2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:レノボ・ジャパン合同会社 / インテル株式会社
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リュウ シーチャウ氏(以下、リュウ):こんにちは、レノボのシーチャウと申します。今日は私から、インテルの土岐さんと「乗り越える」について、いろいろ話させていただきたいと思います。
まず自己紹介させていただきます。名前をご覧いただいたとおり、私は日本人ではなくて中国出身です。大学から留学生として日本に来て、そこからほぼほぼ日本の会社で働いています。今、レノボのCMOを勤めているんですけれども、業界としてはどちらかと言うと消費財のマーケティングが長いんですね。
最初は、洗剤やシャンプーなどの消費財を作っているP&Gという会社で働いていて、消費財の最後はJohnson&Johnson(以下、J&J)という会社で日本のマーケティングヘッドをしていました。
そのあと香港のJ&Jの支社長をして、そこから一気に狂ったかのようになってるんですけれども、フィンテックのスタートアップに行って(笑)。今は、レノボという会社のCMOをやっております。土岐さん、今日はよろしくお願いします。
土岐英秋氏(以下、土岐):こちらこそ、よろしくお願いいたします。
リュウ:土岐さんの自己紹介もぜひ、お願いします。
土岐:わかりました。今ご紹介いただきました、インテル株式会社技術本部の土岐といいます。シーチャウさんと比べるとちょっと違ったキャリアで、まずインテルに入って、おそらく33年目になりますが、ずっと同じ会社にいるんですね。
もちろん入った時と今は職種も変わっていて、実際一番最初に入った時にはなんと、(IC)チップの設計をやっていたんですよ。お客さまに話をすることがまったくできないようなエンジニアでございました。
リュウ:なるほど、よく今日ここにいらっしゃいますね(笑)。
土岐:本当にそうですね(笑)。こんな華々しいところにお呼びいただいて、本当にありがたいなと思っています。
そのあと、技術サポートの部隊に移りまして、インテルの製品をどのようにうまく使っていただくか、あるいはそれを開発するお客さまをサポートする仕事をしていました。現職は、この技術本部という、お客さまの技術サポート全般をやらせていただく部署に入っております。
今日は、その中で本題に合うような話ができればいいかなと思っています。また、シーチャウさんにお会いできるのを非常に楽しみにしてまいりました。楽しんでお話しさせていただければと思います。
リュウ:私もです、ぜひよろしくお願いします。最初は本当に「なんでこの2人なんだろう」みたいな。経歴を見ると転職マニアみたいな人と、ずっと同じ会社にいらっしゃる方とで、共通点がなさそうに思ったんですけど、実は話していて意外と共通点がありました。
ぜひ、その話をいろいろさせていただきたいなと思います。楽しんでいきましょう。今日のテーマは「乗り越える」ということなんですけれども、この言葉からは、どういう表現やイメージが思い浮かびますか?
土岐:「乗り越える」というのは、何かの課題をどう解決するかという感じなのかなと思います。今まで自分がキャリアの中で何をしてきたのかを振り返って考えた時に、けっこう使っていた判断基準が見つかりまして。言葉で言うとかっこよく聞こえるかもしれないですけど、「難しいほうを選択してみようかな」という。
リュウ:かっこいいですね(笑)。
土岐:かっこよすぎますよね。そんなに大したことじゃないんですけど、自分からチャレンジをしてきて、「自分の伸びしろがあるほうはどっちかな」という感じの選択をしてきた気がします。
リュウ:なるほど。実際の事例って何かありますか?
土岐:いくつかありますけれども、その中でも今日お話ししようかなと思って持ってきたものが1つあります。私はシーチャウさんとは違い、日本で生まれ育った根っからの日本人のエンジニアなわけですね(笑)。
とはいえ外資系のインテルという会社に入り、会社そのものはグローバルな会社ですから、いろいろなところに拠点があります。
技術本部は技術を主体にしている部隊なんですが、ある時に「日本の技術部を越えてアジア全体を見るような仕事をしてみないか?」と言われたことがありました。シーチャウさんからすると、「それの何が難しいの?」という感じかもしれないですけど(笑)。
リュウ:いやいや、そんなことないですよ。ずいぶん難しそうですけど(笑)。
土岐:私からすると、日本というエリアを越えていくことは、非常にチャレンジになるかなと思いまして。その時に、日本の中でも技術を追いかけられると考えたんです。アジア全体でも、やはり同じく技術を追いかけられると。
「技術を追いかける」ことに関しては、一緒だったんですね。そこで自分にとってのチャレンジ、伸びしろはどちらが大きいかと考えた時に……日本で技術を追いかけて深めることはできるかもしれない。
ただ、日本以外のグローバルな視点に立って、今まで見たこともないような市場のお客さま、パートナーの方と一緒にやっていくことは、可能性としては非常に大きいのかなと思いました。伸びしろの部分で言うと、きっとアジアの統括に行ったほうがいいのかなと判断をして、そちらを選びました。
リュウ:私もキャリア上、そういう選択が目の前にある方をたくさん見てきて、「英語はダメかな」「ちょっと海外は難しそうだな」と、お断りされる方も多いんですけど。その時は「英語はめっちゃ自信ある」とか、「すごくグローバルに関心があります」というのはありました?
