2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:アステリア株式会社
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——ちょっと話が戻って恐縮なんですが、ここでノーコードツールについてもう少し詳しく教えていただきたいんですが。
ノーコードに対してローコードツールというのがあると思うんですが、ノーコードツールにはどのような強みがあるのか。例えば、アステリアさんが提供されているノーコードツールは、他社とくらべてどういった強みがあるのかというのを、まず教えていただければ。
熊谷晋氏(以下、熊谷):そうですね。ノーコードとローコードはあまり厳格に定義されている感じはしないですけど、当社で使っている定義では、ローコードは「Low」なので、少ないコード量で済むとか、コードを出力して修正できる。それを手助けするので、どちらかと言うとIT人材向けという位置付けです。
逆に言うと、ノーコードは「No」なので、コーディングがまったく不要。非常にユーザビリティの高いGUIなどの操作だけで、コードを書くのと同じようなことが非常に簡単にできるという位置付けにしています。
どちらかと言うと、私どもはノーコードツールにこだわって、1998年頃からやっているんですけど、当時は「グラフィカルランゲージ」と呼んでいました。これはテキストランゲージという一般的な開発言語の対比で用いていたんですが、要はグラフィカルに開発言語と同じことができるという定義です。そのためノンプログラミングとも呼んでいました。
今はノーコードやローコードが一般的になってきたので、そういうふうに使っているんですけども。長年培ってきた、コードを書かないで済む誰でも使えるツールが、他社との大きな違いになっています。
——お二人はノーコードツールの強みなどについて、どういう捉え方をしていますか?
大角暢之氏(以下、大角):僕はもう大好きです。
熊谷:(笑)。
髙橋蔵人氏(以下、髙橋):(笑)。
大角:本当に熱くなっちゃいますけど。そもそも「IT」という言葉ができて、経営や現場に情報技術が入ってきて、一大産業になってきたと。こういう話をすると、僕はいつも怒られたりするんですけど。もともと僕はアクセンチュアのSIerにいたので、そっち(分業を進めるほう)の商売をしていたんですけども。
(外部のIT人材に依頼することを)別に否定しているわけじゃないですよ。1つの側面として、IT投資やITというものが、あまりに日本の経営スタイルに対してギャップがありすぎる状況なんですよ。
例えば「CIO」という言葉が出始めて、日本のIT投資の内訳を見た時に、僕がまず「おかしくないか?」と思ったのは、各社が売上の何パーセントかをIT投資に向ける時に、ビジネスのトップラインや付加価値を上げる戦略的なIT投資は、だいたい3割なんですよね。「7割はどこに行っているの?」と言ったら、既存のシステムの保守運用なわけですよ。
——なるほど。
大角:Oracleのライセンス。別に悪いとは言いません。
熊谷:そうですね。悪いとは言えないですね(笑)。
大角:しょうがないですよ。それが現実なんですよ。もちろん僕も商売をしているので、そこは一番の疑問符というか。3割とか「イチローか?」みたいな。
——(笑)。
大角:もっと6割7割の投資を未来に向けようよと。アメリカの企業は、どっちかと言うとそうですよね。日本企業はやはり保守運用にどんどん(予算が)消えていくんですよ。
その問題はやはりさっきの分断なんですけど、普通は分断を解決しようとするじゃないですか。それができないのは、やはりプログラミングとやらのスキルがない。
大角:僕もSEだったので、まずはプログラミングをやって、開発テストをしてというところが一番大きな問題でした。本当は料理をするように、新しい料理を作りたかったら、すぐに調理法うんぬんを試すということがしにくいんですよね。
だけど、ITのサブシステムはどんどんできていきますよと。そのシステム間のやりとりは、結局どんどん人間がやらなきゃいけなくなってきて、それがまさにレガシーだし、技術負債と言われる状況になっているわけですね。
そこで、やはりノンプログラム、プログラミングをせずして連携できるのは、僕はアステリアさんが日本の元祖だと思っています。僕も創業してからずっと、「売らせてください」ということで扱っていたんですよ。
「そもそもなんでノーコードなの?」という点をひもとくと、やはりコーディングが(非IT人材にとっての壁になっている)。いや、情報技術というのはすばらしいですね。
ただ、やはり悪弊の側面があるから、ノーコードでやろうよというのが出てきたんだと思いますし、我々ビジネスパーソンのユーザー側に立つと、そういうことに期待したということですね。そこがやはりアステリアさんの走りですし。
