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Cybozu Days基調講演(全4記事)

2021.02.18

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「他人との衝突は“合気道”でプラスに運べ」 社員のエゴや衝突をプラスに変えるリーダーの心構え

提供:サイボウズ株式会社

サイボウズの総合イベント「Cybozu Days」。クラウドサービスを活用したチームビルディングなど、さまざまなセッションや展示をお届けします。今年のテーマは「エゴ&ピース」。本記事では、これまでに対談を行った3名のゲストと共に、日本があらゆる場所で「エゴ&ピース」を発揮していくために必要な考え方などを中心に意見交換を行った内容をお届けいたします。

衝突が起きたときに心がけるべきルール

青野慶久氏(以下、青野):それでは、ゲストの御三方に登壇いただきまして、みなさんからの質問に答えていきたいと思います。富永さん、石井さん、もう一度ご登壇お願いできますでしょうか? 

みなさんネットの書き込みはいかがでしょうか? これからぜひ拾っていきたいと思いますので、#cybozudaysで書き込んでいただければと思います。よろしくお願いします。ちょっとツイートの画面とか出ますか? そしてみなさん、ここから自由にご発言いただいて構いませんので。

では気になった感想から取り上げていきます。「コンフリクト(対立)をどう考えるか、富永先生に聞いてみたい」とのことです。富永先生にご指名ですけど、コンフリクトは歓迎すべき事態なのか、調停するべきなのか。政治は添え物なのか。社会運動なんかもコンフリクトしますもんね。どうでしょう?

富永:どうなんでしょう。例えば企業や組織の中で誰かと誰かの利害が対立する……それこそキレやすいプログラマと誰かの衝突、みたいな事例ってなにかあったりしますか? そこから考えていくのがいいのかなと思ったんですが。めっちゃ利害が対立してて、いまだに解決してない事例みたいな。

小野:僕のチームは猛獣園でいろんな人がいるので、コンフリクトってほぼ毎日起きているんですよ。なので僕らのチームでは、「短所について言及するのはやめよう」って言っているんです。

ぶつかった時に、「Aさんも◯◯ができなくておかしいじゃないか」とか「あれはBさんの考え方に問題がある」とか「この案には◯◯という欠陥がある」とか。

短所について言うとコンフリクトばっかりになっちゃうから、長所だけをお互いに持ち寄って議論する。「ある長所が別の短所を補う」みたいな組織設計にしちゃえばいいわけじゃないですか。人も組織も案もなんでもそうですけど。

僕らのチームでは、そういうふうに「短所に対してあえて一切目を向けないルール」を設けることで、コンフリクトを大きくしない仕組みづくりをしています。

富永:今のはすごく大きい示唆だなと思って。私が思いついたのは、アメリカの大統領選だったんです。つまり、「すごく僅差で当落が割れていてバイデンさんが勝ちましたけど、負けたほうは納得いかない」という状況。

そうなると短所を無理やり見つけ出しちゃう。「あの選挙方式嘘でしょ!」とか「絶対集計してない票があるでしょ」みたいな。短所探しの泥沼になっていくというのはあると思うんですよ。

組織内のコンフリクトも、「利害が真正面から対立して、絶対に折り合えない」っていう事例もあると思うんですよ。でもそこで短所探して泥沼化しちゃうと民主主義そのものが崩壊しちゃう。たとえ意見が折り合わなくても、多数派が少数派を同じチームとして背負っていく。それを前提に、過度な短所探しをしないっていうのが1つのマナーなのかなと思いますね。もちろん話し合って解決すればハッピーなんですけど。

与党と野党がいて対立する、政治って折り合わないものの調停でもあるわけです。そういう複数の「わがまま」がある中で、うまく長所にスポットライトを当てるといった話し合いのマナーを作っておくとか。そういうかたちで折り合うのがいいのかなと思いました。お答えになってますかね?

青野:イメージが湧きましたね。なるほど。まずはマナーを作って、長所を言い合おうよって。長所を言い合っているとお互いにいい気分になってきて、「まあ、まあ」ってなると。「最後は一緒にやろうよ」みたいな。最終的にはうまくいけばなんでもいいわけですからね。

富永:「部分的には対立してるけど一緒にやろうよ」っていう感じですよね。

青野:その感じでしょうね。おもしろいですね。

小手先のテクニックでも、続ければ良いリーダーに変われる

青野:では2つ目の質問よろしいですか? 「心理的安全性の仕掛けってどうやって作るんだろう? イメージがぜんぜん湧かないです」とのことですが、石井さんはいかがですか?

