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CTO Keynote - LINE DEVELOPER DAY 2020(全2記事)

2020.11.30

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“テックジャイアント”に立ち向かうにはこの統合は必要不可欠 LINE CTOとYahoo! JAPAN CTOが話す、コロナ禍を乗り越えるための“One Team”という未来

提供:LINE株式会社

2020年11月25〜27日の3日間、LINE株式会社が主催するエンジニア向け技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2020」がオンラインで開催されました。まずはキーノートとして、LINE株式会社CTOの朴イビン氏と、LINEファミリーサービスの開発を統括するとともにData Labsの責任者を務める池邉智洋氏、LINEプラットフォーム開発統括の梁ソクホ氏が、LINEが現在取り組んでいることについて紹介しました。 後半は、梁ソクホ氏が、今年発表されたばかりの「Blockchainプラットフォーム」について、最後は再び朴イビン氏が、2021年3月に統合するヤフー株式会社のCTOの藤門千明氏と、今年いちばん大変だったことを振り返り、今後のことについて話し合いました。

「Blockchainプラットフォーム」が生まれた背景

梁ソクホ氏(以下、梁):LINEプラットフォームの開発を主に担当している梁ソクホと申します。LINE開発初期にはサーバー開発を担当し、そのあとLINEのメッセンジャーのプラットフォームの開発をリードしてきました。最近の新しいチームと新しい技術プラットフォームを構築する役割を主に担当しています。

本日は、それらの努力の結果の1つである「Blockchainプラットフォーム」についてお話しします。LINEのブロックチェーン技術の研究は、2018年4月のBlockchain Labの設立で始まりました。LINE Blockchain事業はBlockchainプラットフォームと仮想通貨取引所という2つのトラックに分けて進められ、Blockchain Labはブロックチェーンの実装技術とプラットフォームの研究を担当しています。

LINEの価値観であるLINE STYLEにおいて「Stay a Step Ahead」という言葉があるように、LINEには、まず動くものを早く作り出すという文化があります。最初のLINEのメッセンジャーを開発するときも、開発開始から2ヶ月後のリリースを目標にしていました。ブロックチェーン開発においても、この文化に基づいてオープンソースやアライアンスなどを通じて基盤技術を確保しながら、動作するものを約3ヶ月で作りました。

そして2018年8月にLINE Blockchain(当時の名前はLINK Chain)を発表し、同じ年に取引所に上場できました。その次のステップとして、サードパーティが簡単に参加できるBlockchainプラットフォームの開発を始めました。Blockchainプラットフォームをできる限り早く世の中に出したかったんですが、検討を始めると、2つの課題に気づきました。

1つ目は、LINEの規模に合う、技術的にもっと優れたものを作る必要があるということ。もう1つは、上場会社のプラットフォームの運営会社として法律的・社会的責任を果たす必要があるということです。そのために、2年かけて基礎技術の研究を重ね、さまざまな規制を守る体制を整え、より完成度の高いプラットフォームとして作り上げました。

そしてついに、今年の8月にLINE Blockchainプラットフォームをリリースできました。このように、LINEはブロックチェーンに取り組んできたのですが、「なぜLINEがブロックチェーンを作るのですか?」と、よく聞かれます。そのとき私は冗談交じりに、「作らない理由がないからです」と答えることもあります。でも今日はLINE DEV DAYなので、まじめに説明したいと思います。

なぜLINEがブロックチェーンを作るのか

私が数年前初めてブロックチェーン技術に触れたとき、設計のコンセプトや実装の方式について非常に感心しましたが、LINEでの活用法についてはあまりピンときていませんでした。しかしながら、ブロックチェーン技術に対する理解が進むに連れ、ブロックチェーンの最大の価値に気づきました。それは技術によって、高い水準の信頼性が担保できるということです。

そして今「なぜLINEがブロックチェーンを作るのですか?」と聞かれたら私は「ブロックチェーンのアルゴリズムによって、信頼性が担保されているから」とお答えします。LINEはユーザーアカウントのコミュニケーションだけではなく、企業やパブリックサービスなど、あらゆる領域のデジタルコミュニケーションを支えるプラットフォームです。

