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高校生・大学生向けデジタルケミストリー体験セッション ホンモノの研究開発に触れてみよう!(全2記事)

2020.12.17

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化学者が立ち向かう、エネルギー問題や医療の課題 大阪大学教授が明かす研究開発の裏側

提供:京都リサーチパーク株式会社

世界的にエネルギーの消費が加速度的に進む中、やがて直面するであろう問題が資源不足。SDGsによる全世界的な行動の見直しが叫ばれる中、日本の化学者はどのような形で問題解決に挑んでいるのか。シンク・アンド・アクト株式会社が主催する「高校生・大学生向けデジタルケミストリー体験セッション ホンモノの研究開発に触れてみよう!」が催され、化学の側面から日本のエネルギー開発などの研究に従事している大阪大学 大久保敬氏が未来を担う高校生、大学生に向けて「化学の研究開発が日本のエネルギー問題にどう貢献できるか?」について語ります。

大学進学の決め手は一人暮らしに憧れていたから

大久保敬氏(以下、大久保):まず私の自己紹介なんですけれども、もともと愛知県名古屋市の出身で、高校までは名古屋にいました。それから関西に来たんですけれども、関西に来た動機というのは不純と言えば不純で、一人暮らしをしたいというのが一番の動機でした(笑)。

でも、名古屋の高校から大阪大学を受けると言ったらけっこう嫌がられるんですね。高校の先生に「なんで大阪大学受けるねん。名古屋大学受けなさい」と散々言われて。でも、そこで一人暮らししたいなんて言えないので、「どうしても大阪大学受けたいんですわ」って言って受験したんです。

それからほとんど大阪にいまして。昔は名古屋弁でしゃべっていたんですけれども、大阪の生活が長くなりまして、今は大阪弁っぽくなっています。

名古屋から大阪へ来て、いろいろ感じることがあったんですが、中でも一番びっくりしたのが、マクドナルドの発音でした。関東ではマクドナルドは「マック」って言いますね。でも関西では「マクド」になるんですね。私はどうやっても「マクド」と言えなかったですね。

じゃあ名古屋は何て言うか、知らないですよね。名古屋弁ってけっこう「みゃーみゃー」と言うんです。名古屋ではマックは「ミャック」とか言うんですよ。

(会場笑)

もしみなさんも名古屋へ行く機会がありましたら「ミャック行こう」と言ってもらったら通じます(笑)。

話が逸れてしまいましたが、結局高校卒業後は、大阪大学の工学部に入りました。主に化学の専攻をしていたんですけれども、当時はバイオサイエンスがけっこう盛んだったので、もうちょっとバイオについて勉強したいなということで、卒業後は別の大学院に進学しました。

進学したのは、石川県にある北陸先端科学技術大学院大学というところで、そこで2年間だけ生化学の研究をしました。

その後大阪大学に戻ってきて、博士号を取りました。大学で博士号を取りましたら、みんな就職するんですけれども、私は大学に残って引き続き研究を行ったわけです。学生の頃は、先生に「こういう研究をしなさい」と言われたものに向かって突き進んでいくんですけれども。

専門外の研究をやって経験値を上げる

大久保:大学院の最高学位であるドクターを取りますと、自分の自由な研究ができるようになります。とはいえ、研究室に所属していますので、ボスの研究の足しになる範囲で自由な研究ができます。

中でも一番自由になるのが留学です。理科系の大学院を出て仕事しようと考えると、留学の経験は1つの箔になるんですね。

私はアメリカのヒューストンにある大学に行きました。そこで、自分の専門以外の電気化学を学ぶわけです。私は大学院でも専門外のバイオを学びましたし、電気化学も「化学やん」と思うと思いますが、化学もいろいろな業界に分かれているので、ぜんぜん違うんです。

ヒューストンで学んだ後は、フィンランドに行って、高速過渡分光というレーザー光の研究をやっていたんですね。このへん横文字でわからないと思うんですけど。

要するに、研究者として若いうちは、自分とはぜんぜん違う視点からの研究をどんどんやって、少しずつ自分の経験値を上げていくわけです。

そして、2005年、私が32歳の時に、大阪大学の准教授に採用され、2014年に教授になりました。今は大阪大学の高等共創研究院と先導的学際研究機構の教授になって、この3つの職がメインになっています。

大学の先生はいろいろ兼任できるので、他にも東北大学で客員教授もしていますが、メインは自分の研究ということで、一番興味があるのは有機光触媒になります。留学で培ってきたことも自分の専門に無理やり組み入れて、名刺を提げて研究を続けていくわけです。