今ようやく大衆化してきたので、ノーコードやローコードをもっと広めていこうというのは大賛成ですし、まさに新しい習慣にしていったらいいのかなと思います。ノーコードは一丁目一番地だと思っています。
——ありがとうございます。
大角:すみません、ちょっと長くなりました。
熊谷:とんでもないです。ありがとうございます。
髙橋:私は特にないですかね。ノーコード、ローコードについては熊谷さんがおっしゃった通りで、背景などは一緒なので、あらためてこれを明確に「ノー」なのか「ロー」なのかと分ける必要があるのかも含めてそうなのかなと思いました。
なので、ノーコードは本当に非IT人材向けで、ローコードは手助けしてもらえれば使えるようなスキルが少しあるIT人材向けという定義かなと思っています。
私はエンジニアでもないですし、どちらかと言うとフロント側のコンサル出身なので。ただ、私でも3年前にノーコードのAIを扱ってきただけで今はAI人材ですし、(DXの)コンサルをしていますし、大学の教授にまでなれた。何が違うかというと、いかに早くノーコードを使って取り組んだかだけなんですね。
——そうですね。
髙橋:ノーコードを手段として捉えた時に、このままでは私の達成したい姿が描けない。じゃあ手段は何かと捉えた時に、私はローコードはたぶん扱えないですと(いう人がいるとします)。ただしノーコードであれば扱えるということで、非IT人材が使うのを手助けするのがノーコードツールなのかなと思います。
——なるほど、わかりました。ここで熊谷さんにぜひお聞きしたいことがあります。御社でリスキリングのポータルサイト「NoCode Gate」を立ち上げていらっしゃいますが、こちらはどういった狙いで立ち上げられたのかを教えていただけるでしょうか。
熊谷:先ほども少し触れたんですが、僕らはサービスツールベンダーなので、ビジネスを支援する時に、やはりゴールはみなさんにそれぞれ設定していただくしかないので。冒頭で課題として挙げたようにコストの面が大きいかなと思い、なるべく容易に習熟できる環境を提供しようと考えたのが「NoCode Gate」です。
今もやってはいますが、例えば「ASTERIA Warp」という(データ連携)ツールがあって、ここでトレーニングと呼んでいるものはお金をいただいていました。ただ、そこで使っているコンテンツは今、「NoCode Gate」で全部無償で提供しています。
ちょっと語弊がありますけど、お金にすることよりも、まずそれ(ノーコードツール)を知っていただいたり、試して使っていただくために立ち上げました。
さらに、まずは私どもの製品を載せたんですが、みなさんはやはり何をどう使っていいかとか、根本的にご存じないケースが多いです。それをなるべく知っていただくために、「ノーコード」というキーワードを始点としたリスキリングとして、このサイトに来ればある程度学べるようにしようという狙いで、提供を始めました。
——わかりました。そういった中で、今後の企業におけるDXやリスキリング、それからノーコードの行方が今後どうなっていくのかを、まず大角さんからお聞きできれば。
大角:先ほどの繰り返しになるんですけど、今日本国内の現場で起こっていることは、さっき言ったように人手不足です。量と質の問題もあるというところで、けっこう危機的だと思うんですよね。
そこがみんなの認識としてある中で、やはり内製化(が必要)ということで、たまたまデジタル技術の1つとして見た時には非常に果実が多いということで(ノーコードの活用を)実践していくという話なんだと思っています。
なので、僕がいろいろな人たちに言うのは、やはり教習所が必要だということです。これはAI inside の西川さんが言っていたことを、僕は納得してそのまま使っているんですけども。
(今のITの世界の流れを)車に例えると、これからは車を一度に作るのではなくて、運転していってゴールをちゃんと作っていく時代になってきています。「車がありますよ、運転しなさいよ」と言っても運転できないじゃないですか。やはり運転を覚える教習所があるわけで、そこがアナロジーとしてけっこう似ているのかなと。
大角:我々自身もRPAはノーコードの一丁目一番地ですし。RPAツールがすごいわけでも何でもなくて、その先に誕生するデジタル人は、24時間働いて辞めないんですよ。電気代だけで無制限に働きますと。どう考えても、マイナスをゼロにするには、現場にデジタル人は欠かせないものだと思うんですね。
例えばそれが1つですし、データサイエンスと民主化もそうですし。だから、これからは現場でしっかり果実を得てもらうためには、一定の教習、学習、伴走がどんどん当たり前になっていきます。なので、「NoCode Gate」のコンセプトも、教習所というプラットフォームとしては本当にすばらしいと思っています。