コミュニケーションのもっとも重要な要素は「信頼性」。LINEはその信頼性を守ることを最優先にしています。そのため、情報セキュリティやシステムの安定性向上への投資はもちろんのこと、PR活動などでユーザーに信頼してもらうためのさまざまな努力をしています。こういった努力の結果として、ブランドイメージがあり、やっと信頼が成り立つのです。

一方ブロックチェーン技術は、お互いに信頼していない参加者同士で、データそのものを公開せずにデータが操作されていないことを証明できる技術です。努力やブランドではなく、アルゴリズムによって完全にデータの信頼性が担保されます。ブロックチェーンの信頼性を重要視するLINEが、さらに成長するためになくてはならない技術だと考えました。

そしてLINEだけではなく、開発を行うパートナーさんと一緒に利用することで、より信頼性の高いアプリケーションがたくさん生み出せると考え、LINE Blockchainプラットフォームを作り始めました。では、どのようなブロックチェーンを目指しているかについて説明しましょう。

誰もが使いやすいブロックチェーン

私たちの目指しているブロックチェーンは、誰もが使いやすいブロックチェーンです。ブロックチェーンはここ10年ほどで世の中を変えたパラダイムの1つですが、まだ多くの方にとってはわかりにくく、さらにはネガティブな印象をもっている方も少なくありません。その理由は、手軽に利用でき、本質的なメリットを感じられるメジャーなサービスがまだ生まれていないからだと私たちは考えます。ブロックチェーン上でサービスを利用するユーザーも、そしてサービスを提供する開発者も、誰もが使いやすいブロックチェーンを作る必要があるのです。

まずユーザーにとって使いやすいブロックチェーンとは、既存のLINEのUXをそのままに、ユーザーがブロックチェーンの強みを活用できるということです。ユーザーがサービスを利用するときに、ブロックチェーンについて理解しなければならなかったり、ブロックチェーンサービスだからと言ってUXが不便になったりすることはあってはならないと考えています。

では、開発者にとって使いやすいブロックチェーンとはどういうことでしょうか。ブロックチェーンを扱うために必要なプロトコルは一般のAPIとは異なるので、学習コストが高くなります。また運用するための専門のチームを用意すれば、開発や運用コストも高くなるでしょう。

一方でLINE Blockchainは、REST APIなどみなさんが使い慣れたAPIを提供しています。これが開発者にとって使いやすいブロックチェーンということですが、LINE Blockchainの運用ノウハウやマーケティングツールなども提供し、さらに使いやすく役に立つプラットフォームを目指しています。

LINE Blockchainプラットフォームでは、このようなものを提供しています。基盤となるブロックチェーンネットワークは2つのバージョンで運用されています。金融のアプリケーションとそれ以外の一般的なアプリケーションでは、機能や性能の要求の方向性が若干異なるので、金融とそれ以外で分けています。

そのブロックチェーンネットワークの上にLINE Blockchain Frameworkがあります。アプリケーションの開発者がブロックチェーンを簡単に利用できるように、抽象化されたAPIやデベロッパーコンソールを提供しています。そしてユーザーが自分のデータを管理できるウォレットや、ブロックチェーンの整合性を検証できるようにデータが暗号化された状態で確認できるエクスプローラーも提供しています。

さて、このプラットフォームにみなさんのブロックチェーンサービスを実装することをイメージしてみましょう。最近、デジタル化というトレンドもあるので、例として電子契約サービスを考えます。

ユーザーとしては、LINE Blockchain Walletという共通UIを通じて本人証明を簡単にできて、契約の結果をNFT(Non-Fungible Token)でもつことができます。UIとしては今までのサービスと大きく変わらないですが、契約内容が絶対に変わらない台帳に記録されていますし、それが単純な文章ではなく唯一無二で設計されたトークンとして発行されます。

サービスプロバイダとしては、電子契約のエビデンスを残して管理することが、特別なシステムを作らなくても可能になります。内容についてユーザーやサービスプロバイダだけがわかるように暗号化されていたものでも、内容が改ざんされないことをLINE Blockchain Mainnetが保証しています。さらにこのデータの不変性については、LINEが保証するだけではなく、誰でもブロックチェーンのLINE Blockchain Explorerを通じて不変性を検証できるようになります。

