2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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尾尻恒氏(以下、尾尻):みなさまこんにちは。LINEの尾尻です。本セッションのモデレーターを務めます。本日は「Zホールディングス各社におけるデータマネジメントの取り組み」というテーマで、データマネジメント領域における各社のキーパーソンに参加していただき、パネルディスカッション形式で紹介できればと思います。
データは“新しい石油”とも呼ばれますが、あるだけでは価値を生みません。マネジメントができて初めて活用ができ、価値を生み出すことができます。では、データから価値を生み出すために、具体的にはどのようなデータマネジメントをしているのか。そんな観点からゲストをお呼びしています。
まず、Zホールディングス株式会社 GCDO室 室長の佐野真規さん。続きまして、ヤフー株式会社 CDO室 室長の阪上恵理さん。最後に、LINE株式会社 データエンジニアリングセンター データマネジメント室 室長の勝山公雄さんです。最初にお一人ずつ自己紹介していただき、そのあと具体的にどのような取り組みをしているかをインタビューしていきたいと思います。それでは、佐野さんから自己紹介をよろしくお願いいたします。
佐野真規氏(以下、佐野):紹介していただきました佐野と申します。Zホールディングス株式会社のグループCDOの下でGCDO室の室長を仰せつかっています。本日は楽しみにしています。よろしくお願いします。
尾尻:続きまして阪上さん、よろしくお願いいたします。
阪上恵理氏(以下、阪上):はい。ヤフー株式会社 CDO室室長の阪上と申します。今日はみなさんとお話できるのを本当に楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
尾尻:最後に勝山さん、お願いいたします。
勝山公雄氏(以下、勝山):はい。LINE株式会社 データマネジメント室の室長をやっています、勝山と申します。よろしくお願いします。
尾尻:本日のモデレーターを務めます、尾尻と申します。LINEグループでデータ利活用に関する課題を解決し、データの民主化を実現することをミッションとしています。よろしくお願いいたします。
尾尻:それでは、さっそく1つ目のトピックから行きたいと思います。「データリテラシーを向上させるために、どんな点に気をつけていますか?」というトピックです。データリテラシーについて補足すると、データを積極的に活用するために、社員に持ってもらうべき知識レベルという意味ですが、勝山さんいかがでしょうか?
勝山:はい。ちょっとここで、私からデータマネジメントとは何なのかについて少し触れてから、この設問に答えたいと思います。「データマネジメント」と一般的な言葉で語る場合は、その専用のフレームワークがあったりします。ただ私のほうでは、ここではRole & Responsibilityと書いてありますが、データマネジメントの役割を大きく4つの視点に分けています。
まず社内のデータ活用の道しるべとなるデータ戦略を立案する「ストラテジー」という領域。次に、データ活用によって売り上げを上げたり、あとはサービスを改善していったりなど、そういう役に立てていく活動を「オフェンス」、攻めと定義しています。それと逆に、データを活用する際にルールを守ったり注意点を考慮して、実際にどう使っていこうかという部分を「ディフェンス」、守りと定義しています。そしてこれらをシステムとして、どのような仕組みとして使っていけるか。この4つの分野に分けています。
データリテラシーという観点では、Maturityレベル、日本語で言うと成熟度になりますが、レベル0、1、2、3と定義して、4つに分けたそれぞれの分野に対して、教育プログラムを社員に提供しています。
まず1つ目。ストラテジーのところは「S」というカテゴリに定義していて、役員以上のレベルと戦略的コミュニケーションを取るためのプログラムを行っています。Data Strategy Summitという名前で、だいたい2ヶ月に1回ぐらい展開しています。
オフェンスの領域は、レベル1、2、3のところを見てもらえると、「A」というカテゴリで、Data Utilizationという名前を付けています。これは、データの活用をやっていく中で、それぞれの事業で行われているデータ活用、これを社員に共有していくことを中心に、研修プログラムを行っています。
次にディフェンスに関しては「B」というカテゴリで、Data Open Orientationという研修プログラムを提供しています。その中で、Data Open Guidanceというガイドラインを用いて「データを活用する時にはこういったルールを守っていきましょう」ということを社員に伝えて、レベルアップしていくための基本資料として用意しています。
あとシステムに関しては、データをたくさん集めて分析に使うための環境として、Information Universe(IU)と呼んでいるものがありますが、「C」カテゴリはIU Boot Campという名前で、社員にシステムの使い方とか、どう使ったらこんないいことがあったとか、そういうようなことを共有しています。
最後に、レベル0のところは横断的にですが、新卒だったり、あとは中途入社でも最近入った社員、そういった方々に対して底上げをしていくために「D」カテゴリを用意しています。こういったかたちで、カテゴリとしては5つのものに分けて、それぞれ研修活動を行っていくことによって、データリテラシーを上げる取り組みをやっています。
尾尻:勝山さんありがとうございました。戦略、攻め、守り、システムの4つの視点でデータを活用している、促進しているということがよくわかりました。
尾尻:お題に戻りまして、「データリテラシーを向上させるために、どんな点に気をつけていますか?」というテーマになります。阪上さん、ヤフーの場合はいかがでしょうか?
