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過剰負担でもう限界?管理職のやりがい再生のカギを徹底解説(全2記事)

2025.05.13

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課長の53%が仕事にやりがいを感じられず… 実態調査から見る「負のスパイラル」を断ち切るヒント [2/2]

提供:株式会社タバネル

高い負担と課長のやりがいの関係

奥田:「では、そのために何をしていかないといけないのか?」ということですね。管理職の罰ゲーム化と呼ばれるくらい、非常に重い負担を担っているということなので、負担に着目していきました。

仕事の要求度や課長の負担について、さまざまな項目について、やりがい上位・中位・下位で、負担について調べてみました。すると、やりがい上位の方も実は負担に感じているんですよね。「仕事のプレッシャーが大きいからやりがいを感じられない」というわけではなくて、やりがいが大きい方も負担は感じています。

ただ、図を見ていただくと多くの項目で、やりがい上位の方と下位の方が負担やプレッシャーが大きくて、中位の方がやや低くなっている傾向にあります。ですので、仕事への要求やプレッシャーが、必ずしもやりがいに直結するわけではないことがわかります。

なお、回帰分析をすると「精神的な負担」は、やはりやりがいを下げる要因として表れました。一方で、「常に高い成果を求められる」「長時間労働をしている」ということは、やりがいを上げる要因として、今回統計的に有意な結果が出ました。

高い成果を求められて長い時間働くということに関して、やりがいを持てている層が一定数はいることもわかります。

仕事の資源と個人の資源から見る“やりがいの差”

奥田:では、これに対して、先ほどのJD-Rモデルでいう、資源についてはどうなんでしょうか。仕事の資源とやりがいで言うと、裁量権や上司のフィードバック、周囲の支援などがあるんですが、特に差が大きかったのはこちらですね。

「上司はあなたの成長を支援してくれている」「他部署に仕事の協力を気軽に相談できる」「上司に業務の進め方について安心して相談できる」「上司に精神的なストレスや悩みを安心して相談できる」といったものが、非常に大きな差を生みました。

やはりやりがい上位の人ほど、仕事の資源として、特に「上司の支援」が得られていたり、「他部署や上司との相談」がしやすい環境にあることがよくわかります。

一方で、個人の資源はどうでしょうか。こちらもやりがい上位の人ほど、個人の資源が充実していることがわかります。後ほど橋本さんから詳しくあると思いますが、「個人の資源」は心理的資本ということで、自己効力感、希望、レジリエンス、楽観性などで構成されると。

前向きな心のエネルギーのようなものなのですが、その中でも、特に「自己効力感」。「新しい業務や挑戦的な課題に自信を持って取り組むことができる」とか「課長として上司や周囲と議論をして仕事を進める自信がある」と、前向きに仕事を進める自信があることが、自己効力感ですね。

あとは「希望」。「自分の意思を強く持っている」。希望にはWill(意志)のパワーとWay(経路)のパワーがあるのですが、特に今回は意志を強く持っているというのが非常に大きく出ました。

さらには現実的な「楽観性」ですね。「自分の未来は自分の行動によって良くできる」と楽観的に考えられるようなところが、非常にやりがいに大きく差が出ていることがわかりました。

先ほどのように、仕事の要求度や負担は、やりがい上位・下位ともに持っていることがわかったんですが、やはり個人の資源・仕事の資源ともに、やりがい上位の人ほど、充実していることがわかりました。

やりがいが高くても「部下の育成は苦手」な人が半数

奥田:また、管理職の方にとって、1つハードルの高い仕事として、部下の方々とのコミュニケーションや関係性を築くことがあると思います。最近も「コミュニケーションが難しくなってきていますよ」なんて言われますが、重要でありながらも、けっこう難しいなと。

これを見ていただくと、やりがい上位の人であっても、「部下の育成が苦手だ」という方が半数いらっしゃるんですね。むしろ、やりがいが中位や、やりがいが下位よりも多いことがわかります。やはり、やりがいを持っていたとしても、育成やコミュニケーションは難しいものなんですよということです。

