2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:アストラゼネカ株式会社
リンクをコピー
記事をブックマーク
劉雷氏(以下、劉):改めまして、アストラゼネカの劉でございます。オープンイノベーションの推進を担当しております。限られた時間ではございますし、壮大なテーマではございますが、ぜひパネリストのみなさんと活発な議論を進めていきたいと思っております。
本日ご登壇いただいたみなさんは、今すでに我々となにかしらのかたちでコラボレーション、オープンイノベーションを推進している仲間のみなさんです。ただ「i2.JP」への期待、あるいはこれまでのお付き合いの中での、我々の課題ですね。忌憚ないご意見を期待しておりますので(笑)、ぜひよろしくお願いします。
ではパネリストのみなさまを、お一人ずつご紹介したいと思います。まずは東京都戦略政策情報推進本部、米津雅史さま。続いて公益財団法人大阪産業局の石飛恵美さま、慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章先生、株式会社Welby 代表取締役の比木武さまです。最後に、株式会社木幡計器製作所 代表取締役の木幡巌さまでございます。
それではまずパネリストのみなさまから、それぞれの取り組みについてご紹介をいただきたいと思います。先ほどと同じ順番で、東京都の米津さま、お願いいたします。
米津雅史氏(以下、米津):それではスライドに基づきまして、「スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム」をご紹介させていただきたいと思います。先ほど(アストラゼネカ代表取締役社長の)ステファンさんからも言及いただきましたが、東京も含めてスタートアップが世界に羽ばたける拠点を作ろうということで、まさにイノベーションを社会実装し地域に還元していくという意味で、大事な取り組みだと思っております。
私どもも2020年1月にこのコンソーシアムを作りました。幸いなことにアストラゼネカさんにも入っていただいており、現在は197の民間企業や自治体のみなさまに参加いただいています。
当然大学も大事ですし、スタートアップを支援するベンチャーキャピタルのみなさまも含まれますし、あとは私ども東京都だけではなくて、川崎市、横浜市、つくば市、和光市。それから茨城県という、広域で連携していただいている自治体のみなさまにもご参加いただき、多様な主体のもとに活動しております。
現在は3つの作業部会を設けて、具体的なプロジェクト形成に向けて走っております。1つは、やはりこのポストコロナの時代に向けて、イノベーションはどのように変わっていくのかという点。次に、医療・ヘルスケアはもとより、大学を中心とした拠点が非常に大事になってくるのではないかということで、大学を中心としたエコシステム拠点の強化に取り組むという話。3つめは、どういうふうにグローバル規模にイノベーション・ソリューションを広げていくのかという点。これらを具体的にすべく、プロジェクト形成を進めています。
米津:現在、世界の各都市でエコシステムを作っていこうという動きが進んでおります。その中でこれを世界的に測る1つの指標として「グローバルスタートアップ・エコシステムランキング」というものがありますのでご紹介します。
2020年、東京は15位にランクインしております。驚くわけではないんですが、2019年、2018年は、東京はランク外だったんですね。東京のポテンシャルは高いと思っていますけれども、まだまだいろいろなお力添えをいただきながら発展していける余地は、非常に大きいのかなと思っています。
ウィズコロナ、ポストコロナに伴い、国民・都民のみなさまの健康や医療・ヘルスケアに関する期待は、非常に高まっているんじゃないかなと思っています。それに合わせて、こうした分野について、もともと集積したメリットを活かしながらデジタルを掛け合わせていくとか、新しくイノベーションが進んでいくような枠組みにしていきたいと思っております。
こうした取り組みを、いろいろな方々とご一緒していけると確信しております。簡単なご紹介ですが、以上でございます。
劉:米津さま、ありがとうございました。我々アストラゼネカもまさしくこのコンソーシアムメンバーの一員でございまして、これからますますコラボレーションを加速していきたいと考えております。続いて石飛さま、ご紹介お願いいたします。
石飛恵美氏(以下、石飛):OSAKA INNOVATION HUB(以下、OIH)の石飛と申します。よろしくお願いいたします。OIHについて少しご紹介させていただきます。OIHは、大阪市の施設となっておりまして、2013年に大阪市で開設いたしました。
2013年といいますと、私もその頃はまったく知らなかったんですけれども、「アントレプレナー」という言葉が出始めたころで、ちょうど「スタートアップ」「起業家」という言葉がたくさん出てきて、大阪市でもこういったスタートアップを支援するために開かれた施設となっています。
OIHがどういった役割を担っているかと申しますと、やはり「OSAKA INNOVATION HUB」の名のとおり、スタートアップのみなさまを中心に、金融機関やベンチャーキャピタル、ファンドや大企業、また先輩起業家、スタートアップメンターと呼ばれる方々、アカデミアと連携をさせていただいています。
