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カスタマーサクセスにおける顧客成果の在り方とは?(全2記事)

2023.07.19

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顧客が「ビジネス成果」を得られるパターンは2つ 『カスタマーサクセス実行戦略』著者が説く、CSの役割

提供:Gainsight株式会社

さまざまな商品やサービスがあふれている中、ビジネスの成否を分ける「顧客との継続的なつながり」が重視されています。単なるサービスの提供ではなく、顧客が望む成功に導くための「カスタマーサクセス」の定義や最新事例について、米国カスタマーサクセス業界の大手Gainsightの日本法人代表の絹村悠氏と、sasket LLC 代表の山田ひさのり氏が対談しました。後編では、誤解されがちな「提供価値」と「ビジネス成果」の関係や、これからのCSに求められる役割について語ります。

プロダクトサービスの価値は、顧客のビジネス成果ではない

絹村悠氏(以下、絹村):おそらく山田さんもまた違ったかたちで、このビジネス成果をどう届けるかについて、いろいろと発信されていらっしゃると思いますので、ぜひあらためてこの場でもう一度、ご解説いただければと思います。

山田ひさのり氏(以下、山田):承知しました。Gainsightさんがおっしゃっていることを言い換えただけとも捉えられるんですけども、プロダクト・サービスが提供している価値と、お客さまが享受するビジネス成果をしっかり分離して考えようね、というのが私の主張です。

まず、サクセスの定義ですね。先ほどの公式をちょっと日本語に言い換えたと捉えてもらってもいいと思うんですけども。まずサクセスというのは状態のことで、プロダクト・サービスを通じてお客さまに価値が伝達され、それがお客さまの求めるビジネス成果(になっていることです)。

これは英語でOutcomeと言うんですけども、日本語で「ビジネス成果」と言うほうがわかりやすいので、私はそう訳しています。そうした状態が一定期間続くと、お客さまは「サクセスしてるんだ」という認識を持ちます。ここで一番重要なのは、プロダクト・サービスの価値を伝えることと、ビジネス成果を創出することが違う(という)概念ですね。

絹村:なるほど。

山田:まずは違う概念だということをご理解いただかないと、ここから説明する話がちょっとわからない(と思います)。

絹村:なるほど。これは難しいですね。価値と成果は違うということですね。

山田:違いますね。これは私がよく使う図なんですけれども、左側にプロダクト・サービスがあります。作ったからには何らかの価値を発揮するという目的をもって作られているわけで、その価値はお客さまが享受されます。

でも、価値を価値として感じるだけでは「便利だね」「すごく使いやすいね」という話で終わってしまいます。けれども、お客さまはそれを使って何かやりたいこと、得たいものがあったはずなんですね。営業でよく言われる「ドリルではなくて穴を売れ」というのは、すごく有名なフレーズなんですけど、まさしくそれです。

ビジネス成果は、お客さまがプロダクト・サービスの価値を感じて、そこから何らか創出される。これが確かに1個や2個、3個の時はあります。先ほど言った「パターンっていくつかあるよね」という話なんですけど、1個じゃない。お客さまの業種業態やカルチャーによって複数出てくるケースもある。

プロダクト・サービスの価値と顧客の成果を結びつける方法

山田:ただ、その価値を発揮しているのと、ビジネス成果を出すことを結びつけるところに、サクセスプランやアカウントプランが必要になるんですね。

絹村:なるほど。

山田:この3つの関係が大事なんですけど、例を使ってわかりやすくご説明します。例えば、従業員ストレスチェックのSaaSって世の中にあると思うんですよね。最近だと大きな企業さんなども含めて全部入っているようなサーベイですよね。

「最近頭が重くないですか」「上司はあなたのこと理解してくれますか」という質問に答えて、組織全体のストレス度もしくは個人のストレス度を計測していくサービスがあると思います。あのプロダクトの価値は「従業員や組織のストレスを測定できること」なんですね。

絹村:そうですね。いかに簡単にできるかといったことですよね。

山田:ただ、お客さまは別に測定したいわけじゃないじゃないですか。お客さまがやりたいことは結局、従業員の定着率が向上したり、働きやすい環境でずっとそこにいてもらって、パフォーマンスを発揮してもらうことがやりたいことのはずなんですよね。だからプロダクトが提供している価値と、お客さまが求めているビジネス成果は、ちょっとずれているんですよね。

この2つをどうやって結びつけるのかというのが、まさしくサクセスプランです。例えば、効果的な1on1の実践方法をレクチャーしたり、働きやすい環境をどう作るかをHRに助言したり。こういうプランを使ってお客さまをサクセスへ導かなきゃいけないわけですね。

絹村:先ほどのGainsightのフレームワークで言う、業務フロー・プロセスを定義するという部分ですよね。

山田:おっしゃるとおりです。「もっと簡単にしてみたらこんなストーリーです」という感じなんですね。

24時間営業のフィットネスサービスの「成果」は何か?