これまでは、サービスプロバイダの契約作成の責任と契約不変性保証の責任、その両方の責任を負う必要がありました。しかしブロックチェーンを活用することで、これら2つの責任の所在を追求でき、さらに信頼性の高い開発サービスをとてもやりやすくなります。

LINE Blockchainプラットフォームのエコシステム

さて、このLINE Blockchainプラットフォームの上には、エコシステムが存在します。サービスのユーザーは、LINE Blockchain Walletなどを通じてサービスを利用できます。またCryptocurrency(暗号通貨)はBITMAXを通じて管理できます。このように、LINE Blockchainは全体で1つのエコシステムを作ろうとしています。

LINE Blockchainプラットフォームには、すでに200を超える開設の申し込みがありました。とてもうれしく思います。ありがとうございます。そしてその内のいくつかは、最初のパートナーとしてアプリケーションをスタートしています。

LINE Blockchainの今後

最後に、LINE Blockchainの今後についてお話しします。サードパーティ向けAPIの改善としては、来年(2021年)にCustom Smart Contractsの導入を目指しています。またウォレットも同じく、来年グローバルでのリリースを目指しています。

コアとなるメインネットでは、更なる技術開発を進めていきます。それは、Smart Contracts用のバーチャルマシン、さまざまな用途に対応するためのコンセンサスアルゴリズムの改善、プライバシー向上のためのHD Wallet、Mixing技術開発などです。

そして来月には、みなさんとより深く交流するために東京でLINE Blockchain Developers Meetupというイベントも開催します。LINEのブロックチェーンについてより知りたくなった方は、ぜひ参加してください。

さてLINE Blockchainについて話をしてきましたが、私たちが目指すブロックチェーンは誰もが使いやすいブロックチェーンです。このビジョンに共感した方は、ぜひ私たちのパートナーとなって、誰もが使いやすいブロックチェーンサービスを作ってください。私たちはパートナーのみなさまにも、サービスを利用するユーザーにも「WOW」と言っていただけるBlockchainプラットフォームを作っていきます。

私からの話は以上となります。ありがとうございました。では再びイビンさん、登場よろしくお願いします。

Zホールディングスとの経営統合

朴イビン氏(以下、朴):さてここまでで、私たちのプラットフォームについてお話しいたしました。私たちLINEは、24時間365日ユーザーの生活すべてをサポートするライフインフラ、Life on LINEをビジョンとして掲げています。今年、ライフスタイルが大きく変わりましたが、LINEがその変化に合わせてプラットフォームの力、テクノロジーの力を最大限利用して、早く応えようと努力しました。

またこれからは、LINEはテクノロジーの力を最大限利用して、ユーザーのみなさんに「WOW」を与え続けていきます。

さて、私たちがこれから目指す方向は今話したとおりですが、LINEという会社は、今大きな変化を迎えようとしています。Yahoo! JAPANを始め、多彩なビジネスを展開しているZホールディングスとの経営統合が予定されています。

なぜ経営統合をするのかについては、ご存知の方も多いと思いますが、改めて少しお話しいたします。まず私たちが感じているのは、危機感です。アメリカや中国などの巨大IT企業、ヒトもデータも豊富にもつグローバルジャイアントと呼ばれている企業がすごい勢いで成長しています。LINEとZホールディングスは、力を合わせることで、彼らに対抗できる力やチャンスを生み出していきたいと思っています。

そして強い理由であり共通して考えていることは、日本そしてグローバルには、まだまだテクノロジーの力でできることがたくさんあるということです。今回のCOVID-19のように、社会が直面しているさまざまな課題、みなさんの生活をより便利に豊かにできるさまざまな可能性、それを追求して成し遂げたいという強い気持ちが私たちの共通点であり、これから共に歩むことになった大事な理由です。

さてここで、ゲストをお迎えたいと思います。Yahoo! JAPAN CTOの藤門千明さんです。藤門さん、今日はよろしくお願いします。

藤門千明氏(以下、藤門):みなさんこんにちは。ただいま紹介していただきました、Yahoo! JAPANのCTOの藤門と申します。今日はLINE DEVELOPER DAYに参加できて、大変うれしく思っています。

