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kintone AWARD 2024⑤<九州・沖縄地区>日本エアコミューター株式会社 臼﨑南海 氏/西上正浩 氏(全1記事)

2024.12.23

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大量の問い合わせにデスクはお手上げ、現場はブチギレ…… 崩壊したチームを立て直した、kintoneによる業務改善の道のり

提供:サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社が主催する「Cybozu Days 2024」。同イベントでは、全国のkintoneユーザーの中から選ばれたファイナリストたちが活用事例を発表する「kintone hive tokyo vol.19/kintone AWARD」が行われました。本記事では、九州・沖縄地区代表の日本エアコミューター株式会社の臼﨑南海氏、西上正浩氏が登壇したセッションの模様をお届けします。鳴り止まない問い合わせ電話、残業続き、チームワークも崩壊という状況から脱することができた、kintoneの活用術について明かします。

社員のkintone利用率100%、JALのグループ会社「JAC」

西上正浩氏(以下、西上):それでは、日本エアコミューターの発表を始めます。「今と未来、繋ぐ ~結いの空~」、始まりです。

臼﨑南海氏(以下、臼﨑):こんにちは。日本エアコミューター、通称JACです。鹿児島からやってきました。まずは自己紹介です。私は臼﨑南海と申します。航空機部品の調達を担当しています。

そして……。

西上:私は西上正浩と申します。自己紹介を(スライドに)いろいろ書いてあるんですが、これは置いておきまして、見ていただきたいのはAIで描いたイラストです。「このイケメン、誰?」と思われた方がいらっしゃるかと思いますが、安心してください。私でございます。よろしくお願いします。

臼﨑:では、会社紹介です。私たちJACは、JALグループに所属している航空会社の1社です。そんなJACは、親会社のJALに比べて非常に小さな会社です。

まずは飛行機。JALの大きなジェット機に対し、JACは「ATR」という小さなプロペラ機を運行しております。

ATRは小さいですが、このようにお客さま同士が向かい合わせで座ることのできるユニークな座席があったりします。

西上:そんなJACの飛行機に乗ると、奄美大島、屋久島、与論島といった美しい島々に行くことができ、みなさまの旅のすてきな思い出に貢献することができます。

臼﨑:次に社員数です。JALが約13,000人に対し、JACは421人という小ささです。ですが、kintone利用率なら(100パーセント)、JAC全員がアカウントを保有しているので、JALグループにおけるkintone活用のリーディングカンパニーとなっています。

西上:そんなJACは、パイロットやキャビンアテンダント、企画総務、そして整備と、さまざま職種の人が働いています。

本日は、私たち2人が所属する整備部門における、kintone活用事例についてご紹介をいたします。

鳴り止まない問い合わせへの対応で残業続き

西上:まず、そもそも「整備」とは、飛行機が安全に飛べるように点検、そして修理をすることです。そんな整備業務には、実際の整備士のほか、デスクワークの部署もあったりします。デスクワークの部署はさまざまな側面から整備士をサポートするのが役割で、私たち2人はこのデスクワークの部署に所属をしており、ふだんはスーツを着て仕事をしております。

ですが、今日は関係ありません。しっかりと目立っていきたいと考えておりますので、整備士のコスプレにてお送りさせていただきます。

さて、話を戻します。そんな私たちJACの整備部門には、「世界一のATR整備チームになる」という目標があります。チームにおいて重要なことは「チームワーク」ですが、kintone導入前の私たちは、チームワークが不足している状況でした。


なぜかというと、一言で「情報の分散」が原因でした。

臼﨑:では、実際の業務例でご説明します。私が担当している業務の1つに「Critical Parts Order」というものがあります。これは、予期せぬ部品交換が発生した際に緊急で発注を行うものです。kintone導入前は、整備士からメール・FAX・電話のいずれかで連絡。その次に受付書を渡す。そして部品を渡すという流れになっていました。

ここでの問題点は、情報が紙やメールに分散していたことです。情報を知りたい整備士からは「いつ?」「まだ?」と、毎日大量の進捗問い合わせ電話が鳴り止まない状況でした。

