンピースの襟の部分をどういうふうに変えてみたいのか、というプロンプトを入れてくれました。
橋永:社内向けだと、これは音声で「襟の形で」とか。
林:まさにディスカッションがそのままイメージになっていく。
テレサ:そうなんです。デザインの早い段階ですね。
逸見:襟が付きましたね。ここの下がったカラー(襟)みたいな。そういうデザインが何パターンか出てくるわけですよね。
自社製品のものづくりの情報と生成AIを掛け合わせられる
テレサ:この画像認識の技術は、その前にご紹介した「Centric Market Intelligence」で磨いた技術を、そのまま画像生成の部分に入れています。今の例はファッションなんですが、靴や家具、あとはアウトドアの用品などですね。
逸見:なんかやっとここに来た感じですよね。やはり私の中で、今までAIの中で一番インパクトがあったのは、非構造データ(の処理です)。
つまり、今までの構造データやテキストを変換していくのはそんなに難しい話じゃなかったのが、数年前から非構造データの画像が処理できるようになってきて、これが生成AIに乗ってきたというのがものすごい衝撃ですよね。
橋永:ありがとうございます。ここまでだったらコモディティの情報なんですね。今回のソリューションはちょっとファッションのイメージですけど、ポイントは自社が持っている製品のものづくりの情報に当てられることなんですよ。
逸見:それは今まで分断されていたところですよね。
橋永:そうですね。
逸見:デザインはデザイン、工場は工場、みたいな話ですもんね。
テレサ:これらをつなげていくのが、もうPLM(製品ライフサイクル)のものづくりのシステムの中に入っています。例えば「このアイデアを採用しましょうね」というところは、ドラッグ&ドロップで商品マスタに反映されているので、これから開発していこうねというところになりますね。
林:そうすると、原材料は全部マスタの中に組み立てられたかたちになる?
テレサ:まだ開発段階なんですが、例えば形を認識していて、どういったサイズ展開になっていくのか。これから少しお見せしていくんですが、食品でしたら、類似のところから分析してレシピなどで展開していったり、アパレルでしたら生地などをBOM(素材の部材表に)展開するとか。
逸見:PLM(製品ライフサイクル)という言葉があまり説明されていないと思うんですけど、Product Lifecycle Managementと言っているとおり、本当にもう物の設計の部分から最後の販売のところまで追いかけていくという。
テレサ:そうです。
林:これ、いいじゃん。
(一同笑)
逸見:そうなんですよ。意外とこういうものがなかったので、Centricさん推しというのは別としても、このPLMという思想が今までなかったんですよね。本当は必要だったはずなのに、みんなが分断された中でやっていて、さっき言ったとおり、別に笑い話じゃなくて本当にExcelや手書きやPDFで渡すしかなかったんですよね。
数人のインタビューをもとに商品開発するケースも
林:ちょっと死んでも名前は言えない会社なんですけども。
(一同笑)
林:あるメーカーさんに教えてもらったのが、「新商品が出ました。その説明会です」といった時に、パワーポイントの下のほうに「N=7」と書いてあって。
テレサ:「N=7」(笑)?
林:どういうことって言ったら、7人のインタビューで作った商品というので(笑)。商品開発って、営業たち(にしてみたら)みんな「これ、どうやって売れっていうんだよ」みたいなことなんですよ、といったフィードバックをしてもらった時があって。
テレサ:(笑)。
林:そういう商品が市場に出るんだったら、こういうふうにちゃんと(データに基づいて)作られたほうがいいですよね。
逸見:「N=7」は極端な話ですけど、ほとんどが自社でヒアリングをして物を作っているんですよね。
テレサ:有識者だけが。
逸見:そうです。これって世の中のトレンドじゃないよねという。しかも、ここまでマスタ化されていくという、このプロセスですよね。
テレサ:ありがとうございます(笑)。そうですね。例えばお洋服でしたら、こういった色の情報とか。先ほどの部材表でしたら、どんな物で作り上げているのかといった生地や付属品の管理をされていたりですね。
先ほどお話しされているアプリでしたら、サイズ展開で各採寸する箇所はどういった情報が必要なのか、どのぐらいの数が必要なのかといった、ものづくりに必要な情報を項目ごとに集めているということですね。
逸見:すごいですよね。
商品のアイデア出しから量産のプロセスまでのデータを一元化
テレサ:これらの情報は、すでに逸見さんがおっしゃった販売に直結してきています。販売する時に必要な採寸の情報。そして、先ほどの部材の情報。質感の情報など、本当に開発当初から販売するまでに必要なデータが構造化されていて、販売に引き渡す時は、自動連携が実現できています。
その上流のところをまだExcelなどで回されていますと、販売直前のところで、みんな一斉に、今日までに必ずこの情報をここに格納していって。
逸見:これ、手で打つんですよ。
テレサ:一生懸命打っていって、きれいにしたりというところもまた、加速されていきます。
橋永:こういった情報は別に企業の中にないわけじゃないんですけど、正しい状態ではなかったり、手元にあるものが最新というふうになってしまうので、最終的に「みんなでデータを上げろ!」というかたちになるんですね。それまではずっと見えない状態になっている。
今回はPLMというソリューションの枠組みでお話ししていますけど、Centricのようなツールを使うと、その状態がすべて1つの場所に集約されているんですね。バージョンの情報があり、一番最初はアイデアから始まって、最終的には量産のプロセスまでの承認やコストの情報がすべて入っているということです。
逸見:しかも、こうやってスムーズにいくとミスがないので、チェックのプロセスが相当省けますよね。みんなこのチェックのプロセスでバッファを見過ぎてすごく時間を食っちゃうわけですよね。
橋永:そうですね。その話で言うと、いつ誰が何を変えたかもすべて入っています。
逸見:ログが残るわけですよね。