山田:24時間開いてるフィットネスサービスがあるじゃないですか。都内にもよくありますけど、サービス提供価値は「24時間開いてること」なんですね。顧客への成果は何かと考えたら……この場合は一般のお客さまなので、ビジネス成果とは言わずに成果と呼びます。これはスリムで健康な体が手に入るとか、筋トレしてスカッとしたいということじゃないですか。

言ってみれば、24時間開いてることとはなんの関係もない(笑)。けれども、そこをどうやって埋めるかというと、24時間営業の強みを活かしたルーチンを提案したり。もしそのフィットネスジムにカスタマーサクセスがいらっしゃると、そういうことをするのが妥当ということになりますね。

絹村:そうですよね、おもしろいですね。24時間やってるからこそ、例えば昼間働いてる方でも夜でも通ってとか。

山田:「朝にこういうプログラムを入れると一番筋肉にいいです」とか。

絹村:24時間フィットネスジムだからこそできる、お客さまへのプロセス提案みたいなことが出来上がってくるということですよね。

山田:これが、プロダクト・サービス価値とビジネス成果(アウトカム)との違いです。

絹村:ありがとうございます、だいぶクリアになってきました。ただやはり、なぜ違いがあるのかを理解したり、それをどうくっつけていくかには、みなさんまだまだ難しさがあるんじゃないかなと思います。ぜひそのあたりもいろいろと、このあと解説していただければと思います。

顧客がビジネス成果を得られる時の2つのパターン

山田:私がカスタマーサクセスの支援をしていてよく思うのは……先ほど申し上げたようにプロダクト・サービスの価値をお客さまに伝達することは、絶対的にやらなければいけないですよね。このプロダクトはこう使います、こういう価値があるのでちょっと使ってみてくださいということ。

ただお客さまがそれをサクセスに結びつけるには、実は2つのパターンがあります。1つはお客さまがそのプロダクト・サービスの価値をきちんと理解されて、自分たちで勝手にビジネス成果を生み出すケース。

絹村:ありますね。アーリーアダプターなどでは非常に多いケースですよね。

山田:おっしゃるとおりですね。対面の方がすごくイケてらっしゃる方とか、社内ですごい機動力を持った方だと、こういうケースはすごくあります。でも、一方でそうならないケースもやはりあるんですね。

こういう時にはどうしたらいいんだっていうと、先ほど言った「ビジネス成果から逆算されたサクセスプラン」を使って、それをお客さまに当てていく。そしてビジネス成果が出るように一歩一歩進めていく。自分たちがイニシアチブを持って、サクセスプラン、ビジネス成果をお客さまに提案していくスタンスが大事なんですね。

絹村:主体性やイニシアチブを持つのもすごく大事ですし、すごくよくわかりますね。やはりプロダクトをローンチした時、最初にアーリーアダプターがパッと1のケースで成果まで出すので「これでいける」と勘違いしちゃうんですよね(笑)。

山田:(笑)。

絹村:ほかのお客さまの所に行くとぜんぜんそのとおりいかなくて、何か欠けてるピースがあるなというような。

山田:そうですね。私の感覚では、1と2の割合は2:8とか1:9くらいの感じですね。

絹村:1でいけるお客さまって、かなりレアなケースですよね。ただ、それでいけてしまうので、それ(成功した1)に基づいたプロセスで全部を回そうとすると、2が全部失敗してしまう。それは私も前職の時にかなり痛感した落とし穴だったので。

必ずギャップが出ることを最初から理解しながら、お客さまを「どっちのパターンだろうな」と見極めて考えていくのはすごく(大事ですよね)。

山田:1だと楽でいいんですけどね(笑)。

絹村:(笑)。そこに惑わされないというか「これはレアなケースだ」と思って。自分たちの製品を売れば売るほど、どんどんマーケットに広まれば広まるほど、たぶん2のポーションが大きくなってくると思います。そこを理解しながら自分たちのプロセスを考えていくことはすごく大事だなと、今あらためて思いました。