一方で、そのように「苦手である」「難しい」と感じている層がいるにもかかわらず、やりがいが上位の人は、「部下と協力して仕事を進められている」とか、「部下の関係は良好である」ということがわかるわけですね。

育成やコミュニケーションが苦手であっても、やりがいが高ければ、部下と協力したり関係構築して、仕事を進めることができていることがよくわかります。

ここまでのところを、JD-Rモデルと課長のやりがいということで考えてみると、まず仕事の要求度や負担というところですが、「管理職の方は仕事の負担が多くなっていますよ。責任が重くなっていますよ」と。こういうところで「罰ゲームですよ」とよく言われるんですが、必ずしもやりがいに直結するわけではないことがわかりました。

仕事の要求度が高くても、上司や周囲との成長支援や相談といった仕事の資源、自己効力感や希望などの個人の資源が充実していれば、課長のやりがいは高まっていますし、やりがいが高ければ、会社・本人の成長、部下との関係にも好影響があることがわかりました。

課長職の“やりがいの有無”でもっとも差がついた項目

奥田:では、「会社は何に取り組めばいいのか?」ということですよね。資源を充実させればいいことはわかるのですが、「どういうことに取り組めば、実際に課長のやりがいが高まるのか?」を考えていきたいと思います。

今回の調査では、さまざまな会社の仕組みや取り組みとやりがいについて調べました。その中で、特に差が大きかったものの1つ目は、「あなたの目標に、課長であるあなたの意思は込められている」というものですね。これは非常に大きな差が出ました。やりがい上位の人は、8割ほどがそれができているということです。

こちらは、先ほどの心理的資本でいう「希望:自分の意思を強く持っている」というのに非常に関連するのではないかと思うんですが、やはり自分のやっている仕事と組織の目標について、意思を込められていることは非常に大きいです。

さらに、その他の仕組みの中では、意思決定に関わる仕組みですね。例えば「業績データは意思決定に活用されている」「経営陣は重要な意思決定や戦略について従業員に伝えている」「経営陣は職場の意見を収集し、意思決定に反映している」「リスクのある意思決定について、適切な判断基準やプロセスが設けられている」。こういった項目が、やりがい上位とその他とで非常に差が出た項目でした。

やはり、会社としての意思決定。それから、それに基づいて自らが意思決定すると。こういう仕組みがしっかり整っていることが、管理職のやりがいに強く影響するのではないかなということです。

「やりがい低下の負のスパイラル」が生まれる理由

奥田:一方で、先ほどのお話の中で、特に「経営陣は現場の意見を収集し、意思決定に反映している」という項目は、やりがい下位ではわずか16パーセントしかいない。こういう場では、やりがいを感じられないということですね。やはり、現場の意見を収集する取り組みが大事かと思います。

さらに言うと、経営陣の方が現場に耳を傾けられていると、課長の方も周囲や上司に相談しやすい。相談することがやりがいを高めることがわかっていますので、そういう土壌が築かれるのではなかろうかと思います。

今回の調査を模式図化すると、経営陣が一方通行のコミュニケーションで現場の意見を収集しない。それから、変化に対応できるような適切なマネジメントの仕組みができていない。意思決定の仕組み等々ができていない。

こういう土壌や仕組みがあると、課長自身が相談できない環境になったり、自分の意思を込められず、押し付けの目標になります。そうなると、部下との関係も悪化していきます。部下との関係を築くのは非常に難しい中で、誰にも相談できずにやっていかないといけない。

もう1つは、押し付けの目標に対してがんばらないといけないということは、意味を見いだせないまま高い負担を感じざるを得ない。さらにはそれが実績を下げたり、成長実感を感じられなかったりして、やりがいの低下につながる。そのほかの部分もまた下がっていくというような、やりがい低下の負のスパイラルが起きてしまうということだと思います。

一方で好循環は、経営陣の意思を伝えることはもちろんですが、現場の意見も聞く。そうしていくと、相談しやすい環境になり、自分の意思を込められる目標管理にもなっていきます。

