2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:サイボウズ株式会社
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野水克也氏(以下、野水):みなさまこんにちは。昼スナック幕張店へようこそお越しくださいました。今日は「サラリーマンのDX」をテーマに、どうやったらサラリーマンが変われるかについて、お話ししたいと思います。
ここは一応スナックです。実際に赤坂のスナックのママを呼びまして、一緒にスナック談義をしていきたいと思っていますが、そもそもサラリーマンのDXと聞いて、みなさんどういうことを思い浮かべますかね。
DXとは、ITを使って生活やビジネスを根底から変化させることですが、なかなか「根底から変える」ところには行っていません。「自分の会社は、DXやっているよ」と言いながら、ぜんぜん根底から変わっていないDXがいっぱいあるわけです。
例えば、スナックをDXしたらどうなるのかをご説明してみたいと思います。通常だったらスナックは夜やっていて、お客さんも夜来られる。フラッと見て店に入り、それから口コミで広がって、常連客がいつもいるというのが、だいたいのスナックだと思うんですよ。
ところが、今日お呼びするのは昼スナックのママなんです。根底から覆って、平日の昼にやっているスナックです。ここに公務員や大企業の従業員の方がわんさと押し寄せて来るという不思議な現象が起こっています。
何でお客さんが来るのかというと、SNSでの集客や、ママの『日経WOMAN』の連載や本を読んでいらっしゃっているわけですね。集客方法もガラッと変えて、スナックをDXしている。「ビジネスモデルが変わるとは、このことか」と思っています。
なので今日はスナックのママを実際にお呼びして、サラリーマンがどうやったらDXできるかについて、みなさまと議論してみたいと。カウンターでの内輪話みたいなものですけどね。
では、今日のママを呼んでみたいと思います。ママ、1番テーブルお願いいたします。拍手でお迎えください。
(会場拍手)
木下紫乃氏(以下、紫乃ママ):みなさんこんにちは。スナックひきだしの紫乃ママです。今日はよろしくお願いします。
野水:ご挨拶代わりに自己紹介を軽くお願いしたいんですが。
紫乃ママ:はい! すごい、今日は5万人くらい来られていますね。
野水:5万人。さすがですね。
紫乃ママ:後ろのアリーナ席の方、見えますか?
野水:(笑)。
紫乃ママ:すみません。紫乃ママと申しまして、赤坂見附にあるスナックのママです。もともと25年くらい普通に会社員をやっていたんですよ。小さい会社から大きな会社までけっこういろんなところを転々と移り、ついでに離婚したり再婚したりとかもしているんですけど。
人生経験がいろいろあるので、それを活かして、今風に言うと世の中がダイバーシティ&インクルージョンな感じでつながるといいなということで、サラリーマンを辞めて人材開発の会社を1人で始めたんですね。
企業さんでセミナーとかをやっているんですけど、あまり人が来ないのと、やはり企業さんでやると、みんな本音で話をしないんですよ。それがイマイチだなと思って、人がつながって、しかも本音で話せる場所って何だろうと考えた時に、「あ、スナックじゃん」と思いついて、スナックを始めたんですけど、私、夜がムッチャ弱くて。
野水:(笑)。
紫乃ママ:今も22時半くらいに寝ているんですけど。
野水:早い。
紫乃ママ:「昼だったらいいわ」と思って。スナックって昼間は使っていないじゃないですか。それで、知り合いの夜やっている店の昼間を借りたんですよ。
野水:なるほど。
紫乃ママ:今は自分の店を出したんですけど、そこも私は昼間しかいなくて、しかも週1日。あとは「ママやりたい」「マスターやりたい」という人に使ってもらっているという。そんなわけのわからないスナックをやっております。今日はよろしくお願いします。
野水:セミナーの代わりがスナックだったと。
紫乃ママ:そうそう。
野水:飲み屋の延長ではないと。
紫乃ママ:違う違う違う。
野水:違うんですね。
紫乃ママ:我ら中高年が本音で話せる場所がなかなかないということで、会社じゃ話せないし、家に帰ってもやはり家族がいたら話せないじゃないですか。よくスナックに来る人で「俺は会社じゃ社畜だけど家じゃ家畜だよ」「おもしろいね」って、そんな話をしているんですけど(笑)。
野水:ずっと「畜」なんだ。飼われているんだ。
紫乃ママ:そうなんです。そんな感じでやっています。
野水:今日は2人で進行してまいります。よろしくお願いします。
紫乃ママ:よろしくお願いします。
(会場拍手)
野水:じゃあカウンターの中に入りましょうか。
紫乃ママ:このカウンター、いいですね。
野水:そうでしょ? 「カウンターっぽいやつを見つけて」とイベント担当に言ったら、一生懸命考えて見つけてきてくれました。
紫乃ママ:うちのより格好いいです。
野水:持って帰っちゃダメですよ。
紫乃ママ:はい。