阪上:はい。ヤフーの場合はフェアにデータ利活用推進を進めていくにあたり、攻めと守りの両輪について社員のマインドセットや知識の向上と、利活用推進体制の整備をしています。まずは基本ルールとしてデータ規定を定め、その下に各種ガイドラインやマニュアルがあります。
これに基づいた推進体制として、各部門にデータディレクターという役職を置いています。このデータディレクターは、CDOと連携して各部門のガバナンス強化やデータ利活用を推進していきます。データディレクター同士が集まって知識を共有する、シンクする場も定期的に設けています。また全社向けにはeラーニングを展開しています。特に守りの社内ルールや、最低限のデータ環境の知識についてのeラーニングは全員受講を義務化しています。攻めの利活用面では、統計分析やAI知識、各種ツールの使い方など適時必要に応じて学べるように、学習コンテンツを増やしているところです。以上です。
尾尻:ありがとうございます。ヤフーはしっかりデータを管理されているなということがよくわかりました。
尾尻:ではグループとしての取り組みはいかがでしょう。佐野さんお願いします。
佐野:はい。今2社から紹介があって、すごくたくさんの取組みをされていましたが、Zホールディングスの会社単体としては事業会社ではないので、Zホールディングス自体のデータリテラシーというよりは、グループ全体のリテラシー向上にどう貢献しているかという観点が必要かなと思っています。
すでに各社それぞれで取り組まれていると思うので、そうしたノウハウを個社に閉じずにどう広げていくかというのがZホールディングスとして取り組んでいく課題かなと思っています。まだ試行錯誤の段階ではあるんですけども、実験的にLINEとヤフーで「Z Data Meetup」という社内向け共同イベントを始めてみています。
これは各社の現場のリーダーとか活用推進されている方に登壇していただいて、極力カジュアルな雰囲気で事例を紹介してもらって、ヤフーではこういうことをやっている、LINEではこういうことをやっている、などお互いに共通点を発見したり、差分で学習できるところ、キャッチアップいただけるところはキャッチアップいただいたりしています。今後はパネラーの話を聞くだけの会だけでなく、交流の機会みたいなものを作っていけたらなと思っています。
あと、リテラシーといった時に、知識はある程度はその人の個人の努力でインストールすることがあできると思うのですが、その知識に閉じず、きちんと応用できるところまでいくには、アクティブラーニングやアンラーニングの機会、発見の機会を提供して、学びの機運を醸成していくというのも大事かなと思っています。1つのアプローチとしてそういうところにZホールディングスとして寄与できたらなと考えて、取り組み始めているところです。
尾尻:佐野さん、ありがとうございました。実は私もZ Data Meetupに参画していまして、佐野さんもおっしゃる通り、まずはお互いの事情を知ることが一番大事かなと考えています。ありがとうございました。
尾尻:それでは、次のトピックに移りたいと思います。「データ活用したい従業員へデータの所在を情報提供するために、工夫していることはありますか?」というお題です。データの所在はいわゆるデータカタログのことですが、目的のデータを探しやすくする工夫について、おうかがいしたいと思います。まず阪上さんいかがでしょうか。
阪上:はい。ヤフーでは社内のプラットフォームにあるデータ情報をデータカタログで一元化していて、社員が参照したりデータを探すことができるようになっています。今現在70万データぐらい集まっていまして日々増えています。これらの情報はAlationでの自動収集+担当者が手動で情報を追加して運用しているというかたちですね。
データを探す切り口もいろいろ用意していて、サービス名やキーワードでの検索や、あるいはもうちょっと抽象的な、例えば「消費行動に関するデータがほしい」というような探し方ができるようになっています。情報の中身はデータの概要やカラム、サンプルクエリや利用ポリシーなども掲載されています。
探した人が「このデータを使いたいな」「もうちょっと詳しく知りたいな」と思った場合、そのデータカタログ上から担当部署にコンタクトをして、問い合わせができるようになっています。これだけデータがあると適切なデータを探すのもなかなか大変なんですけど、今後は活用状況とか活用事例もメタ情報として追加していきたいですし、さらにはグループ会社のデータ情報も増やしていけると良いなと思っています。
尾尻:ありがとうございます。70万というのは本当に途方もない数ですね。検索は大変だと思います。
尾尻:それでは佐野さんいかがでしょうか?
