2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:株式会社コムスクエア
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コロナ禍に続き、エネルギー問題やインフレが多くの企業に重くのしかかる中で、生産性向上や従業員の働きやすさを進めていくために、どのような方法があるのでしょうか。デジタル技術を活用して、業務プロセスや製品・サービス、ビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めるための「DX」が注目されています。さまざまな業務がデジタル化によって効率化されていく中で、いまだ十分とは言えないのが電話対応業務。そこで今回は、テレフォニー事業の老舗企業、株式会社コムスクエア クラウドCTI事業部の春田元気氏に、「電話DX」についてお話をうかがいました。前編では電話対応に関する課題と、アナログな電話の進化について解説しています。
――昨今は20年ぶりとも言われる急激な円安、インフレの中で、家計への負担を感じている方も多いと思いますが、グローバル大企業を除く大半の企業にとっても、原材料費やエネルギー費などのコスト増は大きな課題です。
厳しい経営環境の中で、利益率や生産性の向上のために、企業のDXがさらに加速していくと思われますが、今回はテレフォニー事業を行う株式会社コムスクエアの春田様に、「電話DX」についておうかがいしたいと思います。
コロナ禍でテレワークが一気に進んで、電話代行サービスもかなり普及したと思います。そういったサービスと、この「電話DX」はどう違うんでしょうか?
春田元気氏(以下、春田):電話の使われ方も、昔からのかたちでずっと続いているわけではなくて、実はいろいろと進化しているんですね。例えば業務改善や、電話での問い合わせを増やして売り上げアップにつなげられるようになってきています。
我々のサービスもそうですが、今までの電話は人がいなければ対応できなかったところが、直近ですと音声ガイダンスやAIを活用した自動応答が目覚ましい進化を遂げています。人が介在しなくても、ロボットがユーザーの電話の受け答えをして、予約を受けられるものもあります。
また、「通話品質向上のため、この通話は録音させていただきます」という録音のガイダンスもよく聞かれると思います。これは単純にオペレーターが裏側で録音を聞いて、通話を改善するといった使い方もされていますが、通話をテキスト化してキーワードを抽出し、どんな説明をすればよく伝わるのかを分析するといった使われ方もされています。
例えば、お客さまがよく口にする言葉から、Webサイトのコンテンツを改良したりと、マーケティングやブランディング、商品改善に役立てることができるんです。
――電話対応の代行というだけでなく、きちんとデータに残して分析することで、お客さまの生の声を施策に活かせるようになってきていると。電話でのやりとりはきちんと記録されないとブラックボックスになりがちなので、貴重なユーザーの声が埋もれたままになっているのかもしれないですね。
――ちなみに業務でよく電話を使っている企業さんでは、どんな困りごとが多いんでしょうか。
春田:まずは電話の取りこぼしが挙げられると思います。例えば、どれだけ電話がかかってきて、どれだけ出られているか。また、どこからどのくらい電話がかかってきているかをトラッキングできる、「コールトラッキング」というサービスを弊社でも展開させていただいています。
普通に人が電話応対をされている業態の場合、弊社のお客さま全体の平均値では、電話での問い合わせのうちの36パーセントを取りこぼしているというデータがあります。
――4割近いというのは、感覚的には意外と多い印象です。
春田:そうですね。特に店舗業態では営業時間外や接客中、通話中など、いろいろと対応できない理由はあるんですけれども。例えば飲食店は夕方から営業を開始して、深夜まで営業されるところが多いと思います。
でも、利用する側のお客さまは、「今夜飲みに行こうかな」ということで日中に予約されるケースもよくありますよね。そうすると、誰も店舗にいらっしゃらなかったり、仕込みをしていて出られない時に、たくさんの予約の電話が鳴ってしまう。
接客で忙しい時間帯も、新たな予約の電話になかなか出られなくて取りこぼしてしまいがちです。業種によっても、取りこぼしが起こりやすい時間帯は変わってくるんですが、これはいまだにかなり多い課題だと思います。
