2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:トビラシステムズ株式会社
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――まず初めに、日本における労働生産性や働き方の「こういうところが課題だな」というところについて、お伺いできたらと思います。夏野さん、いかがでしょうか。こういった日本の課題について。
夏野剛氏(以下、夏野):これは僕がいつも言っているんですけど、IT革命が起こってから、もう24、5年経ってるんですね。24、5年というと、1995年か1996年からITが流行り始めて。そして、業務革命とかいろんなことが起こってるわけなんですけども。
実は日本はその間、ほとんど経済成長していないんですね。具体的にいうと、1996年と2018年のGDPを比べると、3パーセントしか上がってないんですよ。これはほかの国と比べると著しく低くて、この間アメリカは155パーセント成長しています。つまり経済規模が2.5倍になっているということで。イギリスは100パーセント成長しているので、経済規模が2倍になっているんですね。
働かないことで有名なフランスも70パーセント成長していて、1.7倍。もともとGDPのサイズが大きいドイツも56パーセント成長しているので、1.5~1.6倍になっています。人口よりも遥かに高い成長率を示しているので、みんな生産性上がってるんですよ。一方で日本だけが、ITが入ってきたにも関わらず3パーセントしか成長できてないんです。
――この25年間ずっと。
夏野:ずっとです。
――なるほど。
夏野:今や日本は、競争力ランキングで20位にも入れないような国になってしまったんですが、1995年ぐらいまでは1位とか2位とか3位だったんですよ。だからITが出てきてから急に、日本は世界に後れをとっているんです。これはもう、間違いのない事実なんですね。
――数字で表れてしまっている、ということですよね。
夏野:そうです。これがなぜ起こってるか? ということなんですけども、テクノロジーに違いはないんです。今の世の中、どこの国においてもどんなテクノロジーでも使えるようになってしまいました。だからテクノロジーの“あるなし”じゃなくて、ちょっとアカデミックにいうと「社会実装をどういうふうにしたか?」ということになるんです。
社会実装するというのは、テクノロジーを単に導入するだけではなくて、テクノロジーに合わせて人の側のルールやシステム……つまり法律や経営スタイルや経営方法、あるいは企業ガバナンス。これ全部、人の側の仕組みなんですね。この人の側の仕組みやシステムを、新しいテクノロジーに合わせてアップデートしているか・していないかで、この差がついたんだと思います。
――なるほど。
夏野:もちろん人の側の仕組みの中には、規制やビジネスの慣習も含まれます。日本の人事制度などを見てみると、30年前とあまり変わってないんですね。役職階級とか終身雇用とか、年功序列とか新卒一括採用とかって、ほとんど変わってないんですよ。新しいテクノロジーがたくさん生まれて、いろんな可能性が出てきているにも関わらず、人の側の仕組みを変えない。あるいはビジネスの慣習を変えない。あるいは人の側のシステム、稟議・決裁などのルールを変えない。これが、日本がほかの国と比べて落ちこぼれてしまった、最大の原因だと思っています。
――ほかの国がどんどん成長していっているにも関わらず、日本がそれらを変えなかったのは、なぜなんでしょうか?
夏野:理由は簡単です。20世紀に作り上げた仕組みを、変える勇気が持てなかった。変えなくても、なんとなく現状が維持できてしまった。これは人口が変わらなかったからなんですけれども。ところが2010年以降、日本の人口は減り始めてますので、生産性を上げなければ日本はもう今の生活レベルが維持できない。つまり企業でいえば、今の企業収益が維持できないところにきてしまっているんですね。
この状況下でずっと、過去25年間やってきたやり方をとっていく。つまり、あまりにもなにも変えずに進んだら「日本は大変なことになりますよ」という瀬戸際にきているのが、今の2020年といえると思います。
――なるほど。昔からずっと続いていることでいうと、最近話題の押印問題や電話番といった、いわゆる「レガシー業務」。コロナによる在宅勤務の普及で、そういったものがなくなるんじゃないかといわれていますが、なかには在宅勤務から出社前提の働き方に戻す企業も、少しずつ増えてきています。それも「変え切る勇気がないから」というところなんでしょうか?