部下との関係も向上し、やりがいを感じている人は意味のある高い負担を感じているということですね。これによって実績も上がるし、成長実感も得られる。結果、やりがいが向上する。組織として、こういう正のスパイラルに持っていけるよう取り組まなければいけないということかと思います。

課長のやりがいを取り戻すためにすべきこと

奥田:そんな中で、会社による課長のやりがい再生ということで、仕組みを見直す時によく、「パーパスを見直しましょう」とか「人事評価の目標管理を見直しましょう」ということが起こるんですけど。

そういう単発(の施策)ではなく、こうした4つの視点を持ちながらしっかり仕組みを見直していく。これは、ロバート・サイモンズさんという方の「4つのコントロール・レバー」を参考に、こちらで再解釈して作ったものです。

仕事の目的や意味、それから対話と学習、境界と規律はリスク判断の基準ということで、やってはいけないことの明確化。それから目標管理などの業績管理ですね。

トップダウンから双方向に、現場の意見にもちゃんと耳を傾ける。さらに変化に応じた明確な意思決定プロセス。何をやっちゃいけないかという境界も大事ですし、組織の業績管理もしっかりしていくことが大事です。

また、仕事が難しくなる課長に対する環境整備が大事です。課長の役割をちゃんと定義しないといけないということです。特に「役割曖昧性」などといって、課長の役割はそもそも曖昧になりがちなんですが、ここを再定義するということです。

それから課長が相談しやすい環境です。1on1を導入されている会社さんが多いんですが、実は課長は部下と1on1をしているけど、課長は部長と1on1をしていないことがけっこう多いんですね。こういうことをなくしていきましょうと。

あとは意思を反映しやすい目標管理や、負担を減らすことはもちろんですが、課長が意味を見いだせるように負担の質を変えていくことが大事です。また課長本人も、会社の仕組み変更を待っているだけではなく、少しずつでもいいので、自分の意志を込めて前向きに取り組んでいただきたいなと。

それから負担を減らすためにも、何に力を注ぐか、逆に力を注がないかということを、意志を持って決めていただきたい。そういうことが難しい時は、まずはジョブ・クラフティングと呼ばれるように、仕事に対して自分なりの工夫をする。

それから、結果に対して「良かった・悪かった」ということや、悪かったからどうしようという反省だけではなく、自分なりの意味を見いだしていただきたいと思います。

意志を持って動いていける人を増やしていく

奥田:あとは、自分で何でもしなければという完璧主義を捨てて、相談できる環境を自ら作っていただきたいと思います。仕事を抱え込みすぎず、相談を躊躇しないことと、上司だけでなく周囲や部下にも相談できる環境を作っていただくということです。

後ほど詳しくお話があるとは思いますが、スキルや知識やノウハウといった人的資本だけでなく、周囲との関係やつながりなどの社会関係資本も大事です。さらに、そういうものを活かすための前向きな心のエネルギーとなる心理的資本に、自ら取り組んでいくことも大切です。

最後に、管理職の罰ゲーム化なんて言われますが、やはり負担を課長に押し付けず、組織として向き合う姿勢が大事です。経営層が現場の意見を収集して意志のある人を育て、登用し、後押しすると。

もう、言われたとおり文句を言わずに動く人を育てたり、負担を押し付けたり、登用するところから変えていかないといけないと思います。

「負担が大きい」という現実はなかなかすぐには変わらなくても、負担に対して意味を感じてやりがいを持って活躍できる課長を増やしていっていただきたい。そうしていくと、次世代の人もやりがいを見いだして、意志のある人が増え、課長になりたいという人も増えていく。こういう組織作りに、組織として全体で向き合っていただければなと思います。

私からは以上になります。ご相談、ご不明点がありましたらお問い合わせください。

では、ここからは心理的資本の専門家の橋本さんにバトンタッチしたいと思います。橋本さん、よろしくお願いします。

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