――ちょっと電話に出られなかっただけで、業種によっては売り上げや機会損失に直結してしまうのはつらいですね。コロナ禍が落ち着いてきて、外出する方も一気に増えてきたので、人手が限られる中で店舗側も対応が大変だと思います。
春田:そうですね。電話がつながったとしても、お客さまの要件に合わせて「じゃあ担当の○○に代わります」「××に代わります」ということで、たらい回しのようになってクレームになってしまったり。担当が手一杯で取り継ぎができずに「担当が空き次第、折り返しご連絡しますね」ということで電話をかけ直したら、今度はお客さまが出られないですとか。
あとは大手のコールセンターさんにお電話される時に、「ただいまおつなぎしております」というコールが鳴って、5分~10分と待たされてやっとつながるというもの。そこで、さらに「担当部署が違うので、別の番号にかけ直してください」ということになってしまうと、クレームに発展してしまうケースも多いと思います。
私たちは、電話に関わる業務で、お客さまをお待たせしてしまったり機会損失を防ぐために、さまざまな業種や業態に合わせて改善を図れるのが「電話DX」だと考えています。
――「電話DX」が役に立つ業種や業界はどんなところでしょうか? 今後も電話対応がなくならない業界もあるものの、電話でしかコミュニケーションが取れないことは少なくなってきている気もします。
春田:そうですね。デジタル化が進んでいく中で、やはり10年、20年前と比べて相対的に電話が使われるケースが減ってきているのは事実だと思います。
一方で、デジタル化がどんどん進んでいても、変わらずに電話が使われているシーンとしては大きく3つ挙げられます。「緊急性が高い問い合わせ」「高齢者からの問い合わせ」「デリケートな内容の問い合わせ」ですね。
まず、1つ目の緊急性が高い問い合わせとしてどんなものがあるかと言いますと、例えばご自宅の鍵をなくして部屋に入れなくなってしまったと。鍵の110番に連絡をする時に、おそらくインターネットで検索してから、わざわざWebフォームに入力したりはされないと思うんですね。検索したら電話して、すぐ来てもらいたい。
水道のトラブルもそうですし、事故や保険会社さまへの連絡など、今すぐ必要な要件ですね。こういったものは、今でも電話が問い合わせのほとんどを占めている状況です。
また、日本は高齢化がどんどん進んでいますが、やはり高齢な方になればなるほど、どうしても相対的にWebのリテラシーが下がってきてしまう傾向があります。そのため、高齢者の方のお電話が中心の予約やご相談が増えており、今後もなかなか減らない部分の1つかなと思います。
それから、我々にとっても少し意外だったんですけれども、サプリメントを購入する際に含有されている成分のことや、自分にすぐ効くのかといったかたちでお電話をされるケースですとか。カツラのご購入を検討されているお客さま。あとは、弁護士さんや会計士さん・税理士さんへのご相談。
体に取り込むものや、ご自身が内容的にデリケートな発言をせざるを得ない場合、なかなかWebの問い合わせフォームに書きにくかったり、相手の雰囲気なども分かった上で伝えたいというものは、電話での問い合わせが非常に多いですね。
春田:例えば、弊社のお客さまの某弁護士事務所さんですと、もちろんWebでの問い合わせも受け付けていますが、Webサイトに接触した後に電話で予約する方が全体の69パーセントいらっしゃいます。
ネット予約の方が30パーセントということで、半分以上が電話予約をされるという実績もあります。もちろん業種業態によりますが、必要とされている業種業態ではこれだけ使われているという実績があります。
あとはお名前は出せないんですが、大手検索エンジンの例では、インプレッションから直接電話がかかってきたものが全体の0.15パーセント。これは中古車販売店と関連機器販売での実績です。
Webページにランディングしてからの電話は、旅行などレジャー系ですと、全体の72.6パーセントが電話でのお問い合わせに至っているというようなデータもあります。旅行やレジャー、中古車や高額商品も電話での問い合わせが多いですね。
――電話対応が必須の業種や業態の企業さまとしては、従業員の方々の働きやすさの観点から考えても、機会損失を防ぎつつ、工数や負担は減らしていきたいところですね。
――実際に「電話DX」で解決できる課題はどんなものですか?
春田:まず1つ目が、中古車自動車販売店さんの事例です。基本的に「電話DX」を進めていくには、PDCAサイクルを回しながら取り組んでいくことが一般的なんですが、「電話業務でPDCAサイクルを回す」って、あんまりイメージがつかないんじゃないかなと思います。
――確かに。アナログなツールですし、そもそも現状をどう把握すればいいのかも分からないというか……。
春田:そうですよね。まず実施するにあたって、今の状況がどうなのかを俯瞰して見ていただく必要があると思います。何で電話を受けて、どんな体制でやっているのかももちろんですが、「いつ電話が鳴っていて、どれだけ電話が取れているのか」「どれくらい取りこぼしているのか」。
「鳴っていても出られなかった」という体感はあっても、計測しないと数字としては出てこないと思うんです。自社の業種と、電話がかかってくる曜日や時間帯といった傾向を分析して、まず状況を把握していただくのが最初だと思います。
続いて、最初に分析した傾向を基に対策を考えます。要はこの時間帯だけやけに電話が鳴ってるけど人手が足りない。どういう運用をすれば取りこぼしを減らせるのかとか、営業時間外にばかり電話が鳴っているのをどうするかとか。
各企業さまの実際の状況に合わせた対策を検討し、最終的に対策案を練ったところで、弊社が提供するサービスであれば機能の設定等をしていただいて、実業務で運用していただくかたちになります。
一度で解決すればいいんですが、PDCAがうまく回らなければ、また分析結果を基にフィードバックを受けて、機能のオン・オフを切り替えたり、ガイダンスを使っていただきながら改善していくかたちですね。
――着信数や取りこぼしの件数は、お客さまがご自身で調べられるんでしょうか?
春田:オペレーターの方がノートに正の字をつけるようなイメージで、なかなか難しい部分があるんですが、我々がご提供するサービスでは、どこからどれだけ電話が掛かってきているのかを細かく分析できるツールもご用意しています。まず使っていただくことで、簡単に分析していただくことが可能です。
そして、実際にお客さまの架電傾向を分析した結果がこちらですね。本当はもっと細かくいろいろな面で分析するんですが、わかりやすい事例として棒グラフでご用意してみました。
横軸が夜中の0時から翌日23時までの24時間で、棒の高さがその時々の着信数を表しています。例えば9時台が一番電話が鳴っていて、次のピークが17時台ですね。フタコブラクダの背中のようになってるんですけれども、これが何時に電話が鳴り始めて何時に電話が終わるのかを簡単に表しています。
赤い部分が応答できた通話で、青色の部分は未応答。要は電話がかかってきて呼び出してるんですが、人が出払っていたり他の通話で出られなかったものが未応答ですね。
キャンセルは、お客さまが待ちきれなくて電話を切ってしまったケースです。(営業時間外も)ある程度電話に出られているんですが、この赤色以外の部分は何かしらの理由で電話に出られず、取りこぼしてしまっています。
このお店は9時から20時までが営業時間なんですけれども、ちょっとだらだらと電話が鳴り続けていますね。
――そうですね。しかも23時まで電話に出てらっしゃるということで大変ですね。
春田:そうなんですよ。一方、20時でしっかり店舗を閉めて、店員さんがいなくなってしまうと、これが全部取りこぼしになってしまいます。残業しながら、なんとか取っていらっしゃるような状況なのかなと思います。
春田:あとは朝一ですね。店舗が空いてすぐの時間帯を狙って電話をかけてくる方が非常に多い傾向にあります。そこで電話の量がガンと伸びているんですね。
これは時間軸で見ているので、9時~10時台のオペレーター数を増強したり、営業時間外は自動音声を流して、用件の確認と翌朝の折り返し連絡をお伝えして、翌日の対応にすると。こういった工夫の必要性を分析していただいております。
また、例えば曜日の軸で見ると、月曜日は電話があまり鳴らないのに、金曜日はやたら電話がいっぱい鳴るとか。春・夏・秋・冬といった季節によっても、電話のピーク時間が変わったりします。お店の開店日や定休日でも、こうした傾向は全部変わってきます。
極端な例だと、雨が降ってる日と晴れている日でも変わりますね。季節や天気、気温といった、さまざまな要因で複合的に電話がいつ鳴るかが変わるので、そのあたりを細かくデータとして見ていただいています。
――なんとなくの体感や人力での調査では、なかなか把握するのは難しそうですね。ただ、季節や曜日といった傾向がデータとして見えてくると、手の打ちようもある気がします。
春田:そうですね。我々のサービスでは、「出稿した広告ごとにどれだけ反響の電話が来ているか」を計測できることも大きなポイントなんです。例えば、この問い合わせがどこからやってきたのか。
Webからの問い合わせが8割で、ラジオCMからの問い合わせが1割、Web CMが1割といったかたちで、媒体ごとに計測番号を変えておくと、どこからの流入で電話をかけてきたのかが詳しく分析できます。
――取りこぼしは、どちらかというと守りの悩みだと思いますが、お客さまにどんなアプローチが届いているかを把握して次の施策に活かすという、攻めの悩みにもお役に立てるという感じですね。
春田:おっしゃるとおりです。
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