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“現場のDX”フォーラム ~DXの救世主は「ノーコード」~(全2記事)

2022.01.19

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「ノーコードなくしてDXなし」 ノーコードで「現場のDX」を加速することが、日本の未来のかたちを変える

提供:アステリア株式会社

企業のDXの必要性が叫ばれる中、その構想が大きすぎるあまり“自分ごと化”できていない部門長の方々も多いのではないでしょうか。そこで紙などの時間や手間のかかるアナログ業務が多く残る現場業務の改善、そしてその手段として活用すべき“ノーコード”についての対談「“現場のDX”フォーラム ~DXの救世主は『ノーコード』~」の模様を公開します。 なくならないアナログ業務・デジタル化されない現場の課題などに対し、ノーコードはどのように役立つのか? さらにはDX人材不足という課題に対し、ノーコードは救世主となるのか? いま注目のノーコードについて、サイボウズ株式会社 代表取締役社長の青野慶久氏と、アステリア株式会社 代表取締役社長の平野洋一郎氏が議論を深めました。後編となる本記事では、「ノーコードなら、アプリが3日で作成できる時代」になり、ノーコードで「現場のDX」を加速することが、日本の未来のかたちであることなどについて語られています。 ※記事前編はこちら

10年前はなかった「ノーコード」という言葉が、いま必要とされ注目されている

平野洋一郎氏(以下、平野)「kintone」を提供されて、今、10年ですよね。最初の頃は「ノーコード」とは言っていなかった。

青野慶久氏(以下、青野):はい。そんな言葉がなかったです。

平野:なかったですよね。今日のお話は「Platio(プラティオ)」についてですけれども、最初の「ASTERIA Warp」というデータ連携のソフトもノーコード・ゼロコーディングなんですよね。当時はあまりノーコードという言葉がなくて、ここまで注目されてなかったですけど。これだけ注目されてきたということは、実は私たちは今、こういうふうにアピールしなくても、気が付いている人が世の中に随分出てきたということじゃないですかね。

青野:そうですね。やっぱりこれ、日本だけじゃないですもんね。世界中でこのノーコードツールが注目されてて。ITがこれだけ社会に浸透してきていて、すべてがITになってきた。もう今までのようにパソコンソフトだけではなくて、世の中のありとあらゆるものがITベースになってきた。その中でどう考えても人材足りないよねと(笑)。

平野:はい。

青野:これ、どうやってIT社会を維持するの? となった時に、やはり「プログラミング教育をしなくても、なんとかシステム化するツールがいるよね」と。そこに誰かが名前を付けたんでしょうね。

平野:それが「ノーコード」ね。

青野:ノーコード。

平野:けっこうやっぱり名前って大事ですね(笑)。前からやってきたんだけれども、注目を浴びてそこに名前がついて、さらに広がっていくっておもしろいですね。

青野:ええ。

「ノーコードなくしてDXなし」。現場力で変化に強い組織を作る

平野:でもDXということで、本当にここ数年ずっと言われていますけれども。ノーコードこそが、このDXで本当に多くの企業を変えていくということが言えるんじゃないですかね。

青野:本当にそうですね。特に日本の情報システムって、なかなか専門家がいないってよく言われるじゃないですか。よく言われるのは、アメリカはIT人材、いわゆるIT専門人材がインハウス・企業の中にいると。

平野:言いますね。

青野:彼らがそこに詳しいから、外部のパートナーもうまく使ってすごくいいシステムが作れる。ところが日本の場合は社内にいないと。

平野:外注。丸投げですよね。

青野:丸投げしちゃう。日本企業にはジェネラリストが多いので、IT専門人材がいなくて外に丸投げしちゃう。そんな日本の組織を今からどうするか? と考えた時に、やっぱりノーコードだよねと。

平野:そうですよね。やっぱり「外に出したのを中に持ってきて、それでエンジニア増やして」じゃあないですよね。

青野:はい。そうなんですよ。

平野:私もそう思いますね。そう考えると「ノーコードなくしてDXなし」とすら言えるんじゃないですか? どう思います?

