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事業規模の変化に伴う、PdMがやるべきことの変化(全1記事)

2021.02.09

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プロダクトマネージャーの仕事は常に変化する LINEスタンプのLINE Creators MarketにおけるPdMの役割

提供:LINE株式会社

LINEのPdMが、どのように動き、どのようなアプローチで課題解決・チャレンジを続けているのか、なぜ今LINEで働くことに価値を感じているかなど、個人的な経験や考えを交えて話す「LINE PdM Career Nights」。今回は、LINEスタンプ企画チーム / スタンプ運営チームのマネージャーである小内喜文氏が、事業規模が大きくなるにつれて役割の変わるプロダクトマネージャーの仕事について紹介しました。

LINE Creators Marketにおけるプロダクトマネージャー(PdM)の役割

小内喜文氏(以下、小内):本日はお忙しい中、LINE PdM Career Nightsにご参加いただきありがとうございます。ここでは「具体的にLINEのPdMの実務ってどんな感じなの?」というのを、事業フェーズの変化に合わせて、実例で紹介したいと思っています。

本日のアジェンダです。まずは今日の題材であるLINE Creators Marketについて紹介しようと思っています。そのLINE Creators Marketにおいて、事業フェーズの変化の中、プロダクトマネージャーの職務の領域がどのように変化していったかを順を追って説明しようと思います。

3はおまけみたいなものなんですが、こんな仕事もあるんだという、ちょっと変わった事例をいくつか紹介して、まとめに入ろうと思っています。よろしくお願いいたします。

まずは自己紹介します。小内喜文と申します。LINEには2014年の4月に入社し、現在7年目を迎えています。所属は最初からLINEスタンプ事業部のスタンプ企画チームと運営チームで、今はマネージャーをやっています。

簡単なキャリアを紹介しますと、私は39歳なので、もう働き始めて17年ぐらい経ちます。最初は、モバイルコンテンツの企画から社会人の仕事が始まりました。当時は、iモードが全盛期のころでしたので、iモードにコンテンツを出している、いわゆる当時でいうところの公式サイトの企画などをしていました。着メロとかですね。

その中で、縁があって一瞬占い師の仕事をしたあとに、占い師を辞めて、mixiやモバゲーなどのソーシャルゲーム全盛のころでしたので、ソシャゲの企画をちょこっとやったあとに、最後にKDDIでキャリアのプラットフォーム運営をちょこっとしたあとに、Web制作会社を経てLINEにたどり着いた感じです。

なんでこんなにいろいろな仕事をしているかというと、私は一応音楽制作をしていまして、LINEの仕事とは別に、乃木坂46さんやAKB48さん、あとはBABYMETALさんといったアーティストさんに楽曲を書いたことがありますという感じなんですが、最近もちょこちょこ、ゲームの曲やアニメの曲を作っていて、こういった二足の草鞋でやっている人もいる例として、お聞きください。私の話が長くてすみません。

自分のスタンプが売れる「LINE Creators Market」

では本題です。LINE Creators Marketについて説明したいと思います。LINE Creators Marketをローンチしたのは、2014年の5月ですね。私は先ほどお伝えした通り、2014年の4月に入社しましたので、ちょうどLINE Creators Marketのスタンプ販売がスタートする半月前に入りました。

どういったものかというと、LINEにはスタンプという仕組みがありまして、そのスタンプを一般ユーザーが作って販売できるプラットフォームです。販売したスタンプの売り上げは、収益としてユーザーが実際に得ることができる仕組みになっています。

2019年時点での数字ですが、グローバルで展開していまして、参加クリエイター数は200万人ぐらいになっています。販売スタンプは当時で490万セットを超えています。今でいうと、700万セットくらいにはなっています。昨年までの売り上げ総額が690億円を超えていて、1億円以上のスタークリエイターが26人以上出ているといった、非常に売れている大規模なプラットフォームになっています。

この売り上げの話や、MAUの話がたぶん興味がある方が多いかもしれませんが、ちょっと出してよい数字と出しちゃいけない数字を私があまり把握していないので、この辺の質問は、数字のディティールは(スライドに)書いてあるところまでで、控えたいと思います。