夏野:まさにその押印などの撲滅を、規制改革推進会議でやってるのが僕なんですけど。特にこの押印、印鑑の廃止については僕が言いだしっぺで、規制改革推進会議でやっているんですが。これはコロナが来るまでは、あまりやらなかったこと……例えばリモートワークなんてものは欧米ではすでに普通に行われていたんですけども、コロナになって否応なくやらなきゃいけなかった。そしてやってみたらできちゃった、というのが2020年。
だからこのコロナというのは、犠牲になられている方もたくさんいらっしゃって、人類にとって大きな悲劇ではありますが、実は変えられなかった・変われなかった日本にとっては、いろんなことを見直す1つの大きな契機になっていまして。そういう意味では、コロナ前とコロナ後を比べると、まったく違う日本があると言っても過言ではないと思います。もちろん元に戻そうとする人たちもいますけれども、元に戻ることはもう不可能に近いところまできてしまったと思います。
――なるほど、ありがとうございます。明田さんはいかがでしょうか? リモートワークのお話もありましたが、日本におけるコロナ禍での働き方や労働生産性の問題。どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか?
明田篤氏(以下、明田):コロナの蔓延によって一気に広がってきたリモートワークですが、一旦落ち着きを見せて、通常の働き方に戻りつつある企業も多いかと思います。
ただリモートワークによって生産性が上がる職種や作業もあることが、今回コロナによってわかってきたと思っています。これを元のとおり完全に戻すということは、働き方を改革する上ではマイナスだと考えていますので。押印や電話のために出社しなきゃいけないというようなレガシーなものを、まさにDXして変化し続けることは、今の日本にとって急務ではないかと考えています。
――ありがとうございます。今おっしゃった「電話のために出社する問題」を解決する上で役立つサービスが「トビラフォン Cloud」かなと思うんですけども。こちらの特徴を伺えますでしょうか。
明田:まず電話というもののDXを推進させるために、オフィスにある固定電話機器が本当に必要なものなのか? を考えていただきたいなと思っています。電話回線や電話機、PBXといわれる交換器、また社用携帯などの購入にはコストもかかりますが、当社の「トビラフォン Cloud」であれば、それらはすべて不要になってきます。
また「トビラフォン Cloud」はビジネスフォンとしての機能を完全に網羅していまして、例えば「○○の方は1番、○○の方は2番……」といった自動音声ガイダンスの振り分け設定を行うこともできます。
一方で「電話が嫌いな人」も多いと思っています。彼らはなぜ電話が嫌いなのか? と考えたときに、大きく2つの点があると思っていまして。
まず1つ目に「自分の都合とは関係なくかかってくる」という、時間を奪われてしまうということ。2つ目に「電話番号が誰かわからなくて怖い」ということ。これら2つの大きな理由があると思っていまして。
前者においては、集中したい・電話に出たくない時間を設定しておくことによって、アプリの1タップで簡単にかかってこないようにすることができますし、ミーティングなどカレンダーアプリと同期することで、出られない時間を設定することも可能となっています。
また後者につきましては、弊社の一番の強みになっているデータベースですね。この「電話番号データベース」には、500万件ほどの法人の電話番号などか登録されておりますので、知らない番号からかかってきても、すぐに相手が誰かわかる機能もあります。また個人の電話帳を登録しておけば、誰からの電話かわかる機能もあります。
最後にもう1つありまして。オフィスの固定電話であれば、かかってきた電話が複数の電話機で鳴ると思いますが、従来の社用携帯は電話番号1つに対して、端末と所有者が1対1の関係です。しかし「トビラフォン Cloud」であればテレワークの時であっても、いわゆるオフィスの固定電話のように、複数の電話を同時に鳴らすことも可能なので、誰かが出られなくてもほかの人がカバーすることができます。
また1人がアプリ1つで複数の電話番号を持つことも可能ですので、プロジェクトごとで番号を分けて利用することも可能です。これらの機能により「電話が嫌いでなくなった」という声も聞くようになりました。DX化することで、嫌いだったものが嫌いでなくなるという現象は、非常に興味深い・おもしろいんじゃないかなと思っています。
――ありがとうございます。夏野さん、今の明田さんからのご説明、お聞きになっていかがでしたでしょうか。電話のDX化と、電話が苦手だった人が苦手でなくなっていく、というようなお話だったんですけども。
