2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
学生が1on1を通じて語り、得たものとは(全1記事)
提供:オトナタチ一般社団法人
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長谷川亮祐氏(以下、長谷川):さっそく、第一部を始めていきたいと思います。
あらためまして、僕たちは「Otonatachi」という団体です。まずは、僕たちのことについて少し紹介させていただきます。
2018年に創業して、今は非営利団体で「1on1 college」という事業をしています。学生向けに月1回、1時間を目安に社会人メンターとのオンラインでの1on1を無償で提供しています。
対象になるのは、高校生、大学生に加えて、大学、修士、博士までの学生。たまに中学生からも連絡をもらったり、ほかにも短大とか、専門、浪人中や休学中の学生さんとかが利用してくれたりしています。
僕たちは、法人や個人の方々から寄付をいただいていて。おかげさまで学生たちは無料で何回でも1on1を使い続けられるっていうようなかたちになっています。
今回のトークイベントのタイトルは、「言葉にすること、問いをもらうこと」。せっかくなので、「言葉にする」っていうことをみなさんとやってみたいなと思っています。
お隣の人と2人1組になって、「この1週間はどんな1週間でしたか」っていうテーマでそれぞれ3分ずつくらい話を聞いてみてください。
めちゃくちゃ盛り上がってますね。すごい。聞き上手が集まっているのか、おしゃべりが集まっているのか(笑)。
話してみて、なんか気づけたこととかありましたか? 意外とおもしろい1週間だったなとか。けっこう大変だったなとか。
僕たちは、話す力っていうものを信じてこの活動をしていて。3分でしたけど、ちょっとでもそれを感じていただけたらな、と思ってやってみました。
さっきは3分でしたけど、1on1 collegeではこれを毎回1時間やる。1時間を全部使って1週間を振り返るわけじゃないですけど。今日のゲストは、1on1を通じて言語化することを2年半のあいだ、毎月やってきた人たちです。
じゃあ、さっそく2人に話を聞いていきたいと思います。前に来てもらってもいいですか? みなさん、拍手でお迎えいただければと思います。
(会場拍手)
長谷川:卒業生の鈴木光さんと、川俣友さんです。よろしくお願いします。
長谷川:まずは簡単に自己紹介を。今何をやっているかとか、学生時代のこととか。簡単に話してもらってもいいですか。
鈴木光氏(以下:鈴木):よろしくお願いします。鈴木光と申します。自分は、多摩美術大学というところの油画科を卒業して。そこから2年働いて、今はフリーターをやっています。
1on1 collegeは、大学2年の時から使い始めて。3年弱ぐらいずっとお世話になっていて。体感的には、大学生活の間ずっと使っていた感じです。
自分の場合は毎月、月末に作品の制作をして発表するっていうシステムをメインに大学生活のことを話していました。
川俣友氏(以下:川俣):川俣友と申します。私は秋田県出身で、大学は国際教養大学っていう秋田の大学に通っていました。今は外資系のコンサルティング企業で働いていて、社会人2年目になります。
大学2年生くらいの時から1on1 collegeを始めさせていただいて。大学の授業に長谷川さんが来たのがきっかけで、その頃からずっと1on1で毎月お話しさせていただいていました。
長谷川:2人とも2年半くらい1on1 collegeを使ってたよね。(鈴木)光くんは、卒業してから2年経っている。川俣さんは、1年ちょっと前までは毎月話していたって感じだね。
もう少し話すと、光くんは1on1 collegeのHPに載せている利用者インタビューにも出てくれているので、その時に会ったことあるんだけど、川俣さんとは直接会うのは初めてだよね。背がちっちゃかったんだっていうのを初めて会って知った(笑)。
ほとんどの人は1on1 collegeで毎月しゃべっていても、生身として会ったことはない人ばっかり。川俣さんは、今日初めて会ってみてどうだった?
川俣:想像どおりです(笑)。
長谷川:さっそく当時のことをちょっと聞いていきたいんだけど、そもそも、どこで知って、なんで始めたかみたいな話を聞いてもいい?