野水:(笑)。今日はまずスナックのお客さんがどういうことをしゃべっているのかについて、いくつかVTRを準備しています。それをもとに2人で話を深めていきたいと思います。では、最初のVTR。VTRって言っちゃダメじゃん。
紫乃ママ:それはあかんあかん。
野水:ビデオテープレコーダーじゃねーっつーの。もうとっくにSDカードになっていますよね。ちょっとご覧ください。
【動画再生】
昼スナックの来店客1:「(私は)究極のパラレルワーカーで、もう所属しているところが5社、6社みたいな感じなので。コロナになってリモートが普及したからできていることですね」。
昼スナックの来店客2:「コロナ禍から『DX、DX』って言われるようになって、民間よりも遅れているけど、行政もすごくDXを進めようとしていて。DXが嫌だというおじさんたちはいるけど、市長や副市長から権限を与えられているから、20代、30代の職員はすごくやる気があって、変えようとしています。やはり自分たちがやりやすいように仕事をしたいじゃないですか」。
昼スナックの来店客3:「一応DXに関する事業部ができました。ただ、うちはテレワーク一切禁止なんですよね」。
昼スナックの来店客4:「契約書にサインする時に、未だに紙で送ってくれというところが多いんですよね。『PDFで送っていいですか?』と聞くと、『紙でほしいんだよね』と言われたり。あと『Zoomミーティングでいいですか?』というところより、『ミーティングといったら来るでしょ?』が多い」。
昼スナックの来店客5:「若い人は端的だけど、おじさんは基本的に書く文章が長いんですよ。最近はDXをして短くなってきているかもしれないけど」。
昼スナックの来店客6:「若い子はパソコンのキーボードを打つのがめっちゃ遅いから」。
昼スナックの来店客1:「(若い人は)スマホのフリック入力のほうが、PCのキーボードより速い」。
昼スナックの来店客5:「(若い人は仕事をする時に)Zoom立ち上げて、マイクラやって、YouTubeでBGM流して、Discord立ち上げてチャット(したりしている)。
昼スナックの来店客4:SlackメッセンジャーやSlackコネクトでやりたいんだけど『メールくれ』って。既読が付かないから不安になります」。
昼スナックの来店客1:「たぶんメールしか使わないという人は、おじさんとしか付き合っていないんじゃないかな」。
【動画終了】
野水:いかがでしたでしょうか。お酒も入っていますから、言いたい放題ですよね。「DX事業部ができたのにリモートワークが禁止」ってどういうことなんでしょうね。
紫乃ママ:(笑)。言っていることが矛盾していますよね。
野水:ただ、DXの波が確実に迫っているなというのは感じます。特に役所は変わりましたよね。
紫乃ママ:そう思いますね。
野水:公務員の方もけっこう来るんですか?
紫乃ママ:来ますよ。20代30代の「〇〇市市役所にいます」という人とか。役所はヒエラルキーが厳しいから、業務効率化すればいいのにというところが現場にいっぱいあるんだけど、上の人から「いやいやそれはやらなくていい」みたいに言われて、「どうしましょう」と相談に来られる方がけっこういます。
野水:僕は本業でよく地方創生の仕事をしているんですけど、3年くらい前まではリモート会議ができるところは一切なかったわけですよ。ところが今はどんな町役場、村役場に行ってもちゃんとZoomで東京とテレワーク(でコミュニケーション)ができる。
紫乃ママ:変わりましたよね。
野水:変わってきました。この先急速に変わってくるんじゃないかなと思いますね。
紫乃ママ:公務員の方が有給取って、スナックに昼間来るのはどうなのかという説は無きにしも非ず。
野水:確かに。
紫乃ママ:でもぜんぜんOKだと思います。ちゃんと有給取っているんで。
野水:あと、この2年で複業や移住も進みましたよね。
紫乃ママ:進んでいますね。コロナ禍で、いろんな価値観が変わったから、それがやりやすくなっている感じはあります。うちのお店は、めっちゃWi-Fiを完備しているんですよ。
野水:さすがです。
紫乃ママ:「ちょっとテレワークやらせてください」って、会議やっている人とかいますもん。
野水:(笑)。スナックでZoom会議。
紫乃ママ:ええんか? みたいなね(笑)。
野水:強者ですね。横に行ってカラオケ歌いますよ。
紫乃ママ:「画面出ないからいいんです」とか言ってね。
紫乃ママ:でも、どこでも仕事できるようになったしね。だから複業もやりやすくなりましたよね。
野水:僕も複業でカメラマンをやって、田舎との2拠点居住をやっているんですけど、クラウドサービスがなかったらあり得ない話だったりするんですよね。
昔だったら2拠点居住のために「会社辞めるか」みたいな大げさな話になった。例えば、全部自分で帳簿を付けていたらとても複業なんてできなかったんですけど、クラウドサービスを使うことで、自由が得られた気がしますよね。
紫乃ママ:いい時代になりましたよね。
野水:ただ、時間がない。大企業の方とかで、「ママの言うことはもっともなんだけど、時間がないんだよね」みたいなことをいう人いません?
