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COM-PJ後日談(全1記事)

2024.02.05

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がんで入院中に起業を思い立った看護師 「医療従事者・患者・患者の家族」のために生まれた闘病支援事業とは

提供:京都リサーチパーク株式会社

株式会社talikiと京都リサーチパーク株式会社が共催する、30才以下の社会起業家支援プログラ「COM-PJ(コンプロジェクト)」。その4期生12名の最終ピッチが行われ、MiaLuce Inc.代表の久保とくみ氏がKRP賞を受賞しました。 本記事では、KRP賞受賞者の久保氏と「COM-PJ」の主催者兼メンターの京都リサーチパーク・井上雅登氏、そしてtalikiの宇都宮里実氏による後日談の模様をお届けします。医療者・がん患者本人・がん患者の家族という3つの立場を経験した久保氏の視点から、今の医療現場の課題や起業に至った経緯が語られました。

自身のがんの闘病体験が起業のきっかけに

井上雅登氏(以下、井上):久保さんの事業って、本当にいろんな人が「応援したいな」と思うような事業だと、私自身もメンタリングさせていただきながらずっと思っていました。そういった中で久保さんがRe:live(久保氏が運営する闘病コミュニティ)とか、今回のMiaLuceを起業しようと思った背景をまず簡単に紹介いただけたらと思います。

久保とくみ氏(以下、久保):大きな背景としては、がんの闘病体験があったんです。3年前に自分が悪性リンパ腫という血液のがんになって、コロナ禍で闘病していました。

自分の家族が同時期にがんだったのも大きいと思うんですけど、医療者・がん患者本人・がん患者の家族という3つの立場を経験した時に、やはりオンラインでのがん患者さんをサポートするサービスがその当時はなかったのが実状でした。

入院している時はすごくいろんなことを考える時間があって、患者さんが抱える精神的苦痛や社会的苦痛が、本当に解決しきれてないなと。それをなんとかオンラインで解決できないものかなと入院中に思い立って、友人のエンジニアに相談しました。

息抜きで電話をしていて、ちょっと時間がある中で、何か土台じゃないですけど「がん患者さんをサポートするサービスを一緒に考えたいんだけど」っていうところから、事業のアイデアが始まりました。

井上:一番最初はそういった出会いと会話から始まったんですね。

久保:そうなんですよ。その友だちがたまたま近くに住んでいて。私は関東の病院に入院していたんですけど、もともと関西(出身)なので友だちが周りにあんまりいなくて。そのエンジニアの友だちの存在がすごく大きかったというのがありました。

お見舞いに来てくださったりとか、「たぶんつらいと思うから話聞くよ」みたいなところで、週に1回、2回電話をしていて。その中で「こういうアプリを作りたいと思ってるんだけど、どう?」みたいな。

医療系ではないんですけど、彼もアプリ開発の経験が1回あったみたいで、「やれないことはないし、おもしろそうだね」というのが始まりでした。

「匿名で話を聞いてほしい」という思いから生まれたサービス

井上:ちなみに初期の頃に考案したアイデアというか、どういったサービスを作ろうと思っていたんですか?

久保:ざっくりなんですけど、これはたぶん本当に心の中の苦痛から出てきたなと思っていて。まずはやはりコロナ禍で「このつらい私の話を聞いてほしい」と(笑)。聞いて、なんとか解決してほしいなという気持ちがありました。

「COM-PJ」最終ピッチでの久保氏


それは対面では嫌だったんですよ。対面で話すエネルギーもないし、匿名で相談できるサービスが欲しいなって思っていて。その相談先は別に医療者とか、特にそういうことは考えていなくて。とりあえず何か心に寄り添ってくれて、アドバイスや経験談、情報をくれるオンラインサービスが欲しいという、本当にざっくりとしたイメージがありました。

井上:じゃあ本当に久保さん自身の経験と、そのエンジニアの友人の方の経験が掛け合わさって始まったんですね。実際なかなか対面だと話しづらいし、エネルギーを使って何かやるのも厳しい状態だから、それだったらオンラインで。アプリ上で人とつながれるようなサービスがあるといいんじゃないか、と着想したんですね。

久保:そうです。本当に闘病生活を一緒に走ってくれるような存在、サービスが欲しかったんですよね。

井上:でもこうやってあらためて聞くと久保さんの事業には、いろいろと「歴史あり」ですね(笑)。

久保:(笑)。本当にそうなんですよね。

井上:久保さんの起業の経緯や事業についてはお話を聞けたところで、COM-PJの話に入っていければなと思います。

久保氏が「COM-PJ」に応募したきっかけ

宇都宮里実氏(以下、宇都宮):私からも質問いいですか?あらためてにはなりますが、COM-PJを知ってもらったきっかけと、当初はどんな動機で応募いただいたのか聞かせてもらってもいいですか。