石井:それで言うと、小野さんの本に具体的な心理的安全性の仕掛けがたくさんあったなと思っています。それ以外に、この場でみなさんに持って帰っていただけるものとしては、「理由をつけて感謝をしましょう」って小手先のノウハウがあります。

小手先のノウハウなんですけれども、例えばなにか意見を言ってくれた時に、「内容が十分でない」と感じたとしても、「こういう状況の中、意見をあげてくれてありがとう」という話を、理由を付けて感謝を述べるんですね。

ポイントは「人は見られるときれいになる」という話が先ほどありましたけれども、結局理由を付けて感謝を伝えるためには、メンバーをよく見ているしかないんですよね。そうでないと的外れな理由しか付けられないので。

そういった小手先のテクニックをちゃんと積んでいくと、メンバーやチームをよく見ている良いリーダーに変われるっていう。そういう技があったりしますね。

青野:おもしろい。なんか恋愛のことを思い出しました。やっぱり「よく見る」って大事ですよね。人が気づかないことを言われるとすごく嬉しかったりしますよね。

石井:確かに。

青野:なんとなく「かわいいね」とかよりも、「今日の髪の巻き具合いいね」みたいな。「そうなの!」みたいな。

石井:距離感も見つつですね。

青野:そうですね。いやぁおもしろい。

石井:結局エゴとかがぜんぜんない組織だと、ビジョンもなにもないわけですよね。どこに行きたいかわからないけど、「昨日までこの仕事をやっていたので、今日もこの仕事をやるしかない」みたいになっていくので。

誰かが「あっちおもしろそうじゃない?」って言えるのはすごく大事なことだと思いますね。

青野:確かに企業のビジョンってある意味エゴですよね。「こんな社会にしたい!」みたいな。そもそもエゴあるんじゃんみたいなね。

では、会社の人を役職で呼び合わないなどの、「呼ぶ名前で安全性やエゴの言いやすさが変化するかどうか」についてはどうでしょうか?

石井:先ほどは、「役職で呼ぶのやめたら」っていう話はさせていただいたんですけれど、結局それも「心理的柔軟性にアプローチしましょう」ということなので、「この組織では一旦チームリーダーはリーダーと呼ぶ」ことで、その意識を醸成していくみたいな話は、それはそれでありだと思うんですよね。

でも、あまりそれが行きすぎて、「俺はリーダーだから全部1人で決める。君たちの話はいらない」ってなると、「ちょっとそろそろ落ち着きましょうか」みたいに、丁寧にアプローチしていくイメージだと思います。

社内の人の呼び方で環境は変わっていく

青野:私も「◯◯くん」とか「◯◯さん」とか「◯◯ちゃん」という辺は、ちょっと微妙だなと思ったりします。無意識ですけど、やっぱり新人が入ってくると君付けで「お、〇〇くん」って呼ぶんですけど。

「ちょっと上から感が出てるよなぁ」って自分で思って。自分的にはとりあえず、のび太気分になって、みんな「さん」付けで呼んでおこうかなと思ってるんですけど。みなさんはいかがですか?

石井:うちの会社だと、わりとお互いあだ名で呼び合ったりするんですけど。

青野:あだ名ですか。

石井:僕はツイッターアカウントが@ryouenなので、うちの社長とかも僕を「りょーえん、りょーえん」って呼んできますね。まあこれを導入できる会社はそんなに多くはないと思います。

うちはベンチャーでやれるみたいな文脈はあると思うんですけれども。「お互いに不快感がないのであれば、そういうのも1つありなのでは?」っていうご提案ですね。

青野:おもしろい。小野さんは呼び方をどうされているんですか?

