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“現場のDX”フォーラム ~DXの救世主は「ノーコード」~(全2記事)

2022.01.18

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人材不足の解消どころか世の中を変えてしまう!? DXの救世主はプログラミング知識なしでのアプリ開発を実現する「ノーコード」

提供:アステリア株式会社

企業のDXの必要性が叫ばれる中、その構想が大きすぎるあまり“自分ごと化”できていない部門長の方々も多いのではないでしょうか。そこで紙中心の時間や手間のかかるアナログ業務が多く残る現場業務のデジタル化とプロセス改善、そしてその手段として活用すべき「ノーコード」についての対談「“現場のDX”フォーラム ~DXの救世主は『ノーコード』~」の模様を公開します。 なくならないアナログ業務・デジタル化されない現場の課題などに対し、ノーコードはどのように役立つのか? さらにはDX人材不足という課題に対し、ノーコードは救世主となるのか? いま注目のノーコードについて、サイボウズ株式会社 代表取締役社長の青野慶久氏と、アステリア株式会社 代表取締役社長の平野洋一郎氏が議論を深めました。前編となる本記事では「ノーコード」の解説から始まり、現場にノーコードがなぜ必要か、また、今後必要なのはデジタル専門人材ではなくデジタル活用人材であることなどについて語られています。 ※記事後編はこちら

「“現場のDX”フォーラム ~DXの救世主は『ノーコード』~」

平野洋一郎氏(以下、平野):みなさま、こんにちは。アステリアの平野と申します。本日はJBpress World 2021、「“現場のDX”フォーラム ~DXの救世主は『ノーコード』~」と題しまして、企業変革のリーダー、キーパーソンの方々へ、今注目の「ノーコード」をテーマにしたスペシャルな対談をお届けします。課題解決に向けて、誰でもすぐに取り組める具体的な手法などもお話ししますので、ぜひ最後までお付き合いください。

私たちアステリア株式会社は、1998年の創業以来「つなぐ」をキーワードに、企業向けのソフトウェアを提供しています。現在主力の4つのプロダクトは、すべてノーコードの製品であり、数多くの現場にてお役立ちできる製品ですので、今日は「ノーコード」のメリットをみなさまにご紹介したいと考えております。

それでは今、注目の「ノーコード」とはいったいどういうものでしょうか。「ノーコード」は「ノー」「コード」。コードがないという意味です。コードを書かずに、つまりプログラミングなどせずに、アプリなどのサービスを開発できる技術です。

プログラミングの技術や知識がない人でも、クリックやドラッグ&ドロップといったマウス操作で、簡単にアプリケーション開発ができるんです。

「ノーコード」に近い言葉として、「ローコード」というものがあります。この「ノーコード」と「ローコード」を合わせた調査結果がありますので、ここで見てみましょう。この調査では「ノーコードもしくはローコードを導入している」と回答した人は、全体の2割でした。

また「導入はしていないが、具体的な導入を検討中」という人が9.2パーセント。さらに「導入をしていないが興味はある」という回答が35パーセントでした。これらを合わせると全体の6割を超えていることから、ノーコード、そしてローコードの開発ツールが関心を集めていることがわかります。

今、私から「ノーコード」に加えて「ローコード」というお話もしました。このノーコードとローコードはいったいどういう違いがあるのでしょうか? 「ノーコード」とは先ほどご説明した通り、コードをまったく書きませんが、「ローコード」はコードを少し書く。従来に比較して、圧倒的に少ない量のコードを書くということです。

少ないとはいえ、コードを書く必要がありますので、ローコードはどちらかというとエンジニア向け。そしてノーコードは一切コードを書きませんので、エンジニア以外のさまざまな方々に使っていただける。こういうツールとなります。

現在、世の中ではいわゆるIT人材・エンジニアが不足している中、エンジニアは既存のシステム運用で手一杯の状態です。そういった状況でDXを推進する手段として、エンジニアではない人たちがこれを手掛けられることが非常に大切です。ですので、エンジニアでなくてもDX人材と転換できる可能性を秘めているのが、ノーコードということになります。