久保:確か東京の「ROCKET PITCH NIGHT」に参加した時に、知り合いのVCさんから若林さん(株式会社INQ代表取締役)を紹介していただいて。それこそ「社会課題を解決したいと思っている人たちの飲み会」みたいな、カジュアルな飲み会があって(笑)。

そこに呼んでもらった時に、若林さんとか周りのVCさんから「talikiさんとうまく関わったらいいと思うよ」みたいな感じで、そこでtalikiさんの名前を聞いたんです。「なるほど。talikiさん、ちょっとチェックしておこう」って思っていて。

で、たぶんXとかを見ていたら「COM-PJみたいなのをやるらしい」と知って。その時たまたまプロトタイプをチームで作ろうとしていたので「これはめっちゃいい機会やから、絶対COM-PJさんに参加して、一緒にプロトタイプを回したほうが絶対早いと思う」というので、応募させていただきました。

宇都宮:なるほど。意外と私も初めて聞いたかもしれない。そうだったんですね。

久保:はい(笑)。その飲み会の前にもtalikiさんの話は聞いてたんですけど、もう1回聞いたので「やっぱり必要なんだ」っていうので調べてみました。

宇都宮:たどり着いてくれてありがとうございます(笑)。

久保:ありがとうございます(笑)。

独学で起業する不安を抱えていた

宇都宮:ちなみにその時は、プロトタイプを作りたての時期だったという話がありましたけど、事業の課題感はどんなものがあったんですか?

久保:ヒアリングとかはしていたんですけど、COM-PJみたいに体系化されたものがあったわけじゃないんですよ。ヒアリングシートとかいろいろあったわけじゃなくて、なんとなくヒアリングをやってきたけど、「これって合ってる?」みたいな(笑)。

独自の感じで手探りでやっていたので、すごく遠回りと言いますか、けっこう要領が悪くて。このままじゃちゃんとしたプロトタイプにできないんじゃないかな……とちょっと不安を感じてた時に、プログラムを発見しました。「これはちゃんとプログラムで学んだ上でやったほうがいい」と判断して、結果、やはりそのほうが絶対良かったと感じています。

宇都宮:なるほど。効率の悪さに対するジレンマや、検証できたという手触り感が薄かったというか。「これだ!」みたいなところがあんまり見えず悩んでいた時に、出会ってくれたんですね。

久保:そうですね。やはり独学で本を読みながらでは、けっこうきつかったなと思っていて。仲間っていうのもありますし、講義もあって、ちゃんとメンターがついてくれて。本当に井上さんが伴走してくれたのがけっこう大きかったなと思っていて。自分の中ではわからなかったところも引き出してくれて、ありがたかったです。

宇都宮:さすがです。もう「チーム井上」ができてましたもんね(笑)。

久保:はい。狐塚くん(COM-PJ4期生:Fumidai代表)も本当にめっちゃ良いチームメイトでした。

宇都宮:そっか。よかったです、さすが井上さんです。

久保:ありがとうございます。

チームの士気を高める“着火剤”になったもの

宇都宮:ありがとうございます。プログラムの3ヶ月間を振り返ってみて、実際に達成できた目標や、プログラムの中で印象的だったことはありますか?

久保:2回プロトタイプを回すのは、絶対に初期から達成しようと考えていました。その中でペーパープロトタイプ(紙に書き出したアイデアのラフスケッチのようなもの)を作って、それをヒアリングで当ててみて、もう1回プロトタイプを作って、というところで。

チームの中でも、10月7日のデモデイ(成果発表会)に向けて、アルファ版というかプロトタイプというか、けっこうベーシックなBubble(プログラミングをせずにアプリケーションの開発ができるノーコードツール)のアプリ開発はしようねと掲げていて。その期限があったことで、ヒアリングなり仮説検証なり、私もがんばれました。

「COM-PJ」活動風景


チームのメンバーは、エンジニアも一緒になって患者さんにヒアリングをするし、開発もするしっていうところで、良いきっかけと言いますか。やはり期限がないとみんなもなんとなくダレが生じてしまうと思っていて、そこがすごく良い期限になりました。

「デモデイみんなでがんばるぞ」と、最大限の効果じゃないけど「賞を取りにいこう」みたいなところがあったので、すごく目標も達成できたし、そこもチームのみんなのおかげだと今は思っています。

