2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
クローズドな社長インタビュー(全1記事)
提供:株式会社オンリーストーリー
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平野哲也氏:あらためまして、オンリーストーリー代表の平野と申します。今日は僕たちが約10億円ほどかけてBtoBマーケでいろいろな施策をしてきた中で学んだこと、並びに僕たちが決裁者マッチング、決裁者向けマーケティング一筋で10年経営してきて学んだことから、5つに絞ってお話しさせていただければと思っております。
まず1つ目は、新規事業についての学びです。僕たちの中核事業は「チラCEO」という、決裁者マッチングの事業です。(資金)調達をしたりした中で、サービスの問い合わせ獲得のためにいろいろな広告を打ったり、いろいろなマーケをしていったんですけれども。
実際にその中で、僕たちのサービスの純粋なターゲットとなる割合が、問い合わせの中からインサイドセールスがはじくと約2割から3割ほどしかいないという状態になっていました。残りの7割ぐらいのリードは直接商談にならず、ある意味無駄になってしまっている状態でした。
そこをひもといていった結果、1つわかったことがあります。僕たちの「チラCEO」のターゲットは、BtoBである程度商材の汎用性があったりするような、ホリゾンタルなサービス、例えば営業支援や採用支援が対象だったんですけれども。
一方で、もう少しバーティカルな「医療業界だけ狙いたい」とか「従業員数何名以上の会社だけ狙いたい」「決裁者×特定領域」を狙いたいというニーズの問い合わせが、その商談の中から落ちてしまっていることがわかってきました。
そこで、その受け皿となるバーティカルな商材をつくりました。その際にどのような商材を受け皿としたのか、それは実際に自分たちがBtoBマーケ投資をする中で、やってみて良かった手法でした。
従来、僕たちの会社のマーケティングでは、「手書きの手紙をいろいろな決裁者さんに工夫して送る」ことをしていて、その成果として、一定のノウハウと経験が得られている状態でした。
そこで「僕たち自身もうまくいった手法」を、お客さん向けに提供しようと。そうしたらそのサービスは、僕たちのサービスの強みである「決裁者にマーケティングする」というところを活かしながら、先ほどの「局所的なバーティカル商材では対応できない」という問題の受け皿になるな、と思うようになってきました。
そして、自分たちが実際にやって良かった手書き手紙をサービス化していくようになりました。その結果、先ほどの7割の落ちるリードから商談が獲得できるようになり、ある意味獲得単価が0円で問い合わせが入ってくる仕組みを作れました。
ここで、新しい事業をやる時に、1つは「自分たちがやって良かった手法」という目線、もう1つは「今すでに来ているリードの中から、リサイクルで作り出せる新規事業はないのか」(という目線を持つこと)。この観点がすごく大切なんだなということを学びました。
2つ目(の学び)が、実際にその手法を基にした、キーパーソン向けのマーケティングの話になってくるんですけれども。
僕たちが、決裁者向けマーケティングの一つの手段として、そのような手紙を企業さん向けにマーケティングしていった時に、例えば「大手の経営者さんに向けて手紙を送る」際に、なかなか反響率が低いという課題が生まれました。
いろいろなテストをしていったのですが、その中で「ここに送ると反響が良い」というところがターゲットとして見つかってきました。それは「直接代表に送るのではなく、1階層や2階層下の人たちに対してアプローチをする」という方法です。
僕たちは、それをバレンタインチョコに重ね合わせて表現したりしているんですけれども。トップの人たちは、学校のバレンタインチョコで例えると、すでに300個とか500個もチョコをもらっているような状態です。
M&Aの会社さん、BtoBの会社さん、いろいろな会社からたくさん手紙をもらっています。そこで501通目をもらってもあまり見てもらえなかったり、感動なども薄れてしまうかなと思っています。
でも、例えば僕たちは世の中のリストには載っていないような、1個1個の会社の1つ下の階層の部分まで調べて、手紙を送ったりすると、その人たちにとっては、今までにチョコを3個しかもらっていない人にとっての、4個目になれるので、希少性が変わってきます。
そうした工夫ができるのは、僕たちが手紙の会社ではなくて、決裁者向けマーケティング(KBM)の会社だからこそ、できるところなのかなと思っています。
そういったものを基にすると、例えば執行役員や取締役の方など、手紙をまだ5通しかもらったことがない人にとって、6通目の手紙が届くような状態になるので、希少性も大きく変わってくるというところや、見てもらえる率が変わってくることがわかりました。
これは役職の高さもありますが、企業に置き換えても同じ原理が当てはまるなと思っています。