土岐:まさにいいポイントだと思います。「英語が得意ですか?」と聞かれた時に、「英語は嫌いじゃありません」と答えるのが私だったので。
リュウ:あぁ、いい答えですね。
土岐:好きかどうかと言われると、好きではないかもしれないですけど嫌いじゃありません、という言い方でした。言ってみれば苦手なほうですよね。
でも、コミュニケーションに関して言うと言語そのものよりも、技術の内容や自分が伝えたい意思をどう相手に伝えるかっていうところかなと。きっとシーチャウさんのほうが、マルチランゲージでいろいろとコミュニケーションされているので、そういう経験をされていると思うんですけど。
やはり伝えたいという気持ちがまず先にある。そして、英語や外国語だけでなくカルチャーの違う相手にどう伝えていくかというところは、技術とは違ったチャレンジになったかなと思います。
リュウ:そうですよね。私もまさにそう思っています。今は日本語でしゃべっているんですけど、日本に来たタイミングでは日本語をひと言もしゃべれなかったんです。しゃべれなすぎて、成田空港から出るのに2時間かかったんですよ。
P&Gって外資なんですけど、私が外国人だから「英語しゃべれるんでしょ」と思われて採用されて、英語がしゃべれなくてめちゃくちゃ怒られて(笑)。そこから必死に英語を覚えたんですけど。
土岐:(笑)。そうだったんですね。
リュウ:伝わればいいんですよね。そんなに「言葉が完璧じゃないから私じゃダメかな」と思わなくてもいい。勇気を持ってチャンスをつかみにいくところに、めちゃくちゃ共感します。「苦手じゃないです」という答え、いいですね(笑)。嘘はついてない。
土岐:そうですね、嘘はつかないように努めてやっていました。私のキャリアの判断基準はそんなところで、少し伸びしろが多いほうをやっていく感じでした。
シーチャウさんのキャリアをお聞きしていると、いろいろなことにチャレンジされてきたと思います。シーチャウさんにとっての「乗り越える」に関してはいかがでしょうか。
リュウ:ありがとうございます。「乗り越える」って何か大変なイメージがあるんですけど、私の場合はそんなに大変なことをしてないなといつも思ってるんですよね。でもそれってたぶん、乗り越えたあとに振り返っているから、楽になったというのがあるんですけれども。
逆に「難しいほうを選ぶ」というのは、まさに数年前のインタビューで私もまったく同じことを言ってたんですよ。なぜかと言うと、「実は楽になった時が一番の壁かもしれない」と感じることがありました。
例えば私はずっと消費財の業界にいて、どこかのタイミングでフィンテックのスタートアップへ、そこからITという感じで、すごく業界を変えていたんですけど。そのきっかけは、私がJ&Jという会社の香港のカントリーマネージャーとしてお仕事をしていた時でした。要は香港の社長みたいなものなんですけれども、30代前半でチャンスをいただいたんです。
グローバルの会社の中でも、おそらく最年少ぐらいのレベルでその仕事をやらせていただいてるんですけれども、ビジネスがすごく悪い状況でした。5年間くらい、ずっと下がっていたところで、1年間で昨対プラス20パーセントでビジネスをターンアラウンドしました。
土岐:すごいですね……。
リュウ:ラッキーな部分はすごくあるんですけれども(笑)。組織やビジネスが良くなったタイミングで、すごく壁を感じたんですよ。
なぜかと言うと、周りはすごく「ビジネスがターンアラウンドして良かったね」とか「消費財でいろいろ伸ばしてきて良かったね」という感じなんですけど。「私、これしかできない人になっちゃったらどうしよう」とか、乗せられて、みたいな(笑)。
土岐:あぁ、なるほど。
リュウ:そう思ったので「何か違うことをやらなきゃ」と、会社を辞めることしか考えていなかったんですよ(笑)。何をやるかというより、辞めて違うことをやろうと思っていて出会ったのが、FOLIOという金融系の会社でした。
金融はぜんぜん詳しくないし、あまり投資もしたことがなかったくらいなんですけれども、「違うことをやってみよう」というので証券会社への転職を選んだんですね。
リュウ:どちらかと言うと「乗り越える」というのは、“今と同じことをやり続ける壁”を乗り越えて、新しいことをやる。みなさんから見たらたぶん、「なんでJ&Jでうまくいってるのに会社を辞めるの? もったいなくないですか」とか。友達にも「狂ってるの?」という感じですごく言われるんですけど(笑)。
土岐:(笑)。
