2024.12.16
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攻めの経理実現に向けた組織の在り方・取り組み方(全1記事)
提供:パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
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福壽裕康氏:それでは本日は、「攻めの経理実現に向けた組織の在り方・取り組み方」というタイトルでお話しさせていただきたいと思っております。まずは3分ほど、イントロダクションのお話にお付き合いいただきたいなと思います。
みなさまの会社の経理・財務部はどのような組織でしょうか? これは正直、いきなり問われても、「答えることが非常に難しいな」と思われるかもしれません。なぜ答えることが難しいのかというお話と、経理組織の改革がなかなか進まない理由は、非常に似通っているのではないかなと私は考えております。
そのことをお話しさせていただく前に、まずは答えやすい質問・答えにくい質問がどういうものか。我々の考えを簡単にご説明させていただきたいなと思っております。
よく我々は、お客さまとヒアリングやコミュニケーションをさせていただく際に、以下のような3つの考えをもとに整理させていただくことが多いです。
1つ目は、「この質問に『はい』『いいえ』で答えられるかな?」ということを考えるんですね。例えば「どちらの部署の所属でしょうか?」と尋ねていただくよりも、「経理部か財務部の所属でしょうか?」で、「はい」「いいえ」で答えていただくほうが、相手の方の認知リソースをムダにせずに済むところがございます。
2つ目は、単語で答えられるかどうかです。「社内のこれまでの経歴を教えていただけますか?」と聞くと、「こういうことがあって」というふうに、いろいろと答え方があるかなとは思います。その中で、「いつから経理部・財務部に所属ですか?」と聞きますと、「5年前からです」というかたちで答えていただくことができるかなと思います。
3つ目が少しややこしい話になりまして、答えが類型化されているかどうかの観点もあるかなと我々は考えております。前の2つの観点とは異なっていまして、相手の認知リソースを使わないで済むかどうかではなく、より効果的なことに対して使っていただこうという考え方です。
少しわかりにくいので、例えば「人間とは何ですか?」と聞かれたとしても、「答えるのは難しいよ」と思われるかと思います。一方で「ヒトの生物分類は何ですか?」と聞きますと、ある程度その分野の知識を持っている方であれば、答えられることがあると思います。
先ほどの質問は、まさに3つ目(答えが類型化されていない)に該当するなと考えております。
繰り返しになるのですが、「そもそも、みなさまの会社の経理・財務はどんな組織ですか?」という質問に対して、「答えにくいな」と思われるということは、経理・財務の組織が類型化されていないことの証左の1つではないかなと考えております。
そこで、類型化するにあたっての1つのヒントとなり得るのが、「攻めの経理」という言葉です。我々がお客さまのご支援をさせていただく中で、「経営から『攻めの経理だ』という言葉をもらうんだ」というお言葉を、管理層の方からよくいただきます。
しかし、「じゃあ、攻めの経理という言葉はあるものの、それっていったい何なのだろうか?」と考えたり、対をなすであろう「守りの経理」って何だろうか? あとは、「現状とそれはどう違うんだろうか?」「その軸だけで組織は捉えられるのか?」ということを考えてみると、疑問は無数に浮かびますよね。
また、この「攻めの経理」はかなり定義が曖昧で、時間が経過することや、会社や人によって捉える範囲が変わってくるなと思っております。
しかし、類型化される1つの種別である可能性は捨てきれないなと思っていまして、ここに今後の経理組織の在り方のヒントがあるのではないかと考えております。そのような考え方をもとに、我々は調査を実施いたしました。
ここからは、1つの例をお話しさせていただきたいなと思っています。繰り返しになってしまうかもしれないですが、あらためてご紹介させていただきますと、我々はもともと業務コンサルタントとしてお仕事をさせていただいております。
業務改善、システム導入のプロジェクトをご支援させていただく中で、経営と現場の目線が乖離しているなと感じる場面が多々ございます。経営からは「もっと体制を小さくしてコストを圧縮できないの?」とお聞きして、現場からは「毎回、締め日は深夜残業になっているんだよ」とか、なかなかここの部分がかみ合わないことが多いかなと思っております。