というのも、やはり多くの会社が「自分たちの会社が狙いたいところは大手企業だ」と。それは自社の商材の単価でもそうだというところで、今みんなが大手企業ばかり狙ってマーケティングしています。
そうすると大手企業の方たちも、バレンタインチョコである手紙をたくさんもらっている状態になるんですね。その人に送るよりも、例えば売上高は1階層落ちるんですけれども、成長角度が1段階上の人たちに送ったほうが実は良いというポイントがあると思っています。
ここのところは、1社1社を調べたりしていってでも、規模軸やそういった相対性の部分がすごく大切なんだなということを、実体験を通して学びました。これが2つ目の学びです。
ちなみにこの、大手向けのマーケティングの競争倍率の高さを、婚活市場に例えたnote(BtoBのエンプラ狙いマーケティングの難しさを、婚活&物件選びで例えてみた)もあるので、良かったらぜひ見てみてください。
3つ目は今のところにひもづいて、大手企業向け・エンタープライズ向けのマーケティングでの気づきになります。大手と中小とで決裁者の数と購買時の見るポイントや考え方が変わってくることがわかってきました。
それを僕たちは、中小企業の場合は「恋愛型」、エンタープライズ・大手企業の場合には「結婚型」というふうに例えています。
それぞれもう少し詳しくお話ししますと、中小企業の場合の決裁フローとして多いパターンは、自分と相対した決裁者の人との2者間だけで購買が決まる傾向があります。
相手が「いいね。平野さん、やりましょう」となっていて、こちらも「この条件でやりましょう」となっていたら、もうそこだけで完結する。これは実際の恋愛も、別に周りの人と関係なく当人同士が好きなら、それで成立するのとすごく似ているなと思っています。
一方で、エンタープライズや大手企業における決裁者の場合は、目の前の人1人だけではなく、後ろにいる稟議の最終決裁者たちが間に挟まるケースが多くあるかと思っています。その場合は、当人同士が良かったとしても、最後の後ろの人がOKを出さないと実際に契約にはつながりにくい傾向があります。
例えるなら、結婚でお互いが良かったとしても、例えばお家柄みたいなところを見ていったり、職業の将来性を見られたり、親の承諾が必要になってくるところがあるのかなと思っております。
なので、相手の決裁者のさらに後ろにいる人がどこを見るのか。例えばBtoBの場合、取引先の実績を見たりするかもしれないですし。その最終決裁者がどこを見るのかが、すごく大切なんだなということを学びました。
ちなみにこんな話をすると、会社の実績や事例が重要になるからこそ、それがない時は現場の決裁者次第じゃなくて、「もう(アピール)できるところがなくなっちゃいますよね」と思う人がいるかもしれないんですけれども。
その場合に大切になってくるのは、担当者や現場の決裁者から上の人に上げてもらう時に、なんと言って伝えてもらうのか。この部分を打ち合わせのゴールにするといいとわかるようになってきました。
例えば、担当者が上の人に伝える時も「このサービスを使うかどうか考えてるんですけど、どうですかね?」と言って上げるのか、それとも「自分はこのサービスをすごく使いたいんです。使ってこういうふうにしたいんです」と言って上げてもらうのかで、最終の決裁者もギリギリ通すかどうかや、心証も大きく変わってくるかなと思っています。
実際に先ほどの結婚の例で見ても、親から見て「うーん、どうなんだろうな」というところがあったとしても、本人が「この人と絶対結婚したいんだ」となっていたら、親ももうそれは後押ししよう、となる割合が増えると思うんですよね。
(決裁者が)「実際どうかなぁ」というスタンスだったりするのであれば、(推薦してくれる人が自信を持って)「いや、こうだよ」と(言えるかどうかと)いうところになっていったりするので。
大切なのは、最終的に相手のマインドシェアを上げること。特にここが、エンタープライズ型に問い合わせる時に、現場ができるコントローラブルな指標として大きなものなのかなと思っております。
じゃあ4つ目ですね。こんな話をすると、中小型でも大手型でもどちらのシーンでも、相手の方や現場の方の信頼を獲得するために大切なのは何かという問いが生まれると思います。その中で、僕たちは「決裁者ならではの購買フロー」があることを見つけました。
それは僕らは「ICTB」と呼んでいます。要は課題が生まれて、そこに対して相談し、相談をする中で信頼し、そして購買につながる……というものの頭文字を取っていて、「Issue」「Consult」「Trust」「Buy」と書かせていただいています。
これは特に自社の商材やサービスが、ほかに比べて相対的な優位性・独自性が少ない場合に、特に大切な考え方かなと思っています。
例えば「ホームページを作ろう」という時に、今の時代はもう世の中にホームページ制作会社はたくさんありすぎると。その中で発注をする側も、もう誰に依頼をすればいいのかがまったくわからない状態になってきてしまっているのかなと思っています。