リュウ:でも逆に新しい業界に行って、私が今持っている知識をどう活かして、どこを学ぶのかということを経験できました。振り返ってみると、あの選択をしてすごく良かったなと思うんですよ。それがなかったら、たぶん今レノボにもいないし。
「PCにぜんぜん詳しくない人が、なんでパソコン会社のマーケティングのヘッドをやってるんだろう」という話もあると思うんですけれども(笑)。居心地が良くなったら乗り越えなきゃいけない、という感じなんですよね。
土岐:なんだかわかりますね。ある程度の期間やっていて、全体の仕事の流れなどもわかってくると居心地がいい。やりやすくなりますよね。
リュウ:そうなんですよ。もう周りがある程度信頼してくれている状況って、個人的にはけっこう気持ち悪いんですよ。何かチャレンジがあったり、嫌われてたりするほうが(笑)。
土岐:なるほど、「足らない」という感じがあるんですね。
リュウ:土岐さんの「難しいことを選ぶ」というのも、まさにそういうことなのかなと思うんですよ。
土岐:シーチャウさんはご自身で探していく感じだったと思うんですけど、私の場合はどちらかと言うと「given」。来たものでどちらにするかということが多かったとは思うんですけど。
リュウ:でも、選んでますもんね。私は転職するかしないかは、正直あんまり差がないと思っています。
私も別に転職したくてしたわけじゃないんですけど、やっぱりグローバル企業で活躍している方や、役員クラスの方のキャリアを見ていると、同じ会社の中でも転職したかのような経験をされています。大きい会社だと社内にもチャンスがいっぱいあって、それをうまくつかんできた方が活躍していく。まさに土岐さんのようなイメージですね。
土岐:今お聞きした感じでは、新しいんだけど興味はあるところを選択して行かれてるのかなと思うんですね。例えばフィンテックの会社に行かれた時も、おそらくは「フィンテックは知らないけどすごく興味があった」と。興味があると、新しい課題を乗り越えていくだけのエネルギーを、ご自身の中でも見つけられるのかなという。
リュウ:そうですね、まったく興味のないことはたぶんやらないと思うので(笑)。私もわりと近いんですけど、日本人で投資している方のパーセンテージは、すごく少ないんですよ。老後に2,000万円足りない話とか、こういう状況の中で本当は資産運用していかなきゃいけないんですけど、なかなか広がらないという問題意識を持っていました。
そうなった時に、すでに投資している人たちは詳しいから、投資していない人たちに対するコミュニケーションが上から目線になりがちじゃないですか。でも、私と同じような人たちと「一緒に資産運用を始めてみたい」ということで、逆に等身大の私にできることがあるんじゃないかと思ったんですね。なので、やりたかったことではあるという感じです。
土岐:じゃあもう今は、投資に関しては誰よりも詳しい感じで。
リュウ:いや、そんなことはないんですけど、おかげさまで去年からめちゃくちゃ投資してます(笑)。FOLIOに入ってよかったって感じですね(笑)。
土岐:(笑)。ご自身の経験にもなっているということで。
リュウ:FOLIOに出会ってなかったら、たぶん私は銀行に貯金し続けてるんじゃないのかなと思います。
土岐:先ほど言葉の話がありましたけど、「新しい言葉を覚えて使えるようになる」というのも、「乗り越える」と似てるのかなって思うんです。外国語の習得に関しては、私よりはるかにお上手だったと思うんですけど、何かコツとかはあるんですかね。
リュウ:おそらく土岐さんも(私と)一緒じゃないのかなと思うんですけど、「出川イングリッシュ」というのがあるじゃないですか。あそこからスタートすればいいと思うんですよ。要はちょっと発音や文法がきれいじゃないから「英語がしゃべれない」と言っている。
でも、英語を勉強してきたじゃないですか。向こうも別にこっちがネイティブじゃないことはわかってくれてるから、がんばってリスペクトして聞いてください、という(笑)。ぜんぜん完璧じゃなくても、使える言葉を使って、あんまり気にしないでしゃべると。
土岐:なるほど。
リュウ:でも、そんな感じじゃないですか。外資もそんなに流暢に英語をしゃべれる人ばかりではなくて、カタカナ英語でもかっこよくしゃべれる人ってけっこういます。そういう方ってすごくかっこいいなと思いますけど。
土岐:逆にかっこいいかなっていう。でも、本当にそう思いますね。
リュウ:そうですよ。帰国子女じゃなきゃいけないことはぜんぜんないと思うし。
リュウ:今までの「乗り越える」について、いろいろ話したんですけれども。これからについておうかがいしたいなと思います。これから乗り越えようとしていること、目指している未来はどんな感じですか?
