2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
デンソーが取り組む電動化の全体像(全1記事)
提供:株式会社デンソー
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工藤弘康氏(以下、工藤):それでは「電動化の全体像」ということで、工藤よりプレゼンします。
まずは自己紹介します。私は2000年ぐらいに入社して、高電圧のモーターを開発していました。そのあと補機系の高電圧インバーターの開発や設計を経て、48ボルトの要素技術開発をした後に、現在はシステム戦略とか品揃えを担当しています。
続いてデンソーについて紹介します。(スライドを示して)左側に会社全体における売上の構成を示しています。トヨタグループ以外のところに示している企業を見てもらうとわかるとおり、デンソーは幅広いお客さまに選んでいただいています。
電動化のところに少しフォーカスを当てると、電動車が走る・曲がる・止まるために必要なインバーター、その電池の状態を監視するための電池ECU、それを支える半導体、モータージェネレーターやEPSなどを提供しています。
(スライドを示して)デンソーがこれまでどういったことに取り組んできたのか、そしてこれからどんなことに取り組もうとしているのかをこちらに書いています。CO2排出量の低減に視点を絞って書いていますが、エコビジョンという環境領域の方針を立てて、先々の未来で何が必要かをよく考えながら取り組んできました。
モビリティにスポットを当てると、モータージェネレーターやインバーターをお客さまに使っていただいています。また今後は空の領域においても電動化が進むだろうということで、空に対しての電動化を提案しています。
クルマにおいても、インホイールモーターのような、違うかたちの電動化が求められると予測をしています。
一方でモビリティだけではなく、エネルギーという点でも取り組みを進めています。例えば、バイオ燃料を開発していったり、非接触充電の実証・実験に早い段階で参加させてもらったり。
近年では、発生しているCO2を回収をして電力を作り、電気自動車のエネルギー源として使う実証実験を進めています。これまでもCO2の排出量そのものを低減する取り組みをやってきましたし、これからも進めていきます。
最近「カーボンニュートラル」とよく言われますが、デンソーは大きく3つの領域で取り組んでいます。①モノを作る時に出てくるCO2をどれだけ削減し、ニュートラルにできるか。②モビリティの移動により出てくるCO2を、どれだけニュートラルにできるか。③モビリティを動かす燃料を作る時や、モノづくりの際に使用するエネルギーをどれだけニュートラルに近付けるかの3つの視点で取り組んでいます。
デンソーでは、2035年のカーボンニュートラル実現を目指して動いていますが、本日は特にモビリティ製品のところにフォーカスを当ててお話をしていきます。
(スライドを示して)基本戦略がこちらです。世の中に一番初めに出てきた電動化のシステムがハイブリッドですが、ハイブリッドから発展してくるであろう電気自動車、燃料電池車、それから空における電動化。これらにより、電動化が広がってくるであろうことを予測しながら、それぞれに何が必要かを考えながら進めています。
その結果、走る喜びの進化、車だけでなく空のモビリティへ電動化を適用し移動の自由度を拡大、、燃料そのものがe-Fuel(合成燃料)や水素など選択肢の拡大など、いろいろな可能性があると思っています。これらに向かって全方位で先回りした技術開発を進めることを基本的な方針として進めています。
電動車にもう少しフォーカスを当てると、乗用車だけではなく二輪だったり、農・建機だったり、トラックだったりと、いろいろな車両が電動化されていきます。
それも、ハイブリッドからプラグインハイブリッド、電気自動車から燃料電池車など、いろいろな形態があるので、電動化していくことを考えた時に、横串を刺すようなかたちでモータージェネレーター、インバーター、電池ECUが必要です。それぞれ使われ方や、環境がいろいろ違うので、そこの違いを予めよく見極めた上で開発領域を設定します。それらを“コア技術”と設定をして、デンソーは真剣に開発しています。
(スライドを示して)デンソーの電動化の活動をもう少し細かく示したのがこちらです。世の中にモノを出す過程で、製品の企画や開発、モノの調達、それから設計、製造などいろいろな工程がありますが、その中の活動の事例を紹介しています。
製品の企画や開発では「先回りをした技術開発を行い、どれだけ未来のお客さまに使ってもらえるものを構えられるか」を非常に大事にしており、デンソーの中では、この考え方を「フォアキャスト/バックキャスト視点」という言葉で表現します。
この視点を持って製品企画や開発を行い、世界で一番お客さまに使っていただける技術を作っていくことを大事に取り組んでいます。これは講演3で事例として紹介します。
次に、描いたロードマップから技術を作り込んでいきますが、デンソーではコア技術を内製化することにこだわっています。コア技術といっても1人のエンジニアでできるものではなくて、技術、設計、もしくは熱設計、振動設計などのさまざまな要素が入ってきて、総智・総力で力を合わせて作っているところがデンソーの良いところだと思っています。
その結果、デンソーにしか作れない製品を作り込んできましたし、これからも作り続けていきたいと思っています。こうして作ってきたコア技術をお客さまに安心して安定的に使ってもらうために、技術や生産・供給の面でもデンソーは力を入れています。
開発面で言うと、安城製作所にイノベーションセンターを作り、継続的に開発力を身に付けていける体制を整えています。
また、昨今の半導体不足にも対策をとっており、専業メーカー様やサプライヤー様との関係をこれまで以上に深くすることで、安定的に供給が受けられるようなかたちを作っています。製品開発においても最後は人の力が非常に重要だと考えます。
したがって、デンソーは世界一の製品を量産品として成立させるためにも人材育成を非常に大事にしています。人の力で開発した製品がカーボンニュートラルに貢献する。つまりモビリティやモノを作る過程で使うエネルギーもカーボンニュートラルなものになっているということです。
(スライドを示して)デンソーはこれまでこういった活動を続けてきた結果、コア技術というかたちで技術や製品が生まれ、世界中のお客さまに使っていただいています。
ここに書かれている製品や技術は今後変わるかもしれませんが、たくさんのお客さまに使ってもらえるようにがんばっていきます。
ここで、電動化開発環境への備えについて補足します。2020年6月、安城製作所にイノベーションセンターを開設しました。開発から評価、試作を一連して行い、開発スピードを上げることを意図して作ったセンターです。
(スライドを示して)半導体不足への構えについては、28nmのマイコンを想定し、JASMへ一部少数の持分出資というかたちを取っています。これからの自動車の生産計画をより深く半導体メーカーと共有して、従来より踏み込んだ対応を取ることで安定した供給を目指す活動を行っています。
こうした領域にデンソーは継続的に投資を行っていることからも、電動化に力を入れていることが、おわかりいただけるかと思います。
最後に人材育成についてご紹介します。技術員を育むための「パワエレ道場」と、技能員のマネジメントとテクニカルスキルを磨く「技心伝道場」があります。
パワエレ道場は、ベテランから技術の伝承と、その魂や心得を受け継ぐことをモットーとしています。担当製品がなぜこのような設計になっているのかという視点を育むためにも、システム視点での講義を行っています。モノを実際に触ることが大事なので、体験型を非常に重視しており、過去の失敗事例も共有しながら何が大事かを肌で感じる場になっています。「現地現物」「心技一体」「切磋琢磨」という精神で進めています。
技心伝道場では、モノづくりの技術・技能の一つひとつを深掘りしています。心を込めて伝承することをモットーに、「元気な人づくりが大事である」というところを合わせて進めています。こういった取り組みを通じて、世界一の製品を量産できる人材育成に注力しています。
最後に、私たちの電動化技術で世界の空をきれいにし人々が安心して生活できる社会に貢献したいと考え、デンソーは日々の研究・開発を進めています。
株式会社デンソー
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