青野:僕はそう思っています。本当、チャンスだと思ってるんですよ。「リープフロッグ」という言葉があると思うんですよね。後進国が先進国をいきなりジャンプで追い抜いちゃう。

平野:アフリカの携帯電話みたいなものですね。

青野:そうです。アフリカは「固定電話回線なんか今から引かないよ」と言って、ATMもないから、いきなりモバイル決済が当たり前になって(笑)。

平野:そうですね。

青野:気づけば、日本よりぜんぜんデジタル化しているね、ということになると。あれをやり返すチャンスだと思うんですよね。

平野:なるほど。

青野:これだけデジタル敗戦国で「日本はデジタル駄目だ」って言われるけど、現場力があるんだから。これを活かせば一気に、ノーコードツールでいけると思うんですよ。リープフロッグチャンスだと。それに気づいてほしいなと思うんですけどね。

平野:なるほど。今、多く言われてるDXって、どっちかっていうと「大上段に立って、ストラテジックに全社でやって、経営コンサル入れて」みたいな。わりと欧米アプローチ的な。

青野:はい、欧米アプローチですね。

平野:それやってる限り、欧米は追い越せない。

青野:追い越せないです。そんなやり方だったら、欧米のほうがうまくやれるので。

平野:そうじゃなくて、ノーコードに集中して。それでバーンと違う世界になる。

青野:そうです。現場にバンバン作らせて、放牧して養殖して、これを遠目からみんなで見ながらつなぎ合わせていく。一瞬カオスに見えるんですけども、実はこのカオスな世界のほうが、僕は変化に強いと思うんですよね。

平野:それは変化に強いですね。

ノーコードなら、現場主導で必要なアプリが3日で完成。アプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」

青野:最初に結論を出して「こんなシステム作れ」ってドーンとやったところで、これだけ世の中の変化が速くて、ビジネスモデルごとデジタライズしていかないといけない時に、このやり方がもうたぶんアプローチとして間違ってると思うんですけどね。

平野:そうですね。僕のコンテクストで言うと、この階層・規律・統制、中央集権のところから、非中央集権。自律・分散・協調、やっぱりこれが結局は変化に強いし、結果的に速い。1つに凝り固まってるともう、ディシジョン(決断)がどんどん遅くなるんですよね。それで「作られたものをできるだけ活かそう」みたいなことになってしまって。1つの意思決定を得るのに何段階もかかってしまうことになるので。

青野:そうなんですよ。「事業環境が変わってきてるから新規事業を立ち上げよう」と。「じゃあここに合うシステムを速く作らないといけない」ってなった時に、じゃあコンサルに頼むか? と(笑)。

来月にでもスタートさせたいプロジェクトで、しかもどんなビジネスモデルになるかすらわからない中で、これはないねと。それはもう、現場の人たちがイメージするままノーコードでシステム化して、そのあとも自分たちで改善していく。どう考えてもこっちのほうがいい。

平野:そうですね。Platioは基本的に、3日以内にアプリができるんですよね。まさにアプリなんてこれまでだと、完成まで「年単位」とは言わないけど「何ヶ月単位」みたいなことだったんですけど、アプリをすぐ作れるというので。

例えば、お客さまで熊本県阿蘇の小国町というところがあるんですけど。そこは最初コロナになったときに、職員の方々が検温のレポートを家から報告しないといけなかったと。これは電話とかでやってると受けるほうが大変なんですけど、アプリでやる。これはテンプレートがあってアプリの作成をやられたんですけど、そこから派生してどんどん自分たちでアプリを作られて。それもだいたい1日から2日ぐらい。

この間、熊本って水害があったじゃないですか。あの時も災害レポートアプリ、まさに先ほど話題に出たような「写真を撮ってそこから上げる」みたいなものも、以前は役場に戻ってExcelとかに記入してた。でもアプリなら、現場からできるし。

さらに総選挙がありましたよね。それで3日ぐらい前に「投票所の報告って、今までは電話でやってんだけど、アプリでやったらいいじゃん」。で、それも1日で作って。

青野:すごいなぁ。

平野:これってクラウドなので、勝手に集計されるわけですよ。こういうの、もうぜんぜんメーカーとかそういうの関係なしに、どんどん現場で作られるようになってきている。やっぱり現場主導のほうが、圧倒的に速いんですよ。