小野:僕のチームは明確にルールがあって、「絶対にさん付けオンリー」にしているんですね。例えば「小野常務!」と言った瞬間に、心理的安全性が下がっているわけですよ。「役職者の前で言っちゃいけないことと言うべきこと」みたいな感じでフィルターをかけているはずなので。

「◯◯くん」って言った瞬間にも、後輩に対してのフィルターをかけちゃうので。だから必ず「◯◯さん」。外資系なんかだと、『さんくん交代』っていう言葉があって。「◯◯さんと◯◯くんって呼んでいた上司と部下の役職が交代しちゃうのは恥ずかしいよね」って話があるんですよね。

この『さんくん交代』になったら恥ずかしいので、最初から◯◯さんでいこう。そうじゃないと本当に思ったことをありのまま言えなくなっちゃうから、っていうことで全部さん付けに徹底してますね。

富永:質問させていただいてもいいですか? 大学組織もけっこうリベラルなので、偉い人でも、「先生じゃなくてさん付けで呼べ教員」という方がいらっしゃるわけですよ。偉いんだけど、見かけの公平性を担保するために、さん付けを強制することで、自分の権力性を無きものとしようとしているみたいな。

石井:複雑なケースだなぁ(笑)。

富永:会社・社会っていろいろだと思いますけども、あえてさん付けとかあだ名にすることで、そういう事態には陥らないんですかね?

小野:実はそれめちゃくちゃ危なくて。「役職者とか偉い人が自分のことを愛称で呼んでくれるとフレンドリーになるだろ」っていうことは実際によくあるんですよ。

めちゃめちゃ怖くていつも怒鳴りつけている人がそういうふうに言うと、みんな固まって「〇〇ちゃん……」とかって言うんだけど(笑)。それは内容的にぜんぜんダメなんですよ。

だから形式と内容……本人の性格みたいなものがセットじゃないとまったく意味がなくて。逆にもっと言いにくくなっちゃうと思いますね。

富永:なるほどなるほど。

青野:やっぱり人間関係が大事ですね。それを強制した瞬間に安全性が失われるという。

衝突を防ぎ、参加感を高める「のび太的事業戦略」

青野:じゃあ次の質問に行きます。「小野さまのお話の中で、『誰の意見でもいい』というお話をいただきましたが、関係者の意見を聞き出すために工夫されていることはありますか?」とのことで、良い意見ですね。僕も聞きたいと思いました(笑)。

小野:例えば、セゾン情報システムズの時にHULFT(※企業のファイル連携、データ連携ツール)がクラウドのような使い方ということで急成長した時があって。

でも実は、その戦略は最初から僕は見えていたんです。これが答えだなって。なんだけど、外から来て急にCTOになった僕が、「これでいくぞ!」って言うと、「結局そういう人が決めるんでしょ」ってなっちゃうじゃないですか。

あとやっぱり、みんなからもっといい意見が出るかもっていうのもあって。実は僕の中で「これだな」って答えがあったんだけど、あえてそれは言わずにオープンディスカッションをしたんですよね。

全員の意見を全部メモして、「なるほど、こういうことなんですね」「そうなんですよ」って聞いて。するとその中に、僕が答えだと思っていたアイディアもあったんですよね。

それ以外にもいくつか取り入れたんですけれども、結論として最初に僕が思っていたことをやって、それで一気に成長したんだけれども。

ただ、やっぱり一人ひとりの参画意識が高いか低いかで成功確度も変わってくる。自分の意見が取り入れられたとかね。実際には意見が融合しているから、誰の意見かは僕はどっちでもいいと思うんだけど。

もともと僕の意見だったんだけど、ある人が発言したことで、途中からその場の意見になる感じです。強い立場の人があえて言わないでおいて、オープンなディスカッションの中で、「これが答えだ」っていうところにみんなの意見が集まってくるような。僕は実際に、そういうコミュニケーションの設計をしたりしていました。

青野:あ~うまいですねぇ。私も1ついいですか。事業戦略なんかを立てる時に、昔失敗したのは、必死に自分で考えて作って説明会のような感じでみんなに共有するんですよ。でもそれはやっぱり評判が悪くて。みんなも自分ごと化しないし、自分が書いたものも必ず抜け漏れがあるので、納得感もない。

なので最初に事業戦略を書く時に、3ページくらいにするんですよ(笑)。タイトルと、1枚、2枚……以上みたいな。ある意味フリーハンドでみんなの意見を足せるようにする。それを聞いてその場でどんどん足していっちゃう。

そうするとページ数がどんどん増えていくんだけど、やっぱり自分の意見が反映される。「全体の事業戦略にちょっと反映されたぞ」みたいな。そうなっていくと僕も楽なんですよ。説明する前からみんなが納得してくれている(笑)。