川俣:私が知ったきっかけは、さっきもすこし話したんですけど、大学のキャリアデザインっていう授業です。長谷川さんがゲストスピーカーみたいなかたちで登壇されていて。
授業の最後で、「実はこんなことやっています」って1on1 collegeの話を聞いて。おもしろそうだなと思ったのが始めたきっかけでした。
ちょうどその頃コロナがすごい猛威を振るっている真っ最中で。将来描いていたプランが全部崩れ始めているな、留学も行けないだろうなっていうふうに思っていて。自分一人で考えていてもあんまりいい案が浮かばないかもって思って、長谷川さんと話してみることにしました。
長谷川:当時はOtonatachiの活動を始めたばかりだったから、いろんな大学とかに行っていて。その時にたまたま川俣さんと出会ったんだよね。光くんは覚えている?
鈴木:覚えています。自分の場合はちょっと特殊っていうか、ちょっとおもしろい感じで。
自分が子どもの頃から通ってた造形教室があって。そこの先生が長谷川さんとたまたま知り合いだったので、「こういう人がいるけどどう?」みたいな話を聞いたのがきっかけでした。なので、わりと受動的というか、本当に偶然お会いしたみたいな感じでした。
ちょうどその頃は制作で悩んでいることがあったんです。あと、美術大学っていうものに対してもちょっと違和感があったりして。そういう話をできたらなと思っていたら、長谷川さんとの1on1がすごく良くて。それがそのまま大学生活の間ずっと続いたっていう感じです。
長谷川:光くんがやり始めた時って、僕がまだ前職のチームラボにいる時。Otonatachiの法人格もなくて、1on1 collegeっていう名前もなかったし、なんなら利用実績もほぼないみたいなタイミングで。よく使ってくれたよね。
鈴木:そうですね。知り合いの知り合いだったのもあるかも。
長谷川:知り合いっていうのは大きいよね。その1年後とはいえ、川俣さんが使い始めた時もまだまだ始まったばかりだった。
川俣:そうですね。確かその頃にいたメンターの人も長谷川さんともう1人くらいで。申し込んでみたけど、あんまり多い団体ではないのかなっていうのが、率直な感想でした(笑)。
長谷川:それでよく使ってくれたよね(笑)。最初は不安とかあったでしょ。いろんな人から、学生はどこで1on1 collegeを知るんですかっていう質問をすごくよく聞かれる。不思議がられていますね。なんでわざわざOtonatachiを使うのかっていうのが。
川俣:私は長谷川さんと話して、直感的に信頼できる人だなって思った部分があったので。怪しい人だな、っていう気持ちにはまったくならなかったです。
長谷川:そっかそっか(笑)。そういう感性の持ち主でよかった。2人とも当時のこととか、話してたこととか覚えてる?
鈴木:僕は多摩美術大学の油絵科に入れてもらったんですけど、美術を教える教育機関っていうもの自体なんか疑いがあって。もっと言うと、多摩美術大学っていうのが橋本っていうすごい田舎にあるんです。
長谷川:橋本にお住まいの人がいたらすいません(笑)。
(会場笑)
鈴木:地元の方がいたら本当に申し訳ないんですけど、あそこがすごく嫌で。最初はそういう文句をずっと言っていた気がしますね。
長谷川:そうだったね。当時感じていた、美大の違和感って具体的にはどういう感じ?
鈴木:そうですね、「美大感」っていうのがどれくらいみなさんが共有されてるか分からないんですけど、美術教育を大学的なカリキュラムで教えるってこと自体が、僕はすごい異質だって思っていて。
大学では、最終的に評定を付ける。評価が定められる時に、美大の教授はわりとふわっとした感じで物事を評価している。そのアンバランスさというか。作品の評価と大学的な点数をつけるっていうシステムが噛み合っていないのに、それが噛み合っている状態だっていうふうにしていることに違和感があったんです。けど、そういうことを誰にも言えなかった。
長谷川:1on1を始めた頃は、大学のことも、橋本のこともすごく嫌いだったもんね。
鈴木:すごく嫌でした(笑)。
長谷川:うん、覚えている(笑)。川俣さんは当時、何を話していたか覚えている?