佐野:はい。Zホールディングスの観点ですと、阪上さんが最後におっしゃっていたグループデータ、グループ会社の情報も入れていきたいというところに、まさにZ主体で貢献していければいいなと考えています。このあと勝山さんからもお話があるんじゃないかなと思うんですけど、ヤフーもLINEも、それぞれデータカタログというアプローチをしているかと思います。
相手方の保有しているデータや、その他のZホールディングスグループの企業が保有しているデータの可視性を上げることで、これからデータを使いたいという利用者に対してどういうプロセス、手続きで使えるのかであったり、どういうことを守らなければいけないのかであったり、はたまたどういうことができそうかという着想のヒントを与えることができると思います。
なので、まずはそうしたどこに何があるのか、各社でのアプローチもそうなのですが、抽象度を上げてグループ間でそういったコラボレーションを促すような情報の発信をZで取りまとめられたらなと考えています。
考えていますが、他方でやはりそのデータ利活用のコンディションは各社まちまちかと思うので、いきなり「メタ情報をZホールディングスで集約するために出してくれ」というようなコミュニケーションをしても、会社によってはToo Muchな場合もあるでしょうし、ヤフーの70万データを見せられたという時に「どう使えばいいんですか?」ということも起きかねないかなと思います。
なので、そこはまずZホールディングスが各社のコンディションを正しく把握しつつ、それぞれ今どことどこがコラボレーションするのがよいか。できればそれぞれと関係性を構築しながら、シナジーを生み出すお手伝いもできればといいなと考えています。
尾尻:ありがとうございます。シナジーを生み出す上でデータカタログがすごく重要であるということがよくわかりました。
尾尻:勝山さんいかがでしょうか。
勝山:はい。私もヤフーさんのデータカタログを見たことがありますが、非常に画面もきれいで、探しやすくてちょっとキーワードを入れるといろいろなものがヒットして、「これはおもしろいな」と思いました。そういった感じのものがあって、我々も似たようなものを入れたいなと思っているところです。
LINEでもデータカタログというものを作っていますが、今はかなりエンジニアチックで、システムに入っているテーブル名とか、テーブル名に付けられている説明書きだったりが、ほぼそのまま見えるかたちになっていて、それを我々は「システムメタデータ」と呼んでいます。
私のほうで工夫していっているところは、そこに対してこのテーブルは何なのか、このデータは何なのかといったところをビジネス目線から使えるようにしていこうということで、ビジネスメタデータを拡充していこうと努力して取り組んでいます。
その中は今は我々だけが見えるような状態になっていて、データを使いたいという申請が上がってきます。それで情報セキュリティの観点と、あとは法律の観点で、そのビジネスメタデータを覗いていって、「これは契約をしてから使えるようにしましょうね」として承認したり、あとはそのまま使えるものはそのまま承認したりとかというような、そういったものを作っていっています。それを新しいシステムとして成り立たせていこうということで、まずはトライアルとしてデータマネジメント室の内部だけで見て、承認しています。
この承認は我々がやっていますが、情報としては可能な限り社員にも提供していって、自分が使えるデータなのか、それとも使っちゃいけないデータなのかをある程度自分たちでわかる環境を作っていけたらいいな、ということで取り組みを進めています。
尾尻:ありがとうございます。データカタログを工夫することで、データ活用が促進されることがよくわかりました。ありがとうございました。
(後半へつづく)
LINE株式会社
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