
2025.02.12
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連続起業家|白石憲正が語る欧州でのスタートアップ挑戦(全1記事)
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——今回は、「日本人が世界で勝つためには?」といったテーマについて、白石憲正さんにご自身の経験談をお話しいただきました。日本人が海外で活動する際の心構えについて、以下の3点をもとに解説されています。以降で詳細を紹介していきます。
・言語の壁を越えて
・文化の壁を越える力
・人種の壁を越えた共創
——事業を始め運営していくことは、母国である日本でも難しく、海外となれば尚更難易度が高くなると思います。特に言語は、コミュニケーションで重要な役割を果たすため、英語に触れる機会が少ない日本人にとっては、大きな壁になると思います。その上で、海外に拠点を移し、活動されている白石さんが、心がけていることはございますでしょうか?
白石憲正氏(以下、白石): 私がみなさんに強く伝えたいのは、「英語が完璧でなくても大丈夫」ということです。重要なのは、自分のアイデアやビジョンを簡潔に伝えられるかどうか。私は、海外生まれでも、帰国子女でもないので、英語を第2言語として学びました。それでも、不完全な英語を恐れずに、積極的にコミュニケーションを取ることで、多くのパートナーシップを築き上げました。
以前、フィンランド発の北欧最大級スタートアップイベントである「SLUSH」が開催された際に、自身の事業を出展したことがありました。その際に、このスタンスでも十分やっていけるんだと、確信したんです。当時は、今ほど英語に慣れていませんでしたが、我々のプロダクトの良さが伝わるピッチを事前に準備し、堂々と英語でプレゼンしたところ、好評価を得ました。
しかし、当時日本から参加されている他の方は、どことなく自信なさげで場の空気にのまれている印象。せっかく成長しそうなビジネスアイデアも、魅力が薄れて見えてしまいました。 この経験から、決して英語が流暢である必要はなく、きちんとアイデアとビジョン、自信を持って伝えることが重要だと思ったのです。
白石:その後も、この姿勢で欧州での起業、M&A、現地事業会社での責任者など、目まぐるしい勢いで経験してきましたが、うまく切り抜けてこれました。極論ではありますが、テレビ番組の『世界の果てまでイッテQ!』に出演していた出川哲郎さんを見習えばいいんです。
出川さんが、たどたどしい英語でなんとか現地の方々とコミュニケーションをとりながら、ミッションをクリアしていますよね。たとえ、外国語が苦手だとしても、一生懸命に知っている単語と身振りを交えながら伝えようとすれば、言いたいことは伝わるんです。もちろん、ビジネスのシーンでは、より洗練された振る舞いが要求されますが、根底にあるマインドは通じるものがあると信じています。
英語が完璧でなくとも、問題はありません。伝えたいことをまとめて、果敢にチャレンジしていくと良いと思いますよ。
——海外で活動する上で、たくさんの苦労があると思いますが、言語の壁の次に「文化の壁」が挙げられると思います。この点には、どう向き合っていますか?
白石:異文化間の交流は、日本独自の文化や製品を世界に紹介する絶好の機会です。私は日本のアニメや技術などが、世界中で評価される理由を分析しています。異文化理解を深めることで、自身のスタートアップが提供するサービスや製品の価値を高めることができるのです。
従って、文化の違い=文化の壁とネガティブな見方をしないで、ポジティブな発想で向き合っていくと良いと思います。 もちろん、国や言語、宗教などが違えば、私たちの一般的な考え方と異なるアイデアを持つ人はいますが、それは日本人同士でも同様にあり得ることです。
そのように一部分を拡大解釈して、変な苦手意識を持ち壁を作るよりも、違いは当たり前のこととして、外部の人が日本をどう見ているのか、どんなところを魅力に感じているかに興味を持つ。そうすると、相手を理解でき、自分をその環境に適応させることができますよね。 ビジネスにも、この考え方を応用できます。日本人としての独自の視点や働きかけが、新たなビジネスチャンスを生み出すキーとなります。
世界で注目されている日本のコンテンツが、どうしてここまで人気を得たのかを緻密に掘り下げることで、日本人である私だからこそ作り出せて、外国の方にも楽しんでもらえる事業が作れます。発想を転換して、違いをチャンスに変えていきましょう。
——特に欧州は、地続きでさまざまな人種、国籍の方々が共生しており、島国の日本とは大きく異なります。多人種がひしめくような環境で、日本人が勝つためにはどうしたら良いでしょうか?
白石:グローバルなビジネス環境では、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と協働することが不可欠です。私は、多様性を受け入れ、異なる価値観を尊重することが非常に重要だと考えています。 現在は欧州に身を置いていますが、開発工程はインド人によって運営されている企業に協力を得ています。我々のアイデアやビジョンに共感し、ベストを尽くしてくれる人に、人種の違いは問題ではありません。
さまざまな価値観を交えながら事業を推進することは、決して簡単なことではありません。しかし、人種が違ったとしても、同じビジョンを持ち、チームメンバーとして迎え入れて、互いを理解しようとしながら共に歩めば 、正しい方向に進んでいくものです。
——白石憲正氏の経験から学ぶべきことは、言語の壁、文化の壁、人種の壁を恐れずに挑戦する勇気の重要性です。準備が完璧である必要はなく、自分の強みを信じ、積極的に異文化と交流する姿勢が成功への鍵となります。白石氏のケーススタディは、世界で活躍を目指す日本人スタートアップにとって、大きなヒントとインスピレーションを提供してくれるでしょう。
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