2024.10.10
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ボイスボット導入によるすべての電話問い合わせのAI自動応答化について(全1記事)
提供:株式会社PKSHA Communication
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石井喬氏:NTTドコモの石井と申します。長い時間お聞きいただいて、だいぶお疲れのところだと思いますが、最後となりますので、20分ちょっと我慢していただければなと思います。
「ボイスボット導入によるすべての電話問い合わせのAI自動応答化について」が題名となります。(2022年)3月に弊社でボイスボットを導入しまして、導入した成果や経緯についてお話ししたいと思っております。
以下7点を順番にご紹介したいと思います。こちらは弊社のサービス紹介のページになります。私はNTTドコモを背負ってきておりますが、「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかなと思います。
私の担当業務は、いわゆるドコモのインフォメーションセンターのような大きなコールセンターではなくて、「ひかりTV」というサービスと「ぷらら」というインターネットサービスプロバイダーのサービスのコールセンターです。
これは、もともとNTTぷららという会社で運営していたサービスです。2022年7月にドコモと一体化で吸収合併されて、現状のかたちになっております。なので、(ドコモのインフォメーションセンターだと)期待した方がもしいらっしゃったら申し訳ないです。
弊社が提供しているサービスの「ひかりTV」「ぷらら」は、両方合わせますと月に10万件ほどの問い合わせが来ています。まだまだ盛況な中で、ボイスボットを導入した成果は小さいものではなかったと自負しております。
「ひかりTV」は、多チャンネル放送を提供しているサービスです。他社さまでいうとWOWOWさんのようなサービスですね。アンテナ不要でチューナーをレンタルしていただくだけで、映像が見られたり、地デジも見られます。他にもカラオケやeコマース、電子書籍も提供しているサービスです。
インターネットサービスプロバイダーの「ぷらら」は、プロバイダーの中の「ぷらら」という位置付けでサービスを提供しております。
ボイスボットを導入した経緯についてですね。これまでご登壇された方々が話していた、チャットやFAQを導入して効果を上げられたところと反してしまうわけではないんですが。
弊社の場合は、もしかしたらPKSHA Technologyさんの製品を使ってないからかもしれませんが、電話問い合わせが減らない状況ではございました。
他にもサービスの特性などもあって、チャットやFAQが合わないのかなと考えてはいたんですが、「電話問い合わせをされるお客さまが何を参考にしたか」というアンケートを採りました。
すると、特に調べずに電話している方が半数いたことがわかりました。半数もいるんだったら、このまま何もアクションを起こさないと、電話の問い合わせは減らないという問題にぶち当たりました。
電話は会社でオペレーターを配置するので、やはりコストがかかります。WebやFAQよりも、オペレーターのコストは高いことは、みなさんもご存じかとは思います。
弊社では、電話の問い合わせ件数を減らすことが最大の急務でした。そこで、オペレーターにつながるまでのボイスボットを導入しました。お客さまが電話してPBX(電話交換機)とつながって、オペレーターにつながるまでの間にボイスボットを導入することで、どうにか解決できないかなと考えました。
「PKSHA Voicebot」というボイスボットを選定した理由を3つ挙げました。
まず品質です。音声認識の精度の高さとコストですね。イニシャル・ランニングコストだけにかかわらず、リリース後のチューニング作業も含めた総コストです。
それから利便性ですね。実は、私は利便性を一番大切にしています。運用部門で無償でコールフローやガイダンスを変更できるところが非常に大事だと考えて導入しました。なぜかと言いますと、弊社の場合、コールセンターの管理部門とシステム管理をする部門は別になっています。
そのため、サービス自体に変化があったり、何か問題や障害が発生した場合のコールフローやガイダンスを変えたいと思った時に、「なぜそれを変えないといけないのか」といった(説明や)交渉が発生して、(変更するまでの)時間が長引いてしまったりもしました。
そこで、運用部門で手軽に直せるツールがないかを重視して選定しました。他社4社さんとそれぞれの項目について比較したところ、PKSHA社製品は氏名、アルファベットなど数字の高い認識率もありましたし、コストも安価でした。
利便性としてもコールフローの変更が容易にできますし、ガイダンスの変更も即時変更が可能です。さらに無償でできるところで、すべてにおいてPKSHA製品が有意だったところから選定しました。
どういった利用状況か。まず、お客さまからお電話いただいた後に、ボイスボットが自然対話をしながら要件を振り分けます。会員証再発行・解約・引っ越しなどのカテゴリーに振り分けて、一部の問い合わせについては本人確認をして、お客さまの要件を自動処理で解決します。
具体的には名前や電話番号、ID系をヒアリングしました。弊社の顧客データベースと連携して一致していれば自動処理をします。書面発送や解約などを電話窓口だけで解決するというやり方です。
もう1つはSMSで、FAQ、マイページのURLをお送りして、そちらでセルフサポートをしていただきます。あとはオペレーターへ誘導します。お客さんが「オペレーターを希望する」と発話した場合も、オペレーターにつながります。
なので、お客さまからすると、不満に思われるポイントはあまりないと想定していました。オペレーターにつないでほしいお客さまも一定数いると思いますので、そういったお客さまのニーズには沿うのかなと思います。
