2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
未来に向けた電動化領域の先行開発について(全1記事)
提供:株式会社デンソー
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堀畑晴美氏(以下、堀畑):「電動化の先行開発」として、堀畑晴美から紹介します。まずは自己紹介を簡単にします。私は2006年にデンソーに入社して、当時はオルタネーターの開発部署に配属されました。
(スライドを示して)配属当初は回転機を担当していて、2008年にインバーター開発、インバーターに使うカスタムIC開発、モーター制御と、だんだんとシステム側に技術領域を広げていきました。現在は車両システムとビジネス企画を担当しています。
また、プライベートなことですが私には子どもが2人いて、トータルで5年間ほど産休・育休をとりながら勤務を続けています。
さっそく本題に入っていきたいと思います。本日はデンソー流先行開発の進め方と、事例の紹介をしたいと思います。
まずデンソー流先行開発の進め方です。先行開発の流れをまとめると、大きくテーマ選定、技術開発、量産化といったフェーズに分かれます。その中で、本日はテーマ選定と技術開発について紹介します。
まずはテーマ選定です。デンソー流にいうと、フォアキャスト/バックキャスト視点で開発ロードマップを描くところが特徴的だと思います。
本題に入る前に少し補足をします。「フォアキャストとバックキャストって何?」と疑問に思われる方がいると思います。フォアキャストは、現在から現在の延長線上に予想される未来を描くことです。反対に、望ましい未来から人々から求められる未来を描いて、現在まで予測することをバックキャストと言います。
ではここからが本題です。フォアキャスト/バックキャストの視点で開発ロードマップを一緒に描いていこうと思います。まず、デンソーのロードマップは、将来の安心・安全、カーボンニュートラルを支える技術の開発ロードマップです。
例で書きましたが、PEST(Politics、Economy、Society、Technology)というフレームワークを使って未来を予測します。
予測した未来に対してどんなモビリティが求められるかを考え、ニーズの仮説をたてていきます。この仮説を支えるために、デンソーは何で貢献できるのかを次に考えていきます。
本日見せしているものはイラストになっていますが、実際のロードマップは、デンソーのこれからの将来を導く道しるべのようなものです。
先ほど橋本の話にもあったパワーカードも、このようなロードマップを描いて、「じゃあ何で支えられるか」とテーマを選定します。このような開発ロードマップに沿った先行開発で、連続的な要素技術開発と市場ニーズに合わせた商品を企画していきます。
ここで「商品を企画」と出てきましたが、「なぜサプライヤーが商品企画をするの?」という疑問をみなさん持たれると思います。身近な例を使って説明したいと思います。
生産者と消費者とを区別をすると、みなさんは消費者だと思います。それに対しOEM(Original Equipment Manufacturer)と書いていますが、自動車業界ではトヨタ自動車などの完成車メーカーや、自社ブランド製品を製造するソニーやパナソニックといったメーカーなどをOEMと呼んでいます。
例えばみなさんが音楽を聴きたいと思った時、道順を調べたいと思った時、みなさんは何を使うでしょうか? 音楽だと昔はCDを買っていましたが、今はダウンロードする人もいると思いますし、サブスクを利用している方もいるんじゃないでしょうか。
道順を調べたいと思った時も同様に、地図を見ていた人がカーナビを使うようになり、今はアプリを使っている方もいると思います。
これらの商品はみなさんが企画したかというと、そうではないと思います。OEMから提案され売られているものを実際に使ってみて、「いいな」と思ったから使っているのではないかと思います。
サプライヤー側から「こんな製品はどうでしょう? これを使うとうれしくないですかね?」という提案をします。それを実際にユーザー、ここでいうOEMが使ってみて、「良いね」と思ってもらえたもの。それがスタンダードな技術になっていきます。