あとは、関西にも世界のトップクラスのアクセラレータがたくさん集まってきておりますので、こういったアクセラレータのみなさまとスタートアップのみなさま、つまりはスタートアップ・エコシステムのみなさまをおつなぎする場所、そして機会を提供させていただく役割を担っております。
毎日みなさんにこういったイベントをご提供しまして、出会いの場と機会をご提供しているんですけれども。セミナーをたくさんやったり、スタートアップのピッチイベントを開催しています。
ピッチイベントというのは、プレゼン会ですね。スタートアップのみなさまの事業を大企業さん・ベンチャーキャピタルさんの前で発表していただいて、資金調達やオープンイノベーションのきっかけにしていただく。こういったピッチイベントを年間50回以上、フォーカスしてやっております。
石飛:あとOIHで、「OSAP(OIH Seed Acceleration Program)」というアクセラレーションプログラムも実施しております。こちらで大企業さん、VCさんと一緒にスタートアップのみなさまの支援をしております。
こういったことでたくさんイベントをやって、大企業さんとスタートアップのみなさまと連携、つまりつなぐ役目をさせていただいています。スタートアップの方々が850名ほどいらして、起業を目指す若い方々がたくさんメンバーになってくださっています。そして、大企業などスタートアップを私たちと一緒にサポートしてくださるパートナー企業も、もう350社以上になります。
今後も、日本国中、世界各国のスタートアップのみなさまを、大阪・関西をゲートウェイとしてしっかりサポートさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
劉:石飛さん、ありがとうございます。今年、アストラゼネカも9月頃にメンバーになりまして、それ以降、我々が開催しているイベントにパートナーとして入っていただいたり、12月に大阪でやるイベントに我々もスポンサーとして入らせていただいたりもしています。2021年はぜひこういった活動の数をもっと増やしていきたいですね。ありがとうございます。
では続きまして宮田先生、お願いいたします。
宮田裕章氏(以下、宮田):こんにちは、宮田です。我々はデータを独占して富を独占するということではなくて、産官学のいろいろなプレイヤーが連携してデータの価値を高めながら共有して、次の未来を作っていくことをコンセプトにしながら、研究をしています。
「理想的なプラットフォームを作る」ということではなく、一人ひとりを軸にしながらデータを共有することによって、いろいろな部分から個別の具体的なプロジェクトを実装し、未来に向けて集っていこうというのが、この「PeOPLe」です。
キーテクノロジーはいくつかありますが、例えばその1つは「ポケモンGO」と連動しながら、魅力的な生き方が自然に健康になるということだったり。あるいは行政とデータをつなげて、これまでは病院に来てから始めていた、いわゆる検診を、スマートフォンに入っているデータを活用することでもっと手前から寄り添っていけるようにしたり。病気からサポートを始めるのではなく、健康そのものをいかに高めていくかを、産官学で連携しながら行っています。
それによって、これからの健康がどうなっていくかというと、病院やコミュニティだけでなく、産官学連携でいつでもどこでも、そして最善のタイミングでサポートを行っていくことができる。あるいは病気になる手前から支える、あるいは病気になったあとも、すべてが損なわれるのではなく、最後までその人らしく生きることができる。こういった「生きる」ことそのものを再発明していこうということです。
さらには、今までは平均的な人の像を作って均一に物を届けるということだったんですが、そうではなく、やはりデータの力で、一人ひとりに合わせて誰も取り残さずにサポートしながら、ともに健康を作っていこうと考えています。
宮田:この中で「健康」は、新しい未来、そして街や社会を作っていくものになりつつあります。コロナで経済が一度止まったことによって、経済合理性の至上主義ではなくて、健康や人権・環境といった、さまざまな軸の中で人々はつながって生きていくんだと。
社会の指標も、物の所有の豊かさだけではなくて、このウェルビーイングですね。まさに「いのちが輝く」ことが大事になっている中で、一人だけご機嫌でもやっぱり世界は回らないので、我々は「Better Co-Being」と呼んでいるんですが、このつながりの中で、一人ひとりの「生きる」ということが輝く。
こういうことに貢献する研究であり、医療であり、地域づくりというものを、今回もご一緒させていただいているイノベーションハブの中で、みなさんと考えていければいいなと思っています。以上です。
劉:宮田先生、ありがとうございます。今は「PeOPLe」で一緒に共同研究をさせていただいていますが、アストラゼネカもトリートメント(治療)の企業から、ウェルビーイングを実現していく企業を目指しています。その点でぜひ、このあと深掘りをさせていただきたいと思います。
続きまして比木さま、お願いいたします。