先ほどイビンさんもお話ししていましたが、私もYahoo! JAPANのCTOとして、LINEであったりZホールディングスの関連企業とともに日本の課題解決に向けて、さらに私はエンジニアとしてテクノロジーで貢献していくことを非常に楽しみにしています。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

Yahoo! JAPANが取り組んだ3つのこと

:藤門さん、ありがとうございます。このKeynoteでは、私たちLINEがCOVID-19に対していろいろ取り組んだことを少しお話ししましたが、Yahoo! JAPANさんもいろいろ取り組んだことがあると思います。それについて少し紹介していただけますか?

藤門:はい。では今日は私たちの取り組みについてもいくつか紹介したいと思っています。Yahoo! JAPANは、この半年で実に80以上の機能改善であったり、サービスのリリースをしてきました。今日はそのうち3つほど紹介したいと思っています。

まず1つ目ですね。これはおそらく日本の多くのユーザーのみなさんに、ご覧いただけたんじゃないかと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、日本でもっとも多くのユーザーにアクセスいただいているサイトであるYahoo! JAPANのトップページを中心に、新型コロナウイルス関連の情報を今でも提供しています。

今スライドに出ていますが、国内外の発生状況はもちろん、厚生労働省の発表であったり、関係団体への寄付による支援をどのようにしたらできるかという話だったり、政府から通達があったときに、新しい生活様式に対して私たちはどのように対策すべきかというコンテンツだったり。

最後にデマの情報や便乗詐欺などの注意喚起も含めて、最新の状況を常にYahoo! JAPANで正確に把握しながら、日本国民が感染拡大防止に向けて、正しい行動がとれるように現在も日々更新を続けています。

そして2つ目は、Yahoo! MAPの混雑レーダーという機能です。日本政府であったり各自治体が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、不要不急の外出の自粛や3つの密を避けるように国民に要請しています。でも、このような状況下でもやむを得ず外出する場合もあると思います。

その際、目的地のエリアがどのように混んでいるのかであったりとか、経由するターミナル駅がどのように混んでいるのかというのを、事前に外出前に地図上で確認できる機能、これが混雑レーダーという機能になります。

実は非常にタイミングが悪く、今年(2020年)の1月にこの機能はいったんクローズしていたのですが、再開を望む声をSNSからたくさんいただき、今回4月に再び機能の提供を開始しています。今回機能を再開するときに、ただ機能を戻すだけではなく、今後も継続的に改善し続けることが重要であろうということで、混雑度を予測するプラットフォームを今回刷新して、機能を再開しています。

そして最後になりますが、この新型コロナウイルスの感染拡大によって、国内観光が大きな打撃を受けています。その打撃を受けた国内観光の需要喚起を目的に、これは政府主導で実施されているGoToトラベルキャンペーンへの対応となりますが、キャンペーンの実施に伴って7月27日から他社に先駆けて、Yahoo!トラベルや一休.comというサイトでGoToトラベルに対応してきました。

このキャンペーンですが、旅行代金の半額相当を日本政府が支援するというものですので、この支援額の大きさから大変注目度が高く、また発表から実際のキャンペーン開始まで期間がすごく短かったこともあり、開発は大変苦労しましたが、無事ローンチできました。現在も、多くのユーザーのみなさんに予約いただいて、安全に配慮しながら、いろいろなところに行っていただいている状況になっています。

以上、今日はYahoo! JAPANの取り組みについて、3つほどお話させていただきました。ぜひ今後も、Yahoo! JAPANをたくさん利用していただければなと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

LINEのCTOとして大変だったこと

:ありがとうございます。お互いにさまざまなことを取り組んだ1年でしたよね。実は統合については、これから決まることが多くて、今はあまり話せることがありません。そこで今回は、お互いIT企業のCTOとして、最近考えたことや悩みなどについて少し話したいと思いますが、いかがでしょうか。