とはいえ、「本当にデンソーが考えた商品企画をOEMは採用するんですか?」という質問があると思います。ここは工藤の話にもあったように、弊社は多様なお客さまとお付き合いがあります。また、拠点も35の国と地域に点在していて、多種多様なグローバル市場とのつながりがあり、声が集まる場所になっています。
それだけではなく、車載から非車載、材料技術からIC、システムといった幅広い事業分野で多様な製品群があります。つまり、それらの製品群を支える要素技術が弊社にはあります。このようなことから、デンソーには企画を提案できる環境と技術があると思います。また、企画・提案を行うことがOEMや社会からデンソーへの期待だと思っています。
続いて、技術開発の紹介に移ります。
技術開発の中でのデンソー流の特徴は、立案した仮説を自ら検証するところだと思います。V字のプロセスを使って、技術開発の流れを紹介したいと思います。
(スライドを示して)V字の左側は各ユーザーレベルから車両、技術レベルと、それぞれのレベルに応じて要件定義・開発をします。
例えばユーザーレベルで「これが出来たらいいな」と思ったことを、車両レベルで「こんな機能がいるよね」「どう動かそうか」「こんなモノが欲しいな」「この技術がいるね」という要件を決めて開発を進めていきます。
その出来上がったものをV字の右側で検証、テストをします。
ではこの中で、デンソーの仕事の範囲はどこでしょうか。「デンソーがサプライヤーなので、部品を作っているならば混合テストと単体テストかな」と想像されるかと思いますが、実は全部です。OEMとの連携で、ユーザーレベルの検証までデンソーは実施しています。
自分たちが立案した仮説をもとに価値の検証まで自ら行います。「何が本当に必要なんだろう」と、自分たちで自らテストをすることで、見つけることができます。これらの取り組みの結果、たくさんのコア技術を持っていることがデンソーの強みではないかと思います。
では事例の紹介に入っていきます。まずはテーマ選定の事例として「空飛ぶクルマ」を紹介します。先ほど説明をしたモビリティのロードマップを、フォアキャスト/バックキャストで描きます。「将来、こんな移動の仕方がクルマでほしいな」というところから、空飛ぶクルマというニーズを抽出しました。
次に、抽出したニーズに対してデンソーは何で貢献できるかを考えました。クルマで培ってきたモーター、インバーターの技術で貢献することを決め、テーマとして選定しています。クルマで培ってきた量産の技術は、デンソーだから貢献できることだと思います。
コストメリットを活かすことで、空のモビリティに(できる)。1台だけ作るのではなく、みなさんに使ってもらえるくらいの台数を量産できることが空のモビリティへの貢献ではないかと思います。
また、空のモビリティで最高性能を追及していくことで、培った技術を未来のクルマに還元していくことも、デンソーならではのできることだと思っています。
続いて、技術開発の事例です。「何の事例がいいかなと」思ったのですが、どんな検証をしているかという事例を持ってきました。
テストをするためには、テスト環境が必要になります。車両レベルの評価をする時に必要となってくるのが、テストコースです。(スライドを示して)こちらの写真は、すべてデンソーが保有しているテストコースです。デンソーのテストコースは日本のさまざまな場所に点在しています。
自分たちの設計拠点のオフィスの横には、「気になるな」と思った時にすぐに評価ができるテストコースがあり、また寒冷地の本格的な評価ができる北海道のテストコースもあります。右上に写真が貼ってありますが、夜の評価を行うことができるテストコースもあります。
「雨降らないかな」と待っていてもなかなか評価ができないので、夜間・雨天といったような環境を自ら作れる評価設備を屋内に作ってしまいました。
これは何の評価をしているかと言うと、画像認識センサーの評価をしている写真です。画像認識センサーの精度を検証するために試験設備を建てました。その設備の中で車両評価をOEMと一緒に行っています。
技術開発とその品質保証。両者に必要なすべての検証を行うことがデンソーの仕事だと思っています。
みなさんが今思い描いている「あったらいいな」を、デンソーの技術であなたのもとへ届けたいと思いながら日々仕事をしています。
以上、「先行開発の領域」について、堀畑より紹介しました。
株式会社デンソー
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