比木武氏(以下、比木):こんにちは、株式会社Welby代表取締役の比木と申します。このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
私どもWelbyは、「パーソナルヘルスレコード」の略ですけれども、「PHR」と呼ばれるヘルスケアのサービスを提供しております。私どもも2011年創業ですので、まだ9年目のベンチャーです。
右上にアストラゼネカさまを含め、いろいろな会社さまのロゴを出させていただいておりますけれども、まさに我々もヘルスケアのデータを取り扱う企業です。いろいろな企業さまとパートナーシップを持たせていただきながら、さまざまな病気の治療に貢献していくために取り組んでおります。
アストラゼネカさまとは、肺がんの領域を含めた、いろいろな領域で取り組ませていただいています。アフラックさまとがん領域の保険でご一緒したり、古くはいろいろな機器メーカーさまと、患者さまと先生にフレキシブルにお使いいただけるようなデータのプラットフォームを提供するなどしております。
医療ですので、やはりエビデンスとしてのデータをしっかり出すというところで、治療アウトカムとして臨床研究を、いろいろな学会さま・大学病院さまと提供している会社です。
実際は、PHRはCOVID-19の影響で、利用率や普及もかなり進んでいます。1番は、基本は主治医の先生から患者さんに、こういったサービスを治療のサポートとしてお薦めいただいています。2番は、患者さんご自身のスマートフォンにダウンロードいただいて、PHRをお使いいただいています。
赤枠がいわゆる測定機器・センサー機器で、今はIoTで、血圧計・血糖測定器がBluetooth等でつながりますので、そういったデータがすべてクラウドで管理できるようになっています。
3番は、病院に行かなくてもリモート・遠隔で、主治医の先生がオンライン診療やモニタリング用にデータが見られるというところです。COVID-19の影響で、3番のリモートでお使いになる先生がた・患者さんが増えていらっしゃるのが昨今の状況です。
そしてやはり対面で、外来で来られた時にデータを見ながら、医療者の先生と患者さんがお使いになるということが4番目です。
実際のサービスとしましては今、我々は都合26種類のPHRサービスを出しています。糖尿病からスタートしまして、がんの領域、希少疾患まで幅広くカバーしていますが、アストラゼネカさんとも肺がんの薬を服用中の患者さんの適正使用を推進すためのサポートアプリの共同開発を行うなどしております。
患者さんはアプリにアクセスして知りたい情報を得ることができ、先生方には患者さんが記録されたデータを治療に活かしていただくかたちになっています。以上です、ありがとうございました。
劉:比木さま、ありがとうございます。では引き続きまして、木幡社長、お願いします。
木幡巌氏(以下、木幡):株式会社木幡計器製作所の代表取締役の木幡と申します。よろしくお願いいたします。
弊社は大阪市のものづくりの街・大正区で、もともと工業用の圧力計測の計器の製造をやっております。明治に創業して今年で111年目、いわゆる老舗の企業になります。現在は医療機器にも7年ほど前から取り組みまして、呼吸機能測定器の製造をしております。
また弊社工場の2階スペースを利用しまして、IoTライフサイエンス系ベンチャーさんのものづくり試作支援をするファクトリーラボのような、「Garage Taisho」という施設の運営をしております。
弊社で作っている医療機器は「呼吸筋力測定器」と申しまして、呼吸リハビリテーション分野で使われている、呼吸機能の測定器です。また医療分野におきましてはIoTの分野で、病院施設さん等の医療用酸素ガスボンベの残量監視ができるモニタリングシステムのサービスを展開しています。
またものづくりの街ということで、地元・大阪市大正区で過去7年間ぐらいずっと、ものづくり振興にも携わってまいりましたが、今年からはリビングラボ形式で「りびんぐラボ大正」という取り組みを進めております。
大阪市大正区の行政と一緒に、地域の基幹病院の済生会病院さんと連携して、ものづくり系の企業約30社、大学・研究機関4施設と、支援機関さんのご支援をいただきながら、少子高齢化が非常に課題となっている大正区において、課題解決型のものづくりの街という展開で、2025年の大阪関西万博までに3つの取り組みを進めていっています。
1つは医工福連携による、課題解決のためのものづくり。そして、地域のものづくり企業において健康経営を推進していこうという取り組み。最後に、いろいろなものづくりスタートアップの企業さんの製品を、地域での製品実証が可能な街として進めていこう、といった取り組みをしております。以上です。
劉:木幡さま、ありがとうございます。実は今、先ほどのスライド2枚目のIOP-01の機械をお持ちいただいています。ちょうどアストラゼネカと一緒に、こちらの機器をベースに新しいチャレンジをしているところです。また然るべき時期がきましたら、プレスリリース等でご報告させていただきたいと思います。
みなさま、お取り組みのご紹介どうもありがとうございます。
アストラゼネカ株式会社
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには