2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:トビラシステムズ株式会社
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――なるほど、ありがとうございます。トビラシステムズでは、元からリモートワークを行なっていらっしゃった、ということでしたが。一方で、出社前提に戻すような企業もあるというお話を、さきほどさせていただいたんですけども。コロナ禍での働き方の課題点、あとは在宅勤務が今後どう変わっていくかというところを、まず明田さんにお伺いできたらと思います。いかがでしょうか?
明田篤氏(以下、明田):そうですね……すでにもう一部の企業では進んでいますけども、今後さらにリモートワークが推進されて、オフィスの縮小やシェアオフィスの利用が増えていくんじゃないかなと思っています。複数の拠点のコワーキングスペースが使えるようなサービスも出てきていますし、またリゾート地への短期滞在……ワーケーションみたいなものも増えていくんじゃないかなと思っています。
そうなりますと、さらに場所に依存する電話、オフィスの固定電話などもなくなる。今のものでは対応できない会社も多くなりますし、固定のオフィスそのものがないような会社も出てくるんじゃないかなと思っています。そんな環境下で、場所や時間に依存せず、どこでも利用できるこの「トビラフォン Cloud」は、電話というツールにおいては必須のアイテムになってくるんじゃないかなと思っています。
また副業ワーカーなどの従業員の変化も、より一層スピードが求められるようになると思っていまして。この「トビラフォン Cloud」であれば、人数の増減に対してもフレキシブルに設定が可能ですので。これからオフィスも従業員も、柔軟にスピードを持って対応することが、かなり重要になってくるんじゃないかなと思っています。
――ありがとうございます。夏野さんはいかがですか?
夏野剛氏(以下、夏野):やっぱり今回のコロナで、出社前提に戻ってる企業もあるかもしれませんけど、一般的には「ほとんどの業務が、別にリモートでもなんの問題もなくできる」ってことに、みんな気づいてしまったんだと思うんですよね。
そういう中でやっぱり「もっと便利に」とか「もっと自然にコミュニケーションがとれるツールはないのか」ということを、みんなが探り出している状況だと思います。特に「リアルに3人くらい会議室にいて、5人が外からZoomで入る」みたいな会議が出てきた時に……最近「会議室の真ん中に1つカメラを置くと、集団でいる所ではカメラが発話者を追っていく」みたいなソリューションが何個も出てきますけど、ああいったかたちで。
いわゆる、リアルとバーチャルの融合をもっとスムーズにするためのツールというのが、これからどんどん出てくると思うんですね。Microsoftが出しているSurfaceの、ホワイトボードみたいな機能を持ったディスプレイなんかも、Teamsと共有するとすごくスムーズに「n 対 複数n」つまり「会議室に5人いて外からバーチャルで10人が入ってくる」みたいな会議が、すごくスムーズにできるようなハードになってるんですけど、こういうのがたくさん出てくると思うので。
テクノロジーが出てくることによって、ますますリモートワークをしていても、なんの問題もないかたちになっていくと思います。これはハード的にもソフト的にも、また「トビラフォン Cloud」さんなんかも、ますます進化していくと思うので。そういう意味ではどんどん社会全体が、もうリモートでもいいような社会に進化していくと思いますから。そのパワーをちゃんと企業が使えるかどうかっていうのは、その次に経営者が問われることになると思うんですね。
――なるほど。
夏野:それで、テクノロジーの活用でバーチャルの会議がリアルに集まる会議と本当に変わらなくなってきているのに「やっぱりリアルに集まらなきゃいけない」とやってる企業は、やっぱり生産性がどんどん落ちますよね。少なくとも通勤、行って帰ってくるだけで2時間ぐらいの時間を、従業員にムダにさせてるわけですから。
こういうことも考えなきゃいけないので、ここからますますちゃんとテクノロジーを取り入れてやっていく企業と、テクノロジーに背を向ける企業の差が開いていく時代になると思います。
――背を向けるか受け入れていくかというのは、やっぱり経営者の資質によるものが大きいのでしょうか?