情報の分散によって会議はいつも大荒れ

臼﨑:そんな鳴り止まない臼﨑コールセンターの日々の状況は、「ひたすら調べる」「他の業務ができない」「待ったなし」「残業ばかりで帰れない」。

西上:とはいえ、結果として困るのは現場です。必要な部品が届かないので、整備の工程会議はいつも大荒れ、現場の整備士は状況が見えないのでブチギレです。

臼﨑:一方でこちらも、あふれかえる注文にお手上げ状態。会議も前に進まず、良くない雰囲気の毎日で、チームワークも崩壊している状況でした。まとめると、最新状況がいつも不明。情報は分散し、それらの解決方法はひたすら力技という状況でした。

西上:(西上氏のマイクが故障したため、臼﨑氏のマイクに近づきながら)これじゃダメだ。変わらなきゃ。変わりたい! でも、どうしたらいいかがわからない。

(会場笑)

西上:……暴れすぎましたね、申し訳ありません。

kintoneを導入するも「革新派」と「保守派」に二分

西上:「これじゃダメだ。変わらなきゃ。変わりたい。でも、どうしたらいいかがわからない」という中、親会社のJALから新しい整備管理部長に中井さんという方が着任をいたします。

JAC整備がいつもけんかをしている状況と、一方で「なんとか変わりたい」と思っている様子を見て、中井さんが導入することを決めたのがkintone。なぜkintoneなのか。それは、「自分たちは変わりたい」というJAC整備と、自分たちで変えられる仕組みを作ることができるkintoneの2つがマッチしていたからでございます。

臼﨑:晴れて導入されたkintone。まずは「はじめましてkintone」ということで、自己紹介アプリを作りました。例えば、自分の名前はユーザー選択、出身地はドロップダウン、朝ご飯はチェックボックス。好きな歴代飛行機はルックアップ、趣味は文字列など、ただ自己紹介を入力するだけで、kintoneの標準機能に満遍なく触れるアプリになっています。

西上:さて、新しいものが出てくるとどうなるか。そうです、革新派と保守派、2つの派閥が生まれます。

ですが、最初はこれでいいんです。中井さんは当時、部長の立場で革新派を支えつつも、保守派を排除することなく、両方とも温かく見守ってくれました。

臼﨑:
そんな中、革新派の1人が手を付けたのが、先ほどご紹介した「Critical Parts Order」です。分散していた情報は1ヶ所に集約され、進捗状況も一目瞭然。問い合わせは一気になくなりました。

現場の整備士が起票すると同時に、関係者へはすぐ伝達されるため、メール連絡は不要です。必要な情報はすべて入力・添付されているため、気になる点があればチャット機能を使うことで、時短と履歴化が叶い、最新状況も見えて安心できるようになりました。

西上:そうすると、どうなったか。わかりやすく工程会議が荒れなくなりました。どんな状況かはkintoneを見ればすぐにわかる。「その状況を踏まえて、今はこうしよう」と、つまり1つ上のレベルでの議論がされるようになりました。

kintoneを運用するうえで決めた「2つのこと」

西上:このように「kintone=便利」とわかれば、一気にみんなが動き出します。動き出した理由は、「情報の分散」という問題をわかりやすく変えたことであったと考えています。この事例をきっかけに、JAC整備ではさらにkintoneが広がっていきます。

臼﨑:そこで、私たちが決めた2つのことがあります。まず1つ目が、kintone化する前に業務をシンプルにすること。2つ目が、できる限り標準機能でアプリを作ることです。

まずは1つ目の業務のシンプル化について。kintone化する時は、今のプロセスが本当に必要かを考えるチャンスです。今のプロセスをそのままkintoneに置き換えるのではなく、何に時間がかかっていて、なぜそれをやっているのか、もう一度見直します。

例えば「Critical Parts Order」の場合、何に時間がかかっていたかというと、重複する承認フローでした。ミス防止と情報共有、つまり心配事を減らすことが目的でした。

このムダな重複をなくすにはどうしたらいいか? そこでkintoneです。添付忘れは必須項目にして、入力ミスは自動チェックや計算機能、情報共有は条件通知というように、うまく機能を使うことで、不要なプロセスは簡略化しながらも心配事もしっかりフォローができます。

西上:2つ目です。できる限り標準機能でアプリを作る。つまり、すごいアプリではなくて、持続可能なアプリを作るということ。私もそうなのですが、ITが好きな人は凝ったアプリを作りがちです。凝ったアプリは便利な反面、アプリの中身はブラックボックス。その人がいなくなったら直せなくなる、なんてこともよくある話です。

そうならないために、私たちはアプリのカスタマイズではなくて、プロセス側をもう一度見直す。その上で、どうしても必要であればカスタマイズという流れにして、その人がいなくなっても持続可能なアプリを目指しました。