こういった「うさまる」ですとか「ボンレス犬」とか、ちょっと1個前のページにあった「カナヘイ」さんですとか、人気クリエイターがいろいろ誕生しているプラットフォームです。

スタンプという仕組みの中で動いていて、スタンプという大きなプロダクトの中の1機能、1プラットフォームとしてLINE Creators Marketがあります。簡単に歴史を紹介すると、LINEをローンチしたのが2011年の6月なのですが、その4ヶ月後の10月にスタンプという機能ができました。

以降2013年まで、LINE公式スタンプと呼ばれている『ディズニー』や『ドラえもん』など有名なキャラクターのスタンプが配信されていたんですが、2014年以降に一般ユーザーが作れるようになりました。ここに至るまでは3年あります。

そこから7年間に渡って、スタンプ自体がアニメーションに対応したり、サウンドに対応したり、あとは有料の絵文字が販売されたりなど、機能としてどんどん新しいものが積み上がっていくと、並行してLINE Creators Marketもアニメーションに対応したり、絵文字に対応したり。スタンプの歴史と同時にLINE Creators Marketもどんどん進化を続けていきました。

あとでフェーズごとにどの期かを説明していこうと思うんですが、これが表向きに見えている、一般のユーザーさんが見ていた部分のLINE Creators Marketとスタンプの歴史です。この裏側で、どんなことがあったかをお話ししようと思っています。

企業フェーズの変化に伴って、ということなんですが、すごく簡単に、ちょっとしたKPIツリーを急いで作ってみました。一個一個は説明しませんが、利益を出す事業部なので、利益を生むということが一番のゴールなのですが、利益を出すために売り上げと利益率を上げていこうというところで、いろいろなパーツを書いています。このパーツにおいて、フェーズごとに、プロダクトマネージャーがどのように仕事の中で担当していたかをお伝えしようと思います。

(クリックで拡大)

急拡大したUGCプラットフォームで多発した問題解決を図った初期

3つの期に分けました。初期、中期、近年ですね。まず初期からですが、初期は2014年から15年と定義しました。表向きではLINE Creators Marketのリリースや、最初の、公式でアニメーションスタンプが出たり、サウンド付きスタンプが出たりといったような時期の裏側の話をしようと思います。

当初は、私にプロダクトマネージャーという肩書きは当然なかったんのですが、やっていた仕事としては、最初にスタンプの申請受付を開始したときに、初日に約300件から400件ぐらいの申請が来たんですね。それに対して、審査する人がいなかったんです。そんなにたくさんのものが来るとは、当時のメンバーが誰も予想していなかったので、審査をどうしていくかという話が、まずあった問題です。

そこで、審査体制をまず作らないといけないよね、と。そうこうしているうちに、1ヶ月で5,000件ぐらいの申請が来てしまったんですね。それに対して、販売できたのがたぶん300件から400件ぐらいのスタンプで、たった1ヶ月で4,000件以上の滞留が生まれてしまい、最終的に最高4万件ぐらい滞留が発生してしまったんです。

ご記憶がある方ももしかしたらいるかもしれないんですが、LINE Creators Marketは、審査の申請をしてから承認されるまで1ヶ月から半年かかると、最初のころは言われていたんですね。この問題をどう解決していくかが最初の仕事でした。

審査体制を作る。社内で審査していくCMSのツールがあるのですが、そのCMSを改善したり、あとは審査するにあたってのガイドラインを定めていくのが最初にあった仕事です。

あとは事業なので、それをどう伸ばしていくかというところで、当時のスタンプは有名キャラクターや芸能人ならではのものだったので、誰も知らないキャラクターのスタンプを使うという文化がなかったため、それをどうユーザーに使ってもらうかという、認知拡大のキャンペーンを展開したり、プロモーションの施策を考えるよりは、初期のフェーズでのPdMの仕事としては、例えば事業のマーケティングをしているような営業が「こういうキャンペーンをしたい」という提案に基づいて、こういう機能が必要ですねとか、こういう設定をすればできますねとかなどを整理して、進めていくという仕事をしていました。

