2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
サステナビリティと共に語られる人的資本の押さえるべきポイント(全1記事)
提供:SAPジャパン株式会社
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舩場智代氏:みなさま、このたびはSAP Sapphire Tokyoをご視聴いただき、誠にありがとうございます。本セッションでは「サステナビリティと共に語られる人的資本の押さえるべきポイント」についてお届けします。
みなさまもご認識のとおり、昨今サステナビリティを軸に、経済も経営も大きな変化に直面しています。
猛烈な暑さを感じる日が突然訪れたりと、昨今の環境の変化を皆さんも実感されていることと思います。企業も個人もこの環境変化に対して危機感を抱き、よりサステナブルな社会を実現していきたいと様々な取組が行われています。
それに呼応するかたちで投資家の方々も、環境や社会に良い影響を与え、それを継続できる統治能力の高い企業を選定し投資を行う「ESG投資」を積極化させています。この流れを受け、世界ではWEF(世界経済フォーラム)、GRI(Global Reporting Initiative)、ISO(国際標準化機構)など多くの団体が世界的な基準を策定しています。そして、これらの基準の中には必ず「人的資本」に関する指標が含まれています。
このように人的資本が注目されているのには、どのような背景があるのでしょうか。それは変化が激しい世界の中で「本当の競争優位性の源泉は人である」と広く認識されてきているからに違いありません。
例えば最新の調査を見ても、投資家が注目する企業の情報の第1位に「人的資本」という結果が出ています。DXが叫ばれる中で、「IT投資」や「研究開発投資」を抑えての1位というところで、注目度の高さがうかがえます。
また企業の経営層が自社の価値に大きな影響を与えると考えているサステナビリティ面での課題では、1位に「人的資本の開発・活用」、そして第3位に「ダイバーシティ」と、どちらも人に関わる課題が挙げられています。このようなニーズに応えていくかたちで、あらゆる世界的な基準の中に人的資本に関するパートが含まれることとなりました。
人的資本経営に関しては、経産省でも研究が進められております。今年の5月に「人材版伊藤レポート2.0」が発行されたのはみなさまの記憶に新しいことと思いますが、その中でも「経営戦略と人事戦略の連動」「施策と推進のモニタリング」「社内外への発信の必要性」を中心に提言がなされました。
今回は実践事例集も発表されていて、先進的な取り組みをされている19社の日本企業の事例が公開されています。この19社のうち14社がSAPの人事ソリューションをご利用いただいているお客さまになるのですが、エンゲージメント向上、リーダー育成、ダイバーシティ&インクルージョンなどを含めた、各社の人的資本系のストーリーがとてもよくわかる内容となっていました。
人的資本経営を行っていくためには何が必要なのか。その本質は、激しい変化の中でも長期的に、経済的にだけではない「社会的価値」を生み出せることにほかなりません。
その鍵となるのが人的資本経営、つまり価値を生み出す「人」の資本を最大化するための仕組みを構築し、運用していくこと。その人事プロセスを正しくモニタリングし、変化に即応しながら継続的に改善を積み重ねていくこと。そして人材への投資の内容と、それによって得られている成果を含めて、自社の価値創造のストーリーとして社内外へ発信していくこと。これらの3つがポイントとなると言えます。
それをIT基盤として支援していくためには、まず人的資本最大化のためのプロセスを統合的に管理できる必要があります。これまでのように各プロセス単位で個別システムやExcelで管理をすると、継続的に正確なレポーティングができないだけでなく、従業員エクスペリエンス(経験価値)の低下を招いてしまいます。
次に継続的なモニタリングや改善を行うためには、人材管理のプロセスオペレーションの情報を自動的かつ効率的にレポーティングし、インサイトを与えていく仕組みが必要となります。その際には人材情報に加えて、ほかの経営管理システムからの情報を統合してレポーティングすることが必要となります。
そして最後に、そのプロセスの情報をKPIのかたちで集計・計算し、各規格に沿ったレポーティングを効率的に実現する仕組みが必要になってきます。
ここからはこれら3つの領域に沿って、SAPの人事ソリューションをご紹介していきたいと思います。