「価値」と「成果」の間にギャップが生まれる理由

山田:それともう1つは、やはりプロダクトが提供するバリューですね。価値とお客さまに与えなければならないビジネス成果。プロダクトによっては、この距離が遠いことがあるんですね。これはもうプロダクト設計の問題なので、そこから見直さなければいけないような、根本的な問題もあるんですけども。

創業者の方があまりに大きくプロダクトビジョンを広げられているところは、このギャップが著しく大きい場合があるんですね。そういった時はプロダクトビジョンを縮める、もしくはプロダクトのほうをプロダクトビジョンに近接するように大きくする。

こういった視点を持たずに、現場だけの視線で考えていると「なんかうまくいかない」という感覚にしかならなくて、どんどん行き詰まってしまう。やはり、ちょっと広めの視点を持つことが大事だと思っています。

絹村:なるほど、そういうことですね。先ほど私、ビジネス成果のところでレベル1、レベル2、レベル3と置きましたけど。もしかしたら創業の時のビジョンはレベル3のところにあったかもしれないけど、その前のレベル1を自分たちから少し掘り下げてみる。

もう少し難度を落としたり、狭い領域に成果を設定してあげる作業も、カスタマーサクセスチームとしてはやったほうが(いい)という感じですね。

山田:そうですね。営業さんが大風呂敷を広げて取ってきちゃったような話をたまに聞くんですけども。それはやはりこのへんのベン図の大きさを、組織全体で捉えられていないのかなという気がするんですよね。

だから、営業さんは決して悪気があったわけじゃなくて、その意識がちょっとずれているからきちんとしようね、という会話をすべきかなと思います。

絹村:わかりました。場合によっては段階的にビジネス成果をレベル1、レベル2、レベル3と、少しずつ届けていくというのも。

山田:そうですね、それはすごく手堅い例として良いと思いますね。

絹村:わかりました、ありがとうございます。そんなかたちでビジネス成果もたぶん複数考えられると思いますので、そこをしっかり絞り込んでやっていければいいかなと思います。

これからのカスタマーサクセスが向かう先

絹村:ただ、こういうお話をすると、たぶんみなさんが「今まで自分たちがやってきたカスタマーサクセスの活動と、ちょっと違う領域に踏み込んでるな」という思いも持たれると思うので。最後に、スキルセットとか、今カスタマーサクセスに取り組んでいる方が次にどこに向かっていけばいいかといったところもお話しいただければと。

山田:はい。このスライドはちょっと文字が多いんですけど、簡単に言うとアカウントプランやサクセスプランを作って、アウトカムが出るようにお客さまを導いていく。例えば、金融系や大規模な建設プロジェクトでは昔からけっこうしっかりやってるんですよね。

アカウントプランやサクセスプランをしっかり作って導いていくという考え方や発想は、おそらくセールスの分野にナレッジがあって。一方でカスタマーサクセスはどのへんが得意なのかというと、お客さまを育成していって、先ほど言ったプロダクト・サービスの価値をまず伝達する。例えばオンボーディングはその代表的な例で、そこに強みがあるんですね。

今、それぞれが違う領域で違う強味を持っているので、やはり最終的には融合していくべきかなというのが私の考えです。米国のSaaSなどではアカウントエグゼクティブのポストを設けて、このあたりを統合しようという動きが見られるなと個人的には思ってます。

絹村:なるほど、おもしろいですね。いったん分けたんですけど、またこれが融合してくるという(笑)。歴史なのかもしれませんね。

山田:(笑)。一周回ってというやつですね。

絹村:一周回ってまた融合してきて、やはりどちらも必要になってくるようなところかもしれませんが。確かにアカウントエグゼクティブという名称は、アメリカのSaaSではかなり市民権を得ていて、日本で言うと「既存セールス」に近いと思うんですけども、エクスパンションとリニューアルのすべての責任を負って、新規は一切持たないという営業スタイルです。

その中に、カスタマーサクセスとアカウントエグゼクティブという2つの箱を作って、協業しながらやってるケースもありますけれども。どちらかというと、既存のお客さまにどう価値を伝えていくかというところに対して、もともとセールス的なスキルセットを持った方が入ることで、カスタマーサクセスの足りない部分を補完し合い、既存のお客さまに向き合っていく。既存のお客さまに対する新しい組織体系なのかなという感じは(しています)。