最後に「紛れの少ない呼」とスライドに書いてあります。従来の弊社の場合は、IVR選択式(自動音声でプッシュ番号で着信先を振り分けるシステム)です。今はたぶん、どの会社さんでも多いと思うんですけど、PBXのIVRを使って「入会されたい方は1、解約された方は2」というボタンを押して選択いただいていると思います。
お客さまの押下する番号なんですが、こちらとしては「解約(2)」と押してもらいたいんですが、1番を連打されしまうなど、けっこうな確率でこちらの意図とは反したカテゴライズをされて、オペレーターにつながることがありました。
意図しないオペレーターに着信してしまうと、オペレーターも回答に難儀してしまいます。そういったことも防げるようになってきていると思います。
Webページの誘導のイメージなんですが、これがボイスボットの管理画面です。AIが会話する内容と、右側がお客さんの発話のイメージです。
ご用件をおうかがいして、お客さまが「今月の料金について知りたい」とお話しされたら、「それではSMSでマイページをご覧いただければ解決できますよ」という会話をして、携帯電話番号をいただいてSMSをお送りします。
お客さまはSMSに記載してあるURLを開くと、このFAQサイトが見られるといったイメージになります。
こちらの導入効果として、結論から言うと、ボイスボットを導入することによって、20パーセントのお客さまが自己解決できるようになりました。このことから、オペレーターを増やさず維持したまま、応答率の向上に貢献ができたことになります。
概念図なんですが、問い合わせのモデルケースを記載していますので、ご説明させていただきます。
例えば、100人のお客さまから問い合わせが来るコールセンターだと仮定した場合に、オペレーターがそのうち30人に対応するという見方をしてください。非常に応答率が悪いコールセンターなんですけど……。そうすると、70人が電話につながりません。
中には電話しない方もいらっしゃると思うんですが、いったん全員が電話してくださると仮定します。
その70人の方はどうするかというと、また30パーセントの21人がオペレーターにつながって解決します。これを繰り返していくのがコールセンターのざっくりとした流れかなと思います。
そうすると、例えば3回目までとした場合に延べ解決数は66人。総問い合わせ数は219人になります。
そこでボイスボットを導入すると、オペレーターの人数は変えずとも、ボイスボットが自動で対応してくれるので、20人上積みされて1回目の未解決が50人減ります。これが先ほどのロジックと同じように2回目、3回目と繰り返していくと、延べ解決数は88人に向上します。総問い合わせ数は175に減ります。
こういったことからも、応答率の向上に寄与ができていると考えております。
リリース後にどういった取り組みをしたかというと、ボイスボットを導入して早々に効果が出たわけではありませんでした。
そこで、PKSHA社の社員さんにオンサイト対応していただきました。この講演を見てくださっているかもしれないですけど、コジマさんに非常に密にコミュニケーションを取って対応していただいて、会話ログを目視分析してチューニングしました。
具体的には2種類のチューニングを行いました。1つは単語チューニングですね。どういったことかと言いますと、お客さまが「やめたい」と発話してきた場合に、こちらとしては、期待する要件分類は「解約」と分類したい、といった事例についてです。
お客さまの発話の一例として、「解約したい」と言ってくる人や「退会したい」「休止したい」という言い回しが複数あると思います。例えば「やめたい」という単語の登録が漏れていた場合に、この(解約に分類されるように)登録をしておきます。分析して、このような一例を見つけたら随時登録をしていくチューニングがあります。
また、質問文言の調整については、ボイスボットが「電話番号を教えてください」と発話するフローがあったとします。
そうしますと、お客さまは「自分の携帯番号を答えるべきなのか。契約電話番号は違うから、そちらを答えるべきなのか、どちらなんだろうか」などと考えられます。ご自分の携帯番号を答えてしまうこともあります。
そういったログを見つけた時に、期待するのは契約電話番号を答えていただくことなので、「ご契約されている電話番号を教えてください」という質問文に変えます。
こういった地道なチューニングを繰り返しまして、1ヶ月で解決率2倍に向上した実績がありました。
最後になりますが、3月に導入したので約半年は経ったのですが、まだまだチューニングの余地はあります。コールフローのチューニングですね。お客さまのニーズに合わせたフローの細分化や、SMSでお送りするFAQの掲載ページを追加するところが、まだまだ足りていない課題だと感じています。
要望としては、ボイスボットのシステムがもう少し良くなればいいという思いで、スライドに書かせていただいてます。現在のコールフローの離脱ポイント、お客さまが電話を切ってしまうポイントやコールフローの分岐ポイント、条件分岐のポイントが複数あります。
その分岐ごとでどちらに行ったのか。イエス・ノーなのかという比率分析が難しい状況になっていますので、もう少し手軽に分析できる仕組みになるといいなと思います。
また、コールフローの変更履歴が残らないんですね。今更新をしても、更新された最新版のものしか見れません。
昨日更新したものに戻したい時も情報が残っていないので、記憶しておくか、何かに記載するしか方法がない状況ですので、こちらは改善ができたらよいなと考えております。
発表は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
株式会社PKSHA Communication
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