川俣:私は、将来何やりたいかっていうことを話していました。この先5年とかじゃなくて、人生っていう面でもけっこう話していたような気がして。
大学2年生の時から、1on1ではずっとそれについて話していて。ちょうど3年生の頃からは就活も始めたので、キャリアのこととかも含めて、ずっとそのテーマを話していたかなって記憶しています。
長谷川:確かにね。出てくる話題はいろいろあったけど、一貫して何をしたいかっていうことを話していたよね。
川俣:そうですね。いろんなところに寄り道していた気がするんですけど、一貫してキャリアの話だったかなと思います。
長谷川:そうだね。ちなみに、今の仕事に関係するものも、そうじゃないものもいろいろあったよね。それこそ、カフェをやりたいって話から、国際協力に行きたいって話まで。もっと絵を描きたいってことも話してたね。
川俣:いろいろありましたね。
長谷川:みなさんとの1on1は全部ノートにとってあって。昔のノートも、残念ながら全部残ってるんですよ。今日は久しぶりに2人に会うから、1on1のノートを見返しながらここに来ました。
川俣さんの1回目は2020年の8月5日。ちょうど4年前ぐらいだね。当時「なんで1on1やりたいの」って聞いたら、まさにその「将来のことを話したい」っていうことだった。それこそ、1回目から、いつかはJICAに行きたいって言ってたよね。
川俣:思い出しました! そんなことも話してましたね。
長谷川:2人はそれぞれ違うテーマについて話していたけど、当時、毎月1時間の1on1を通じて、どんなことを得ていた?
鈴木:さっきも言ったんですけど、自分は月末にその月にあったことを聞いてもらうとか、作品制作のこととか。システム自体への疑問を聞いてもらうっていうふうに思っていました。
1on1 collegeは具体的に解決策を出してもらうものではなくて。こっちの考えていることを聞いてもらって、自分の中でそれを整理していく時間だったイメージがあります。
長谷川:Otonatachiの1on1ではアドバイスとかはしないもんね。光くんは、学校とか橋本のことについて話していく中で認識が変わっていったよね。
鈴木:そうですね。橋本のことも、すごく好きになりました。
長谷川:なんで橋本を好きになったの?
鈴木:ローカルな話になっちゃうんですけど、橋本の駅から大学までけっこうな距離があって。学校までの道は何もないから、ひたすらグレーのコンクリートの道を進むしかない。
そこをずっと行き来していて、何もない街だなって。でも、ある時大学の反対側に足を運んでみたら、自然豊かな公園があって。歩いてみると、良い景色が見つかったりして。土地の良さを長谷川さんに説明しているうちに、いろんな発見がありました。
長谷川:それこそ、卒業制作のテーマとの出会いもその公園だったよね。
鈴木:公園に池があって、そこに木が生えているんですけど、枯れているみたいに見えるっていう状態で。それがすごくかっこよくて。それをきっかけに卒業制作をつくりました。そういう出会いができたのも、今思えば1on1のおかげだったなって。
長谷川:たまに話すだけなのに、なんで大学のこと好きになったり、これまで行かなかった大学の裏側に行ってみようと思ったりするようになったのかな。今振り返ってみて思うことはある?
鈴木:その月にあったことを説明するのって、まあまあ体力がいることというか。自分の中でも整理しておかないと、話すことって意外となかったりするんですよね。大学生の間は特に、寝ているだけで1日が終わっちゃったりするんで。そういう時に、1on1があることで、能動的になれたっていうのはありますね。
長谷川:おもしろいね。あと、印象的だったのが、光くんが大学教授を天敵だと思っていたってこと。別にそのまま変わらなくてもよかったと思うけど、それについても1on1を通じて認識が変わっていったよね。それはどうして?
