昨今、顧客のニーズや要求に柔軟に対応し、付加価値を提供する「オファリングサービス」が注目を集めています。住友商事グループの中核IT企業の
SCSK株式会社が新たに展開する、デジタルオファリングサービスの展望とは。本記事では、同社のPROACTIVE製品責任者の志村尊氏が、AIを中核に置いて経営と業務を支援するサービスの構想を語ります。
世の中を大きく動かしてきたITサービス
志村尊氏:ご紹介に与りました、PROACTIVE製品責任者を担当しております志村です。「PROACTIVE」のAIセントリックな製品の全容をお話しさせていただく前に、少しだけ革新的技術についてお話をさせていただければと思っております。
スマートフォンとクラウドといったところがIT業界(というと想起されやすいサービス)ではあると思っておりますが、スマートフォンは2007年の「iPhone」の登場を契機に、直感的な操作性と「App Store」を通したアプリケーションの提供によって、私たちの生活を一変させてきました。
さらに、Googleの「Android」といったものが参入して競争は激化し、価格の低下と性能の向上が進んで、スマートフォンはより多くの消費者に届くようになりました。
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一方、クラウドコンピューティングといったところは、2006年に「Amazon Web Services」が開始されたところを契機に普及が進みました。クラウドは企業が自社で物理サーバーを保有せずに、必要に応じてリソースを利用できます。
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こうした柔軟性とコスト効率を提供することにより、スタートアップ企業から大企業まで幅広い層がクラウドを採用することができました。
GoogleやMicrosoftの参入によって競争はさらに激化し、クラウドのサービス価格は低下し、機能は向上しているといった事実がございます。クラウドの利点は、デジタルトランスフォーメーションといった推進にも今日現在貢献していると認識しております。
「革新的技術」に見られる3つの共通点
革新的技術には、3つの共通点があると思っております。1つ目は技術の革新による利便性の向上。2つ目はコスト効率の改善。3つ目はスケーラビリティを有していること。この3つが現代社会において、爆発的に普及するといったポイントの3つではないかと考えております。
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では、AIといったところについて、今後企業における普及率がどのくらい上がってくるかというと、私たちは間違いなく先ほどの2つに劣らない普及率を有していくと想定しております。
これによって、大企業の共創の技術進化が加速し、AIはこれらの要因によって、今後さらに広がって日本のビジネスに浸透していくと位置付けております。
AIを中核に置いて経営と業務を支援
これらを踏まえた上で、私たちのPROACTIVEの次期構想のコンセプトを「AIセントリック」というふうに銘打たせていただきました。
繰り返しになりますが、PROACTIVEは、今後AIを中核において経営と業務を支援してまいります。それらを支える「PROACTIVE AI」と、テクノロジーの部分では「ATWILL Platform」といった2つの構成で、業務特化型オファリングと業界特化型オファリングといったものを構成してまいります。
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先にPROACTIVE AIのほうをご説明させていただきます。コンセプトとして、「一歩先を行く経営示唆を提供し業務の高度化と効率化を実現するアクショナブルAI」というふうに位置付けてまいります。
AIの本質を業務に利用する場合に、何に集約するかといったところになりますが、1つは業務効率化・自動化、ミスの軽減といったところ。もう1つは、幅広いデータから経営の高度化を模索していくところで活用できるのではないかと考えております。
業務効率化・自動化といったところでは、例えば、申請入力業務では、対話型でわかりづらいマニュアルを排除して、AIの補助で入力ができる。その申請を受けて承認者が間違いの少ない申請をAIから教えてもらうことで、スムーズな業務処理につながっていくと考えております。
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今日はブースのほうで、このPROACTIVE AIを活用したユーザーインターフェース、Microsoftさんの「Teams」の活用例がご覧いただけると思います。
こちらは画面のサンプルになりますが、向かって右側の領収書をAI-OCRで読み取って、交通費精算を行いたいという例になります。この後はAIと対話型で出張の申請を終了できます。
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実際我々のほうでも、10分かかっていた申請処理が3分程度で終えられるという実測値が出ておりますので、アジリティを上げていくといったところに大幅に寄与できるのではないかと考えております。
データ分析のPDCAサイクルは、今後「ABCDサイクル」へ
2点目です。経営の高度化といったところで、PROACTIVEは、SCSK-AIといったところの技術力等を結集して、マルチAIエージェントを搭載してまいります。ここでのポイントはマルチAIエージェントといったところで、1つのAIエージェントではございません。
経営のアドバイスについて一方的な見方ではなく、多角的な物の見方ができるように複数のAIエージェントで構成されていることが特長になってまいります。
データの分析においては、まず先にAIがざっくり傾向を分析してくれると考えております。その次に詳細を確認するのにBIを活用する。その後、CheckしてDoと。今までPDCAと呼ばれていたサイクルは、ABCDといった順番で業務処理が変わっていくのではないかと考えております。
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これらのPROACTIVE AIといったところは、現在ご覧の4業種でPoC、実用化といったところを検討している最中になっております。
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PROACTIVEのトップ画面にはAIダッシュボードを搭載しております。
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AIの分析コメントが、実際に次にどういったアクションにつなげられるかといった(提案をする)アクショナブルAIを搭載しています。ユーザーが何を確認すればいいか、どういったところに気をつければいいか、次にどういったアクションをすればいいかといったところを、示唆として与えてもらえるようにしてまいります。
現在PROACTIVEでは、連携商品にAmazonの「QuickSight」でBIを実現しております。こちらも今後、「Bedrock」といったところの活用で経営の効率を上げていきたいと考えております。
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データの活用といったところですが、当然社内には財務データ、それから昨今話題になりつつある非財務データ、それから社外にあります外部データと、大きく3つの要素があります。
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これらを柔軟に取り入れることによって、財務予測の高度化、アジリティの向上、それから販売戦略のダイナミックな適応、リアルタイムリスクマネジメントといったことをERPの中で実現していきたいと考えております。
マルチモーダル対応のプラットフォーム
次はプラットフォームになります。PROACTIVEのERPを構成するプラットフォームとして、ATWILL Platformといったものが搭載されております。こちらのプラットフォームの特長は、エコシステムを構築しやすいことです。また、ローコード、ノーコードですので、PROACTIVE自体はローコードで実現されていくかたちになっております。
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このプラットフォーム自体は、マルチモーダルに対応するといったところで、マルチデバイスや音声、テキストなどに対応していくといった特徴がございます。これらを組み合わせて、業務特化型、業界特化型オファリングを実現していくといったところが基本的な戦略になってまいります。
実際にビジネスオファリングとしては、PROACTIVEの各モジュール群と、ATWILL Platformを起点としたテクノロジーオファリングを展開してまいります。
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最後に革新的な技術のお話をさせていただきましたが、その裏には必ずシェアとしてなくなっていくものがあります。携帯電話であればポケベル、(カメラであれば)「写ルンです」。そういった商品がシェアを落としていく結果となっています。
クラウドについても、オンプレミスなシステムがなくなるといったようなものと同時に、作業者としてスケーラビリティを考慮するといった行為はなくなっていくと思っています。
では、「私たちのこのAIセントリックなERP、ビジネスアプリケーション群が台頭してきた場合に、なくなっていくものといったものは何か?」という問いをさせていただきたいと思います。
間違いなく言えるのは、従来型のERPについてはニーズが減っていくだろうということです。以上です、ありがとうございました。