この3ヶ月間、そんなに楽なプロジェクトではなかったと思っていて。けっこう詰めるというか、楽ではなかったけど、走ってみて「やっぱり良かったな」と。あの着火剤があったから、みんなで走れたなというところもあります。

宇都宮:そうですよね。運営からしても「みんなしんどいのに、よく最後までやってるな」と毎回思います(笑)。続けているだけでも本当にすばらしいことだなと思いつつ、今回BEYONDというゴールがありましたからね。1ヶ月前ぐらいから参加者の皆さんに「めちゃめちゃ人来るよ!」って言って、追い打ちをかけていましたね。

久保:そうそう、でもあれが良かったんですよ。みんな「めっちゃ人来るらしいよ、これはマジでがんばろうね」みたいな(笑)。

宇都宮:いや、それは良かったです。ありがとうございます。

久保:ありがとうございます。

がん当事者としてサービスを作ることのつらさ

井上:今の「COM-PJとは」みたいなところを、里実さんから簡単にご紹介いただけたら。

宇都宮:改めてですが、COM-PJは2020年からKRPさんと弊社talikiで、共同運営させていただいている社会起業家支援のプログラムになっております。

主にU30の社会起業家を対象としていて、今ある社会課題解決アイデアを形にしたい方から、創業2年未満の方の拡大支援を中心に、講義やグループワーク、メンタリング等でサポートをしています。あとは、talikiの子会社のhalが提供している、社会起業家のコーチングがあります。メンタルウェルネスを養うワークショップをしたり、個別で起業家自身の成長フォローもするところが、けっこう特徴的かなと思っております。

井上:ありがとうございます。久保さん、本当に第4期に参加いただいてありがとうございます。ここから少し久保さん自身のお話と、当事者として社会課題解決に挑むことについて、おうかがいしていきたいなと思うんですけども。

実際先ほどの冒頭のお話で、久保さん自身もがんの闘病生活があったりと、当事者としていろいろ、がん患者にまつわる課題に直面されてきたと思うんですけども。その上で社会課題解決に取り組む難しさや、例えばメンタル面でつらくなってしまうことなどはあるんでしょうか。

久保:そうですね……当事者だからできるヒアリングであったり、がん患者さんに向けて聞きにくいところを聞いていけるところや、共感ができるところはすごく強みだと思ってるんですよ。「私もこういう経験しました」とか、やはりしてない人とした人では共感度合いが違うと思っていて。そういう深い共感であったり、そこから見えてくる情報は、当事者だからできることだとは思ってるんですが。

つらいこととしては、やはり患者さんのヒアリングをするたびに自分のつらかった経験や闘病体験を思い出したり。なおかつ私は家族をがんで亡くしてるので、そういうことを思い出してしまう時があって。

共感しすぎてしまうがゆえに、つらい経験をもう1回再体験するというか、やはり感情も同時に思い出してしまう時があって。そこはちょっとつらいというか、しょうがないんですけどね。

プレッシャーを抱え、メンタルが揺らぎやすい起業家

久保:そこは当事者だからこそわかる感情があって、だからこそそれを解決するためにサービスを作ってるので、ヒアリングも絶対必要な行程なんですけど。

例えば再発に対する恐怖感の話をしてる時に、やはりそれって自分も感じてることなので。ふだん気にしないように蓋をしていても「やっぱりそうだよな」と思い出して「自分も再発したらどうしよう」と思ってしまう時はつらくなりますね。

ただ自分たちはサービス開発者であって、その課題を解決するためにやっていることなので。そこを乗り越えるじゃないですけど、じゃあそこをどうやったら解決できるんだろう、とシフトして対処しています。

「COM-PJ」最終ピッチでの久保氏


井上:ありがとうございます。久保さんのメンターを務めさせていただく中で、私自身も父親を肺がんで亡くしていて、がん患者自身が持つ課題とか闘病者家族が持つ課題をめちゃくちゃ体感していたので。そこと向き合うことでつらくなる気持ちは私もめっちゃわかるなと。

ただ実際に久保さんを伴走支援させていただく中で、深刻な課題ではある一方で、やはり久保さん自身の人柄もめちゃくちゃいいなと思っていて(笑)。大きな課題に(向かって)明るく解決を目指していけそうな人だとずっと感じていました。

だからこそいろいろ、「ヒアリングしなきゃいけないよ」とかフィードバックした内容においても、患者さんも協力してくれるし。久保さん自身も「アクションしていこう」と進んでいけるのは、久保さんならではなのかなと思いながら、いろいろとサポートさせていただいていました。

久保さんみたいにメンタル面がつらくなるみたいな話はあると思うんですけど、里実さん的にはさまざまな起業家を見られていてどうですか? 