サイボウズ 青野氏登場! プログラミング知識がなくてもアプリ作成できる、ノーコードツール「kintone」

平野:前置きが長くなりましたが、本セミナーでは企業のDX推進に、ノーコードがどのように役立つのか。さらにはDX人材不足という課題に対し、ノーコードが救世主となり得るのかどうか。特別ゲストをお迎えして、対談を通じて議論を深めてまいります。それでは特別ゲストをお迎えしましょう。サイボウズ株式会社代表取締役社長、青野慶久さんです。

青野慶久氏(以下、青野):ありがとうございます。サイボウズ株式会社の青野と申します。サイボウズというと「グループウェアの会社」というイメージを持たれている方が多いと思うんですよね。スケジュールを共有したり、ファイルを共有したり。

実はサイボウズの一番の主力製品は、ノーコードのアプリケーション開発ツール「kintone」になっております。今日はkintoneの事業から得られたノウハウや知見を、みなさんにご紹介したいと思っています。よろしくお願いします。

平野:ありがとうございます。というわけで、kintoneもそうですけども、今日のテーマは「ノーコード」。このノーコードが、いかに今、非常に注目を浴びているDXの救世主たり得るのか。ここを掘り下げていければと思います。よろしくお願いします。

青野:お願いします。

平野:というわけで、今「kintoneもノーコードである」というお話をいただきました。先ほど私がノーコードとはどういったものか? を解説しましたが、kintoneがノーコードであるところの特徴についてうかがえますか?

青野:そうですね。kintoneはとにかく現場の人がプログラミングがわからなくても、なんとか自分でアプリケーションを作れる。難しさのレベルとしてはExcelくらいですね。

平野:なるほど。

青野:Excelで表を作って入力するくらいだったら、ほとんどの方ができると思うんですよね。あれぐらいの簡単さで、アプリケーションが作れたらどうなるだろうと。クラウドですから、サーバーに関する知識などは持たなくてもいいわけです。

平野:自分で置いたり、設定しなくていいというわけですね。

青野:ぜんぜんいい。とにかく申し込めば、サーバーやデータベースができる。あと、なんとなくユーザーインターフェースのところをやってあげれば、現場の人ができるんじゃないかなと思って、そういうコンセプトで作ってみたんですよ。

情シスが考えてアプリを作っても、「現場のちょっとした隙間業務」までカバーしきれない

平野:この「現場」というのがとても重要で。ここにDXに関するアンケートがあるんですけれども、まさにおっしゃった表計算ソフトなどのファイルが、部署や担当者ごと、つまり「現場」のことですよね。現場に散逸していて、情報共有ができない。こういったところがすぐに、しかもプログラミングなしでできるということなんですよね。

青野:そうなんです。やっぱりExcelのファイルも便利なんですけど「あっちの部門はこのファイル」とかってね。

平野:バラバラですね。

青野:すぐ誰かがバラバラにデータ更新しちゃったり、表を崩しちゃったり、コピーしたらどっちが最新かどうかわからないみたいなことが。

平野:あるあるですね。

青野:あるあるなんですよ。クラウドに上げてあげれば、1個で同じものをみんなが見ていることになるので、混乱が防げるんですよね。現場に任せても混乱しないというクラウドのテクノロジーによって、そんな世界が作れるんじゃないかなと思っているんですよね。

平野:なるほど。DXについてよく言われるのが、全社的に中央コントロールでバシッとやらなきゃいけないという話なんですけれども、そういった時に、現場のちょっとした業務って見落とされがちで。まさにExcelでやっていたような部分がありますよね。

青野:そうなんですよ。やっぱりこれだけITの時代ですから「会社の中で何個システム作らないといけないんだ? 今まで作ったシステムの管理だけでも大変なのに、またここからいっぱいアプリを作らないといけないのか」となった時に、やっぱり現場の力を借りないと無理ですよね。

平野:情報システム部門が考えて作っても、絶対この「現場のちょっとした業務」ってカバーできない。先ほどのアンケートの3番目。「既存のシステムではカバーできない隙間業務がたくさんある」というのは、やっぱり現場で考えないと埋めていけないですよね。

青野:そうなんですよ。こういう業務こそ、ものすごくアナログなかたちで残っていたりするじゃないですか。例えばパートナーとFAXでやり取りするとか。そこをデジタル化してやらない限り、生産性って上がらないというところがね。