青野:しかも作るのは数日だったかもわからないですけど、投票所の数を考えたら、どれだけのコスト削減効果を生んでるのか? といったらもう、膨大ですよね。ものすごいレバレッジが効いたシステム開発ですよね。

平野:そうなんですよ。それも、たぶん従来の開発手法だと「何千万円・何ヶ月」とか言われちゃうんですよね(笑)。やっぱりもうノーコードに時代が変わってるんですよ。そういうのを体感してほしいですよね。

青野:本当もう「きた!」って感じがしますよね。

ノーコード開発は「作って試して修正して」の繰り返し。スモールスタートのススメ

平野:どうやったらこのノーコードを、聞いてらっしゃるみなさんも含めて、もっともっと使っていただけるんでしょうね?

青野:まずはスモールスタートをおすすめしていまして。本当、やっぱり考え方が大事ですよね。システムっていうと「すごく良いもの作らなきゃ」って身構えちゃうんですけど「いやいや、忘れて」と。作って駄目だったら捨てればいいから。どうせいろんなもの作って試して、作って試してってやり続けるんだから、スモールスタートでいいよっていうのが1点ありますよね。

もう1つはインテグレーションですね。クラウドなので、いろんなクラウドサービスとつなげますよね。なのでkintoneで「モバイルのUIはもっとシンプルにしたいな」と思ったら、Platioをボーンと付ければいいわけじゃないですか。

平野:そういうことです。実際、両方使ってらっしゃるお客さんもいらっしゃるんですよね(笑)。

青野:これが値段が高かったらびっくりしますけど、どっちも最近で考えたら安いし、試してすぐ作って効果を実感できるわけだからスモールスタートで。もちろんノーコードなので、1個のサービスだけだとできることは限られるんだけど、できることが限られてるなと思ったら、レゴブロックのように足せばいい。そうすると「あれ? 意外とすごいことできてるね」と、結果的にどんどん広がっていく。

平野:しかもコーディングができると、今までやってたことを忠実に再現しようとする方向に気持ちがいっちゃうんですけど、「できないからやり方を変えてみようか」と、こっちを促すことにもなるんですね。

青野:そうなんです。1個1個の制限は制限で理解しながら、できなかったら「こっちの手段でいいじゃん」「こっちの手段でいいじゃん」。そうするとある意味、疎結合のシステムが自動的にできるわけですよ。

平野:大上段に言わなくても。

青野:そうなんですよ。ずーっと言われてきたことじゃないですか。

平野:言われてましたよね。「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」(笑)。

青野:SOAですよ。理想論だけはみんな語ると。システムっていうのはかたちが変わるから、疎結合が大事だよって言うけど。

平野:そうですね、15年ぐらい前ですかね(笑)。

青野:そうそう(笑)。

平野:あれ、世の中的には結局できなかったですよね。一部できた会社もあったんですけど。

青野:素人がシステムを理解して、疎結合の設計図を書いてうまくできるかって、できないですよね。ところがノーコードのクラウドサービスを組み合わせていくと、自然となんとなく疎結合な状態ができていて。疎結合だからパーツを入れ替えることもできるし、足すこともできるし。本当、変化に強いシステムが素人でもなんとかできてるっていう。

平野:結果的に。

青野:結果的に。やっぱりおもしろいなと。

一番の障害は技術よりも「利用促進」。ポイントは現場を巻き込み主体性を生むこと

平野:そういうものを例えば現場の人が入れたいと言った時に、kintoneだとどういったところが障害になります? 

青野:一番の障害は、技術的なところよりもどちらかというと「利用促進」みたいなところなんですよね。私たちは「気弱な管理者」みたいな言い方をしちゃったりするんですけど。「やりたい」って現場で思ってる人がいて、作りましたと。でもこれを使わせるのってけっこう大変ですよね。Platioでアプリを作って、みんなに「入力してね」って言っても「なんでお前、こんなん勝手に作っとんねん」って言い始める人が出てきたりとか。

平野:(笑)。

青野:「勝手に仕事のやり方変えやがって」とか「俺はスマホ苦手なんじゃ」とかって言い出す人が出てきたりして。ここですよね。

平野:そこをどう乗り越えてます?