鈴木:今もまだ、教育システムに対しての疑問はあるんです。でも、それぞれの立場があるというか。ちょっとネガティブな言い方ですけど、そのシステムを構成している人も、人間でしかないから。
要するに、俯瞰してみるとどうなの? っていうふうに疑問に感じることでも、その本人がその瞬間はいいことだと思ってしていることもあるんだろうなって。
長谷川:おもしろいよね。なんでそう思うようになったの?
鈴木:さっきも言ったんですけど、月の最後に長谷川さんに説明するために、自分なりに理屈を考えているというか。何かを感じた時に、なんでそう思っているのかっていうのを、考える。支離滅裂なことを言うわけにはいかないので。
長谷川:支離滅裂でも、怒られたりはしないけどね。
鈴木:なんで嫌なのかとかも、ちゃんと考えてみると訳がわからない理由だったりもするじゃないですか。理屈を考え出すと、意外と整理できるっていうか。いい意味で、大した問題じゃないんだなって思えることもありました。
長谷川:確かにね。川俣さんは当時の話で覚えていることはある?
川俣:まさに今、二人が話していたのが1on1みたいだなって思いながら聞いてました(笑)。
本当に、ほとんど質問しかされなかったなっていう記憶があって。「こうした方がいいよ」とかってアドバイスを言われるわけじゃないんで。
メンターとしてっていうよりも、長谷川さんっていう、会ったこともない大人の人と話しているような感覚。だからこそ言えることがすごくあった。
長谷川さんは、自分の考えを整理する上で必要な質問を投げかけてくれていたので、自分の考えを整理したり、なんでだっけ? って振り返る時間だったなって思います。
長谷川:会ったことがない良さっていうのは、どういうところだったの?
川俣:これはたぶん、私の性格も関係するんですけど。私はすごく”気にしい”な性格なので、実際に会っていたら『こんなことを話したら、こんなふうに考える人間って思われちゃうかも』とかって考えすぎちゃうと思うんです。
けど、長谷川さんはオンラインで月1回しか話さない人。直接的な関係もないので、逆になんでも言えちゃうなって思っていました。
長谷川:近い人だから言えることもあるのかもしれないけど、距離があるから話しやすいこともあるよね。
川俣:そうですね。近い人だからこそ言える話って、友だちとの人間関係とかだと思うんですけど、私の場合、悩んでいたのがキャリアとか、人生で何をしたいんだろうっていうことで。それって、自分を取り巻く環境とか人間関係を知らない人に聞いてもらったほうが、話しやすかったのかなって思います。
長谷川:おもしろいね。1on1で印象的だった回ってある? ちなみにほとんどの人は、あんまり覚えてないんですよ。
川俣:たしかに。正直、あの日はすごかったなっていうのがぱっと出るわけじゃないです。でもそれって、毎回平均してすごく満足度が高いから、突出していないっていうことなのかなと個人的には思っていました。
私の場合は、ある月はカフェをやりたいって言っていたのに、次の月にはやっぱりJICAで働きたいって言ったり。そのあとは、出版社いいかもって思ったりもして。さらにその次は、やっぱり外資コンサルに行きますってなって。本当にコロコロ変わっていたので。度重なる心変わりを経て、今にいたっているのかなって思います。
長谷川:1on1を使ってくれる学生の中には、数回だけ使って終わる人もいるんです。でも、2人は大学が終わるまで2年半使い続けてくれていたよね。続けたいと思ったのは、なんでだったの?
川俣:私は、やりたいことが本当にコロコロ変わっていて。今の会社の内定を承諾した後も、ずっと悩み続けていたんです。それを考えると、長谷川さんに私がどうなるかを見守っていてほしいっていう気持ちがちょっとあって。それで、大学を卒業する月までずっと使い続けていました。
鈴木:自分は、美大そのものに疑問を持っていて。美大で勉強していく上で1on1をセットでやるのが一番しっくりくる感覚があったから、最後まで継続しました。
長谷川:ビフォーアフターじゃないけど、長いこと使ったからこそ、振り返ってみて、得たこととか、影響があったっていうものはある?