平野:そうですよね。

青野:カバーしないといけないですよね。

ノーコードなら「業務のことをわかった現場の人」が自分でアプリを作れる

平野:その時に、先ほどノーコードの特徴のところでも言ったんですけど「エンジニアが来なきゃできない」というのは、これがまた業務が止まってしまう。だからこそ現場の人がプログラムせずに、つまりノーコードでできるというところがポイントですね。

青野:そうですね。また情報システム部門の人にお願いして作る時も、なかなか現場の悩みを伝えるのは難しいですよね。

平野:はい。

青野:現場の人はシステムのことはよくわからないから、自分なりにがんばって説明するんだけど、システム部門の人からしたら「何を作っていいのか、よくわかんない」みたいなね。がんばって作ってみたら、現場から「違う」って言われるみたいな(笑)。

平野:有名なブランコの絵があるじゃないですか。あれですよね。

平野:ただのブランコがほしいのに、ジェットコースターになってみたり、ブランコが下に付いてるようなことが起きますよね。

青野:起きますよね。なので、理想的には「業務のことをわかった人が自分で作れる」ということが、本当にその業務にぴったりなシステムを作るには必要だと思うんですよね。

平野:そうですよね。

青野:ノーコードは、それができるのが魅力ですね。

平野:そうですね。実際、アステリアの「Platio(プラティオ)」というサービスも同じようなコンセプトでして、モバイルに特化しているんですが。アプリを「現場が作れること」が非常に大切で、それはできるものとか隙間を埋めるだけでなくて、人材不足が叫ばれている中でしっかりと適応・対応していくということにも役立ちますね。

青野:そうですね。また、1回システムを作っちゃったら、今度はメンテナンスが発生しますよね。それで情報システム部門にメンテナンスをしてもらおうと思ったら、どんどん情報システム部門が見ないといけないシステムが膨れ上がってきますよね。

現場の業務のことは現場の人がよくわかっていて、日々、業務が変化していく。その時に現場の人が作って、ノーコードだから自分たちでメンテナンスできると。さらに、ちょっとつなぎ先を変えるとか、ちょっとフォーマットを変えるとかも自分でできちゃう。

こうすると、作り捨てられた使いにくいシステムがずっと残っていることがなくて、なんとか現場でメンテナンスしながら使いやすい状態を維持できるという観点からも、現場でノーコードって大事だなと思いますね。

クラウドだからこそ。情シス×現場の全体最適を生み出す“放牧”という発想

平野:大事ですよね。そういう時、情報システム部門の方々から「管理監督が行き届かないじゃないか」という意見がよくあるんですが、そこにはどう答えていらっしゃいますか?

青野:やはりクラウドのいいところは、現場が作っても散逸しないというか。クラウドにあるので、情報システム部門の人が見に行けば「現場でどんなアプリが作られて、それがどれくらい使われているのか」がわかる。

平野:そうですよね。

青野:それで“野良アプリ”みたいなものがいっぱいできるんですが、ここを見ておいて「それだけはやめて」とかね。「マスターを増やすのはやめて」とか「ここのフォーマット変えるのはやめて」ということは、情報システム部門が目配せをしてあげれば、カオスにはならない。そういったところがテクノロジーと組織の足並みが揃ったような感じがするんですよね。

平野:なるほど。現在では情報システム部門でもウェルカムな企業が多いんですか?

青野:そうなんですよ。やっぱりこれをうまく使っている企業が出てきていますね。その1つの特徴は、やっぱり中央コントロールし過ぎない。現場をうまく“放牧”のように(笑)。

平野:(笑)。広い枠はあるけれども、逃げ出さない程度にちゃんと飼われて育っていると。

青野:「セキュリティ上、ここはだめよ」という枠だけ作っておいて、あとは現場に好きにさせる。そうすると「あの現場ではこんなこと困っているんだ」と、ある意味で可視化されるわけですよね。それをちょっと牧場主のように眺めておいて。

平野:(笑)。

青野:「じゃあ、こことここをつないであげれば、もっとうまく行くんじゃない?」といって、全体最適な動きを情報システム部門側でできると。

平野:なるほど。

青野:個別に救うと局所最適になっちゃうんじゃないかと思うんですけど、ある意味で放牧することで、全体最適の視点が持てるようになるんですね。

平野:なるほど。おもしろいですね。

青野:おもしろいんです。

平野:結果的に全体最適。

青野:そうなんです。

成功例はノウハウを横展開して共有していくこと

平野:その入り口はどうだったんですか? kintoneはもう10年ですよね。最初の頃からそういう視点で導入が進んでいたんですか?

