2024.10.10
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kintone AWARD 2022⑤株式会社奥羽興産 河邉祐梨子氏(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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河邉祐梨子氏(以下、河邉):みなさん、こんにちは。奥羽興産の河邉と申します。本日は、データ入力を減らしたいという思いから始まった「kintoneでできる業務改善」をご紹介していきます。
まず自己紹介からさせてください。奥羽興産に入社して6年目を迎えましたが、最初の4年は店舗、いわゆる現場で働き、それから現在の経営企画部に異動してkintoneの担当をしています。IT経験は特にありません。趣味は吹奏楽や旅行やドライブです。私は、この趣味の時間を大切にできるような働き方がしたいと思いながら、社会人になりました。
私の入社した奥羽興産は熊本の不動産会社で、創業25年目を迎えました。社員40名で、私を含めて3名がkintoneの担当をしています。平均年齢は36歳。不動産の管理・賃貸・売買・土地開発など、幅広く手がけています。
そんな奥羽興産がkintoneを導入したのは、今から8年前の2014年のことでした。ですので私が入社した頃にはすでにkintoneは使われていて、さまざまなアプリがありました。私も習って使っていたのですが、その頃はkintoneで業務改善ができるなんてつゆ知らず、「kintoneってただのデータ入力アプリでしょ」と思っていました。
そもそもなぜkintoneを導入することになったのか。当初はお客さまが来店された際に紙に書いていただいたアンケートをExcelで管理していましたが、それだと共有ができず、属人化が起こりやすく、ファイル破損の危険性もあるということで、kintoneを導入したんですね。
ただExcel管理は終わりませんでした。アンケート用紙の記載内容をkintoneに置き換える。ここまではよかったんですが、結局また資料を作るためにExcelで吐き出していました。
詳しい業務フローで見てみましょう。こちらは、お客さまに書いていただいていた紙のアンケート。この内容をkintoneの複数アプリに入力し、その内容をまたExcelに入力します。わかりますか? データの四重管理になっていたんです。データの二重管理で悩まれている会社さんはたくさんあると耳にしますが、まさかの四重管理でした。
そうすると現場の不満も溜まります。「なぜ複数のアプリに同じ内容を記載するのか」「入力箇所が多すぎる」「そもそも入力する意味があるのか」……私も現場時代はこのような愚痴を言っていました。
河邉:私がそのおかしさに気づいたのは、入社5年目に今の経営企画部に異動したことがきっかけでした。入力がちょっと面倒くさく、よくわからないkintoneの担当になったので、まずはkintoneを調べるところから始めました。幸いネット上にいろいろな情報が載っていましたし、kintoneの業務改善の本を読んだりもしました。
いろいろと調べていくうちに、「本来kintoneは業務改善ができるものだ」と気がつきました。同時に、kintoneを導入しただけでは業務改善ができるわけではないということにも気づきました。
そしてこの頃、経営層のkintone導入の思いも知りました。「現場の入力は最小限にして、事務作業を減らしたい」「全員で共有できて、かつ見やすいグラフやデータで会議をしたい」という意図でkintoneを入れたんだ、と思いました。
IT経験はありませんが、これが変われば、「もっと働きやすくなるかもしれない」「もっと早く家に帰れるかもしれない」と考え始めました。
もちろん一人で変えていったわけではありません。kintoneの良いところの1つに、必要に応じてプロに伴走をお願いできる点があります。ですので社内も社外も含めて、たくさんの方々に協力していただきました。そしてアイデアを1つずつ形にしていきました。
河邉:kintoneは連携サービスも多くあります。多くの連携サービスの中から奥羽興産に何が合うのか、試行錯誤しながら合ったものを取り入れていきました。本当にいろいろな取り組みを行ってきたので、全部ご紹介したいところではありますが、時間の関係上、今日は2つだけお伝えしたいと思います。
1つ目は、紙アンケートの廃止です。先ほどお見せしたこちらの四重管理の図。これだと二度手間、三度手間にもなってしまう。入力間違えの危険性も高まります。
これにはまずFormBridgeを使いました。Web上のアンケートとkintoneが連携したもので、お客さまのスマホや店舗のタブレット、パソコンなどからアンケートを入力していただき、送信されると、このように自動でkintoneに登録され、転記の手間が省けます。
蓄積されたデータはExcelに入力するのではなく、このようにExcelライクなかたちで、自動で集計できるようにしました。こうすることで共有しやすく、一目でわかりやすいものになります。