しかし、間に入って交通整理を試みたとして、正直なところすんなりと解消されることは非常に稀かなと思っております。その理由は意外と単純明快で、目指すところが異なるため。そもそも話の前提がかみ合わないことが多いかなと感じております。
経営は「外部環境や変化をもとに変わらなければならない」という意識を持っている一方で、「次の締め、どういうふうにすれば滞りなくできるかな?」という意識も強いかなと思っております。ただ、これはどちらかが間違っているという話でもないかなと思っています。
また経理組織において、現状がどうなっているのかがなかなか見えてこないところと、逆に現場からは目標地点が見えてこないところもある。かつ、そこに板挟みになってしまうプレイングマネージャーという構造が、ほとんど(の経理組織で)散見されると思っています。
じゃあ、そういう状況の中でどうしていけばいいのかなのですが、現在地点と目指すべき地点が見えてくる地図みたいなものがあれば、もう少しお互いに距離がぐっと近づいて議論がしやすくなるのではないのかと考えたわけでございます。
ここからは、調査の内容や考察についてお話しさせていただきたいなと思っております。
今回は、目線の乖離による方向性の欠如に注力してお話しさせていただきました。ただ、ほかにも私どもがよく耳にする内容として、法規制や商習慣の理解により、属人化や保守性が高い状態が作られる。そんなお話もうかがうことがございます。
また、それらの要素と掛け合わされることによって、組織として硬直性が強くなってしまう。変えるべきところと、変えるべきでないところが見えない、ブラックボックスと化してしまう。そんなご相談もいただくことがございます。これが、組織として抱える問題の1つだと私どもは考えました。
そういったご意見をいただく中で、経理組織において、そういう事象が数字としても発生しているかを検証したいなと思いました。また、そこを見ることによって、解消の糸口を何らか見つけることができるのではないかなと考えたわけでございます。
調査の内容として、20代から60代の方まで約2,000名の方に、Webアンケートの形式でご回答いただきました。その結果について、いくつかかいつまんでご紹介させていただきたいなと思います。
まず、先ほど話にあった業務の属人化について、1点目をお話しさせていただきたいなと思います。初めに、経費精算領域、債権債務領域、資金管理領域、決算領域、管理会計領域、その他という6つの領域に業務を分けて調査をさせていただいています。それを回答者の属性と照らし合わせて見てみました。
「中心となる担当業務は何ですか?」という質問に対して(の回答を)左側の図に表しているのですが、どちらかというと、それを年代別に見ていった右側の図を見ていただきたいです。
この中で特徴的だなと思ったのは、ここでは(データを)省略させていただいておりますが、勤続年数による業務の担当領域にあまり違いが見られないことがわかったところです。
これが何を表しているのかというお話なのですが、会社によっては、経理・財務部で10年単位、20年単位で同じ担当者の方が同じ業務を続けているという話もよく聞きます。調査においても、まさしくそれが表れている結果かなと思っております。
我々はよく聞くのですが、「この担当者でないとできなくなってしまった」という“秘伝のタレ”みたいに言われる業務が、もしかしたらみなさんの組織にも存在しているのかなと思っております。
また、もう1個が左の図です。各業務の担当の方がほかの業務も含めて、平均してどの程度業務領域を担っているかなのですが、平均して2、3領域を持っていることが見て取れました。
続いて右側の図ですが、各業務担当がほかの業務をどの程度行っているかを示した相関行列です。若干の正の相関も見られはしましたが、いずれも弱い関連性に留まったということが結果として見えます。
これらがどういったことを表しているかというお話なのですが、経理・財務部では、各業務にそれぞれの習熟度が求められると思っております。習熟度が求められるがゆえに、業務シェアがなかなかしづらいといったことがあるかなと思うのですが、それがまさしく現れた結果かなと私どもは考えております。
我々は経理のほかにも、人事、総務、バックオフィスの業務改善のお手伝いをさせていただくこともございます。その中で、例えば新卒採用業務において「人事システムの登録は〇〇さんしかわからないんです」という話は、あまり聞かないかなとは思います。
一方で経理・財務部において、各事業所の特定の数値を会計システムに登録時に、「ある方しかその業務を把握してないんです」という話は、まあまああるかなと思っております。まず、この部分がみなさまの組織におかれましては「どうだったっけな?」ということを、ぜひ考えていただきたいです。