藤門:そうですね。同じような規模のIT企業のCTOが考えていることは、ふだんあまり聞けないので、ぜひ私もおうかがいしたいですね。

:まず私からは、「この1年どうでしたか?」ということを質問したいです。私は本当に大変な1年だったなと思っています。私からお話ししますと、一番大変だったのはやっぱりこの状況の急変によって、いろいろなところで優先順位を変える必要がありました。それによって、リソースの調整や場合によっては厳しい判断が必要なときが多かったので、それが本当に大変だったなと思っています。

例えばCOVID-19の全国調査のように、今すぐやらなければならなくて一気に走ったプロジェクトもあります。また、今の時期だから必要な、例えばローカルサービスやデリバリーサービスなどは、プロジェクトの優先順位を高くする必要があり、それでは何をあとにするべきか、何を止めるべきかということを、毎回メンバーたちと苦労したポイントだと思っています。

さらに日本や台湾、タイで似ているんですが、国によって少しずつ違う要求があったりして、そのような部分は普通なら担当PMがいろいろなことを調整してくれるはずですが、COVID-19という時間の限りがあるなかで、開発者たちのリソースの観点で、YES・NOを早く決めて実行する必要があるといったプロジェクトも多かった気がします。藤門さんはこの1年いかがでしたか?

Yahoo! JAPANのCTOとして大変だったこと

藤門:そうですね。Yahoo! JAPANもLINEさんと同様に、サービスの優先度の付け方に実は相当苦労しました。まず1月から3月くらいに「新型コロナウイルス」という言葉が日本に入ってきて、実際に感染が拡大するフェーズですが、とにかく正確な情報提供ということで、メディアや検索サービスを大変強化しました。

そのあと4月になって、全国一斉の緊急事態宣言によって外出の自粛となっていくわけですが、多くのユーザーのみなさんがeコマースで商品を買っていただくということもあって、この4月からは、eコマースのサービスを中心に機能開発を強化する必要が出てきました。

先ほどお伝えしたとおり、7月になったら今度はGoToトラベルキャンペーンに対応しないといけないということで、サービスECの部分を強化してきたわけですが、まとめてお伝えすると、実はこの半年でかなりダイナミックに人材のアロケーションをどんどんし続けて対応してきて、なんとか乗り切ってきたというのが、正直なところだったなと思います。それが一番大変でしたね。

一方でチャレンジしたことは、単純にリソースをダイナミックにアロケーションするだけじゃなくて、社内で実はタスクフォースチームを組成していて、この新型コロナウイルス関連の各種開発案件をたくさん走らせていたのですが、このタスクフォースのチームを助っ人として、案件に人材として開発に参画させることで、案件のスピードアップをする仕組みを今回実施していますが、今回それが一通りうまくいったかなという印象ではあります。

COVID-19で直接会えなくなってからのコミュニケーションが大変だった

:いい仕組みですね。やはり優先順位変更によって、どうすればプロジェクトをもっと早くできるか、リソースをどう調整できるかが、毎回課題だと思って私たちもいろいろと取り組んできました。でも今回はどうしても一緒に並行しなければならないことも多くて、対応すべき規模感も大変でしたよね。

それで私は、相対的に柔軟に活用できるベトナムの組織を今回ちょっと活用したんですけど、これからは本当にそれが課題だと認識しています。でもリソースも大変でしたが、一番苦労したのは国をまたいで直接会えなくなってからの気持ちとかコミュニケーション、それが本当に大変でした。

もともとLINEは、国別の開発拠点があってリモートワークで協業していたのですが、何か新しいプロジェクトが始まるときはいったんオフラインで一緒に集まって、アーキテクチャを一緒にシェアしたり理解を共有してから、それぞれが戻ってリモートワークをする。そういう働き方でしたけど、それが今回難しくなりました。

そして、開発の優先順位が急変するような状況で、メンバーもいつも以上に大変になっていて、普通ならばもっと直接声をかけて励ましたんのですが、それも今回難しくなりました。開発リーダーたちと、どうすればみなさんの気持ちをもっと向上させるかということを、いろいろなことで工夫した1年だったなと思っています。藤門さんはどうでしたか?