青野:乗り越えるのは難しいんですけど、やっぱり巻き込みの事例もどんどん共有しています。

平野:いいものを共有していく。

青野:どういうふうにアプローチをしたらいいのか? これももうパターンがありまして。まずは、最初から批判的な人は混ぜない。「こんなものがありまして」って言った時に「何それ?」って前傾姿勢になった人で最初のチームを組む(笑)。

平野:(笑)。前傾チームですね、やりたい人で。

青野:この人たちをまずはチームに加えて、ファーストステップを踏むと。この人たちを巻き込んでおくと……ノーコードのツールでも「できたものを使わされる」のと「最初に作るところから参加してる」ので、ちょっとやっぱり主体性が違いますよね。

平野:あぁ、そうですね。主体性ってやっぱりすごく違うじゃないですか。ノーコードで現場で、自分たちで作ってるし、自分の声がすぐに反映される。これ、情シスとかだと何ヶ月後みたいな話で、要望出したのすら忘れてるくらいで(笑)。しかも、できてきたものが違ってるとか。

青野:すると「もう言うのやめよう」ってなっちゃう。それをやっぱり、主体性を周りに伝播し続ける感じですね。最初は1人の人が「こんなものを使おう」と思ってがんばってくれた。次にちょっと主体性のある人たちを巻き込んで、彼らの中に主体性を生む。

さらに次は、それを使ってもらおうと思った時に「ここ、こうしてほしいんだけど」って言った人に対してスピーディに対応すると、この人からすると「あれ? 俺が言ったこと反映されたじゃん」っていう、今までになかった感動がそこにあるんですよね。

意見反映のスピード感、成功体験の積み重ねが大事

平野:その反映のスピード、とってもあると思いますね。小国町の事例も、やっぱり作ると要望が出るんですよね。それを翌日ぐらいに反映すると、やっぱりそこでグッと巻き込まれますよね。

青野:前のめりになるんですよね。ちょっと批判的に見てた人や「こんなの使いにくいじゃん」って言ってた人が、「あれ? 俺の意見によって良いアプリになったぞ」ってなった瞬間に「すっごい良いから使ってみな」って(笑)。

平野:(笑)。

青野:おもしろい現象が起きるんですよ。

平野:ですよね。それに加えてPlatioの場合はモバイルなので、移動とかが見えるじゃないですか。例えば災害現場のレポート。「ここが土砂崩れしている」っていうのを撮ってPlatioで報告すれば、後は帰れるんですよ。

ところがそうじゃない人・使ってない人は、デジカメで撮ってメモ取って、役場に帰ってSDカードをコピーして、Wordに貼って……みたいなことをやるので(笑)。もう、目に見えて業務フローが簡略化されている。こういったところもモバイルだと見えやすいですね。

青野:見えやすいですね。1回体験しちゃうと絶対に戻れないでしょうね。それをいいサイクルで回していくと、どんどん広がっていくと思うんですよね。

「納品して終わり」から、サブスクの時代へ。寄り添ってサポートし、長く使えるものに育てる

平野:そうですよね。実際どうですか? Platioの場合は月2万円からなので、まさに現場で採用できる。初期費用もいらないし。みたいなところを狙って、そういう値段帯にもしてるんですけれども。kintoneもやっぱり現場を狙った価格ですよね。

青野:そうなんですよ。「1ユーザー1,500円で、使用は最低5ユーザーから」ですから、月7,500円。正直これを7,500円で契約されると、僕ら的には若干赤字なわけですよ(笑)。

平野:(笑)。

青野:営業コストとか管理コスト、サポートのコストなんか考えると。なんですけど、それでもまずは使っていただいて。おもしろいものですけど、そこでやっぱり僕たちも諦めずに支援してると、5ユーザーが10ユーザーになり、50ユーザーになりとなった瞬間に「あれ? これ、ぜんぜん僕らもビジネスになるじゃん」って。