宇都宮:本当にこういった、特に社会課題解決に関わっている起業家さんたちは、ご自身や身近な(方の)経験も相まって取り組まれているところもあると思います。

また起業家としても自分で意思決定して、正解がない中を開拓していかなきゃいけないところがすごくプレッシャーになるので。むしろメンタルに波があることが大前提だと、間近で見ていてすごく感じます。

やはりそこでプログラムを続けるのがしんどくなってしまう方とか、事業と向き合うのがしんどくなってしまう方もすごくいるので、本人の気持ちとかバランスもちゃんと加味した上で伴走していかないと。

本人の気持ちとやれることがバランスを取れない状態で進むと、やはりパタッと倒れちゃうこともぜんぜんあると思うので。そこはけっこう運営内でも気にかけて関わっているところかなと思います。

患者の心のケアまで手が回らない、医療現場の現状

井上:ありがとうございます。次に「現場とビジネスのギャップ」を、久保さんにもいろいろお聞きできたらなと思います。

久保さん自身、今まで看護師として医療現場の経験も積んでこられたと思うんですけども。実際の現場と、自分が事業としてやっていく上で、ギャップとか課題感の違いはどういったことがありますかね。

久保:現場は正直、医師も看護師もほかの医療職も、患者さんの疾患を治すことにやはりフォーカスしているので。そのほかの心のケアをする余裕がないのが現状だなと、自分が看護師の時も、自分が患者の時も感じていました。心のケアや社会的ケアができてないから、そこはこっちの「CureMind(久保氏が手掛ける闘病支援アプリ)」で補おうというところで作った経緯もあります。

でも正直、病院は疾患を治すところなので、そこはもうしょうがないと思ってて。ほかの社会的なところはこちらや、例えばオフラインのがん相談室があるので、そういった別の機関が担うべき役割なのかなと思っています。

あとはやはり患者の疾患だけじゃなくって、患者さん本人のトータルの人生とか、社会的な家族や仕事のことを考えるのは、ある意味“看護感”があるなって最近ちょっと気づいて。私は病院で働いてないけど、こうやってサービスを作ることによって看護をやっているんだと。

これは“看護感”を発揮してサービスを開発してるんじゃないか、と最近気づいて「なんかおもしろいな」と感じています。患者さん本人をしっかり社会面・心理面・生き方といった全体の背景からとらえるところは、自分の得意分野じゃないけど、自分が学んできたところを活かせてるんじゃないか、と最近感じています。

医療者自身が精神的・肉体的に疲弊している

久保:あとは医療者をサポートしたい気持ちがすごくあります。それは現場ですごくがんばってる医療者の方が疲弊したり、やはり感情労働なので精神的な苦痛や肉体的な苦痛もすごくあって。その中で医療者も「患者さんにもっとこういうケアをしたいけどできない」って現状もジレンマがあります。

その中で、医療者がどうやってメンタル面を維持しながら、自分のやりたい看護というか医療を提供できるのか。こんなところをサブテーマとして私たちもサポートしたいなと思っています。

最近医師の過労死問題とかあったと思うんですけど、やはりけっこう歪んでるなと思うんですよ。現場で働く人がすごく無理をして良い医療を提供する自己犠牲を求められるところが、正直今はあると思っていて。そこをもうちょっと余裕というか、難しいですけど、医療者も自分の体を大事にしながら働けないのかなと思ったりしていますね。

KRP賞の表彰写真


井上:ありがとうございます。今お話しいただいたように、現場が果たせる役割と、久保さんのようなサービスとして介入できる役割は、けっこう棲み分けできることは多いと感じています。

これは久保さんに限らず、ほかのCOM-PJ4期生たちも同じように多様な課題感をとらえていたなと思うんです。久保さんから見て、同じように4期生の中で課題感をとらえてた人って、どんな人がいました?

久保:私的に、保育士の課題を解決しようとされてた方がいらっしゃったじゃないですか。あの方は、ワークライフバランスがとりづらい職種における働き手のやりがいと労働環境の改善という点ではすごく私と近いんじゃないかなと思ってました。

他業種間をつなぐ「社会課題を解決したい」という思い

井上:久保さんはどういったところで近いなと思ったりとか、そういった方々としゃべってみてどうでした?