具体例でいうと「フリーミアムキャンペーン」というのをやったのですが、古くからLINEを使ってくれている方はご存知かもしれませんが、LINEクリエイターズスタンプで人気があるものを、無料でバラ撒いていたんですね。同じスタンプのクリエイティブで、有料版と無料版が出るという仕組みがすごい難しかったのですが、CMSをハックするみたいな使い方をして、無料でスタンプを配布して、認知を拡大していくような取り組みをしていたのを覚えています。

利益率に関してなんですが、これは2014年の終わりですが、審査がどうにかこうにかできるようになってきて、LINEクリエイターズスタンプもおかげさまで非常に初年度から売り上げがよくて、初年度からたぶん月次で8億円ぐらいは売れていたんですね。「いい感じだね」みたいな話だったんですけど、ローンチするときに最初はクリエイターさんの分配率が50パーセントだったんです。

半分ぐらいの取り分でいいだろうという感じで始まったのですが、AppleとかGoogleに関連する仕事を今している方はご存知だと思いますが、アプリ課金の手数料は30パーセントなので、スタンプの売り上げの30パーセントはプラットフォームの手数料になりますと。

さらに50パーセントがクリエイターさんに払われると、ざっくり20パーセントしかLINEの手元に残らず、何十人という審査チームを作ったり、ものすごくたくさんのサーバを使ったりというところで、これはちょっとなかなか……。せっかく売れているのに、コスト的に厳しいぞという判断がされまして、その判断をしたのはPdMではないですが、2014年の終わりに分配率を変更するんですね。

それまで50パーセントだった分配率を35パーセントに下げますと。35パーセントの根拠としては、AppleやGoogleへの手数料の30パーセントを差し引いた70パーセントをクリエイターさんとLINEで分配しましょうと。そうすると35パーセントなんですけど、当然クリエイターさんにとっては不利益な話ですし、お金にまつわるところなので、一番ネガティブが起こりやすい情報なんです。

ここであったプロダクトマネージャーの仕事は、今思えばですが、このネガティブとなる情報のユーザーコミュニケーションをPRチームとかと連携しながら、文言を作ったり、原稿の草案を書いたり、あとはどういうタイミングでどういうメディアに出すかとか、ステークホルダーとの調整などを仕事としていました。

まとめると、2014年から2015年の初期に関しては、急拡大したUGCプラットフォームにおいて問題が発生しまくっていて、その問題解決を図ったことが主な仕事だったなと感じています。

先ほどのKPIツリーの中で、初期はどの辺の仕事をしていたんだろうということを、なんとなくなんですが、埋めています。利益率改善のための審査工数の削減や審査体制の整備、あとはこの辺ですね。最初はちょっと作りづらいとかもあったので触れづらかったのですが、マニュアルやチュートリアルを整備していました。ここまでが初期になります。

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急成長するスタンプの裏側でプラットフォームの安定化を目指した中期

では、続いて中期の定義ですが、2015年末ぐらいから2017年までを中期としようと思います。対外的に出ていた情報としては、LINE Creators Marketでの着せかえが販売開始したり、あとはちょっとあまり今日は関係ないですが、2016年から17年にかけて年賀キャンペーンを開始したりか、あとはLINE Creators Studioというスタンプを簡単に作れるアプリをリリースした時期です。

この頃のPdMの仕事です。まず引き続きプロダクト種別の拡大がありまして……。

ちょっと戻りますが、LINE Creators Marketというよりも、LINEスタンプにとってエポックメイキングだったものの1つで、このアニメーションスタンプの販売開始があるんですね。今では当たり前になっていますが、それまでは静止画だったスタンプが動くというのは、当時すごく新しくて。今でも実は記録が破られていないのですが、1個目に出たアニメーションスタンプが、ものすごく高い売り上げを出したんです。

「アニメーションスタンプはすごい!」と社内でも評判になりまして、いち早く開放してクリエイターさんにもアニメーションスタンプを制作してもらって供給量を増やしたらすごいことになるんじゃないかというワクワク感が、当時のスタンプ事業内にはありました。なので、プロダクト種別を増やしていこうと。