山田:一周回って、雨降って地固まるみたいになってきてるのかなということはすごく感じます。

ビジネス成果にコミットする「カスタマーサクセス組織」の作り方

絹村:なるほど、わかりました。そういった意味でも営業のバックグラウンドを持った方がカスタマーサクセスの領域に入ってきたりして、組織の中にナレッジを入れていけば、もしかしたらこういった定義をしなくても自然と、今のカスタマーサクセスの延長線上として、必要なスキルセットは身についてくるという。

山田:1つ違いがあるとすれば、今までは個別のお客さまにフルカスタマイズしていたものを、もうちょっと汎用的なかたちで新たに展開するスタイルが求められるので。若干違うんですけど、おそらく本質的なところは同じかなと。

絹村:同じですよね。お客さまのところで起きている課題や、お客さまがおっしゃったことを構造化して、しっかり自分の中で体系化して整理していける能力。そして、それを体系化して自分がスキルとして得たものを、ほかのお客さまに対しても引き出しの中からしっかり出していく。「あれと同じケースだ」「これと同じケースだ」というかたちで紐づけできるような能力が最終的に(身につけられる)。

山田:そうですね。あとはそれを組織のフレームワークとして昇華するということですね。

絹村:自分だけの知識にとどめずに、ということですね。ここがしっかり出来上がってくると、本当に冒頭から申し上げているような「価値を実証していくカスタマーサクセス組織」というところに大きく動いていくので、1つ大きな変化がみなさまの組織に起こせるんじゃないかなと感じております。

カスタマーサクセスの領域にデジタルをどう取り入れるか

絹村:ここまで「ビジネス成果をどう届けていくか」ということについて、いろいろと山田さんとお話ししました。最後にまだ10分ぐらいお時間がありますので、少しディスカッションのポイントは変わりますけども、Pulse 2023の中でどういったことがグローバルのトレンドとして起きていたかということで。

今日は「ビジネス価値をどう届けるか」というところの1つの大きなトレンドをお話ししましたが、それ以外の視点で「デジタルカスタマーサクセス」というのも1つキーワードでしたので、簡単にご紹介できればと思います。

デジタルカスタマーサクセスというと、「すべてをデジタルでやるのか」「今までとぜんぜん違うコンセプトをやるのか」と捉えられるかもしれません。ここに書いてるとおり、デジタルを使って人を置き換えるのではなくて、人にパワーを与えていったり、もっとインパクトが大きい活動に人を集約していく。それからお客さまに対する価値提供を、デジタルを入れることによって、今までよりも領域を大きくするとかですね。

最終的には、我々がずっと言っているように、カスタマーサクセスというのはヒューマンファーストで、一人ひとりのお客さまはリードでもコンタクトでも取引先責任者でもなくて、「人」なんですと。

なので、やはり人と人のつながりを最大限高めていくためにテクノロジーの力を使って、本当に価値があるところにシフトしていこうという話で、デジタルカスタマーサクセスについて話されていたのかなと思います。

価値を伝えることとデジタルの活用は表裏一体

絹村:冒頭でも申し上げたとおり、価値を伝えるところとデジタルを使っていく手法は、もう表裏一体の話だと思います。ぜひこういったところもみなさんの思考を巡らせて、新しく何かできることがないか考えていただければと思います。

ちなみにこちらのQRコードから入っていただくと、GainsightのUSのホームページに飛んで、今Pulseで公開されたセッションがすべてレコーディングされ、資料もダウンロード可能なかたちで公開されています。みなさんは見たい放題、取りたい放題です。

もちろん言語の壁はありますが、今はいろいろなテクノロジーを使えばそこもたぶんクリアできると思います。ChatGPTを使ったり、いろいろなテクノロジーを駆使しながらぜひ見ていただくと、学びが多いセッションがたくさんありますし、1セッションで1つか2つは、みなさんに学んでいただけるものが必ずあると思います。

この機会に3個見るのか10個見るのかによって、このあとの2~3年の戦い方に関する知見で得られるものが必ず変わってくると思います。そこからの学びをまた日本のカスタマーサクセスのマーケット全体で、いろいろなかたちで情報発信したり、ディスカッションしていける機会が作れるといいかなと思っておりますので。ぜひ時間をとって、こちらのセッションをご覧いただければと思います。

「お客さまによるよね」に逃げないCSへ

絹村:ということで今日は、50分にわたって山田さんと「ビジネス成果をどう届けるか」についてお話ししてきました。まだここは空白ですが、今日のKey Takeaway、一番持ち帰っていただきたいポイントはどのあたりになりますかね。