まず1つ目のポイントです。ここでは配置・評価・選抜・育成というタレントマネジメントのプロセス全体を押さえつつ、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、エンゲージメントの向上という点を踏まえて、どのように変革をし、プロセスを統合していくべきかというところをお伝えできればと思います。
例えば人材の配置検討に関して、人事主導で行われることも多いですが、昨今では従業員を中心に据えて、従業員の自立的な成長を促す企業も増えてきています。
例えばSAP SuccessFactorsの「Opportunity Marketplace」という機能では、AIが社内にあるさまざまな成長機会を提案してくれます。
「経験を広げる機会」の欄には、社内プロジェクト、いわゆるタスクフォースやフェローシッププログラムなどがレコメンドされます。その他にもおすすめの研修やご自身に合うメンター、そしてご自身の経験を活かすことができる社内公募の情報などが提案されます。
組織と人材に関する情報を集約し、機械学習の力を借りることで、従業員一人ひとりの志向や経験に合った、エンゲージできる成長機会を生み出すことができるようになります。
一方で、単に挑戦の機会を生み出すだけでなく、その挑戦を通じて従業員の方々が成長できるように、効果的な支援をタイムリーに行っていくことも非常に重要です。例えば1on1を行っている企業も増えてきております。SAP SuccessFactorsの継続的パフォーマンス管理では、社員の日々のアクティビティをフォローできるようになっています。
例えば期初に設定した目標や、参画したプロジェクトの目標達成のために今取り組んでいる活動の進捗を、ステータスで可視化できるようになっています。なるべくエンドユーザーの方々が簡単に利用できるよう、ドラッグ&ドロップでステータスを変えられるようになっていたり、モバイルなどを通じてコメントしていただけるようになっています。
もし社員が困っているアクティビティや活動があれば、上司はいつでもこちらのプラットフォームを通じてアドバイスを送ることができます。また定期的にセットする1on1ミーティングの記録もでき、1on1で話したトピックやアクティビティの進捗の変更もできるようになっています。
これらのアクティビティが完了された際には、成果としてシステムに登録され、年度末の評価の段階で成果物として表示される仕組みになっています。このように職務において、自律しながら業務を遂行できることは、キャリア計画の自律の前提となってまいります。
次はキャリア計画について見ていただきたいと思います。従業員の方々が自律的なキャリア計画を立てられるようにするには、従業員が社内にある情報にアクセスし、正しく活用できることが重要になります。
例えば社内に存在する職務の情報が公開されていて、自分が目指していく職務の役割、責任範囲、必要なスキルといったところを確認できると、ご自身の現在のスキルと、これから目指していくキャリアとのスキルギャップが把握でき、ご自身で自律的に育成プランが立てられるようになります。
そして立てたプラン・アクションに対して、人事や管理職が1on1やキャリア面談の中で継続的に支援をする。このような一連のプロセスを人事施策の一つとして確立できるようになります。
また社内のたくさんの職務の中から、目指す職務を見つけていくのは容易ではありませんので、システムが持つ機械学習の機能により、今のポジションから将来考えられるキャリアパスを提案してくれるような機能をご活用いただくことが可能です。
個々人が多様なキャリアを描くようになると、実際に目指す姿と現在とのスキルのギャップを埋めるための研修も、これまでのように一括研修のようなかたちではカバーができなくなってまいります。そのため、企業内の学習管理の仕組みも変化が必要となります。
コンプライアンスなどの必須の研修を自動で割り当てるだけでなく、注目のeラーニングを表示したり、個人の学習履歴やスキルをベースとしたレコメンデーションで、一人ひとりにマッチする研修を提案します。
また多様な学習ニーズをカバーするためには、社内で提供できる研修に加えて、LinkedInラーニングやUdemyなど、最新の学習コンテンツをタイムリーに提供できるプラットフォームと、シームレスに連携できることも求められています。
次に、プロセスの進捗の把握と改善について見ていきたいと思います。従業員のニーズ自体が変化する中で、人事プロセスも常に改善が求められます。人的資本開発においては、どのような施策も従業員の方々がモチベートされて取り組めなければ、意味がありません。そのため、従業員エクスペリエンスを把握・向上していくことが不可欠になります。