それゆえに私たちも、お客さまに寄り添うモチベーションがあるんですよね。それまでのシステムって逆じゃないですか。もう、納めたら逃げたほうがいいじゃないですか(笑)。

平野:売ったらもうね(笑)。だから営業のスタンスもぜんぜん変わりますよね。

青野:これ、ベンダーにとってもすごくいいことですよね。本当、それまでの「納品して終わり」のビジネスだったら、できるだけ手間かけずに逃げたほうがいいですけど。こういうクラウドでサブスクリプションのモデルだったら、小さいお客さんでも僕らはやっぱりがんばってサポートしようと思う。

平野:がんばりますよね。だってずっと使っていただいてナンボ、増やしていただいてナンボですからね。

青野:だから僕らもそういうふうに前のめりになるし、それはお客さまが活用するためにもとても大事なことだし。みんなにとっていいですよね。

平野:ですね。聞いてらっしゃるお客さまに対しても「これからサブスク以外を導入するのは駄目だぞ」と言っていいですか?

青野:まぁいいと思いますね。もうそれぐらいの気持ちでいいと思います。

平野:(笑)。僕らベンダー側は、ずっと寄り添う。これはもう開発も営業もマーケも全員寄り添う気持ちが、それだけで出てしまいますもんね。それでお客さまのサクセスに寄与して、それが両方のいいことにつながると。

青野:両方ハッピーになる世界に結びついていくという、本当に楽しみな時代になってきたなと思いますね。

平野:それを実現するのがノーコードですよね。

青野:ノーコード。

平野:納めて終わりじゃなくて、そこでいろいろ現場の課題を解決していける、現場で解決していける。

青野:全員がハッピーになるシナリオが、ちょっと見えてきた感じがするんですけどね。

平野:なるほど。

ノーコードツールを組み合わせ足りないところを埋める。ユーザーもベンダーも双方ハッピーに

青野:やっぱり、つながっていきたいですよね。このノーコード陣営って、1社独占の時代じゃないと思うんです。もちろん小規模でポロっと使うお客さんは、1つ、2つ、3つぐらいのサービスの組み合わせでいけるかもしれませんけど。だんだん広がってきて、本当にいろんなノーコードツールを組み合わせておもしろいことができるようにするってなると、ノーコードツールの提供社自体がネットワークを作って。

平野:いいですね。それでお客さまも、何か足りない時に、そこの足りないところを埋めるものがわかりやすくなって。

青野:言ってしまえばkintoneは“器”なので、入り口のところ。Platioとかもまさにそうですし。これはASTERIA Warpもそうだし。こういうのを組み合わせていかないと、大して便利じゃないですからね(笑)。でもノーコード陣営が組み合わさっていくと、実はめちゃくちゃ便利な世界が作れるので。ここからはベンダー側もやっぱり、みんなでネットワーキングして提案していくと。

平野:「ノーコード党」ですか(笑)。

青野:「ノーコード党」ですね。これもまたIT業界に今までなかった動きだと思うんですよ。どっちかというとみんな「独占しよう、独占しよう」と思って。

平野:独占もそうですし、やっぱり「プログラムして稼ぐ」という伝統的な考え。行数が多いほどチャージができるじゃないですか。ノーコードはゼロなので(笑)。だからIT業界の中でもトラディショナルな方々からは、ちょっと反感があるかもしれないですけど。

青野:でもね、もう行数いっぱい書いて工数でチャージするよりも、うまくやればはるかに利益率が高くなると思うんですよね。

平野:なりますよね。

青野:ある意味、書かなくていいわけですから。

平野:いやもう「私が証明よ」状態じゃないですか、サイボウズさん(笑)。

青野:いやいや(笑)。でも本当、ムダなコードをいっぱい書いて儲けなくても、お客さまに寄り添う・伴走するだけで、システム作らなくたって、お客さまに作ってもらって稼げるような時代がきますよと。やっぱりここにベンダー側も気づいてほしいですよね。