今言った通り、アニメーションスタンプの対応をしたり、着せかえをクリエイターさんが作れるようにしたり。このころになると、もう何万パッケージが販売されていったので、スタンプショップの中でほしいスタンプがなかなか見つかりづらいという状況が、当時はあったんですね。

それに対応するために、今ではあまり使われていないのですが、例えばクリエイターさんが自分で申請するスタンプのカテゴリに、「猫」という情報を付けたり、「かわいい」という情報を付けたり、カテゴリ情報に対応する機能を作っていきました。探しやすさの工夫が必要になってきた時期です。

あとはユーザーが増えて、売り上げも何百万、何千万を稼ぐクリエイターさんもこのころから増えてきて、プラットフォームとしての安定化をより推進していかなければいけなく、バックオフィス的な仕事がこの時期はすごく多かったんですね。

具体的にどんなものがあったかというと、まずは反社チェックを当時はきちんとできていなくて、なのでコンプライアンスチームと連携しながら、オペレーターの中で反社に該当するものがないか、またあった場合にはどういうことをしなければいけないかを整理していくことも。

これはもちろん、私が能動的にそれをするのではなくて、社内でそういう声があって、プラットフォーム側のプロダクトマネージャーとして、そういうことに取り組む日が突然湧いてきて、推進したという経緯があります。

LINE Payの送金対応

あとは、ある日突然湧いてきた系の仕事でいうと、このLINE Payの送金対応があります。クリエイターさんは、自分が稼いだ分配額を、それまでは日本のユーザーだと銀行振り込みでしか受け取れなかったんですけど、当時LINE的にもLINE Payを推していたので「LINE Payに対応してください」とトップダウン的に言われまして、ユーザーにとってももちろんメリットがあるので、「やりましょう」と言ってなりましたと。

お恥ずかしながら、私は当時、ぜんぜん送金の仕組みやLINE Pay自体の仕組みをまるで理解していなかったので、そこもゼロから勉強して、クリエイターさんに対してお金を送金する仕組みを新たに作ることをプロダクトマネージャーとしてやっていました。

あとは、海外ユーザーもすごく増えてきて、租税条約と言いまして、特定の国の場合、そこの国の租税条約に関する届出書を提出すると、免税や減税の対象にできるんですね。その管理もきちんとできていなかったので、租税条約を海外のユーザーが送りやすくしたり、物理的な郵送で送ってもらう必要があるため、それをLINE Fukuokaと連携をしながら、滞りなく処理していく仕組みを作る仕事もやったりしました。

あと、この「マイナンバー取得」は何?ということなんですが、マイナンバー法がこのころちょうど施行されて、クリエイターさんにお金を払っているので毎年5万円以上支払った場合は、この人にいくら払ったよという支払い調書を税務署に提出する必要があるんですね。その際に、どこの誰さんにいくら払ったよという情報に、マイナンバーを添付しないといけないんですよ。

なので、クリエイターさんからマイナンバーを取らないといけないとなりまして、マイナンバーを取るの難しそうだね、というところから話が始まったのですが、ここでやった仕事でいうと、当然自社では取らないので、委託先の選定から、いくつか出てきたマイナンバー取得の業務委託先の監査をセキュリティ室の人と一緒に行ったり、そういう謎の仕事も、プロダクトマネージャーの仕事としてやっていました。

最後に書いている外国語スタンプの審査対応というのは、海外ユーザーがこの時期どんどん増えていて、テキスト化されていると、翻訳ツールなどで簡単に翻訳できるのですが、スタンプの画像内にテキストとしてあると、なかなか翻訳が難しかったりするんですね。

その画像の中に使われている言葉で、よろしくない言葉が使われていたりすると問題が大きくなってしまうので、タイや台湾などのLINEが注力しているクリエイターさんが多い国家に対しては、ネイティブで言語がわかるスタッフを拡充したりですとか、あるいは外注したりする仕組みを作っていくことを推進していきました。

あとはちょっと毛色が変わりますが、クリエイターさんがこの時期増えていて、LINE Creators Marketは稼げるみたいなことを世の中で言われていたのですが、それと並行して PhotoshopとかIllustratorが使える人じゃないと、なかなかスタンプを作るのが難しいんじゃないの? みたいな空気が流れ出して、それを払拭するために、誰でも簡単に写真を切り抜くだけでスタンプが作れるLINE Creators Studioアプリをリリースしました。