青野:最初は現場の1部門で、ポロッと導入というのが多くて。情報システム部門からすると「現場が勝手にやってるわ」という感じだったんですけど。便利なものですから横の部署、横の部署と広がってきて。

平野:なるほど。

青野:そうすると情報システム部門の人も、管理をしないといけない。失敗例は、トップダウンで現場のアプリ開発権限を取り上げちゃうと「あれ、なんかすごく進化が止まっちゃうんだけど」となるんですけど、うまい情報システム部門は、放牧しながら柵を広げていく。

平野:じゃあ館の中に入れちゃダメで、放牧ですね。

青野:放牧の感覚なんですよね。

平野:なるほど。それが自然に広まってきたんですか? それともサイボウズのほうである程度ガイドして、そういうかたちに持っていったんですか?

青野:私たちのお客さまの中に、そのあたりを発明される方が出てきて。「放牧がいいんだ」と言い始めるお客さまですね。

平野:なるほど。

青野:例えばそのお客さまにイベントなんかに登壇してもらうと、やっぱり興味深く話を聞きに来る人たちがいますよね。

平野:放牧という言葉も、お客さまから出てきた。

青野:そうなんです。そのへんもやっぱりクラウドっぽいなと思いますね。コミュニティで広がっている感じがあります。

平野:なるほど。Platioはまだ5年でして、まだまだ現場だけで導入されているケースのほうが多いです。でも、実際にアプリがどんどん増えてきていて、それがつながって、一部では情報システム部門で緩く面倒見ることが出始めているような感じですね。やっぱりkintoneと同じような方向性に広がっていくんでしょうかね。

青野:そう思います。

平野:自然と……つまりそんなにメーカー側がガチっとガードしなくても、しかも情報システム部門がそうしなくても、自然と自立したかたちになっていっているんですか?

青野:そうですね。そこは私たちとしては、うまくいったお客さまのノウハウを横展開しやすいかたちにして。先ほどの放牧みたいなこともそのようになっていますし。

平野:共有する、と。

ノーコードで時代の変化。アプリ作成は「お客様が主役」外部パートナー企業は伴走者へ

青野:また、外部のパートナーとも付き合い方みたいなのも、うまくやるお客さまが出てきています。最近、流行っている言葉で「伴走パートナー」ってあるんですよ。

これは普通は外部の開発会社だと、仕様書を書いて「作ってください」と渡しますよね。でもこれって、ノーコードの時代に合わないんですよね。どんどん直したいのに「ノーコードで仕様書を書くって言っても、無駄だよね」みたいな。「どうせ変えていくんだし」って。

平野:ちょっと時代が違う。

青野:時代が違う。外部の業者の側も「これはちょっとやり方を変えないといけないぞ」というので、伴走するというサービスを始めたところがあるんです。

平野:ほう。

青野:「僕たちが主役じゃありません、お客さまが主役です」と。お客さまの現場でどんどん作ってください。それを、ランナーと紐で手を結んで一緒に走ってあげる感覚でガイドをするんですって。つまり、外部のパートナーなのに「僕らは作りませんから」と言い切る。

平野:じゃあ何をするのかというと、困った時の相談ですか?

青野:そうです。その代わり「こんなことやりたいんだけど」「そしたらあのツールとつないでみたら」とか、「その設計はよくないと思うよ」というのを返すだけで、手は動かさない。こんなのも始まっているんですよ。

私たちも最初はぜんぜんわからなくて、見た時は衝撃的でしたね。そういうのを言葉にして「こんなおもしろい事例がありますよ」と言うと、やはり同じようにやるところが増えてくる。

平野:おもしろいですね。

青野:僕らはどちらかというと、うまくいっている事例を拡散していくお手伝いをする・場を作るみたいな役割ですね。

平野:ついこの間「Cybozu Days」もありましたけれども、それもそういった共有の場になっているんですか?