土岐:ここ2年ぐらい、コロナで働き方やライフスタイルまで変わってきている人が多い中で、レノボさんのパソコンや弊社のCPUを使っていただいて、非常に役に立ってるんじゃないかなとは思いながら。
リュウ:おかげさまで(笑)。そうですね。
土岐:事実、自分の仕事の中でも今まで以上にIT機器を使っています。会社に来ないと電話会議もできなかったような昔の時代から比べると、一緒に仕事をしなきゃいけない世界中の仲間たちと自宅でつながれる。
しかも、少し前には難しかったビデオ会議ができてしまう。逆にビデオで、あまりにも部屋がきれいに映りすぎるので背景をどうにか消したいなとか、いろんなことを考えて。この2年の間では、そうした新しいツールを使った働き方を、どちらかと言うと環境に合わせて仕方なくやっていた感じだったと思います。
リュウ:ちなみに御社はどうでした? 今も全部家からですか?
土岐:ようやく東京のほうも落ち着いてきましたので、オフィスに戻ってきていいよという話なんですけど。まだだいたい5割以内にしようね、という言い方をしています。
リュウ:じゃあ、今までは出社禁止で。
土岐:そうですね、できるだけ自宅で仕事をするようにという感じでした。ここ2年は仕方なくという状態だったのが、これから「戻ってきてもいいよ」となった時に、完全にオフィスに戻るのかというと、ちょっとそうじゃない感じがしています。
期待も含めて、自宅から電話会議やビデオ会議をしていると、なんとなく「もうちょっとコミュニケーションをうまく取りたいな」と思ってるんですね。例えばノイズキャンセリングだったり、いろいろな機能はありますけど。どちらかと言うとより臨場感が上がるようなコミュニケーションですかね。
今まさにフェイストゥフェイスでシーチャウさんとお話ししていますけど、もしビデオ会議がこのクオリティでできたら、どれだけコミュニケーションの質が上がるだろうかと思います。
そういった、人間の五感と言うとちょっと言い過ぎかもしれないですけど、いろいろなセンシングをうまくデジタルがサポートしてくれる時代が次にくるのかなと。この2年のおかげで、みなさんがそこに気づき始めて、次の時代が早くくるんじゃないかと期待しています。
リュウ:そうですよね。今までの時代にはもう戻らないと思うので。習慣も変わったし、働き方も変わったので、「仕方なく家から」ではない働き方を、どう作っていくのか。これから御社も弊社もそこをいろいろ(笑)。本当に楽しみにしてます。
土岐:そういった新しい未来での使い方は、もしかすると今は自分たちに見えていないことも出てくるかなと思うんですけれども。プラスアルファで、パソコンの使い方について新たな発見もありました。今さらという話もあるんですが、いろいろとツールを使わせてもらうようになりました。
例えば翻訳がついていないビデオをどう解読しようかなと思った時に……字幕がついているYouTubeとかはまだいいんですけど、そうでない時は、音声トラックだけを引っ張り出して、いわゆるボイスレコグニションで音声認識をさせて、まず字に落とすんですね。(精度は)100パーセントじゃないんですけど、文字にしてオートトランスレーターにかけると、自分の母国語に変わるわけですよ。
リュウ:なるほど、いろいろ活用して(笑)。
土岐:そうなんです(笑)。パソコンを使う時間が長くなって、ツールを多用しながら、そういった使い方を徐々に見つけたりしていました。
リュウ:そうですよね。さっきの言葉の話と一緒なんですけど、言葉がしゃべれるようになるのは、困ったからがんばるという(笑)。本当にこの2年間がなかったら、こんなにパソコンやいろいろんな技術は使いこなせてないよねと思います。
土岐:確かにそうですね。小さい課題を解決したり、小さい希望を叶えるために、小さく乗り越えるような感じですかね。それら一つひとつによって、今までできなかった自分ができる自分に変わっていく。成長と言うと言い過ぎかもしれないですけど、1年前よりは随分といろいろなことができるようになってきているかなと思います。
リュウ:立派な成長ですね(笑)。
土岐:(笑)。それもデジタルのおかげで成長させていただいたのかなと思っていますね。
リュウ:なるほど。でも、本当に私もそう思います。
レノボ・ジャパン合同会社 / インテル株式会社
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