川俣:私の場合は、「これは自分の選択だ」って思えるようになったのがすごく大きい気がしています。
昔から気にしいな性格だったので、親はどういう道を好むかなとか、こういう道を選んだら地元の人からすごいって思ってもらえるかなとか。自分の人生に関係ないことばっかり考えていたんです。
1on1 collegeを通じて「川俣さんは何をしたいの」っていうことを長谷川さんが常に問うてくれていたような気がするので。自分の人生の選択主権が自分にあって、外資コンサルっていう道も自分でちゃんと選んだって思えるようになったのは、大きな気づきだと思います。
長谷川:コロコロした時間は川俣さんにとって良い時間だったんだ。
川俣:すごく良かったですね。
長谷川:最終的に今のキャリアはどうして選んだの?
川俣:結局、最後の決め手は「1回社会に飲まれてみよう」っていうところだったような気がしています。
やりたいことは、カフェを開きたいとか、自分で本をつくってみたいとか。サラリーマン的な道ではなかったんです。けど長谷川さんと話す中で、1回社会に飲まれてみることで気づくこともあるかなっていうふうに思う部分があって。今は、飲まれてます。
長谷川:光くんは、1on1を通じて得たものって何かある?
鈴木:自分も川俣さんと近い部分があって。自分の卒業後の流れを説明すると、就職活動をしないでご縁で会社に入社して、2年働いて、今はフリーターをしています。
美術大学ってちょっと歪で。自分は油絵科だったんですけど、油絵科って卒業後就職する人ってあんまりいない。アーティストにならないといけないみたいな雰囲気があって、バイトとかをしながら絵を描く人が多いんです。でも、自分は1on1を通してそっちの道には行かなくていいなって思えて。自分は自分の道でいいと思ったんです。
そのあと、仕事を2年やって辞められたのも1on1のおかげかなって思っていて。
働いてみて、楽しい部分もあったんですけど、ちょっと難しい職場で。1on1がなかったら、なんかやだなって思いながらも、なあなあにして働いていたんじゃないかなって思います。
長谷川:1on1と、仕事を辞められたことがどう関係しているの?
鈴木:就職する時に、就活しないで働くっていう普通とは違う道を選んだのと同じで。1on1がなかったら、世間体とかを考えてもうちょっと働いた方がいいかもって思っていた気がします。
長谷川:なるほどね。辞める時はけっこう悩んだ?
鈴木:悩みましたね。1on1がなかったら、そもそもなんで自分が会社に対して嫌って思ったか分からなかったと思う。社会人2年目だから悩んでいるのかなとか、まだ社会に馴染めてないから、自分ができていないからダメなんだ、って思ったかもしれない。
でも、1on1の経験があったから、主観かもしれないですけど明らかにこの職種は合わないなっていうことに気づけたと思います。
長谷川:会社を辞めて、これからどうしたいとか考えている?
鈴木:前の職場にいた時から兼業でしていた美術制作系のバイトがあるので、今はそれを単発でやっていて。正規か非正規かは分かんないですけど、ゆくゆくはちゃんと働きたいなと思っています。
あと、卒業してからも一貫して制作は続けていて。制作を前提に考えるようにはしています。そういうふうに考えられているのも、学生時代にちゃんと話していたからだなって。
長谷川:まずは制作があるっていうのは、卒業する時も話していたよね。
鈴木:やっぱり一度何かをつくるっていうところに進んだ以上、ライフワークというか。つくったものを人に見せる、見せないとか、良し悪しは関係なくて。つくることを続けるために生きているっていうような考え方になっています。
長谷川:最近は何をつくっているの?
鈴木:最近は、漫画を描いています。
長谷川:漫画はずっと描いているね。
鈴木:大学で漫画の授業があって、それでけっこう褒めてもらって。調子のっちゃって(笑)。それ以来、ずっとハマって描いていますね。
長谷川:油絵も描いている?
鈴木:たまに油絵も描いたりしています。
長谷川:人によって違うけど、ライフワークとお金を結びつけようとは思ってないの?