富永:のび太的事業戦略みたいな。

石井:確かに。

富永:あえてちょっとラフにしておいて、みんなの意見を入れるみたいな感じですよね。

青野:そうそう。もっと言うと、代表は頭が悪くても大丈夫だと思っています。だって、考えなくてもみんなが言ってくれるから。うまく組み合わされば、なんとなくいいのができてるみたいな。それっておもしろいなって。

小野:のび太戦略的なのかもしれないですね。言ってもらう雰囲気を作るみたいな。

青野:そうですね。僕はのび太戦略を使っていたのかもしれませんね。

石井:「偉い人が決めて落とす」みたいな時代観でもなくなってきた感じはありますよね。

青野:そうですね~。やっぱり知らないことがいっぱいありますからね。

富永:学生を見ていても、偉い人や年長の人に対して意見が言いづらい、立場が弱いですからね。「若手がどうしゃべれるようにするか?」って、おそらくどの社会でも課題なんだろうなと思いますね。

合気道の考え方でキレやすい人には対応できる

青野:おもしろいですね。ちょっと小ネタいいですか?

「すぐ熱くなりキレちゃう先輩の扱いが難しいです」とのことで、これはいかがですか? とりあえずキレちゃうみたいな上司って、大変ですよね。

石井:実はこれって、けっこう共犯関係だったりするんですよね。上司がキレることで部下が「わかりました!」とか「すぐやります!」ってすぐに対応してくれると、上司や先輩はキレてハッピーになるわけですよ。キレたらものごとが片付くみたいな。

「うまくいっていたことを続ける」のが人間の基本的な戦略なので、前回もキレてうまくいったので今回もうまくいく方法をやろうとしてしまう。

先程小野さんが、「キレる前に1回僕に話してよ」っておっしゃっていましたけど、そんなふうに対応を変えてあげると、「ここではキレるより小野さんに話に行ったほうが、みんなにもわかってもらえて得だな」とか「キレないほうが得になるような」という環境を設計していくといいと思うんですよね。

富永:教えてもらうのはどうですか? 私が社会運動を嫌いだった理由の40パーセントくらいは、社会運動をやっている人は怒りっぽいこと……。

(一同笑)

小野さんの言い方をすれば、社会に対する理想と言うか、ビジョンが高いところにあるんですよね。実際社会を変えるのに怒ることって大事なんだけど、慣れていないときはすこし怖かった記憶があります。それで、これをどう受け止めるかと言うと、「教えてください戦略」というか。

彼らの知識や理想をとにかく教えてもらう。勉強にもなりますし、ある種の方策としてはいいのかなと思いますけれどもね。組織の方のお話をお伺いしたいです。

小野:僕はこういう人得意なんですよ。

富永:お~。

石井:猛獣遣い。

小野:合気道とかってあるじゃないですか。力を受けてぐるっと回すみたいな。同じように、キレちゃう人がワーって言ったら、相手の立場に完全に同意して聞いて。こういう理由でキレたんですよという話を聞く。

「あなたの言い分が理解できたのでちょっと1時間で資料作ってきます」とか言って。「先ほど先輩がこうやっておっしゃっていたのって、僕なりの理解では3点重要なポイントがあったと思います」と。

「これとこれとこれで、しかも2点目については経営の最新トレンドだと思います」とか「この間本で読んだところにこういうのがありまして。なるほどなぁと思いました」とかいうふうに。

そうしたら、「そういうことだよー!」って言ってくれる。

青野:あはは(笑)。

富永:話を盛り上げる感じなんですね。

小野:めっちゃ同意したあとに、「それで思ったんですけど、ちょっと2つだけやって欲しくて……」って伝えて反論するみたいな。

青野:なるほど~!