若手研究者を集めて人材育成で世界トップクラスの研究をやってノーベル賞を取ることを目指しています。平成29年に発足して、私は第1期に採用されました。

とはいえ、分子光触媒共同研究部門には、まあ部員がおらへんのですけど、新しい建物が大阪大学の中にできましたので、今はそこに入って研究をしています。ちょうど去年の3月に竣工しまして、4月から入居してちょうど1年半くらいになりました。

大学の先生は広い研究室を持っているところもあるんですけど、うちもけっこう広いんですね。でも、それだけの家賃を取られるんです。

その家賃を払うために何をするかと言うと、企業と共同研究して、その共同研究費から家賃を支払うという。居酒屋の店長も自分の店の家賃を払いますから、ほとんどそれと一緒ですね。

自分の研究を企業や社会にアピールして、国などから補助金をもらいながら、家賃を払って研究もすると。常に漕ぎ続けないといけない船に乗っているような気分です。

僕がちょっと病気になって倒れてしまうと、研究室の家賃も払えなくなって追い出されて研究もできなくなると。このコロナのご時世、倒れるわけにはいかないという状況です(笑)。

大学教授が学生に伝える大切にしてほしいこと

――大学の教授といえば安定しているような感覚がありますけど、実際はどんな感じなんですか?

大久保:それはまったくないです!(笑)。なかなか大学の先生もね。まあ楽な先生もいますけどね。

――なるほど(笑)。今日はみなさんが、これから大学とかいろいろ進路を決めていくうえでのエッセンスというか、ヒントにもなればなぁと思っていますので、ぜひアンテナを立ててもらえたらなと思います。

大久保:みなさんに大阪大学のことを知っていただこうと思って、今日は動画を用意してきました。

(動画再生)

大久保:今動画を見ていただいたんですけれども、やっぱり高校生のうちに将来のビジョンを明確に持っておくと、大学に入ってからの勉強の仕方もすごく変わります。

高校でのいろいろな授業への打ち込み方も、やっぱり目標があるとぜんぜん違うと思うんですね。科学者になりたいと書かれたパネルを持った人がいましたよね。あのぐらいでいいので、何か目標があるとすごく変わると思います。

私も今、大学の化学の教授をやってるんですけれども、いつそうなろうと考えたかと言うと、中学校2年生かな。将来どういう人になりたいかという作文を書く機会があって、そこに「化学の研究者になりたい」と書いてあったんです。

パイロットになりたいとか、そういうことでもいいんですけれども、進路をちゃんと見据えて動くといいのかなと思います。

あと、みなさんは今高校で3年間の課程を経ていて、そのあと大学に入る人も就職する人もいると思いますけど、大学に入りましたら、4年間あるわけです。きっと高校生のみなさんの多くは、大学の4年までしか見えてないと思うんですね。

大学の4年で何をしているかと言うと、授業なんです。高校の延長みたいな感じです。大学に行って授業を受けて、宿題が出て、帰るという感じが4年間続きます。4年生になるとちょっと研究が入ったりするんですけども、ほぼこんな感じです。

今、大阪大学の理系の場合だと、90パーセント以上は大学院に進みます。中には、大阪大学の大学院に進まずに、京都大学の大学院に進む人もいます。高校の時から京大に入りたかったけど、そこで1回夢敗れた人がもう1回チャレンジしているんですね。

この大学院の修士課程には、90パーセント以上の学生が進学しています。実は日本の理系の企業は、ほとんど修士課程の学生を採ることもあって、日本の就職システム上、学生たちは修士課程を取りに行っているんですね。

そのあと大学に残って博士課程に行こうと思いますと、さらに3年掛かります。大学には合計9年もいられるというわけなんです。

なので、これから受験される方は、目標を考える時に大学院ではどんな研究をしているかということも少し見ていただいて、大学を選ぶのもありなのかなと思います。

実は最近、文系でも大学院に進学する人が増えています。特に弁護士になりたい方などはけっこう大学院に進まれています。私も大学に入ってから「みんな大学院に行くんだ」と気付きましたから。

地球温暖化への世界的な取り組みが遅れた背景

大久保:今日はここから牛糞をエネルギーに変える研究についてお話していきたいんですけど。

まず見ていただきたいのは、右上に小さくあるパネルです。最近時々見る人もいると思うんですが、これはSDGsですね。今日はこれをキーワードにしたいと思います。今日は、このSDGsに関する宿題が出るのでキーワードとして留めておいてください。

またSDGsについて説明しますと、これ知ってる人いますかね? 聞いたことあるけど、ようわからんっていう人も多いと思うんですけど。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)ということで国連が設定した、人類がこれから目指していこうという目標です。

これはもともと1992年に国連の気候変動枠組条約というのがありまして、この時に話題になったのが地球温暖化の問題でした。最近は温室ガスのCO2、二酸化炭素が出るのが問題だということで、世界的に取り組みをしなければならないということで問題提起されたのが一番最初です。