青野:そうなんです。サイボウズがしゃべるより、お客さまがしゃべったほうが満足度が圧倒的に高いんですよ(笑)。

平野:そうですよね。わかります。もうノーコードですから、お客さまがどんどん作っていますからね。主役だし。自分で困って自分で解決して、そこに価値が出る。そういうことですよね。

青野:そうなんです。サイボウズが「こんなツールです」と言っても「いや、そんな話どうでもええねん」と。

平野:(笑)。

青野:「現場でこんなことがあって、こんなふうに作ったんや!」という話のほうが、遥かにお客さんに響くんですよ。だからイベントの主役もお客さん主導になっていますね。

デジタル専門人材はいらない。必要なのはデジタル活用人材の育成

平野:ということは、先ほども話題に出た「デジタル化・DXを進めるにあたって、人材が足りない」という話。うまくいっているお客さまは、そういう問題すらないという感じですか?

青野:そうなんです。人材育成のやり方が変わっちゃいましたよね。昔なら「情報システム人材を育てる」といったら「サーバー、メモリとは何か? データベースとは何か?」と。

平野:「まずは技術から学んで」というね。

青野:「技術からプログラミングがあって、いろんな言語を学んで、データベース操作できるようにしていって」。こういう育成をしていたと思うんですけど、ノーコードですから、ある意味では知識がなくてもそれができる。

なのでどちらかというと、業務に寄り添うためのヒアリング能力とか、これを表現するための能力。または、みんなに使ってもらうために巻き込む能力のほうが大事になってきています。

それに気付いたお客さまは、人材育成方針を大きく切り替えて。とにかく現場に寄り添える人材を育成するんだと。それもお客さまの言葉を借りると「これからはデジタル専門人材はいらない。デジタル活用人材を育成するんだ」「専門家はいらない」と(笑)。

平野:でも、今でもまだ世の中では「デジタル専門人材が足りない」と叫ばれていますよね。

青野:そうですね。

平野:それってさらに話が進んでいて、例えば小学生から全員にプログラミングを教えましょう、と。でも世の中すべてがノーコードになったら必要ない。そこをどう考えます?

青野:やっぱりそのへん、日本はだいぶ遅れていますよね。

平野:(笑)。

青野:私たちがプログラミングを勉強した子どもの頃……30~40年前は、それはもうプログラミングできればよかったと思うんですけど。

平野:プログラミングするには、メモリだとかいろんな技術も知らないとできなかった時代でしたけど、やっぱりそう思います。私は小学生全員にプログラミングを教えるって、ちょっとおかしいんじゃないかと考えているんです。

青野:遅れている感じがしますよね。時々例えるんですけど、最近は自動翻訳がすごいじゃないですか。

平野:すごいですよね。かなりレベル上がって、リアルタイムで。

青野:リアルタイムで、どんどん同時通訳みたいなソフトが出てるじゃないですか。

平野:ええ。

青野:ああいうものが出てきた時に「今から必死に、英語をしゃべれる人材を育てますか?」と。もちろん一部はそういうスキルを持った人が要るのかもわからないけど、英語がしゃべれる人材をがんばって育てようとしたところで、たぶん投資対効果的に言うと、どっちかというと自動翻訳ツールをうまく使える人材を育てたほうがいい。

平野:ああ、同じですね。ですから、プログラミングもゼロじゃないですよね。プロが要るじゃないですか。これからもいろんなソフトウェアを書いていく人がいる。ただ、全員にそのスキルが必要か? というとそうじゃない。活用するほうが大事ですよね、という話。

青野:今からそれを苦手な人に無理矢理教え込むの、かわいそうですよね(笑)。

ノーコードは人材不足の解消どころか世の中を変える!?