紫乃ママ:さっき誰か言っていたけど、メールが長いんだよね。
野水:(スライドの)これね。
紫乃ママ:なんて書いてあるかわかんないけど。
野水:僕も読めない。
紫乃ママ:メールだとこういう時候のあいさつみたいなのを入れなきゃいけないじゃないですか。でも、コミュニケーションツールでこういうのを入れていると、(長文を打つのに)親指が痛くなるわけで。そういう使い分けや、バリエーションを増やすのは大事かなと思いますね。
野水:「時間がない」と言っていらっしゃる方には、本当に時間がないのかをよく聞きたい。
紫乃ママ:このへんは絶対省略できますからね。
野水:省略できますよね。意外と本質的な部分で縮められるところって、けっこういっぱいあると思うんですよね。
紫乃ママ:全部を短くしなくてもいいけど、短くできる場所を見つけて、その積み上げで自分がやりたいことをやれる時間が増えてくると思いますよね。
野水:それでも時間が足りないという方は、捨て方をママさんが本で教えてくれています。
紫乃ママ:ありがとうございます。『45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』という、お店に来た人たちのキャリア相談をいくつか入れた本なんですけど。
「やりたいことがあるわけじゃないんだけど、なんかモヤっとしているんだよね」と相談に来られた方に、「やりたいことがないんだったら、とりあえずやりたくないことやめたら?」という問いかけをしたんですよ。そしたらその人、「今の状態で会社にいるのが一番やりたくないことだと気づきました」って、2週間後に会社辞めたんですよ。
野水:辞めたんですか。めっちゃ人生変えちゃいましたね。
紫乃ママ:辞めると余白ができるじゃないですか。そしたら余白に入ってくるものもあってね。「今何もやっていないんだったら、ちょっとこれやってくれない?」って話が来たと言って、すぐ転職しちゃいましたよ。全部がそういう話にはならないでしょうけど。
野水:やってみると開ける道もあるということですね。
紫乃ママ:あるあるある。だからやりたくないことって、うちらくらいの年になると……私54歳なんですけど。
野水:(笑)。言っちゃった。
紫乃ママ:いっぱいあるじゃないですか。「しょうがないよな」ってみなさん思っているかもしれないけど、「いや、待てよ。これはもう辞めてもええやん」と。
さっきの長いメールもそうですけど、そういうものを1個ずつ外していくと絶対に隙間ができるから、そこでクリエイティブなことをやれるようになるんじゃないかと思います。
野水:なるほど。
野水:ただ、やりたくない(けど得意な)仕事をやっていて、好きなことをやりたいんだけど、なかなかスキルが追いつかないようなことがあると思うんですよね。
DXをやると言っても、サラリーマンがいきなり変身して退職ってけっこう極端な話で。ところが今の時代って、そういうつらい方々って(スライドの)ここなんですよ。好きじゃないけど得意。
「会社でいろいろ教わって来たから自然にできます。でもこの仕事、俺がやりたいことじゃないんだよな」みたいなことってあると思うんですよ。
ところが、この4象限で言うと左上。今までやってこなかったので、「好きだけど苦手」というのがある。左下の「好きじゃないし苦手」なことをやらされている人は、即刻会社を辞めたほうがいいと思いますけど。
紫乃ママ:どうしようもないですよね(笑)。
野水:でも、もし右下の「好きじゃないけど得意」をやってらっしゃる方がいたら、その比重をだんだん減らして左上の「好きだけど苦手」なことに、儲からないことをどうやったら儲けられるかに寄せていくということですね。
なので紫乃ママは、複業の前にまずボランティアを勧めています。
紫乃ママ:そうそう。「複業をやりたい」と相談に来るんだけど、いきなりお金にするのってすごくハードルが高いじゃないですか。お金にならなくても「ありがとう」と言ってもらえれば、それは絶対お金になりますから。
野水:確かに。その時は社交辞令じゃないですよね。