そのあと1997年にCOP3というのがあって、今日私がいる京都は、京都議定書が採択されたところなんです。2020年までに温室効果ガスの排出削減目標を決めてやったんですが、みんな守れてないんですけどね。

なぜ守れていないかというと、この時はアメリカが参加しなかったんです。実はアメリカは産業が盛んなので、二酸化炭素を1番出しているんですけれど。アメリカが参加しないとあんまり意味がないので、みんな守らなかったんですね。

それで、温室効果ガスの何を減らそうって、二酸化炭素とメタン、あと一酸化二窒素やフロンガス。これらをどんどん減らしていこうとみんながんばったんですが、ぜんぜんダメだったので、2015年にパリでCOP21が開かれました。

SDGsの成り立ちと日本が苦戦している項目とは

大久保:ここでSDGsの目標をきちんと定めて、それに向かって国も投資して進んでいこうと。実際2016年4月にパリで日本も署名して、アメリカも中国も調印しましたので、今SDGsの目標達成に向けて世界中が動いているところです。

このSDGsには17個の目標があります。例えば貧困をなくそう。飢餓をゼロにしようとか。言ってみれば当たり前なんですが、なかなかやろうと思うと大変なんですね。人や国の不平等をなくそうとか、住み続けられるまちづくりをしようということですね。

そこで出てきた考え方は、つくる責任とリサイクルの問題ですね。つかう責任が必要だよねということです。作った人はそのあと廃棄まで全部面倒見なさいよと。

これが全部で17個あるんです。みなさんの携帯電話で調べていただいたらと思うんですが。これをどんどん達成しようと今動いているわけです。

SDGsは、各国が達成に向けて動いているんですが、実はやり方が違っています。みんな達成しやすいところはやるのですが、日本の場合は5番、12番、13番、14番、17番がぜんぜんできていない取り組みです。

例えば5番ですと、ジェンダー平等を実現しようですね。ジェンダーは性別の問題です。これはなかなか理解がされていない状況で、時間が掛かるなと思うんですけれど。

あとは12番、つくる責任・つかう責任。やはり日本は使い捨て社会が浸透していて、なかなか進まないんです。最近レジ袋が使えなくなったことで、強制的に12番のつくる責任・つかう責任を守ろうとがんばっています。

やはり先進国として日本は発展途上国にお手本を示さないといけないので、ストローを紙にするなど、12番の目標に向かって進んでいます。

各国で別々の問題があるんですが、SDGsの浸透がどんどん進んでいけばいいなと。研究開発費も積極的に国が投資しておりまして。今ではSDGsに絡む研究が日本の大学で行われるようになってきています。

SDGsを達成するために必要なこと

大久保:次はSDGsのアクションポイントです。これは政府の内閣府かどっかから持ってきた資料なんですけど。見ていただきたいのは四角く枠で括っているところです。SDGsと連動するSociety5.0の推進。なんじゃこれですね。これだけで意味がわかる人は、恐らくすごく勉強してる人だと思います。

具体的にいえば、地方創生などですね。女性をもっと力強く働けるようにするとか。今までは、例えば専業主婦など、家でくすぶっていた人材が社会に出てきます。すると日本は少なくとも、昭和の前半に比べると働き手が倍になるわけなので、女性ががんばれば日本も元気になるという。この1番、2番、3番ですね。これを今日本は一生懸命推進しているわけです。

私たち研究者が触れるところはこの1番で、Society5.0の推進です。Society5.0って何だろうと感じると思うので説明しますね。Society5.0って調べるとこういう絵が出てきます。Society5.0とSDGsは連動している。5.0っていきなり5が出てくるということは、1、2、3があるでしょうということなんですけれども。じゃあSociety1.0は何でしょう? 

Society1.0は狩猟生活です。2.0は農耕、3.0は工業社会、4.0は情報社会。情報社会まで来ますと、私が子どもの頃がちょうど情報社会でコンピュータが出てきたり、携帯電話が出てきた。そこが情報社会。

そして、これから目指すSociety5.0は超スマート社会。これはなにかというとですね。超スマート社会は先ほどのSDGsで例えば、レジ袋を使わなくても済む。捨てるものがなくなって、人間がそれでもハッピーになれるような生活を作る。そういう社会を作るっていうのがSociety5.0です。

だからSDGsを守ることは超スマート社会につながることなので、2050年を目標に日本全体が向かっている。世界全体が向かっています。

(動画再生)