平野:となると、やっぱり今、人材が足りないと叫ばれていることの根本的な解決策。救世主どころか、そこになんか対策するよりも世の中変えちゃうのがノーコードですよね。

青野:おっしゃるとおりです。本当、日本は大チャンスだと思っているんですね。「デジタル敗戦国」とかって言われたじゃないですか。

平野:言われましたね。現在、まだまだ負けている状況ですけど。

青野:コロナで「この国の人たち、デジタルできないぞ」というのが明らかになっちゃって、今まさに負けている状態なんですけど。抜き返すチャンスだと思うんですよ。

平野:そうですね。

青野:そのためには何をするか? というと「がんばってプログラミングを学ぶ」のではなくて「ノーコードを徹底的に使えるようにする」。

平野:そのとおりだと思います。

青野:そうすると飛躍的にプログラミングを学んだ人たちよりも早くシステムを作って、どんどん量産して広げていくことができる。そこにいったほうが僕はいいと思うんですね。

平野:ノーコードは救世主どころか、国を変える。

青野:国を変えると思いますね。

小学生でも作ることができる。これから必要なのは「ノーコード」教育

平野:本当にデジタルが遅れているところを変えますよね。今からプログラミング学んでどうする? 追っかけてどうする? というね。

青野:そうなんです。もちろん、一部の人は要るんだけれども。

平野:それは必要。アステリアもエンジニアはいますし、サイボウズだっていますよね。そういう人たちはPlatioを育てていく、kintoneを育てていく、お客さまのノーコードをより使いやすくしていく。こういう人たちは要るんですよ。でもそれは一部じゃないですか。大半の人は、それを使う・活用する人ですよね。

青野:活用する。こちらは本当に専門知識がなくてもいけますから、うまくやったら大量に作ることができるわけですね。車を作れる人はなかなか育てられないかもしれない。エンジンを作れる人は育てられないかもしれない。でも車に乗れる人だったら、けっこう育てられると思うんですよね。

平野:ですね。

青野:こっちに舵を切ると、今あるクラウドテクノロジーを最大限レバレッジ効かせて、日本中に浸透させることができると思うんですよね。

平野:つまり、小学校から必要なのはノーコード教育。

青野:おっしゃるとおりです! ノーコードです。実際にkintoneを学校で提案したことがあるんですよ。学校の先生も、最近ちょっとブラックじゃないですか。仕事が忙しいのにアナログな仕事をいっぱいやっている。連絡帳を手書きしたりしているから「kintone入れようぜ」って提案したら、先生はそれを使えなくて。

平野:なぜですか?

青野:ノーコードすら使えなくて。なかなかできなくて「なんかわかんない」と。そしたら生徒が「先生、作ってあげるよ」と言って、理科で使うみんなの調査データを集めるアプリとかを、kintoneでペケペケと作って。

みんなで「こんな蝶がいました」「こんな草が生えていました」とかを写真で撮ってアップして集めるみたいなアプリを作っちゃって「あ! これはもう中学生、小学生にノーコードを教えたほうが早いぞ!」みたいな。

平野:そうですね。みんなが使えるようにしていく。そうすると先生の負担だって減るじゃないですか。プログラミングを小学校で教えるようになった先生たちですが、あるアンケートによると「プログラミングの授業が苦手」という先生が98パーセント。

青野:うわー! 98パーセント! 

平野:だって、勉強してきてないですもんね。

青野:そうですよね。いきなり言われてもね。

平野:教科書だけあったって、しょうがないじゃないですか。

青野:教えられないですよね。

平野:やっぱり「ノーコードは日本を救う」ですね。教育も救うし。

日本人の強みである「現場力」を高めるデジタルツールの活用

青野:本当に思いますね。やはり沈没する日本の中でも「日本の良さ」についてよく言われたと思うんですけど。その1つにやっぱり「現場力」がありますよね。

平野:そこは今でも強いと言われていますよね。

青野:そうですよね。現場の人たちが真面目で改善意欲があると。それは確かに私たちの子会社がアメリカや中国にあったりして見てて思うんですけど、やっぱり日本人って真面目だなと(笑)。

平野:はい(笑)。

青野:でもその力を活かそうと思ったら、この現場に道具を与えると。

平野:ですよね。現場が真面目だし、あと細かくてプレサイス(正確)ですよね。本当に精緻に作れる。そこをどう支援するかというのは、別に対局に立ったDXではなくて、現場をいかにまわしていくかですよね。

青野:はい。そう思うんですよね。

平野:そこにいかにデジタルのツールが使えるか。kintoneとか、Platioとか。

青野:そうなんです。

平野:現場の人が作れるのが大事ですよね。

青野:大事ですね。

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