もちろんこの数値の集計は手元で行うことが多くて、各業務にかなり習熟度を求められるという業務特性を抱えていることが多いからではありますが、調査においてもその傾向がしっかりと見て取れたかなと思っております。
ここでタイトルの話に戻ります。私どもが調査から見た、「攻めの経理」の実現に向けたヒントの1つ目をお話しさせていただきたいなと思います。
まずは業務の現状を明らかにすることで、組織改革に伴う新たな業務を受け入れる体制をちゃんと作って、足元を固める必要があるのではないか。そんなふうに、1つ目(のヒント)を提言させていただきたいなと思っております。
あらためて結果をまとめますと、年齢や勤続年数によって、担当する業務領域にあまり差がない。もう1点が、1人あたり担当している業務がだいたい2、3領域ほどだということが見て取れる。
これからどういったことが考えられるかについてなのですが、担当業務の経年変化やシェアが起こらないことから、特定の業務の担当になると長期間にわたり固定化されることが考えられる。このような状況をもとに、年月を経て、部内でもどのように作業を行っているのかわからない、属人化の状態が醸成されるのではないかと考えた次第です。
これに対してどういったことが行えるのかという話です。もし担当者の突発的な休退職による業務停止のリスクまで考慮する場合や、新規担当者の迅速な立ち上がりまで望む場合は、しっかりと業務の可視化や社内特有のプロセスの排除など、標準化を進める必要があるのではないかなと考えております。
続いてですが、冒頭に申し上げた「保守的な性質」についても、合わせて調査させていただいております。これに伴って、その代替として仕事に対しての認知の調査をさせていただいております。
まずは左の図をご覧いただきたいと思うのですが、こちらは勤続年数ごとに「仕事量を適切と思うかどうか」を表したグラフです。3年目以上、5年目未満のところを谷にV字を描いています。
これがどういうことが言えるかという話なのですが、入社から段階的に負荷が与えられていって、3年目以降は業務をコントロールできる。そういうことが表れていると思っております。これを私が命名させていただいたのですが、3年目まで徐々に下がっていくところを「段階的プレッシャー期」、それ以降を「コントロール期」と名づけさせていただいております。
もう1点、右の図をご覧いただきたいと思います。こちらは業務へのポジティブな感情を測定したものになるのですが、実は業務へのポジティブな感情は1年目が高いんです。ガクンと下がって、そこからずっと横ばいで、なかなか浮上することはないことが見て取れます。
これについても、1年目までの業務へのポジティブな感情が高い期間を「期待期」、それ以降を「諦観期」というふうに名づけました。
それをもって見ていった時に、多くの企業さまでは「やっと一人前になった」というタイミングでその人が辞めてしまう。そんな話をよく聞くかなと思います。プレッシャー期でありつつも諦観期に入る。この不協和な期間に入ってしまったことによって、そのギャップから離職行動を取ってしまう。そういった可能性が考えられるのではないかと思っております。
仕事に対しての認知を把握するために、業務に対しての認知だけではなくて、組織に対しての認知も知る必要があると考えまして、それについても合わせて調べております。
まずは左の図をご覧いただきたいのですが、入社後に時間を経るにつれて「問題について意見してもムダだよね」と思ったり、「挑戦に対して評価されないよね」と感じたりするので、そこがガクっと下がってきている。「ぜんぜん評価されないよね」と、組織に対して無気力感を覚える。そんな様子が見て取れるかなと思います。
また右の図をご覧いただきますと、管理職の方が「人材・組織体制が不十分だな」と感じているところも見て取れます。
これらをいったんまとめてお話しさせていただきますと、「ヒント②」と題しております。組織体制をしっかり拡充するとともに、入社直後のプロアクティブ行動と言われるようなものをしっかりと容認することが、組織内の改革人材を増やす。これが1つ言えるのではないかなと思っております。
入社直後のプロアクティブ行動とは何かという話なのですが、規定された業務以外にも自発的に行うような行動があるかなと思います。それに対して、「そんなことはいいから目の前のことをやってくれよ」と、あしらってしまうことによって、報いる状態をなかなか作れていないのではないかということを示しています。
あらためて今回の結果をおさらいさせていただきます。3年目を越えると次第に業務負荷は下がっていくのですが、1年目で下がった感情面は再度ポジティブな方向に向かうことはないということです。
もう1点です。1年目以降は、「問題に意見してもムダなんだな」「挑戦は評価されないんだな」と、そんなふうに感じるわけでございます。また管理職視点でも、「組織体制をなかなか十分に作れてないな」と思うわけです。