鈴木: いろいろ考えたんですけど、結びつけようとして、結びつくものじゃないのかなって。当たり前ですけど、毎日ちゃんと描いてはいるんですけど。なんていうか、よくある問題として、好きなことを仕事にすると好きじゃなくなるなっていうのがあって。
長谷川:そういう話もあるよね。
鈴木:そうならないようにするには、ある程度自然の流れに身を任せる、じゃないですけど。あんまりあざとくしすぎない方がいいのかなって。
たとえば、作品を売り込みに行くとか。人に見せたりはするけれど、制作系のところに就職したりとか。そういうことはあんまり考えてないです。
長谷川:おもしろいね。川俣さんは?
川俣:そうですね。社会人2年目になって、すごく悩んでいる時期ではあります。
働いてみて、需要というか、人から求められているっていうこともうれしいし、やりがいを感じていて。やったことがないことも、意外となんとかできるんだなっていうところまでは気づいたんです。けど、じゃあそれが自分のやりたいのかなっていうことも考えていて。
最近だと、出版社とか本をつくることへの思いも再燃しています。第二新卒で出版社に入り直そうかなとか、最近は考えていたところです。
ただ、さっき光さんの話を聞いていて、ちょっと私と違う考えだなって思った部分があって。私は働いてみて、会社っていう後ろ盾があることのありがたさを身に染みて感じた部分があって。
自分にとっては、生活が担保されていることがすごく大事なんだなっていうことに気づいたので。カフェは向いてなかったかもなって働いてみて思いました。そういう意味でも最近は、自分が好きなことと、生活の後ろ盾が担保されていることが掛け合わさった出版社の道が魅力的に見えています。
長谷川:会社の後ろ盾のありがたさみたいなところって、何で感じたの?
川俣:一般的な就職の道は選ばずに、自分がやりたいことをしてる友人の話を聞くことがあって。「好きなことだったはずなのに、生活のことばっかり考えていて、好きなことを考える時間の方が少なくなった」っていう言葉が私にはけっこう刺さってしまって。
長谷川:刺さるね。ドキッとする。
川俣:私にとっては、生活に頭を悩まされて、好きなこと考える余裕がないのは理想じゃないなって思うようになりました。後ろ盾がある今の状況って、ありがたいんだなって。
長谷川:光くんは、それを聞いてどう?
鈴木:勉強になるというか。確かに働いていた時は収入がちゃんと安定していたので、その分、ちょっと高い絵を買うとか、けっこう無茶な制作もできていました。
自分は入社した会社の職種が合わなくてやめたんですけど、安定した場所があるなら、それはそれでいいと思っています。
長谷川:そろそろ時間なんだけど、2人はどんな人が1on1を使ったらいいと思う?
川俣:将来の夢が決まっていて、それに向かって突進している人とかですかね。「自分って本当にこれでいいのかな」って立ち止まるきっかけにもなると思うので。悩んでいる人だけじゃなくって、悩んでいない人にもすごくおすすめかなって思います。
長谷川:あえて立ち止まる。
川俣:そうですね。私にとっては、やりたいことがコロコロ変われた時間がすごく良かったなって思ってるので。そういうプロセスも大事だと思います。
長谷川:悩んでいない人がターゲットか。おもしろいね。光くんは?
鈴木:確かに、悩んでない人もいいかもしれないですね。たぶん、本当に悩んでいる人は答えを聞きに来ると思うんですよね。
悩みがある人たちからすると、「何にも教えてくれないじゃん!」ってもどかしく思っちゃったりするんじゃないかな。でも、1on1の場合は話を聞いてもらってそれを整理していく工程が大事だと思っていて。
1on1って、第三者の大人に話を聞いて質問してもらえるっていうシステム。それが活きるのは、やっぱり明確に何か問題があるっていう人じゃないのかも。
長谷川:おもしろいね。ちなみに、大学生時代の光くんはぜんぜん違う答えをしてくれていたので、もし気になる人がいたらOtonatachiのwebサイトを見てみてください。
長谷川:あっという間で、もう50分くらい経っているんですが、会場のみなさんから2人に聞いてみたいことはありますか?