夏野:資質じゃなくて、経営者の姿勢だけだと思いますよ。資質なんかそんなもの……テクノロジーなんて別に誰でもスマホは使えるわけで、誰でもアプリは使えるわけですから。それに資質はいらないので。
――なるほど、それを受け入れる姿勢があるかないか。
夏野:受け入れるというか、武器なんですよね。テクノロジーとかシステムというのは、武器なんですよ。こういう強力な武器があるときに、それを手に取って戦いに挑むか、あえて使わずに戦うかっていう。つまり使わないというのは「愚か」ということになります。
――有利に進められる武器があるのに、それをあえて手に取らない。
夏野:使わない。これはまぁ、愚かな人のすることですよね。
――(笑)。
夏野:だから、もはやそういう段階だと思いますよ。「選択の自由があって、それをやる人もいればやらない人もいるよね」というレベルじゃなくて「そのテクノロジーを使わないんだったら、市場から退出せざるを得ない」ぐらい差がつく可能性がある武器だと思います。
――なるほど、それが、さまざまなテクノロジー。
夏野:ITです。インフォメーションテクノロジーというのはまさに、すべての業務の、そしてすべての社会活動の基盤になる技術なので。それを使わないっていうのは、昭和の武器で21世紀を戦おうとするっていう、本当に愚かなことだと思いますね。
――コロナ以前の日本は、まさにそういった「昭和の武器で戦おうとしている人々」がいたからこそ、さっき最初におっしゃったみたいに……。
夏野:申し訳ないんですけど「戦わなくてもなんとかなってた」ってことだと思います。
――なるほど。
夏野:でも今、2020年以降は戦わないと生き残っていけない。つまり、人口が縮小して内需が縮小していく経済下における企業の生き残り戦略というのは、なにもしないで「とりあえず同じことをやって守る」という戦略だと、ダメなんですね。マーケットが小さくなっていくので。だから戦わずして生き残れないという、そういう厳しい環境に突入していく認識があるかどうか、ということだと思います。
――そうなってくると、日本国内でももちろん戦わないといけないし、世界とも戦っていかないといけないということですよね。
夏野:世界の市場を取ろうとすると、やっぱりライバル企業の数がさらに大きくなるし、また越えなきゃいけないハードルも増えますので。今の現状から見ると、ますます戦うことにならざるを得ないと思いますね。
――なるほど。そう考えると、コロナでようやく日本全体にスイッチが入ったという。そういう考え方も、できなくはないという感じでしょうか?
夏野:そうであるといいですね(笑)。その結果は5年後ぐらいにわかるんじゃないでしょうか。「あの時から日本は変わったね」って言えるかどうかは、5年後にわかると思います。
――ここで変わることができれば、冒頭おっしゃった、3パーセントしか成長していない日本が、アメリカみたい155パーセントに成長する可能性もまだありますか?
夏野:人口が増えていないので155パーセントを達成するのは難しいと思いますが、マックス100パーセントぐらいの成長、つまり国民1人当たりの生産性が倍になることは、十分あり得ると思います。今まではぜんぜん活かしてこられなかったので。
――今まで活かせてなかったからこそ、ポジティブに考えるとまだ伸びしろがあると。
夏野:そうですね。ただそれをやるには、今までのやり方を一回、全部否定しないと次にいけないので。本当にできるかどうかだと。
――ありがとうございます。明田さんはいかがでしょうか。これまでの日本の産業は革新していなかったけども、IT化によってバッと成長していくんじゃないかというところ。ご意見を伺えればと思います。
明田:不要なものはふだん生活しててもいろんな場面で気づくんですが、なかなか……古い世代の人っていったらアレなんですけども、古い考え方の世代の方に、変化に対するリスクを恐れている方が多いなということは、昔から感じてます。そこが「コロナのせいにすれば崩せるんだ」という状況に今、大きく変わってきていますので。やっと変化するきっかけが、これによって生まれてくるんじゃないかなとは思ってますね。
――「これがこう変わるのでは?」や「これって昔からあるけど不要だな」といった、具体的なエピソードなどありますか?
明田:あー……このサービス自体を開発したのはもう2年以上前なんですが、そもそも当時から「なんで使い方もよくわからない電話機を机の上に置いてるのかな」って思っていました。そもそも電話機自体が、デザイン的にあんまりカッコよくないですし。
――(笑)。
明田:そもそも机の上に置いてあるのが邪魔ですし。古い電話を新しいものにイノベーションしたいなと思って開発に着手したところに、たまたまコロナがきて後押しになってるんです。
だから、いわゆる「理想の会社電話」というものを目指しているのが、この「トビラフォン Cloud」です。
――「理想の会社電話」ということでしたが、その理想に近づけるために「トビラフォン Cloud」のアプリは、自分なりにカスタマイズなどできるんでしょうか?