山田:お話ししたことに全部集約はされているんですけど、やはり「お客さまによるよね」という言葉に逃げない(笑)。

絹村:「向かい合え」ということですね(笑)。

山田:確かに事実なんですよ。でも、典型的なビジネス成果を明らかにすれば、お客さまの8割以上はカバーできることは先ほど申し上げたとおりです。これは実際間違ってないと思うんですよね。

なぜかと言うと、そもそもプロダクト自体が何かの目的を持って作られているので、与えるものはだいたい一緒になってくるはずなんですよね。万人に向けて作ったプロダクトは存在しませんし、そうなってくると本当に万人のビジネス成果があるんですけども。

やはりプロダクトが、「この業務のこういうところに対してアウトカムを与えるために作った」というふうになっているはずなので、自然とバリューリアリゼーションも絞られてくるはずです。そういう発想を持って、ビジネス成果のクリア化に立ち向かっていただくのがいいんじゃないかなと思います。

絹村:わかりました、ありがとうございます。ということで、もう本当に逃げずにまずはこれをしっかり定義するところに時間を使っていただいて、その定義されたものに基づいて考え直すことで、そのあとのさまざまなプロセス自体にたくさんの見直すポイントが出てきたり、変化をもたらすことができると思います。

なんとなくカスタマーサクセスをある程度やり切ったけども、この次は何を進化したらいいのかと考えているみなさんは、まずそこから社内でディスカッションしていただくことを強くおすすめする、ということですかね。

顧客のビジネス成果は、自社の価値への「気づき」を生む

山田:行き詰まりを感じている会社さまには、それを打破するきっかけになるかなと思いますし。もう1つはやはり、先ほど言った1:9の「勝手にビジネス成果を出してくれる」パターンのお客さまが、いきなりポロッとビジネス成果を出す時があるんですよね。

そうすると自分たちも「こんなビジネス成果があるんだ」と気づく時があって、それはおそらく営業さんも、カスタマーサクセスも含めて経験があると思うんですよね。

なのでお客さまにしっかり向き合って「こんなビジネス成果を出してくれた、これは自分たちのこういうジャンルのお客さまにばっちりハマる。プラクティスとして昇華させよう」ということも、あながちないわけじゃないんですよね。意外と多いので、みなさんもたぶん経験があると思います。

そういった意味でも、しっかりお客さまと向き合う。そのためにデジタルを使って、やらなくていいことを省力化する発想も必要ですし、全部つながっている気がしますね。

絹村:そうですね。そういったかたちでたぶん本当に全部つながっていますし、そこからまた新しいプロダクトのメッセージングが生まれてくると、それが今度はマーケティングメッセージになって。

バリューチェーン自体がこう流れていたものが、カスタマーサクセスからまた還元されるという世界が出来上がってくると思います。だからこそ自分たちの製品が、お客さまにどういう価値を届けているかをしっかり定義していくことは、すごく大事だなと思います。

しっかりと型を作れば、スケールさせる方法はある

絹村:私はこういったかたちでフレームワークを作っていったり、いろいろなかたちの考え方があることを今回のセッションを通して学びました。本当に一つひとつ違うんだけど、ちゃんと型化していけばスケールさせるやり方があるんだなというのが、今回のPulseのセッションから学んだことです。

ちなみに先ほどのVMwareやLinkedInのセッションは、実はデジタルカスタマーサクセスでスケールさせるというテーマの中にあの話が入っていました。なので、たぶんこれからカスタマーサクセスの活動をもっとスケールアウトさせていこうと考える中でも、すごく重要な要素になると思います。みなさん、ぜひそんな視点でも取り組んでいただけると、おもしろい気づきがあるんじゃないかなと思います。

ということでTakeawayとして、簡単にサマリーさせていただきました。ふだん飲んでる時はもっといろいろな話で長くなるのに、1時間だとちょっと物足りないところもありますけど(笑)。

山田:(笑)。

絹村:また機会があればぜひ、次のテーマでやってみたいと思いますし、みなさんからも「もっとこういうテーマで話聞きたかった」というものを、私や山田さんに戻していただければ、それに基づいてまた次回の企画を考えていきます。

アンケートもしくは直接TwitterでDMでもけっこうですので、ぜひ忌憚のないフィードバックをいただければすごく助かります。ということで長時間にわたって山田さん、どうもありがとうございました。

山田:ありがとうございます。

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