2つ目は、LINEとkintoneの連携です。なぜLINEなのか。今お客さまとのやり取りで一番使われているのがLINEです。そうすると、個別でやり取りした内容を共有する作業が必要になります。
現場からも「LINEが使えないのなら、ほかのシステムがいいんじゃないか」という声もありました。確かにそうですし、LINEの重要さを思い知りました。
なので、kintoneの画面から直接お客さまにLINEを送れるようにしました。やり取りに関しても、時系列で同じページに表示させて、見やすくわかりやすいものにしました。
以上の2つの取り組みの結果、アンケートの転記作業と、お客さまとのやり取りの転記作業を削減することができました。
営業マン1人あたりの効果で見ると、月間12時間の削減、年間144時間の削減になりました。
効果は時間の削減だけではありません。グラフなどで可視化したことで「こういうグラフはできる?」とか「こうしたほうがいいんじゃないか」などと、現場から具体的な意見がもらえるようになりました。
さらに、最近は「この部分は、私がkintoneでできるのでやっておきます」と、現場から落とし込みをサポートいただける方が出てくるという、うれしい出来事もありました。
河邉:ここまで、業務改善がサクサク進んできたようにも見えますが、kintoneを運用するにあたって大切なポイントがありました。それは「システムで解決できる課題なのか」を常に考えることです。
言われたとおりの業務フローをkintoneに乗せることは、おそらく可能だと思います。ただ、それだけでは業務改善にはなりません。時には業務フローの見直しが必要な場合もあります。ですので、このことを常に自問自答しながら進めていくことが重要なポイントでした。
そして、なぜ私がここまでkintoneでの業務改善に注力してきたのか。それは「もっと早く帰りたい」という自分の思いがあったからです。
最初にお伝えした私の趣味で吹奏楽がありますが、練習が18時からなんですね。定時で帰ると間に合うのですが、うまくいかずに遅れて参加することも多くありました。なので早く帰りたいと思っていたのですが、これは私だけではなく、ほかの社員も絶対そう思っているはずだと考えました。
そこで見えてきたのが今後の展望です。「奥羽興産をもっと働きやすい会社にしたい」。kintoneならそれができると思います。社内のkintoneが少しずつ便利になったことで、「うちのシステムが便利になったよ」と、社長が周りの会社に広げてくれていました。そうすると周りの会社から「うちでも使いたい」という声が上がりました。
これには正直びっくりしました。奥羽興産を良くしたいと思っていましたが、不動産業界も良くできるんじゃないか。不動産業界は「残業が多そう」「IT化が遅れている」などマイナスなイメージが多くあり、この業界のイメージを変えたいと思いました。
大それたことを言い過ぎじゃないかと自分でも思いましたが、去年の「kintone AWARD 2021」に参加して、同じような志を持つ方がたくさんいるのを見て、私がやっていることも間違いじゃないと思いました。
これからもkintoneを通じて「不動産業界って働きやすい!」ということを伝えていきたいと思っています。
河邉:最後に、今日私が一番伝えたかったことは「IT未経験でも業務改善に取り組める」ということです。
業務改善はIT経験者のものだけではありません。私もkintoneに取り組みながら、何度も何度もつまずきそうになりましたが、そのたびに周りの方々に助けていただきました。そうすると、1人でする何倍ものパワーで業務改善していけると思います。なので今、不安な方も悩んでいる方も大丈夫です。一緒に業務改善していきましょう。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
平川紗夢氏(以下、平川):河邉さま、ありがとうございました。それではZoom応援団の方々におつなぎしましょう。みなさん、ありがとうございます。
それでは河邉さまに少しご質問させていただければと思います。河邉さまの発表の中で、利用する側からkintoneを作る側に移っていったというお話がありましたが、使っていた時の経験が活きたり、逆に作る側になってから苦労されたことはあるのでしょうか。
河邉:現場を経験してからのシステム構築は、すごく役に立ったと思っています。ただ現場のルールも変わっていくので、いつまでも「現場のことがわかるから」というふうには絶対になりたくないという思いがあり、自分の経験は活かしつつも、現場に聞いていくことを大切にしています。
平川:ありがとうございます。最後に不動産業界への野望も語っていただいたので、これからも引き続きがんばっていただければと思います。河邉さま、ありがとうございました。
河邉:ありがとうございました。
(会場拍手)
サイボウズ株式会社
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