ここのグロースの部分などをプロダクトマネージャーとして推進していました。なので、これまではWebの領域だけだったのですが、見る領域としてiOS、Androidのネイティブアプリも増えていったという経緯があります。

中期をまとめると、どんどん成長していたので、急成長するスタンプの売り上げやユーザー数へどんどん対応していってちゃんとしていった。プラットフォームとして安定化させるというのが、PdMの仕事としてメインだった時期かなと思っています。

中期で増えたところは、こんな感じです。先ほどお話した通りですね。このところがカバー範囲として広がっていったかなと思います。

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プロダクトのメンバーがハッピーに働ける環境作りに奔走した後期

最後です。近年、ここ2、3年は何をしているかという感じなんですが、ここ最近の外向けの機能でいうと、有料絵文字の販売を開始したり、カスタムスタンプの販売、あとはサブスクリプションのサービスでは、LINEスタンプ プレミアムという月額240円を払えばLINEクリエイターズスタンプが使い放題になるというサービスが始まった時期ですと。

その中において、最近何しているかというところです。引き続きプロダクトの種別がどんどん増えていて、今言った絵文字やカスタム、メッセージ、BIG、ポップアップ、エフェクトスタンプなど、どんどん増えていく中で、出せばありがたいことに売り上げが上がっていくのでやりますが、プロダクトの拡大だけではなくて、日々いろいろなことがありますので、優先度の管理がより重要になってきた時期だなと考えています。

この優先度管理というのが、本当にここ最近でも一番シビアにやらなければいけないところだなと感じています。あとはクリエイターさんが正直飽和していると感じている方もいるかもしれないですが、クリエイターさんがたくさんいて、たくさんスタンプが出ている中で、新着のリストに並んでも、誰の目にも触れられずせっかく作ったスタンプが売れるチャンスがないまま、流れてしまうという状況がありました。

こういう人たちにチャンスを作っていきたいなと思っていたので、クリエイターさんに目に触れていただける機会を作るために、例えばあいさつスタンプキャンペーンや、今の時期でいうとクリスマススタンプキャンペーンなど、そういうキャンペーンにクリエイターさんが自ら参加できる仕組みを作ったんですね。

このキャンペーン機能によって、今まで埋もれてしまっていたクリエイターさんが有名になったりするいうようなことがありました。

あとはこれも数が増えたことに伴ってのことなのですが、審査はこの時期になってくると安定していて、ちょうど2018年ぐらいには、冒頭にお話しした滞留が一切なくなっていて、申請すれば24時間前後で承認ができるぐらいのスケジュール管理で審査ができるようになっています。一方で、それに伴ってちょっとよくないスタンプが出ちゃっている、ということもあったんですね。

クリティカルな問題を含むスタンプの対策としては、通報機能を作りました。24時間365日、変なスタンプがあった場合にはユーザーに通報していただき、社内でモニタリングする仕組みがあるので、そこで直ちにスタンプをBANできる仕組みを作ったりしていました。

審査もどんどん工数が膨らんでいったので、よくある理由でリジェクトされた、例えば既にあるスタンプを真似しているスタンプだったり、権利侵害しているスタンプなどを機械学習させて「このスタンプはヤバいよ」というのを審査メンバーにわかりやすくレコメンドしていく仕組みを導入しました。なのでこの時期になると、社内の機械学習をやっているチームと連携しながら、そういったものを審査ツールに導入する仕事もありました。

ここ最近の課題としては、売り上げが増えるとやることが増えますし、ありがたいことに人も採用できて増えていくんですが、やっぱり人間が増えると、問題も比例して増えていくなと感じていまして、なのでここ最近は、ヒューマンマネジメントというか、プロダクトに関わるメンバーがハッピーに働ける環境作りも、事業フェーズが拡大したことで、業務として増えてきたなと思います。

具体例でいうと、なんらかのプロジェクトを進めるにあたって、きちんとインセプションデッキを実施して、我々がなぜこれをやるのか、なぜここにいるのかを定義した上で、全員が納得感をもってそのプロジェクトを推進していけるような環境というか空気作りをしていくのも、プロジェクトマネージャーの仕事ではあるのですが、一方でプロダクトマネージャーの仕事でもあるなと私は感じています。