(会場挙手)
参加者1:お話ありがとうございました。川俣さんにお聞きしたいんですが、長谷川さんが授業に来た時に興味を持ったのは自分のアンテナに刺さったというか、興味があることだったから申し込んだのかなと思うんです。同じ話を聞いても、申し込みたいと思う学生も、そうじゃない学生もいるんじゃないかなと思っていて。
川俣:ありがとうございます。おっしゃるとおり、私のように刺さった学生と、そうじゃない学生がいました。人数的には刺さった学生のほうが少なかった気がするんですけど、刺さった人の特徴もそれぞれ違ったなと感じています。
私自身は、そんなにガツガツ何かをやっていた学生時代ではなかったんです。そういう私みたいな人も応募していたし、やりたいことを見つけていて、すでにそれに取り組んでいるように見える学生も応募していました。
そういう人たちに何が刺さったかっていう共通項は、誰かに話を聞いてもらいたいかどうかっていうところだったなと思っていて。猪突猛進に進んでいる人も、やっぱり「どう思いますか」っていうのを聞いてほしいと思っていたのかなと考えています。今振り返ると、対話を求める人にとって、1on1 collegeが刺さっていたのかなと思います。
長谷川:おもしろいね。ちなみに同じ大学で誰が1on1を受けていたかって、知ってるの?
川俣:知ってますよ!
長谷川:そうなんだね。 俺からは誰が使っているか言うことはないから。知っているっていうのは知らなかったな。
川俣:そうですね。仲が良い人がけっこうやりがちではあったので。「私もやってるよー」っていう話をお互いにしていました。
長谷川:さっきの川俣さんの話だけど、たしかに一人で考えたい人は1on1 collegeは使わないですね。それは間違いなくある。だからかもしれないんですけど、利用者の3分の2は女性です。女性の方がたぶん、人としゃべって解決しようとする傾向があるかもしれない。分からないけど、なんとなくそうなのかなと話していて思いました。もちろん誰が来てくれてもいいんですけど、結果的にはそうなっています。
刺さる人の共通項っていう質問はおもしろかったです。それがわかったら、マーケティングがうまくいく気もします(笑)。ありがとうございます。他には何かありますか?
(会場挙手)
長谷川:すごいたくさん! ありがとうございます!
参加者2:お話ありがとうございました。お二人は学生時代、学校にある就職支援課みたいな場所を使っていましたか? その理由についてもうかがいたいです。
川俣:私は使っていません。理由は、大学のキャリアセンターが1つの業界に偏っていたというか。1つの業界にはたくさんの学生を輩出するんですけど、私がいるコンサル業界とかにはぜんぜん人が入らなかったりして。あまりダイバーシティに富んでいるわけではなかったんです。私は大学が特化している業界には興味がなかったので使わなかった、というシンプルな理由です。
鈴木:僕も使ってないです。大学のシステム上、学生とのパワーバランスをすごく感じて。システムを感じるのがすごく苦手だなって思っていました。
長谷川:実際、1on1 collegeを使っている学生の中には就職支援課を使っている方もいらっしゃいます。割合でいったら、使っている人のほうが多いかもしれないです。
参加者3:2つおうかがいしたいです。1つ目が、どれくらいのタイミングで長谷川さんを信頼できる人だなって思えたか。もう1つは、長谷川さんがいる前では言いづらいかもしれないんですけど、どれくらい自分のことを本音で話せてたのかってことをおうかがいしたいです。
川俣:ありがとうございます。どのタイミングで信頼できると感じたかについては、初めて1on1をした時から、信頼度は高かったです。
私自身、「こうした方がいいよ」って言ってくる人はあんまり信用できないところがあって。「それってあなたの感想ですよね」って思っちゃうんです。けど、長谷川さんは「そういう考えもあるんだね」っていうふうに話を聞いてくれていたので、たぶんなんでもこういったん受け入れて、そこから質問とかしてくれる人なのかなって思ったので、一発目からすごく信頼できてました。