紫乃ママ:そうそうそう。「申し訳ないから、交通費くらい出すよ」という話になって、それが「交通費だけだと申し訳なくて」というふうになるので。諦めずに「ありがとう」をちゃんと積み重ねていくことが、「好きで苦手」を実践する秘訣だと思います。
野水:「儲からない」ところが「ありがとう」を経由して「楽しい」になってくるという感じですよね。
紫乃ママ:そう思いますね。
野水:ということで、2つ目のVTRでまたいろんな愚痴を眺めていただければと思います。
紫乃ママ:仕込みなしですからね。
【動画再生】
昼スナックの来店客1:「40代50代以上の人は、逃げ切れる世代の人だからいいと思うんですよ。えっ、もうダメ? わが社の40代50代以上の人は逃げ切れないらしいです(笑)」。
昼スナックの来店客2:「年齢の呪いみたいなのから解き放たれてほしいなと思うし、歳を取ることがポジティブになる世の中になってほしいと思いますね。女性は活動的でいろんなところを飛び回っている方が多いのに比べて、男性は歳を取るにつれて、自分の世界に入っていく感じはしますね」。
昼スナックの来店客3:「会社の中の人間関係だけだと、ちょっと疲れちゃうかもしれないですね。でもそっちはそっちで、会社だから付き合わないといけないんですけど」。
【動画終了】
野水:40代が逃げられるなんて、とんでもない話ですよね。だってこれ、見てください。
45歳だとまだ半分以上残っているんですよ。
半分以上残っているのに、65歳までさっきの4象限のつらい仕事をずっとやり続けるとか、絶対無理ですよ。しかも現状維持ということは、相対的には稼ぎが下がるということですから、これを続けてはダメだと思うんですよね。
紫乃ママ:今は人生100年時代とか言われて、45歳なんてまだ半分もいっていないじゃないですか。お店に来る人で「もう50歳過ぎているからさ」「あんた、あたしのほうが年上だけどケンカ売ってんの?」みたいな。
野水:(笑)。
紫乃ママ:私は50歳になってすごく自由になったんですよ。もうできないことはやらなくていい。できることを極めようみたいな気持ちになって。
野水:好き、得意に一直線。
紫乃ママ:そうそう。そっちに行けるし、できないことは若い人にやってもらえたらいいと思うんですよ。その「やってもらうスキルを身につける」という感じでやったらいいと思うし、「私は〇歳だから」「俺は〇歳だから」と年齢で決めつけているのって、所詮自分じゃないですか。
野水:はい。
紫乃ママ:決めたらそこで終わり、諦めたらそれで終わりですよという話になるので。
野水:諦めたら終わりです。
紫乃ママ:私は今が一番若いとマジで思っています。
野水:親の世代のイメージを重ね合わせたらいけないと思うんですよね。
紫乃ママ:そうですね。20年前とぜんぜん変わっているし。
野水:ぜんぜん違いますよね。『宇宙戦艦ヤマト』の沖田艦長、52歳ですよ。
紫乃ママ:(笑)。
野水:磯野波平さん54歳と書いてあります。
紫乃ママ:それはよく出る話ですね。
野水:僕より2つも年下がチョビひげみたいな。
紫乃ママ:私と同い年(笑)。
野水:もちろん年齢と一緒に衰えるものはありますけど、自分の年齢がどうとかはいったん置いて、好奇心と心の持ちようは変わらないという感じですね。
紫乃ママ:大事だね。
野水:もう1つ、さっきのインタビューで僕が不思議に思ったのが、お付き合い。
紫乃ママ:ああ、付き合いね。
野水:会社の付き合いをやらなきゃいけないの?
紫乃ママ:好きな人とそうでもない人がいるんだし、時間は有限だから、そのへんもやりたくないことをやめる勇気を持ったほうがいいと思いますよね。
野水:ですよね。スナックのママとバーテンが話す話題じゃないんですけど。
紫乃ママ:そうそうそう。うちにはぜひみなさん来ていただいて。
野水:昼スナックには行ってほしいですけど。
紫乃ママ:嫌な上司は私が受け持つので大丈夫です。
野水:すばらしい!
紫乃ママ:任せといて(笑)。
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