COVID-19で大変だったのはチームワークの維持、熱の維持

藤門:そうですね。先ほどもお伝えしましたが、このGoToトラベルキャンペーンの対応のときがとてもきつかったなと思っています。みなさんの記憶にあるかもしれませんが、キャンペーンの開始のたった5日前、6日前かな?東京都の宿泊施設は除外、あとは東京在住の方は除外ということが直前まで確定しませんでした。

サービス開発においてもスケジュールを優先してがんばっていたので、綱渡りの状態で常にサービス開発を行っていて、私たちマネジメントもそうですが開発メンバーは相当きつかったんじゃないかと思っています。

Yahoo! JAPANは今、全社でリモートワークが中心の働き方になっているのですが、数年ほど前から、どこでもオフィスという制度があって、月にだいたい数回ぐらいはリモートワークができる環境に、実質的にはなっていたのですが、今回本格的に全社一斉でリモートワークをするのはさすがに初めてだったので、こういうきつい状況のときに、メンバーのチームワークを維持するのは非常に大変でした。

先ほどイビンさんからもあった通り、こういうきついときに、例えば自分がチームメンバーのところに行って「もうちょっとだからがんばろうぜ!」みたいなことが、(職場なら)当然できるのですが、リモートだとその熱がなかなか伝えられなかったり、このメンバーのチームワークの維持、熱の維持というのは、すごく大変だったなと思います。改めてここで、乗り切ってくれたメンバーに感謝したいと思います。

今振り返ると、これは東日本大震災の3.11の経験が、実は今のYahoo! JAPANの組織や文化にちょっと生きているんじゃないかと思っています。3.11も、実は社内で同じようにタスクフォースチームを組成していて、昼夜問わず例えば今災害がどのように起きているのか、原発の状況はどうなのかとか、電力があのとき不足するという話がありましたよね。電力が今どうなっているのかを、昼夜問わず情報提供を実は行ってきました。

あのときも、実は相当きつかったのですが、ここでみんなで乗り越えていこうよという思いがあったから乗り越えられたわけで、今回もきっと同じだと思っています。これがグローバルな規模で起きていると。なので私たちも、これを糧にして、ここを乗り越えてまた未来でこういう経験が活かせるんじゃないかなと思っていたりはしています。

来年からは一緒のチームで

:私たちLINEも、3.11の震災をきっかけに生まれたサービスなのですが、Yahoo! JAPANさんもその震災をきっかけに、チームがもっと強くなったんですね。私も、今回のCOVID-19をきっかけにもっと強いチームになった気がしますし、これからもがんばろうと思っています。来年からは一緒のチームですよね。どうぞよろしくお願いします。

藤門:そうですね。経営統合の発表をさせてもらったときに、両社の社長が「私たちはOne Teamでやりたい」と説明したと思っています。ぜひ今日は、LINE DEVELOPER DAYですが、エンジニアのレイヤーでもOne Teamとなって、日本の課題解決が一緒にできたらなと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

:はい。ぜひよろしくお願いします。短い時間でしたが、Yahoo JAPANのいろいろな話ができて、本当によかったなと思っています。今後ももっと話し合って、1つのチームとして、いろいろなことを一緒に解決できればと思っています。藤門さん、本当にありがとうございました。

全セッションを最前列で参加可能

さて、最後に少し私から、LINE DEV DAYの案内をしたいと思います。LINE DEVELOPER DAY 2020では、さまざまなカテゴリのセッションが合計150以上が用意されています。今年は初めてのオンラインイベントですので、コンテンツや構成にバリエーションを出してみました。長いセッションだけではなく、短いセッションもたくさん準備しましたので、みなさんの時間をもっと柔軟に利用できると思っています。

また技術的に深い講演と気軽に聞けるパネルセッションも織り交ぜています。何よりオンラインイベントですので、みなさん全セッションを最前列で参加できます。画面を通じてですが、スピーカーの努力や経験を目の前で感じてみてください。

そして多くのゲストセッションが用意されています。36名のゲストのみなさまに、さまざまなセッションに登場していただきます。この豪華なゲストスピーカーは、LINEのエンジニアが今まさに話を聞きたい方に、ラブレターをお送りして来ていただいた方々です。

このように、とても魅力的な話がたくさん用意されていますので、みなさん時間のある限り、たくさんのセッションに参加して、楽しい時間をお過ごしください。

以上で、私のKeynoteを終わりたいと思います。みなさんありがとうございました。

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