2018年以降は、全部カバーしてきたなという気がします。ここまでがメインのお題になります。こんな感じで、スタンプ事業の拡大に伴ってLINE Creators Marketもどんどん拡大していって、やることも職域の範囲もどんどん広がっていったというお話でした。

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PdMの意外なお仕事

ちょっとおまけなのですが、意外とこんな仕事もありますよという例として、日々いろいろなissueが起こるんですね。やっぱりユーザーが作るコンテンツなので、私たちが本当に予想していないことがいろいろ起こるのですが、そのいくつかの例です。

まず初期ですね。2014年の8月なのですが、大仏を題材にしたスタンプが販売されて、当時グローバルに出ていたため、タイのような熱心な仏教国で、大仏を茶化すようなスタンプがすごく炎上しまいまして。急遽BANをすることになりました。

ここでやったプロダクトマネージャーの仕事は、ルール作りなどはもちろんなのですが、審査ツールの中で、宗教的な問題や文化的な問題がありそうな場合は、ボタンを1個押すだけで、それを大丈夫な国家だけに、グローバルであったものが、販売できる国家だけに変更できる仕組みを作ったりするのがPdMの仕事としてあったかなと思っています。

次です。これは2016年の10月にあったことなのですが、タイの話が続きますが、タイの国王が崩御されたんですね。タイは不敬罪がある国なので、国王をとても敬う国民性がありますと。タイの国王が亡くなった際に、万一問題があるスタンプがタイ国内で販売されてしまうと問題があると判断し、販売国をシステム側で制限する実装を急遽加えたんですね。一晩で、私だけではなくもうちょっと偉い人と一緒に話をしながら判断しまして、このとき私は入社して初めて徹夜しましたが、一晩でそういう仕組みを整理して、要件を定義して、エンジニアさんに本当にがんばっていただいたのですが、実装しましたと。これもやっぱり、やるやらないの判断をどうするかが、PdMに任せられている仕事だったと思います。

あとは、これも本当に余談中の余談なのですが、名前スタンプを利用している方もいるかもしれませんが、2018年ぐらいにすごく流行ったスタンプなんですね。最初はこのコピペ系のスタンプは、審査ガイドライン上でNGにしていたので全部リジェクトされていたのですが、コピペ系のスタンプも出してもいいんじゃないかなと、あるとき判断してOKにしたんですよ。

そうしたらすごく流行りまして、流行った結果、いろいろな人がそれを模倣してしまって、データ量がパンクしてしまうぐらい、全スタンプのデータのうち70パーセントぐらいが、この名前スタンプのデータになってしまったんですね。

それをどうするかというところで、いろいろ整備したり、このころはスクリプトを使って1日10万件とか申請して来ている人がいたので、それができないような仕組みを作ったり。そういう起こったissueに対して対応するというのが、PdMの仕事としてあったかなと思っています。

PdMの仕事は常に変化するもの

まとめです。私の個人の意見なので、LINEとしてではないのですが、仕事は常に変化するものだなと思っています。今お伝えしたとおり、事業フェーズによって、一口にPdMと言っても、やっている仕事が企画的な仕事からバックオフィス的な仕事、問題解決などいろいろあったと思いますが、とにかく、今日やっている仕事が明日続くとは限らないみたいな感じで、どんどん変化するものだなと思っています。

なので、役割の線引きをしないことが、この会社においては大事かなと私は感じていて、特にLINEの中で、例えばさきほどの「タイの国王がなくなったからタイでスタンプが販売できないようにして」と振られたときに、「これは自分の仕事ですか?」というのはない、選択肢として、ないんですね。やるべきだし、やらなければいけない。優先度が高くなければいけないと決めて、周りの人の協力を仰ぎながら進めていくのがPdMの仕事かな、と私は感じています。

なので、そういう日々のカオスな状況を楽しめる人が、この会社にはというか、私の見えている範囲だと合っているんじゃないかなと感じています。

以上です。ご清聴ありがとうございました。

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