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アナログとデジタルのいいところ取りができる「電話DX」(全2記事)

2022.06.30

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出社マストのコールセンターでも、テレワークが可能に 家のスマホ・PCで運営できる、“在宅コールセンター”の仕組み

提供:株式会社コムスクエア

コロナ禍に続き、エネルギー問題やインフレが多くの企業に重くのしかかる中で、生産性向上や従業員の働きやすさを進めていくために、どのような方法があるのでしょうか。​​デジタル技術を活用して、業務プロセスや製品・サービス、ビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めるための「DX」が注目されています。さまざまな業務がデジタル化によって効率化されていく中で、いまだ十分とは言えないのが電話対応業務。そこで今回は、テレフォニー事業の老舗企業、株式会社コムスクエア クラウドCTI事業部の春田元気氏に、「電話DX」についてお話をうかがいました。後編は、売り上げやマーケティング施策の効果を高めたほか、働き方の改善にもつながった事例をお聞きします。

前編はこちら

「電話のDX」で、3ヶ月後の問い合わせ件数が1.5倍増

春田元気氏(以下、春田):こちらはある自動車販売店さまの「電話DX」の事例です。Beforeが電話DXを実施する前、Afterが電話DXを実施した後です。

実際の問い合わせ数と応答率を書かせていただいてますが、応答率は、何もせず成り行きで電話を取っていた際には78.2パーセント。未応答が9パーセント、キャンセルが12.8パーセントということで、全体の22パーセントを取りこぼしています。

その後、キャンセルや未応答を防ぐような対策を打っていただいたところ、応答率90.4パーセント。出られない電話を1割未満まで落としていただいて、未応答とキャンセルは9.6パーセントまで減りました。

これだけ見ると、取りこぼしが10パーセントぐらい減っただけに見えますよね。ただ、実は「実際の問い合わせにつながる効果の高い広告はどれか」を分析して、費用対効率の良い媒体の広告予算を増やして、効率が悪い媒体の出稿をやめるといったチューニングもしていただいています。

それによって、3ヶ月で280件ほどあった問い合わせが、電話DXの実現後には413件ということで、およそ1.5倍に増えました。つまり、電話の問い合わせは1.5倍に増え、その応答率も上がっているというところから見ますと、かなり電話業務の改善が図れた事例になっています。

――電話DXによって、Web広告やチラシなど、いろいろな施策を打っていた中で、何経由での問い合わせが多かったのか、あるいは悪かったのかも分かったと。アナログな電話での問い合わせをちゃんとデータ分析すると、そこまで改善ができるんですね。

春田:そうですね。おそらく問い合わせ1件あたりのCPAも下がっておりますし、売り上げにもダイレクトに貢献しているポイントになるかなと思います。

約1,000件の電話に対し、およそ100件の取りこぼしを削減

春田:続いては、弁護士事務所さんの事例です。電話の取りこぼしが多いのを何とかしたいというお悩みです。細かい数字はお出しできないんですが、実数を出させていただくとこんなかたちです。

横軸が時間で縦軸が着信数です。実際に掛かってきている電話問い合わせの数に対して、オレンジのラインが電話に出られない未応答です。一般的に朝方と閉店間際が一番電話が多いんですけど、やはり取りこぼしが大きく発生しています。この弁護士事務所さんも閉店間際の取りこぼしが一番多いですね。

実際のお問い合わせ数1,123件に対して、対応できている電話数が940件ということで、だいたい183件の未応答があります。割合としては16.3パーセントで2割もないものの、件数としては多いですよね。

成約率にもよりますが、例えば10パーセントの方が成約されるとすると、18件の成約を落としているという計算になります。それをそのまま売り上げに換算すると、弁護士事務所さんなどでは、大変大きな売り上げになってくると思います。

こちらは、電話DX実施から3ヶ月後での時間帯別推移です。月が変わるので母数などは多少動きますが、16.3パーセントだった未応答率が5.6パーセントになりまして。全体で1,046件の問い合わせに対して987件対応できて、未応答が59件まで改善ができています。

未応答数が16パーセントから6パーセントまで落ちていますので、だいたい1,000件ぐらい問い合わせがあるとすると、差分の10パーセントで100件近くの問い合わせを新規に獲得できるのと同等の効果があるということになってきます。100件近い問い合わせを売り上げにつなげられれば、かなり効率も上がりますよね。

便利な電話応答の機能も、顧客によっては逆効果になることも

春田:この弁護士事務所さんでは、まず音声自動応答の機能を実装しています。宅急便の再配達のように「○○の方は1番を押してください。××の方は2番を押してください」といった、目的に応じて音声を分岐する機能です。

これを利用して「新規の問い合わせの方は1番を押してください。既存のお問い合わせの方は2番を押してください。予約の変更の方は3番を押してください」ということで、目的によって音声を分岐させて、スタッフに直接電話をつなげるようになりました。これによって、電話の取り次ぎが不要になったり、出るべき電話に集中できる利点があります。