久保:やはり保育士と看護師って似てると思うんですよ。医療と福祉で違いますけど、女性が多い職場で、なおかつ離職率も高くて。正直お給料面とかもけっこう大変な職種ではあると思ってて。あと例えば残業が多かったり、働く人のQOLを維持するのが難しい職種であると認識しています。

離職率を抑えるためにサポートするっていうアイデアだと思うんですけど、そこにすごく私も共感しました。私も裏テーマとして医療者をサポートしたいし、医療者のQOLを上げて離職率をなるべく減らしたいなと思っているところもあったので。そういう根本的な思いが一緒だなと思いました。

そこをもっと話したかったんですけど、COM-PJでなかなかがっつり話せる時間がなかったので(笑)。けっこう「こういう論文あるよ」とか、そういう話はしていましたね。もっと話したかったのが正直あります。

井上:ありがとうございます。確かに看護師と保育士という役割でいくと、普通だと業種・領域が違うのでつながらないような話だと思うんです。でもそこが1つ「社会課題を解決したい」というところで(つながって)、仲間がいるというのは、このCOM-PJでも提供できている大事な1つの価値なのかなと思いました。

「COM-PJ」最終ピッチ前に円陣を組む様子


論文をお互いにシェアし合うとかは、プログラムの中で掲げている「ギバーであろう」という三原則の中の1つを体現されていますよね。

自分自身の知見や経験を共有したり、人をつなぐようなことを他者に提供することで、もっとさまざまな価値の力が結集されて、社会課題解決に向き合っていけるのかなと感じています。

久保:本当にそうですね。

アプリのリリースに向けた、今後の事業展開は

井上:最後に一つお聞きしたいのですけれど。最終ピッチが終了して久保さん自身も、talikiさんが独自でやっている京都ソーシャルインパクトプログラムに参加されていたり、ほかにも活動を続けていらっしゃると思います。今後の事業展開に向けて考えていることや、決意があればいただければ。

久保:ありがとうございます。今チームの中ではベータ版を2月にリリースしようと動いています。でも年内はわりとひと段落して「はい、次来年」みたいな(笑)。来年はもうベータ版リリースして、そのあと最終段階のアプリをリリースしようってところになっているんですけど。

ちょっと「始動 Next Innovator 2023」プログラムも受けてまして、今の京都のスタートアップのほう(「京都ソーシャルインパクトプログラム」)も受けさせてもらいながらというところで。始動でけっこう製薬会社の人とつながれたので、その方といろいろ相談しながら、患者・医療者だけじゃなくて、ステークホルダーの製薬会社さんや、あとはがん保険会社さんも見つけたいんですけど。

そういうところとサービスについてじっくり話して、マネタイズの部分もみんながWin-Winになるようなサービスを(アプリの)ベータ版の段階でも作れるんじゃないかと思っています。今そこに服薬の管理機能を入れ込んで作ったりしているので。

なので、今あるアクセラレーター(スタートアップや起業家をサポートし、事業成長を促進する人材・団体・プログラム)で学びながら、リリースに向けて全力で動いていくところが今の目標になります(笑)。

その中でけっこう出会いがあって、患者ワークショップに行って、患者さんを支援したい看護師さんと出会ったり。あと『ワールドビジネスサテライト』やYahoo!ニュースであったり、ほかのメディアに取り上げてもらって。それを見て連絡してくれた看護師さんがいたりして、どんどんサポーターの輪も広がっている実感があります。来年はもっと大きく動いていきたいと思います。

井上:全力で応援しています。じゃあ最後に里実さんからも、エールの一言をいただければ。

自身の体験を糧に、社会課題の解決に挑む

宇都宮:久保さんは本当にすごく魅力が……みなさんももちろん魅力ある方たちなんですけど。やはりご自身の体験からこういうチャレンジをやっているところの、「今を生きるぞ」というエネルギーがすごく強い方だなと思っていて。

むしろ私たちがパワーをもらってるような方だなと思ってるので(笑)。しんどいこともたくさんあると思うんですけど、引き続きいろいろ進捗も聞かせていただけたらなと思ってますし、応援しております。

久保:ありがとうございます。

井上:私からも最後に一つ。悩むことがあればいつでも戻ってきて、頼ってきてもらえればと思いますので(笑)。

久保:(笑)。はい、ありがとうございます。

井上:これからもしっかりと、久保さんのサービスが社会に届くまで応援できたらなと思っているので、これからもよろしくお願いします。

久保:お願いします。

「COM-PJ」最終ピッチ後の集合写真


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