夏野:そもそも今、リモートの環境前であっても「会社支給のスマホと会社支給じゃないスマホで、セキュリティが違う」と勘違いしている情報システム部とか経営者が、僕は多すぎると思うんですね。
もちろん会社支給の携帯電話でアプリの登録などを限定化すれば、リスクが減るというのは事実だと思うんですが。しかしそれはブリング・ユア・オウン・デバイス(BYOD)を使っても、適切なアプリやサービスを使えば、同じようなことができるという例が、この「トビラフォン Cloud」さんだったりすると思うんですよ。
あたかも「会社から支給したものは絶対安全」かのようなアプローチというのは、もう根本的に間違っていて。ユーザー、つまり社員さんからしてみると、2つの電話を持ち歩くなんていうのは、本当にナンセンスだし。そういう意味では、私用携帯電話で社員は業務ができ、しかも会社も安心できて、1つの電話で社員が働けるという環境ができているということは、すごく僕はいいと思うし。社会的にもすごくムダが少なくて、いいことだと思っています。
明田:ありがとうございます。ちなみに「トビラフォン Cloud」は、会社から配布される携帯以上のセキュリティを担保できていると考えていまして。
今、ビジネスで電話を使っている方でもっとも危険な例は、個々人の携帯を会社でも使っちゃっているパターンだと思うんですよね。個人の番号だけど、それで社外の方とコミュニケーションをとってしまったり。
――よくありますよね。
明田:はい。その他、紛失であったり退職時のリスクも非常に高いと思うので。一方で「トビラフォン Cloud」は、使用するのは個人の携帯ではあるんですけども、アプリの中に会社の情報をすべて集約して、なにかあればそれをオフラインにできます。そういったセキュリティの向上は、非常に大きいかなと思っていますね。
――ありがとうございます。では「トビラフォン Cloud」という新しいシステムの普及に関して、夏野さんにお聞きしたいのですが。かつて「iモード」を普及された当時は「携帯電話でインターネットに接続する」という概念は、あまりにも新しいものだったと思います。そういった「新しいテクノロジーを広めるにあたって」は、どういったことがポイントになるでしょうか?
夏野:カギになるのは、やっぱり「わかる人にだけ売っていく」っていうのが一番だと思います(笑)。
「否定的な人」というのは、否定しているんじゃなくて、リスクが取れないので様子見をしているだけなんですよね。だから積極的に、これの良さがわかる人にだけどんどん売っていく。で、わからない人は、放っておく!
――(笑)。
夏野:わかんない人を口説こうとしない。で、先行者に「使って良かった」「社員の満足度が上がった」というのをどんどん立証していってもらって。気がついたら「え、なんかいい企業はみんなこういうシステム『トビラフォン Cloud』使ってんじゃん」という状況に持っていくと、勝ちです(笑)。
――なるほど(笑)。
夏野:だから、あんまり決断しない会社に長い時間をかけて営業しないで、どんどん切り捨ててください、ぜひ(笑)。
明田:どんどん切り捨てていきます、じゃあ(笑)。
夏野:もう世の中、会社の数なんて山ほどあるので。わかるところだけに入れてってもらって、どんなにいいかをわかってくれた人に語らせる。これがカギですね。
明田:なるほど、勉強になります。ありがとうございます。
夏野:ぜひがんばってください。
――そういった「新しいテクノロジーがわからない企業」は今後、どんどんダメになっていきますか?
夏野:ダメになっていきますよ。というより、もともとダメだと思います。
――もともとダメだけど、なんとなく今まで食ってこられていた、というような。
夏野:そうですね。これは人口が減らなかったからですね。これからもう人口が減っていくので、そういう会社はどんどん潰れていきます。
――ユーザーの数が減っていって、本当にいいものしか相手にされなくなっていく。
夏野:いいものかどうかは別にして、受け入れられるものをちゃんと提供している会社だけが生き残っていく。
――なるほど。明田さんはそのあたりに関して、いかがですか?
明田:当社はコロナになる以前から、情報通信業ということもあって、すでにリモートワークやチャットツール、クラウドのファイル共有など、基本的にすべて新しいものを導入していました。ですので、このような危機が急に訪れたとしてもスムーズに業務が移行できたわけですが。そういった企業ではないと、確かに夏野さんのおっしゃるように、生き残っていけなくなるんだろうなとは思いますね。
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