あとは、最初に電話が鳴った時に出られなかったら、次に出られる方に順番に電話を引き継いで受話器を鳴らす、ラウンドロビンという機能を導入しています。あふれた電話を他のオペレーターにつないで対応して、取りこぼしを防ぐ機能の1つです。

話し中で誰も出られないときに、「ただいまおつなぎしていますので、そのまま少々お待ちください」という専用のガイダンスを流して、お客さまに電話を切らずにお待ちいただく機能も実装いただいています。

また、営業時間外の電話や話し中の電話など、それぞれの時間帯や状況に応じて、電話の動作を自由に切り替えることができます。営業時間外の電話には翌日の折り返しのガイダンスを流したり、不在の予定がある時に「この後すぐ折り返します。お電話を切ってお待ちください」という音声を流せる、スケジュール機能もあります。

――機能がたくさんあるだけに、何を入れればいいのか迷いますね。

春田:そうですね。どの機能が有効かというのは、本当にノウハウのような部分があるので、お客さまの状況に合わせて、この業界でしたらこちらが有効ですよといったご提案をさせていただいています。

例えばIVR(音声自動応答)は非常に便利なんですが、高齢のお客さまが多い場合は、お客さまが途中で何のボタンを押していいのかわからなくなって、電話を切ってしまうことが多いんです。そこを直接オペレーターにつなげることで、成約率や応答率が上がるケースもありますし。

――確かによくありそうです。業界ごとの最適解を提案してもらえるのは助かりますね。

春田:あたりもつかないという方が多いので、我々のノウハウをご提供することで、時短と言いますか、改善のスピードを速めていただけるかなと思います。

効果が見えにくい新聞広告を、「電話DX」で成果報酬型に

――売り上げや業務改善に活かせるような、攻めの電話DXについての事例は他にもあるでしょうか?

春田:お客さまが考えられた新しい事業を、我々が提供する「コールトラッカー」というサービスを使って実現いただいたケースがあります。コールトラッカーは、広告からの電話反響を効果測定できるサービスです。

弊社のお客さまが展開されている、「インターペーパー」という新聞の紙面を使った成果報酬型の広告サービスがあり、こちらはいわゆる新聞紙面を使ったアフィリエイトサービスに近いものかなと思います。

新聞広告を掲載する際、通常は1枠いくらで契約して自社の広告を掲載しますが、効果があってもなくても、一定の金額がコストとして出ていってしまうのが課題でした。そこでコールトラッカーを活用いただき、実際に掲載した広告紙面への問い合わせ件数に応じて課金する、成果報酬型の広告掲載モデルを提供されています。

例えば、桃の通販のお問い合わせだと月間6,000件。ミカンは2年連続で4,000件の電話反響があり、それがそのまま予約・売り上げにつながっています。新聞は高齢者の方の需要が非常に高いこともあり、その場で電話問い合わせをいただくケースが非常に増えてきていますね。

このように電話DXを進めていただくと、より多くの利益が得られるようなかたちでビジネスを展開できるのではないかなと思っております。

出社が避けられなかった、小規模コールセンターのテレワーク化も可能

春田:また、最近特にご相談が多い事例では、10名以下の小規模コールセンターさんのテレワーク対応があります。今まではオフィスで電話機を操作して運営しなければならないので、コールセンターのテレワークへの移行はなかなかできませんでした。

我々がご提供している「VoiceX(ボイスクロス)」では、PBXをクラウドに置かせていただいて、その保守を担うことで、かかってきた電話を弊社のクラウド上のPBXで受けて、インターネット回線を通じてお客さまに提供しています。

インターネット回線さえつながっていれば、ご自身のPCやスマホで会社の電話の受発信を受けられるので、コールセンターを自宅で運営していただく事例も増えてきています。自社製品のお客さまサポートや、企業さまの社内コールセンターのテレワーク化が実現できるかなと思います。

ーー日頃はどうしてもWebなどのコミュニケーション手段に意識が向かいがちでしたが、電話には「お客さまの生の声」という貴重な情報があり、それらをうまくデジタルと組み合わせることで、新たな施策やビジネスにまでつなげられていることに驚きました。

春田:おかげさまで、いろいろな業種の方にご利用いただくことが増えています。通信キャリアというと、NTTやソフトバンク、KDDIといった大手通信キャリアさんを思い浮かべる方が多いと思いますが、我々も小さいながらも2018年に総務省の認可を受けて、新キャリアとしてサービスを展開しています。

電話は労務依存型の対応方法だと思われがちですが、最新技術を使ったコミュニケーション手段として進化し続けていることをぜひみなさんに知っていただき、ご利用いただければと思っています。

ーー電話業務の見直しが、現状のビジネス課題の解決につながる可能性があるということですね。本日はお話しいただきありがとうございました。

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