従業員サイクルの中には、入社・メンタリング・1on1などさまざまなイベントがあります。年に一度のサーベイだけではなく、各イベントが発生したタイミングで従業員の方々がどのように感じているのかをリアルタイムでヒアリングできれば、従業員エクスペリエンスの改善につなげることができます。
またエクスペリエンスを確認するだけではありません。レポーティングの機能では、グラフ化や単純な集計、ドリルダウンだけでなく、機械学習を用いて特に影響のある要因分析を自動解析したり、アクションプランを提案することで、具体的な改善アクションを現場に促したりします。
サーベイを取って取りっぱなしにすることが一番エンゲージメントを下げてしまいます。即座に結果を表示し、アクションプランまで提示することで現場における改善活動をサポートすることができます。
また人事施策のモニタリングを行う際に、人事システムの情報だけでは包括的な把握はできません。例えば経費全体や売上に占める人件費や、人材開発投資の割合なども、人事施策を考える上での重要な指標となります。そのためには、ほかの経営管理システムの情報と統合的にレポーティング・分析していく必要があります。
SAPでは「SAP Analytics Cloud」という共通の分析基盤を持っています。各種SAPソリューションの構造を考慮し、自動的にデータを集約するテンプレートをご用意しておりますので、複数ソリューションにまたがったレポートを効率的に作成できます。
ここまで紹介した機能によって、人材開発プロセスの構築と、社内で必要なレポーティングを構築できるようになります。しかし、冒頭でお伝えしましたように、これからは社外のステークホルダーに向けて人的資本の情報を開示していくことが求められます。規格に合わせたレポーティングを行っていくには、Excelベースでの手作業では、正確性や業務負荷の面でも課題があります。
SAPでは「SAP Sustainability Control Tower」という機能を提供しており、確実で効率的なレポーティングをサポートしています。SAPの各種ソリューションからデータを抽出し、計算した結果をESG KPI元帳に格納し、各スタンダードメーカーの規格に合わせてレポーティングを行うというソリューションです。
こちらは世界経済フォーラムの4つのピラー(柱)に沿ったダッシュボードです。コンテンツパッケージを提供しておりますので、KPI元帳のデータを求められた規格で表現することができます。またSAPのアナリティクスの機能がそのまま活用いただけますので、気になるKPIに関してはドリルダウンで分析を行うことができます。
SAPソリューションを最大限ご活用いただくことで、人的資本経営プロセスの構築からスタンダード準拠のレポーティングまで、網羅的にカバーできることがご理解いただけたかと思います。
昨今は経営層や投資家から、人的資本施策と財務や株価のパフォーマンスとの相関性を見える化したいというニーズが出ています。そんなニーズに応えるソリューションとして、SAPはサステナブル・ラボ株式会社の「TERRAST」と連携しています。
「TERRAST」は、国内最大級のSDGs・ESGのデータベースとなっており、国内外の上場企業3,000社以上の複数年にわたる財務・非財務データを収集、相関分析したデータを持っています。このTERRASTと組み合わせてご利用いただくことで、他社のベンチマークだけではなく、どういったESG関連指標が何年後の財務指標にインパクトを与えるのかを、事実データを基に学習することができます。
さらには、自社の従業員の多様性を高めることがどんな財務的・株価的インパクトにつながるのかといったシミュレーションも行えます。このようなソリューションをご利用いただくことで、人事戦略を「価値創造のストーリー」として発信する一助としていただけるのではないかと我々は考えています。
さて本日は、人的資本経営が求められる背景と実現するためのソリューションを、3つのパートに分けてご紹介してまいりました。まずはSAP SuccessFactorsを含むIntelligent Suiteからご利用いただき、人材データを集めるところから始めていただければと思います。
本内容がみなさまのサステナビリティ経営、人的資本経営を実現していくIT基盤のご検討にあたり、より良いきっかけとなりましたら幸いでございます。ありがとうございました。
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