これらからどういったことが考えられるかという話ですが、1年目で「入社時に抱いていた期待が裏切られてしまったな」「問題を意見してもムダで、挑戦は評価されないな」と感じる。2年目、3年目と自然に業務負荷が高まっていくわけですから、その中で転職という選択肢をとらない場合、それはもう組織の現状を受け入れなきゃいけない、と思うわけです。
そのような一連のプロセスを経る中で、保守的な性質を持った人が残っていって、かつそれがエコーチェンバー的にどんどん強くなっていく。そういうことが結果から考えられるのではないかなと思いました。
それに対してどういったことが行えるかという話です。もしそういった現状を「受け入れてくれよ」と言う場合は、業務の特性と個人の適性がちゃんと合致しているのかが、採用と配属プロセスにしっかりと組み込まれなければならない。
ひいては「リアリスティックジョブプレビュー」と言われるような、組織に入る前に良い面も悪い面も合わせて、しっかりと情報提供をすることが必要になってくると思っています。
一方で、「それでもやっぱり組織として変わっていくべきだよね」と考える場合は、しっかりと組織体制を拡充するとともに、先ほど申し上げたような自発的な行動もしっかりと容認していく。それによって組織内の改革人材をしっかりと増やしていくことが、必要になるのではないかなと考えております。
最後に、組織の志向性についてお話しさせていただきたいと思います。我々が日頃お客さまと接する中で得たものやいただいた言葉から、18問の組織志向性に関する設問を設定させていただいております。
その設問に対する回答を主成分分析という統計分析にかけまして、経理・財務部における組織志向性が、3つのカテゴリーに分かれることが明らかになったという内容です。
この部分はなかなかややこしいので、少し説明をさせていただきますと、1つ目は「経理職の進化志向性」と呼ばれるカテゴリーです。具体的には、経理業務の伝統的な役割・枠組みを越えて、より参画的な役割を果たそうという意識が強い場合に高まっていくカテゴリーです。
また、このカテゴリーについて各設問を眺めていくと、現状維持や伝統的な業務の範囲を越えて、「新しい業務への拡大を目指していこう」「業務の変革を望んでいる」といった方がスコアをつけるカテゴリーになっております。
2つ目は「経理職の保守性」です。こちらは業務範囲に対する受け入れ度合いで、保守的な態度を示しているカテゴリーです。具体的には、例えば承認や確認するといった、経理の伝統的な業務にちゃんと注力して、各自の役割を黙々と追求しようよという方がこのスコアが高くなります。
また各設問項目を見ていきますと、他部門との連携や交流、広範囲における改善活動に対して比較的消極的な態度を示す設問も入っています。
3つ目はリソース管理とコスト・効率面に対する意識です。ここは少しややこしいのですが、専門的な能力や知識をちゃんと経理組織の内部に貯めていこうじゃないか、という意識の高い方がスコアが高くなるカテゴリーです。
今回、最も強調して申し上げたいなと思っているのが、この調査を基に「攻めの経理」や「戦略経理」の1つの側面をとらえることができたのではないかなということです。
これらのカテゴリーを軸に分けて、それぞれの象限がどういう層かを見ていったわけでございます。その中で、「進化志向性」と「保守性」の2軸をとった時の右上の層(戦略経理)。進化志向性が高くて保守性が低い層は、既存業務や組織にとらわれることがなく、新たな役割を追い求める。
あくまでも「本調査においては」というところではありますが、この層は戦略経理的素養も持っている層なのではないかと、私どもは考えたわけでございます。
また、戦略経理的素養を持ったこの層はどういった特徴があるのかな? というところも聞きました。ほかの層と比較してになりますが、戦略経理的な素養のある層からは、比較的「人や組織の体制が十分だな」というふうに感じていることが見て取れたわけでございます。
もともと当初の調査設計をする際に、「もしかしたら戦略経理的な素養のある方は、業務の時間的な制約、上層部の経理に対しての理解、システムへの評価に対しても高い評価をしてるんじゃないかな?」と思いました。しかし今回の調査からは、そういったところは見て取れなかったです。
私どもの調査から見た「攻めの経理」実現に向けたヒントの3つ目ですが、近年は「DX化」で、システムなどハードの側面に対しての投資が先行していると思います。一方で、もしかしたら人や組織への投資が戦略経理につながるのではないのかな、ということが1つ見えました。
あらためて結果をまとめさせていただきますと、経理・財務部における組織志向性は、本調査では3種類のカテゴリーに分かれました。戦略経理的素養のある層は、ほかの層と比較して、人や組織体制が比較的十分だなと感じているわけです。