平野:そうですね。ベンダーもやっぱり変わっていって、お客さまも違うもの、ノーコードを使ってもらって。双方ハッピーですよね。もっともっと活動が必要ですね、私たち。

ノーコードを広めるには、「新しい世界に踏み出す」スター企業がもっと必要

青野:布教活動をしないといけないですね。でもなかなか、日本のこの今までの古いやり方から、考え方を変えてもらうのは難しいかもしれないですけど。

平野:難しいですね。青野さんがやってらっしゃる選択的夫婦別姓の推進。あれも当たり前にやったらいいじゃんと思うのに、これだけ抵抗が強いってどういうことなんですかね。

青野:そうなんですよ、日本の壁はここでしょうね。「新しい世界に踏み出す勇気」みたいなところですよね。選択的夫婦別姓をちょっと紹介しますと、今の日本だと、結婚したらどっちか苗字を必ず変えないといけません。今や共働きで初婚年齢も上がってる中、負担が大きいよねと。じゃあ変えずに結婚できる選択肢を作ればいいじゃんっていう。もうこれ、実は改姓を強制してるのは日本だけになっちゃったんですよね。

平野:今やもう日本だけなんですか。

青野:今や日本だけなんですよ(笑)。

平野:うわぁ、遅れてる象徴じゃないですか……(笑)。

青野:なんですけど、それがやっぱりなかなか。「全夫婦が変えるべきだろう」と。

平野:今回の総選挙でも与党は「変えない」って。

青野:そうなんですよ。そこにまた国民が投票してる。いかに日本人が今、変わるところに勇気を持ててないか。“茹でガエル”っぽい感じがするんですよね。

平野:じゃあノーコードもやっぱり、同じことに直面しますかね。どうしましょうね。

青野:やっぱり「だんだん苦しくなってるけれども変わらない」という茹でガエル状態。でもそこから跳び出すカエル、リープフロッグをするカエルがいるので。とにかく彼らをスターにすることですよね。彼らに絶対成功してもらう、スターにする。そこで成功事例をバンバン見せてもらう。そうすると、だんだん跳び出してくるカエルが増えてくるんじゃないかなと思うんですよね。

平野:スターなら見えますからね。

青野:「あれいいな、俺も跳んでみようかな」ってね。そういうのがポップコーンみたいにポンポン! って弾けだす瞬間がくると思うんですよね。まだ「ポン……ポン……」ぐらいですね(笑)。

平野:確かに、Platioも成功されてるお客さんがいますし、kintoneなんかもかなりありますけど。もっともっと出していくってことですかね。

青野:そうですね。日本人って、ある意味「右向け右」なところありますから。「ポンポンポン!」ときた瞬間、すごいかもしれませんよね。

コロナですぐにシステムを作らないといけない状況に。自治体でも活躍するノーコードツール

平野:逆にその選択的夫婦別姓の話を見ても、あまり政治とか政府に頼るようなことをしないほうがいい? どうでしょうかね、さっきのプログラミング人材、技術人材、そこの考えも変えていきたい気持ちはあるんですけども。今話してて、あまりそこからじゃないっていう気もしてきました(笑)。

青野:制度みたいなものはやっぱり立法権がないと作れないので、なんとか国会議員を口説く必要があるんですけど。デジタルなんかは政府を待つ必要がまったくないので。気づいた人からどんどん跳んでいったらいいと思いますよね。

平野:デジタル庁ができましたけど、政府のシステムとかもどんどんノーコードでやればいいのに、なかなかそんな感じになってないですよね。

青野:ただ、この2年ぐらいでやっぱり変わってきましたね、コロナで。例えば行政のシステムとかに、私たちが呼ばれることはまずなかったんですよ。「なんでクラウドに大事なデータを預けないといけないんだ」とか「そんなkintoneみたいな、おもちゃみたいなもの使えるかよ」って言われてたんですけど。

コロナになった瞬間にもう、すぐシステムを作らないといけない。とにかく「じゃあどこでどれぐらい検査をしていて、何人ぐらい感染してるんだ?」と。これをすぐシステム化しないといけないとなった時に、僕らしか選ぶ選択肢がなかったんですよ。

平野:ノーコードしかないですよね。

青野:それで声がかかるようになってきました。「ちゃんと話を聞いてくれるなら行きますよ」と言って提案に行って、導入して喜んでもらって。もうたくさんの自治体が「ノーコードでDXしよう」って言い始めてくれてるんですよ。