明田:例えばさっきいったように時間帯ごとに不通にしたりとか「この通話は録音する・しない」とか、「何番を押してください」といったガイダンスとか、そういうのは管理画面のから設定することができるようなっています。
――なるほど。では会社電話として使えるんだけども、ある程度、自分の使いやすいようにもカスタムできる。
明田:そうですね、そういった機能もこれから充実させていきたいと思っています。
――「これからの機能充実」というお話がございましたが、トビラシステムズ全体の今後の展望についても伺えたらと思います。
明田:迷惑電話・特殊詐欺対策、また最近ではSNSの詐欺が増えてますけども、こちらを99パーセントに近い精度でブロックできるというところが、従来のサービス「迷惑電話フィルタ」のウリでして。そういった点を評価いただき、通信キャリアさんに採用されています。
そうはいっても、こちらはまだ1,000万人にしか利用いただいていないサービスになりますので、ここを本当にすべての電話に使っていただけるようなものにして、日本から詐欺を撲滅したいという思いが非常に強いので。ここをしっかりやっていきつつ、この新しいサービス「トビラフォン Cloud」が、私たちの2つ目の柱としての挑戦になっていますので。短期的に・中期的に考えると、この2つをしっかりやるということが一番ですね。
――ありがとうございます。今回は「電話というテクノロジー」に関してのお話だったんですけども、今後これがどういうふうに変わっていくか。あるいは変わらずに、電話は電話として残るのかについて、お伺いできたらなと思います。例えば手紙という文化がメールに変わったように変わっていくのか、それとも電話は残るのか。夏野さん、いかがでしょうか?
夏野:今はもうマルチツールの時代なので、Slackも使えばZoomも使えば、いろんなツールをなんでも使ってコミュニケーションすると思うんですね。例えばSlackが出てきて「もうメールなんか使わない」なんて特集がメディアで組まれたこともありましたけど、メールはメールで使われてるわけで。電話は電話で、ボイスコミュニケーションはボイスコミュニケーションで。よく「メッセンジャーがあれば、若者は電話を使わない」とか言ってるけど、普通に使ってますよね。
――確かに、そうですね。
夏野:なのでそういう意味では、それぞれのツールの良さを活かして、マルチに使いこなせる人が一番いいビジネスマンだと思うので。取って代わるとかっていうものは、同じカテゴリーの中でしか起こらないんじゃないですか。つまり「固定電話が携帯電話に」というのは、同じ機能が携帯電話で全部できるから固定電話がいらなくなった、みたいな話であって。でも電話という根本的な機能は変わっていないので。
――はい。
夏野:今回、この「トビラフォン Cloud」みたいなシステムというのは、固定とか移動とかと関係なく、それはもうずっと、人類がいる限り使われる1つのコミュニケーション手段だと思います。
――ありがとうございます。明田さん、いかがでしょうか。
明田:はい。もう私たちの考えていることを、ほとんど夏野さんにおっしゃっていただいたような感じなんですけども(笑)。
夏野:(笑)。
明田:まさに「電話が違うツールに変わっていくんじゃないか?」と言われる方が多いんですが。個人のレベルでも、なにかオンラインで買い物するにしても必ずメールアドレスって必要ですし、それがLINEに取って代わられているわけでもないですし。同様に電話もやっぱり、電話というインフラツールとしては必ず必要なものだし。ビジネスにおいても、社内のコミュニケーションはチャットであったりSNSっていうものも多いんですが、やはり社外とのコミュニケーションには電話が多く使われています。
これ自体はやっぱり欠かせないものだと思っていますので、電話というアナログですしちょっとニッチではあるんですが、今までイノベーションが起きていなかったところを、私たちが革新していくことは非常にやりがいがありますし。ニッチといっても、大きなマーケットがあると思っていますので。このボイスコミュニケーション、テレコミュニケーションの一部としての電話、ここをなんとしても革新していきたいと強く思っていますね。
――ありがとうございます。夏野さん、この革新、イノベーションを広く啓蒙していくというのも、日本の今後のためには大事になってきますでしょうか。
夏野:啓蒙じゃなくて、わからない人は置いていくのが一番です。
――なるほど(笑)。
夏野:そんな啓蒙活動をしている暇はないので。わかる人だけが使って、便利なものを実装していくといいと思います。
――そういう意味ではやっぱりトビラシステムズさんのプロダクトは、これからますます限られた人に向けてサービス提供して……。
夏野:いや、限られたというか、それが主流になりますよ。
――それが主流になる。なるほど。
夏野:気がつけば主流になった時に、そういう遅れている人たちが使うことになりますから。だから遅れてる人たちを、啓蒙したり教育したりしようと思わない。思っても時間のムダなので。
――(笑)。ありがとうございます。では本日、以上で終了とさせていただければと思います。お二人とも、ありがとうございました。
夏野:ありがとうございました。
明田:ありがとうございます。
トビラシステムズ株式会社
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