2つ目の質問については、将来の夢とかそういう方面の話に関しては、たぶん一番本音を話していた人なんじゃないかな。かなり純度100パーセントで話していたかなと思います。
鈴木:そうですね。自分もちょっと似ているんですけど、大学で出会った大人って2パターンいて。 自分のことをまったく無視してくるか、めちゃくちゃ「こうした方がいい」って言ってくるか。だから、長谷川さんみたいなパターンの人は初めてでした。質問してくれて、ただ聞いてくれるだけみたいな人がいなかったんで。けっこう早い段階で他の人とは違うな、珍しい人だなって信頼はしました。
どれくらい本音を話していたかというと、自分もかなり率直なことをたくさん言っていて。具体的に言うと大学を辞めるとかそういうことも相談していました。当時油画科にいたんですけど日本画への転科を考えていた時期もあって。それについても、親には話していなかったけど、長谷川さんには言っていたので。そういう意味でもだいぶ率直に話していたなって思います。
参加者4:みなさんのお話をすごくおもしろく聞かせていただきました。ありがとうございます。1on1を卒業した後のこともおうかがいしたいんですが、卒業後に悩んだり、迷ったりした時にはどうしていますか? メンターみたいな人を探して話をしているのか、経験を活かして自分で内省しているのかをおうかがいできたらと思います。
川俣:私の場合は内省しているほうに近いです。長谷川さんを心の中に飼って、「長谷川さんだったらどういう質問をするかな」って考えながら自分でノートに書き出していて、まとめるっていうのをするようになりました。
長谷川:どんな質問をしてるのか気になる(笑)。
鈴木:自分も後者ですね。具体的に何をしているかというと、月末に今月あったこととか、嫌だったこととかについて考えて。嫌だ、で終わるんじゃなくて、なんで嫌だと思ったかとか、自分だけの問題なのか、それとも客観的に見ても嫌だと思うのかとか。そういう考え方をするようになっていて。それもあって、2年間社会人をやって、会社を辞められたと思います。
長谷川:おもしろいね。ちなみに、他の卒業生にも話を聞いたことがあって。メンターを見つけている方もいらっしゃいました。
参加者5:お話ありがとうございました。自分と向き合ったりとか、頭の中で考えたりとかしていくことってけっこう体力を使うことだなと思います。それに対して疲れちゃうこととかってないのかなっていう純粋な疑問と、それがあるのならどうやって打開しているかをおうかがいしたいです。
鈴木:疲れます(笑)。他の人がどれくらいいろいろなことを考えて生きているかはわからないんですけど、自分の場合は美大に行ったぐらいなので、考えることとかつくることがすごく好きで。そこが制作に直結しているというか。作品をつくることによって、考えていることもアウトプットができている部分があるので、そういうふうに解消しているのかな。
川俣:私も疲れるんですけど、でも同時に考えることが好きな人間でもあります。「何も考えずに生きたくない」っていうのは、昔から根底にある考え方かなって思います。
あと、あんまり参考にならないと思うんですが、「何も考えずに行きたくない=考えてる自分かっこいい」って思っちゃっている部分があって。ちょっとうぬぼれているんですけど。
考えれば考えるほど、自分のことをどんどん知っていっている。自分を俯瞰的に見た時に、「川俣友」っていう人間はこんな人だったんだっていうことを、さらに勉強できているような感じがして。私はそのプロセスがすごく好きなので、ちょっと考え方を変えて、自分を知るためのすごく楽しいプロセスって思うようにしています。
長谷川:いやあ、おもしろい。ありがとうございます。
お話はつきないですが、時間になってしまいました。トークの後、もしお時間があれば個別でお話ししてもらえればと思います。いったん、卒業生の二人とのトークの時間はこれでおしまいにしたいと思います。ありがとうございました。すごくたくさん質問が出てうれしかったです。ありがとうございます。
オトナタチ一般社団法人
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