臼﨑:業務のシンプル化と、標準機能でアプリを作る。こうすることで、誰でも自分で楽なかたちに仕事を変えることができます。

ノウハウの共有・連携で仲間に同じミスをさせない

西上:kintoneをきっかけに業務を見直す。業務がシンプルになる。「もっとやろう」と、DXへの前向きな「つなぐサイクル」が生まれます。このようなサイクルの中で、JACの整備士が作ったイチオシアプリをご紹介いたします。

ご紹介するアプリはこちら、プロップアップモニタリングアプリです。例えるならば、お医者さんの診察カルテの飛行機版。コックピットの室温変化などの気になる事象をモニタリングしていく、そんなアプリになっています。

こちらのアプリは、空港ごとにモニタリングステータスをバトンタッチしていき、適切なタイミングで適切な処置を施すことができます。このようにkintoneは、共有して連携する業務に多く活用されています。

臼﨑:場所を限定せず、ノウハウを共有、連携する。そうすることで、仲間に同じミスをさせない仕組みにつなげることができます。これらの強化は、我々JALグループにとって最も大切である「安全」の層を、より厚くすることができると考えています。

西上:業務がシンプルになり、さらに安全の層も厚くなる。これを自分たちで考えて、自分たちで作った。この自信と積み重ねは、私たちが当初求めていた「チームワークの強化」という結果に結びつけることができました。

そんな私たちが、今回の発表を通してみなさまにお伝えしたいノウハウを、最後に4つにまとめました。kintoneで変わった、私たちからのささやかな贈り物です。

まず1つ目が、kintoneに慣れる取り組みから始めること。つまり「はじめましてkintone」です。2つ目が、「ホームラン事例」を1つ作って、保守的な人にも良さを伝えること。メリットが伝われば人は動きます。3つ目が、kintone化する前に業務を見直してシンプル化すること。ポイントはシンプル化すること。これが目的です。

4つ目が、スキルのある人ほど、いなくなった時のためにシンプルなkintoneアプリを目指すこと。スキルのある人ほど想像力を働かせて、次の人のために(アプリ作りを行う)。1つの方法として、ぜひご参考にしていただけるとうれしく思います。

「世界一のATR整備チーム」実現への第一歩

西上:さて、私たちの発表をお楽しみいただけましたでしょうか? それではエンディングです。みなさま、拍手のご準備を。そんな生まれ変わった私たちには、「世界一のATR整備チームになる」という目標があります。言葉にすることさえ恥ずかしかったこの目標が、kintoneでつながり、目標に向けての最初の一歩を踏み出すことができました。

私たちの発表タイトルにある「結い」という言葉には、人と人、そして想いをつなぐという意味があります。私たちはこれからも、文字どおり大空を飛んで、安心と安全、そしてみなさまの大切な出会いをつなぎます。私たちの今とワクワクする未来、これらをつないで結んでくれたもの。僕らと同じ大空を飛ぶ心強い相棒、kintoneと一緒に。

臼﨑:ご清聴、あいがとさげもした(鹿児島の方言で「ありがとうございました」)。

西上:あいがとさげもした。

(会場拍手)

司会者:臼﨑さん、西上さん、ありがとうございました。マイク、大丈夫でしたか?

西上:大丈夫です。

司会者:裏にいて、音だけバタバタっと聞こえたんですけど、何が起きていたんですか?

西上:ちょっと動き回りすぎて。大変申し訳ありません。

司会者:ご無事で良かったです。では、質問を1つさせていただければと思います。最後のまとめでも「ホームラン事例」が出ていたかと思うんですが、恐らくそのホームラン事例というのが、「Critical Parts Order」のアプリかなと思っています。

「Critical Parts Order」の業務をアプリでする、その決定に至った背景は何かあったんですか? 「この用途、ホームラン事例になるな」と思われたものがあれば、ぜひおうかがいしたいです。

臼﨑:「Critical Parts Order」は、現場の整備士と我々デスクワークの各グループがあるんですが、現場とみんなが関わる業務の1つでした。なので、みんなが関わる業務をわかりやすくシンプルに変えることで、みんなが(kintoneに)触るようになって、そこで確認して状況を把握することにつながったかなと思います。

司会者:なるほど。利用する人・部署が多い用途を、ホームラン事例として選ばれたということですね。では、お二人のご登壇は以上となります。ありがとうございました。

臼﨑・西上:ありがとうございました。

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