逆に今Webでいろいろなトレーニングがたくさん(出てきています)。これまでの習慣的に、ただ単にスキルをつけますよということではなくて、ちゃんと使って果実を得ますと。嫌な仕事をやめたり、これまでできなかったことが自分でできるようになる、教習所のようなものが一般化するはずです。
シーンで言うと自治体さんは今いろいろな人材育成の予算を取っているので、地元でというのもあるでしょうし。こういったノーコード、ローコードというプラットフォームも、短期的にはそんな方向で進むんじゃないかなと思っています。
あとは事例ができれば共有されて、それをみんなが参考にして、いろいろな発芽からビジネスの果実が得られるような世の中になったらいいかなと。その先にはやはりコンソーシアムやコミュニティといったものがもっとできていったらいいのかなと思います。
——髙橋さんはいかがですか。
髙橋:そうですね。まず、金額的な市場の話と抱負について分けて話したいんですけども。AIの市場は、たまたま我々は提供していますけど、グローバルな市場規模でもだいたい20兆円ぐらいと言われているらしいんですね。これは2030年には200兆円を超えるという規模です。
今はWeb3とかいろいろありますけど、他のテクノロジーは実はそこまではいかないんです。やはりさっき言ったように、みなさんのふだんの生活が変わって、「未来の街ってこうなるよね」といったところを実現していくには、やはりデータやAIは欠かせないものなんです。
それが数字にも表れている中で、展望としてまずそういった市場があるとした時に、だんだん「あれ? やばい」という企業が増えてくれば、手段としてはリスキリングやノーコードの市場しかないわけであって。
データやAIを扱うには、「じゃあ今から工学部へ入って機械学習を学びますか?」と言われても、文系の私たちはついていけないですもの。1講座目でたぶんアウトです。そういう時に手助けしてくれるのは、やはりこういったノーコードやリスキリングといったもの。目的を達成するための手段を学ぶ環境が当然必要となってくるのかなと思っています。
髙橋:それだけの市場規模がある中で、我々は最近「Smart X」という言葉を社内で使っています。どういうことかと言うと、我々が目指しているのは、誰もがどんな業種・業態でも簡単に、自分たちが持っているデータからAIを作成して実装する、もしくはそれを共有することです。特別な意識をすることなくAIの恩恵を受けられるような社会を今、実は作っています。
「未来はこういう生活をしているよね」と、今マイクロソフトさんが海外でやっていますし、トヨタさんは「ウーブン・シティ」という新しい街を作っています。じゃあそれがどう動きますかとなった時に、すごくギャップがあるんです。急にぽんと入ってその街があるかと言うとないわけであって。
それを実現していくには、やはりデータやAIの力が必須です。我々は、いろいろなインダストリーの方々に先ほどのノーコードやローコードを使っていただいて、内製化して、自分たちのデータでその街をどう作っていくか(を支援しています)。
素早く製品・サービスを提供して、新しいまちづくりやスマートな社会を手助けし、AIがあらゆる社会課題を解決する、持続可能な未来社会「Smart X」を作ろうと目指しております。
直近でもリリースで、あるヘルスケアの会社さまと組ませていただいて、いわゆる企業の健診のデータを、ヘルスケアとしてどう使っていくかという話もしています。
この間はあるゼネコンさんと一緒に、労働環境が厳しかったり製造費をなかなか上げづらい現場でどうするかという取り組みもしています。そういった現場、現場でモノをどうつなげていくかを、我々は最終的に「Smart X」という社会によって目指させていただいています。
——熊谷さんはその点、どうお考えですか?
熊谷:そうですね。昔OAやITが流行ったように、ブームは何回も来ているんですが、今叫ばれているDXがその時とは違うのは、ノーコードの技術がすごく発展して、ITを誰でも享受しやすくなっている背景があります。
マーケットとしてという感覚よりも、恐らくこれからは(誰もがノーコードを使えるのが)当たり前になって、本当にインフラに近いものになると考えているので、非常に大きくなってくると思っています。
その中でも特に、ITのケーススタディはどうしても大企業さんが多くなっているんですけど、どちらかと言うとデジタル化やDXが進んでないと言われているような中小企業さん。あとは、大角さんが昔からずっとやられている地方にも、どんどん価値を提供しやすいかたちになっています。そういうところを支援させていただくことによって、今のさまざまな課題に対応していきたいなと考えています。
——あと、みなさんが協業でお仕事をしていらっしゃるというお話もお聞きしたんですが、どういった経緯で、今どんな業務をされていらっしゃるのか、参考程度にお聞きできればと思います。大角さんはいかがですか?