平野:すばらしい。

青野:それは東京都さんとか大阪府さんとか、こういう大きなところをはじめ、神戸市さんとかもそうで。最近だと北九州市さんもやるって言ってくださって。今、仙台も始まりましたね。どんどん出始めてる。

平野:いや、いいですね。それとPlatioがわりと地方でやってる、このモバイルを組み合わせたら最強ですね。

青野:そうなんです。ノーコードで自治体DXが始まりましたね。この流れを持続させていきたいですね。

平野:なるほど。じゃあ中央じゃないですね、自治体のほうですね。

青野:自治体もがんばれ、って思ってるということで(笑)。

日本の未来のかたちを変える。ノーコードで現場のDXを加速

平野:(笑)。話せば話すほどやっぱり、ノーコードで日本の未来は明るいんじゃないですか?

青野:私、日本人の気質と合ってると思うんですよね。日本人のマインドって、やっぱり現場を大事にする。イーロン・マスク、ビル・ゲイツみたいな、すごく強いリーダーが出てきて「これが未来だ!」って言ってドーンと落とすようなことって、そんなに日本人は得意ではないですよね。

平野:実際にいないし、得意じゃないですね。

青野:それをずっと待ってた30年だったと思うんです。「誰かが変えてくれるだろう」みたいな。いやいや、もう諦めようと。日本人、そっちじゃない。むしろ一人ひとりの力でいったらぜんぜん負けてないんだから、僕たちが自ら主体的に動こうよと。誰かを待つのではなくて。

平野:逆に現場のDXって、欧米はやりにくいかもしれないですね。

青野:やりにくいです。

平野:チャンスですね。

青野:だからこそ日本はノーコードで、リープフロッグ。

平野:これがやっぱり日本の未来のかたちですね。じゃあもう政府とかには「邪魔しないで」と言えば、それでいいですかね(笑)。

青野:そうです。「放牧しといて」と(笑)。

平野:(笑)。いや、かなり日本の明るさがノーコードで見えるようになったと思います。とはいえまだまだ世の中に普及しているわけではないので、もっともっと私たちの活動が必要ですよね。

青野:そうですね。

平野:でもこのノーコードで明るい未来が見えたので、本当に今日、青野さんと対談できてよかったです。

青野:こちらこそ。ぜひつなぎ合って盛り上げていきたいですね。

平野:やっていきましょう。もう本当、今日見てくださってるお客さま、ノーコードしかないです。しかも企業だけではなくて国も、リープフロッグで変えていきましょうということで。ぜひお試しください。

現場の業務を3日でモバイルアプリにできる「Platio(プラティオ)」

平野:それではこのあたりで、両社のノーコードのソフトウェアをご紹介したいと思います。まずは私から紹介をさせていただきますと、アステリアの「Platio」というノーコードツールですね。こちらは「現場の業務を3日以内でモバイルアプリにすることができる」というツールなんです。

業務用モバイルアプリをノーコードで作るから、こんなに短い期間でできるんです。そしてもう1つの秘密は、100種以上のテンプレートがありまして。さまざまな業務に近いこのテンプレート、つまり雛形を使ってアプリを作れるというもの。これを初期費用ゼロ、月額2万円からお使いいただけます。

実際、数多くの企業で使っていただいています。例えば京セラさんでは、棚卸しを行う倉庫の現場で、なんと入社2年目の人が1日でアプリを作ったりとか。阿蘇の山の中の小国町では、本当に人が少ない中で、災害の被災状況を即座に役場に伝える。そして最近では衆院選の投票ですね。投票所の情報を役場に伝えるアプリをたった1日で作ったと。

これまではクリップボードに書いたり、電話をしたりExcel入力していたことをモバイルアプリ化する。これを1日で作ることができるんですね。

それ以外にも今、画面に出ておりますような数々のお客さまの元で、本当に「現場の人が現場のためのソフトを、その場で作る」ということを実現されている。これがモバイルアプリ開発ツール・Platioです。