また戦略経理か否かによって、「業務の中の時間的制約に余裕があるから、戦略的なことに取り組めるのかな」「上層部がよく理解してくれているからそういった活動を行えるんだ」「良いシステムを使っているからそういったことができるんだ」という結果が出るのかなと思っていたのですが、あくまでも今回の調査ではそういった結果が得られませんでした。
ですので、考えとしてまとめさせていただきますと、システムなどハードの側面への投資が先行しているが、それが役割転換に結びつくわけではない、というところが1つございました。あとは、人や組織に対しての投資をしっかりすることが、もしかしたら役割転換を実現する可能性に結びつくのではないかなと考えたわけでございます。
じゃあ、そこに対してどういうことをやっていくのかです。新しい役割や主体的な業務の獲得を求める場合は、権限委譲など組織への投資、あとは研修や採用に対しては人への投資をやっていく必要があるのではないかと考えたわけでございます。
そのステップとして、「どの方向性に向かって組織を進めていくんだっけ?」「現状はどこなんだっけ?」という議論をしっかりした上で、なかなか業務の構成余剰はないと思いますので、改善によってしっかりと余白を作っていく。および人や組織をしっかりとアップデートしていく。
それを組織に実装していくことによって、戦略経理の実現に結びつくのではないか。そんなことを考えたわけでございます。
最後に、先ほどの4象限についてもう少し深掘りをさせていただき、組織改革と役割転換に向けたお話をさせていただきたいなと思います。
はじめに、左下の「従来型経理」についてなのですが、こちらは保守性が高くて進化志向性が低い層です。変化に伴うリスクを重視して、これまでの業務をしっかりと踏襲していくことを目指し、リスクの軽減をしていこうという層になります。
続いて、左上の「小さな経理」は保守性が低くて、進化志向性も低い。省力化や自動化、定型業務のアウトソースをガンガンしていって、「コストを削減していこうよ」ということを考えるような層です。こちらは、バックオフィス全体に対して要請されることの多い方向性になってくると思います。
続いて、右下は「エキスパート経理」と銘打たせていただいているのですが、こちらは保守性も進化志向性も高い。例えば、決算早期化やリアルタイム性の向上に強く取り組む。経理業務としてのレベルを一段階上げていこう、という層になるかなと思っております。
最後に、右上の「戦略経理」は、保守性が低く進化志向性が高い。こちらは経理業務だけではなくて、しっかりと他部門などに対しての貢献を目指す層になると思っております。これは今後の社会変化によって、より一層求められることが多い方向性になってくるのではないかなと思っております。
しっかりと組織としての力にレバレッジを効かせて、複雑化する環境に対しての対応をしていく。そういったことを目指した方向性になると思っております。
あらためて冒頭の問いに戻りますと、「みなさまの会社の経理・財務はどのような組織でしょうか?」というご質問になります。ヒントをおさらいさせていただきますと、まずは業務の現状を明らかにしていって、ちゃんと足元を固めましょう。組織体制を拡充していくことによって、組織として改革人材を増やしていきましょう。
あとは、システムなどハードの投資だけでは、なかなか組織としての変革には結びつかないようですから、人や組織に対しての投資をしっかりとやっていきましょう。このようなことを、我々からヒントとしてご提示させていただきたいなと思っております。
また、どのような方向性を目指すかは各組織によって異なると思うのですが、我々としては今回の結果から見えた内容を足掛かりに、より良い働き方の提案、およびその実装を進めさせていただきたいと考えております。
そういった考えにご賛同いただけましたら、ご自身の組織の現状とあるべき姿に思いを巡らせていただきまして、本日からでも明日からでもいいですし、周囲の方とこういったお話をしていただけたらなと思います。
こちらのもとになった調査レポートにつきましては、弊社ホームページの資料・コンテンツページにアップロードさせていただいておりますので、もしよければご覧いただければと思います。以上、戦略経理実現に向けた組織の在り方・取り組み方としてお話しさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。
パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
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