大角:そうですね。私はもともと会社を創業させていただいてから、ITの悪弊と言っちゃいますけど、そこに切り込んでいきたいという思いでやってきました。その中で、アステリアさんという、ノンプログラミングのテクノロジーが出てきたのを見て、「いや、すごいな」ということで、そちらに一部注力させていただいたという経緯があります。
そもそもアステリアさんの創業の時から、100パーセントリスペクトしていまして。私はその中で、ノンプログラミングでもっとカジュアルに、いろいろなシステム間を連携していろいろなことができるということを思いついたんです。その導線はずっと変わってないんですよね。
この点を私ども目線から言わせていただくとデジタル人との協働という考え方になります。(PRAで)デジタル人をどんどん大衆化して、誰でもデジタル人を100人でも200人でも使い捨てのように使えると。
夜中も働くんですよ。辞めない。クビにも一発でできて、増やせるというすばらしい労働者なんですよ。だから、スキルがある現場の方がこれを使う環境を大衆化したいということで、この10年やってきました。
もう1つは、デジタル人は今のRPAという分野だと限られているんです。さらに、デジタル人をどんどん高度化させていくためには、専門家の方々の技術、あらゆる世界中の技術をデジタル人にくっつけて高度化したい。
ただ、そうは言っても、すばらしいGoogleの何かの技術があるとして、そんなものはいきなり(デジタル人に)伝導できないので、やはりテクノロジー(を使う側)の方々も大衆化してもらわないと困るんですよ。
アステリアさんも大衆化の一丁目一番地ですし、まさにAI insideさんのOCRもそうですし、AI、データサイエンスも民主化ということでやられているので、当然そういった大衆化したものをデジタル人に実装して。
コンビニで言うと、今までは受発注に関する単純作業をロボットにやらせていましたが、次の段階では需要予測までして発注をかけるとか、どんどんデジタル人自体が高度化していくと。
大角:一方でもう1つは、人なのでITの側面があります。例えば何億レコードものデータをノンプログラミングでやるような時になると、これはもうRPAでもAIでも無理なので、そこの大衆化はアステリアさんにすばらしい基幹業務としてきっちりやっていただくというつながりですね。
また全国でみんなで(導入していくことで)すばらしいデジタルがいろいろできるわけなので、そういうものをシェアする。かつ、それ(作り方)をシェアしようということで「NoCode Gate」を提供しているという。私はそういう見方をさせていただいて、連携をどんどん一緒にやっています。
ここにいろいろなツールも実装して、私目線でデジタル人をどんどん高度化する。売上を上げるロボットがどんどん出てきて、それを共有するサイクルを作っていくような協業を考えている感じです。
——ありがとうございます。髙橋さん、いかがですか?
髙橋:そうですね。私も大角さんと一緒ですけど、やはりノーコードツールがあれば、AIをまず試してみることが簡単になります。
これを業務で使っていくとなった時に、ソフトウェアがあっても、AIはまず部品を作らなきゃいけないんです。需要を予測している人がいれば、その人がどうやっていたかというのを基に、まず部品を作って、その部品を現場で使う。「作る」「使う」の繰り返しなんですね。さっきの知財で言えば、知財を判断していた業務を部品化してそれを使っていく。
毎回ログインして使うかというと(そうではないし)、大掛かりなシステムを組むのも違うので、そういう時にやはりデータは必要なんです。データを入れないと(部品を)作れない時に、例えばいろいろな基幹のデータベースからRPAを使って取り出したり、もしくは出たアウトプットをまたRPAを使って表示させたり。このデータ間の連携はやはり必要なんです。
我々(のサービス)1つで成り立つようなものではないので、アステリアさんのような(企業との連携が必要になる)。実は私はロボット工場のようなものをイメージしているんですが、ここ(手足)だけあってもダメなんです。RPAが手足だとした時に、AIは頭なので。
人っぽいものはできるけど、じゃあこの土台ってどこで作るのと言うと、ここは実は「ASTERIA Warp」といったソリューションが活きてくる場面です。これは単独でやっていても全体最適にはならないわけです。
髙橋:お客さまのユーザビリティを高めた上でそれを彼らが楽なように、内製化しやすいようにどう提供するか。具体的な名称で言うと「ASTERIA Warp」といった、データを簡単に加工してちゃんと抽出をかけられるようなものがあります。
そういったものも載っかってきて、出てきたものをどうつなげるかというところまである程度できれば、そこにはやはりお互いの良さが介在しないと、お客さまの達成したいものが実現できない。実はアステリアさんは不可欠だったというところで、組ませていただきました。
熊谷:いえいえ、とんでもないです。
髙橋:一緒に取り組みをさせていただいているところです。
——では最後に熊谷さんに、お二人のお話を踏まえてメッセージを頂戴できればと思います。
熊谷:今日のキーワードにもなっていますけど、「リスキリング」「ノーコード」でデジタル化やDXを進める上では、環境としてはやっとタイミングが合ったと個人的には思っています。
今回、「NoCode Gate」はすべて無償で提供させていただいていますので、活用いただいて、これが企業や自治体さん、もしくは個人の競争力や生産性の向上につながれば非常にうれしいなと思っています。
——わかりました。どうもありがとうございました。
熊谷・髙橋・大角:どうもありがとうございました。
アステリア株式会社
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