顧客満足度・クラウド基盤サービス部門で3年連続1位の「kintone」

平野:それでは続いてkintone、お願いします。

青野「kintone」はシンプルに言いますと「ノーコードでアプリケーションを開発できるツール」になります。どんなアプリを作るかというと、顧客管理だとか契約書の管理だとか、本当に現場にあるような、いろんな細々とした業務をどんどんアプリ化できるというツールです。

最近はテレビCMなんかもやってましてね、木村文乃さんが空から降りてきて「kintone!」って言うやつですね。「どクラウドです!」っていう、よくわからないCMをやってます。なかなかどういうツールか説明するのが難しいので、適当なCMをやらせていただいてます。

おかげさまでkintone、発売から10年間で今は22,000社に有料でご契約をいただいております。非常に伸びておりますし、また最近、顧客満足度だと「クラウド基盤サービス部門」というところで、3年連続で満足度1位をいただいていて。お客さまに支持されてきています。

kintone自体はアプリケーションを作ることしかできないんですけど、まさに連携のところでどんどんパートナーさまを増やす戦略をとっています。先日開催しました「Cybozu Days」というイベントでは、過去最大の72社のパートナーの方々に出展いただきました。もちろんアステリアも展示いただいて。

平野:そうですね、アステリアも出させてもらいました。

青野:連携ツールの1つとしてご紹介して。1個1個のノーコードツールでは大したことはできないかもわからないけども、どんどんつなげばすごいことができるという。こういう世界観を今、広げていっております。

これに気づいたお客さまも増えてきてまして。例えば日清食品さんで「kintoneいいぞ」ということで、全社のDX基盤にして、現場にどんどんアプリを作らせて、社内のペーパーレス化を進めていたり。

また北國銀行さんなんかは、kintoneを「売りたい」って言っておられて。銀行ですよ? 普通の地方銀行が石川県の中小企業に、これをITで提案したいと。ノーコードだから銀行員でも提案できるという効果があります。

今までサーバーとかプログラミングと言われたらなかなか難しかったのに、ある意味、ノーコードだからこそ銀行員でも、業務がわかっていれば提案できるということで。こういうパートナーも増えてきてるという、すごくおもしろい現象も起きています。

平野:地銀さん、今はやっぱり勝ち残りをかけて、地場の役に立つということをかなり積極的にやってらっしゃいますよね。その1つとしてのkintone。

青野:そうなんです、やっぱり地方の中小企業って、IT化が遅れてますから。ここに誰が寄り添ってくれるんだ? といった時に、地方銀行さんがノーコードのツールをもってIT化を推進するって、とってもわかりやすい構図が今、全国で起きてきていますよね。

平野:そうですね。

ノーコードで日本を変えていく。あなたもその主役の1人

平野:ということで、今日はノーコードをテーマに、青野さんとお話をさせていただきました。最初はDXに絡めて、人材育成などの話をしておりましたけども。結局、ノーコードは根本的にやり方を変えるということがわかりました。日本の企業の現場をどんどん変えていく、そしてリープフロッグでジャンプアップしていこうというようなこと、それにはノーコードしかないという結論になったと思いましたが、いかがでしょうか。

青野:本当、こうやって話してると楽しいですよね。この20年間、私たちが苦しんできたことをようやく越えられそうな気がする。どれだけ提案してもなかなかデジタル化できなかったのが、ついに。私たちのビジネスもジャンプアップできるような可能性を感じております。

平野:そうですね。これで本当に、ノーコードで日本を変えていきたいですね。今日はどうもありがとうございました。

青野:ありがとうございました。

平野:みなさん、いかがでしたでしょうか。今日はノーコードをテーマに、サイボウズの青野さんと対談をいたしました。ノーコードは話題となっているDXの人材不足、ここに救世主となり得るのかどうか? というお話をしました。救世主となり得るだけではなくて、日本の企業のDX全体を変えていく力があるということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

ご紹介したアステリアのPlatio、そしてサイボウズのkintone。これはもう数多くのユーザー実績をもって、ノーコードによる変革、ITの考え方自体が変わるようなことを実現してきています。ぜひあなたもノーコードに触れて、これまでのITの考え方、この変革を体験してみませんか。ノーコードが現場を変えていく、あなたもその主役の1人です。

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