じゃあ相談をしていって、実際に「平野さんってすごく信頼できるな」「どうせホームページを作るんだったら、平野さんのところから頼もう」と。特に決裁者の場合は、そういうフローが多くあることがわかってきました。
それは決裁者の購買フローの特徴として、ただモノを買うのではなく、その人に投資をするように買う傾向があることがわかってきているからです。
ですので、「ホームページ制作」というWhatのところだけで押せなかったとしても、Whoをベースとしてマーケティングをしていく。
それが今の時代ですと例えば、ブログを書いていて「この人こうだな」と知ってもらったり、BtoCだったら「どうせ同じアパレルなら、このYouTuberから買いたいな」というものなのかもしれないですし。
人に対する信頼感を通して購買をするところが、大きく特徴になってきていると感じています。
どういう購買フローや進め方をすればいいのかと言いますと、「商談の前に、相談を獲得する」というところが大切な時代になってくると思います。例えば先ほどの「ホームページをこうしよう」の前に、「BtoBのブランディングだったら平野さんに相談してみようかな」と。1階層手前、発注前の相談の階層をしっかり取れると、強くなるなと思っています。
そのために第一想起を取る活動が、今まで以上に大切になってくると思っています。いきなり最初からでは、発注ニーズなどが取りにくい時代になってきているからこそ、相談の部分やブランドを取るところが大切だなと思います。
具体的には、決裁者とつながりがあって、その方から「この人ってこの部分のブランドや、ここの部分が強いんだな」というところ(認知)を取れると、仮にその場で契約にならなかったとしても、縁ができて中長期的に契約につなげられると思っているので。
そういった面でも、決裁者向けマーケティングは、短期的(な効果)だけじゃなく、実は資産性がすごく高いことを、僕たちも身をもって感じてきました。
ニーズは単発なんですけれども、人、特に決裁者とのつながりはBtoBの中における資産性がすごくあるんだなと思ってまして。そうしたWhoを起点としたマーケティングが、これからの時代により一層大切になってくるのかなとに考えております。
最後になりますが、あらためて、僕たちはこの10年間、決裁者の購買行動の研究や、実際の決裁者同士のマッチングに特化してずっと事業を進めてまいりました。
その中で、伝えたいことが2つあります。1つは、その中において僕たち自身も、ただの研究者ではなく実践者として、本当にいろいろなBtoBマーケの手法をたくさん試してたくさん失敗して、そうして今日に至ります。
コンテンツマーケティングもやりましたし、ホワイトペーパーもたくさん作ったり、経営者向けのイベントも週に2回ほどやっていたり。そうしたしくじりをもとに、実際に試して良かったものをどんどんラインナップ化してきました。
そして僕らで解決できない部分は、チラCEOの会員さんを中心に、紹介させていただいています。
ですので、実際に今日この話を聞いていただいている人の中で、BtoBのマーケティング戦略や、どういう手法が良かったりするのか……という会社がいらっしゃいましたら、ぜひ相談ください。チラCEOだけでなく、いろいろな手法を通して支援できるようになってきている点や、場合によってその中で期間内でサービスを入れ替えたりもできるように、進化してきています。
2つ目に、相談いただけるような決裁者向けの、無料のBtoBの相談サービスを作りました。詳細はこちらのリンクにありますが、今日のお話を聞いていただいた方は私、代表の平野が直接みなさんの相談に無料で乗らせていただければと思っております。
どうしても毎月受けられる数に限りがあるのと、一部条件はあるのですが。個社の状況もお話しいただければ、その状況も加味した上で、すべての経験と知見をお話しさせていただければと思っています。
そして弊社自身、『決裁者の相棒として居続ける』という想いがありますので、発注先探しだけでなく、その手前の経営課題の相談でも、何かありましたら、ぜひお気軽にご相談下さい。
最後に、意外かもしれませんが、僕たちはエクイティでの資金調達をせず6年間経営をしてきています。そこから調達したからこそ、調達する側、しない側、両方の目線がわかりますし、それぞれ目線でのマーケ戦略の違いもわかります。
10年間、もっとスマートに経営できたのかもしれませんが、ただそんな僕たちだからこそ、本当に口だけではなく心から共感し、自分たちのたくさんのしくじりと体験を話すことができるのかなと思っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
僕たち自身、本日のお話が少しでもみなさんのお役に立てたら、すごくうれしく思います。ありがとうございました。
株式会社オンリーストーリー
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