石井:先輩は気分いいですよね。

小野:そうそう。そうすると反論してるんだけど、「そうだよ、小野くんの言うとおりだ!」とか言って。あれ、さっき言ってたのと逆ですけどみたいな(笑)。でもそれで万事うまくいくわけじゃないですか。

青野:確かに最終的にうまくいけばいいわけですからね。

小野:相手の力を受け止めてぐるっと回って差し出したあとに、シュっみたいな感じ。

青野:なるほど、合気道ですね。相手の力が来た時に、それを受け流せる余裕がちょっとあるといいのかもしれませんね。

ある意味それは強いパワーがあるわけだから、それをうまくいい方向に回転させられればものごとが前向きに進むということですよね。

石井:今の話に関連して1点追加すると、「正しい」とか「間違っている」とか「良い悪い」みたいな話で判断しがちなんですけど、結局それ最終的に「役に立ちますか?」 みたいな観点で物事を見てあげると、上手くいくことも多いです。いまキレている人に「ガッ!」って正論で反論しても、生産性のないぶつかりにしかならなかったりしますよね。

「正しいか・間違っているか」という正しさ視点よりも「上手く行く・役に立つほうを大事にする」みたいなのは、技としておすすめの方針です。

富永:うんうん。

青野:おもしろいですねぇ。

クレディセゾン炊飯器事件

青野:残り時間が少ないので、最後の1個いきましょうか。

「今まで聞いた中でおもしろいなぁと思ったエゴとかはありますか?」ということで、いかがですか? 

小野:僕が実際に聞いたエゴなんですけど。うちの会社で「クレディセゾンで炊飯器事件」というのがあったんですよ。

ベンチャーから来たエンジニアが、slackで「炊飯器をオフィスに置いていいか」と言い始めたことがあったんですよね。

そしたら総務が「これは小野さんの部署の正式な依頼なのか、エンジニアの人の個人的な希望なのか、どっちなのか?」って聞いてきたことがあったんですよね。今までの金融の大きな会社からすると、炊飯器が置いてあるなんてあり得ないわけです。匂いも湯気も出るし、電気を使ってるので。

なので僕は、両方の支持をするわけです。総務の言うことももっともですよねと。でもそれは総務のエゴじゃないですか。逆にエンジニアのエゴも聞いたら、「炊き立ての米が食べたいんです」と。「わかる~!」みたいな。

石井:炊き立ての米は食べたいですよね(笑)。

小野:そしたら別のエンジニアが、「それだったら精米機がなきゃダメじゃないか!」とか言って。「精米機とセットじゃないと意味がない」っていう結論になって、結局話が流れたことがあって。エゴが究極的にぶつかり合った結果、結局ピースになったみたいな事例がありました。

青野:おもしろいですね(笑)。

石井:ちなみに僕もその野望を抱いたことがあって(笑)。

最初の起業の頃ですね。社長の家の4畳半の場所で、もともとおばあちゃんが暮らしていた部屋をオフィス代わりにさせていただいて。炊飯器を買って創業メンバー4人でご飯を炊いてですね。近所のスーパーで200円のお惣菜買って食べるみたいな生活をしていた若き頃がありました。

小野:私も最初それをやってたんだけど1個問題があって。途中からお米が余っておにぎりにして冷凍庫に入れ始めるんですよね。

石井:そうそう、食べきれず貯まるんですよね(笑)。

小野:ある日気づくわけですよね。「あれ、これ炊き立てじゃなくね?」みたいな。その話もエンジニアにして、「小野さんもご経験とご苦労もあった中での結論なんですね…」って。

「いやぁそうなんだよ」って言ったら、「じゃあ納得です」とか言って(笑)。

石井:すばらしい納め方ですね。

青野:なるほど。やっぱり1回受け止めないといけないんですね。富永さんはいかがですか?

富永:この場で言うのはちょっと差し支えがあるかもしれないんですけど、「就活くたばれ運動」をやっていた大学生がいてですね。

ちょっとそれだけ聞くとエゴに見えやすいというか、不真面目にも感じられるじゃないですか。ただ、既存の働き方とか、就労の仕方に対して異議を唱えるっていうので、それはすごくおもしろいなと思ったんですよね。私も就職活動って当たり前のことだと思っていたので。

彼らのうち何名かの人は、自ら事業を興して、Twitterなどで自分の起業論やビジネスの方法論を話してくれたりしている。そういう様子を見ていると、社会運動もビジネスもエゴで、社会をいい方向に変えたいという意味で、たしかにつながっていますよね。

青野:ありがとうございます。おもしろかったですね。ちょっと時間になってしまいましたのでそろそろ締めたいと思います。

もう一度ゲストのみなさんに大きな拍手をお送りいただけますでしょうか。みなさんありがとうございました!

(会場拍手)

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