化学の観点から見る日本のCO2事情

大久保:私も今SDGsを目標に研究していますので、私なりのSDGsの目標解決のアプローチや研究の内容にみなさんに少し触れていただこうと思います。

私は化学に携わっております。それで化学は何をしているかというと、CO2を山ほど排出しているんですね。日本のCO2排出量というのは11億5,000万トン。こんな数字を言われてもさっぱりわからないと思うんですけど。

今のは日本全体のCO2排出量ですね。化学はそのうち5パーセントを占めていまして、一番多いのは鉄鋼関係とかです。あと自動車関係。各部門でSDGsの7番、9番、12番、13番の目標を達成すべく、省エネに向けて動いているわけです。

特に製造業がけっこうCO2を出してるんですけれど、消費量を見ますと1973年。私が1歳の頃にこれだけ出ていました。第1位が鉄鋼です。日本はたくさん鉄を作ってましたから。溶鉱炉で鉄を溶かして、温めて冷やして。それですごくエネルギー使うんです。

第2位は化学です。当時1973年って第一次石油ショックかな。石油ショックがあって、石油をガンガン使うのをやめましょうという時代でした。それから省エネと叫ばれるようになって、省エネ重視の家電がけっこうたくさん出てきました。

それから2011年まで40年、けっこうみんな省エネをがんばって、全体のエネルギー消費量はかなり減っているんです。実はこれが減ってるのはすごいことで。日本はこの間に人口がかなり増えてまして、この間約1,000万人の人口が増えているんです。にもかかわらずエネルギー消費量は減らしてるわけです。省エネと政府が掲げた結果、約1割を減らすことができたんです。

でも、けしからんのは化学なんです。パーセンテージで書くとこうやって化学は増えてくるんですけれども、実際の量もですね、26.9パーセント掛けると実際に使っている量がわかるんですけど。

1,700ペタジュール。ペタジュールってギガ、メガ、テラ、ペタなんですけど。それが2,100ペタジュールに変わってるんですね。24パーセントも増えているんです。化学は何をしているんだという話で。これは、なぜ増えたかというと、使い捨てが増えたことが原因になっていました。「ミャック」ですね。

(会場笑)

新しい化学反応の開発への挑戦

大久保:1973年、「ミャック」はちょっとしかなかったんですが、今マクドナルドはどこでもありますよね。マクドナルドばっかり標的にしたらいけませんが、当時は紙袋を使っていましたが、今はレジ袋を使うようになったり。

プラスチックの製品もたくさん溢れてきました。そのせいでCO2が増えているんですね。これを減らさないとだめだと。じゃあ何に着目するかと言うと、石油の消費です。

石油は植物が長い時間をかけて炭酸ガス、二酸化炭素を還元し、光合成をして石油にしています。それを今燃やして、逆のことをやってるんです。燃やして二酸化炭素にしている。

石油を燃やすと最終的に二酸化炭素になるんですが、それを私たちは使えないんです。プラスチックのボトルを作ろうと思ったら、二酸化炭素にいく前のところで石油を燃やすのを止めるんですね。

もう少しわかりやすく言うと、石油があって、二酸化炭素があって、これはずっと酸化していくんですけど。その途中にガソリンがあったり、こういうプラスチックがあったり、灯油があるんです。途中で止める。ちょっとだけ燃やすとこういうものになるんですね。これが化学なんですよ。

それで、ここに使うエネルギーを減らせば絶対に省エネできる! というのが着目点です。プラスチックボトルを作る時には、絶対まだ温めたり冷ましたりするわけです。それを作る時に、熱やエネルギーを使わない化学プロセスや化学反応を開発できれば、SDGsの目標に向かえるんじゃないか。それが私の研究の着眼点です。

私はこれでもう宿題はクリアしてますので(笑)。

(会場笑)

そういう化学反応をいろいろ開発していくんですが、そこで1つ出会いがありました。除菌消臭剤を作っている会社がありまして。その企業から、「なぜ匂いが消えるのかわからない。菌が殺せるのかわからないから、大学で調べてくれ」と言われたんです。

私は化学をやっていて、なんで除菌消臭剤のことを研究する必要があるんだと思ったんですが、結果的にその研究を始めたんです。すると、普通はあまり使わないような成分を、その会社が使っていたんです。

それを製品化しようと思いますと、やはりなぜ匂いが消えるのかがわからないと、彼らも製品化しにくい。なのでそれを徹底的に調べてみたら、二酸化塩素が入っていたことがわかりました。

化学で除菌方法の新しい正解を探っていく

大久保:最近は除菌にうるさいので、みなさんも二酸化塩素とか、次亜塩素酸という言葉を耳にするようになっていて、僕はハッピーなんですけど。その中で「A2Care」という製品が発売されたわけなんです。

実はこれ、今ニトリなどに行くと売っています。一番使われているのは航空機で、機内の除菌に使われています。みなさん全日空とかJALとか使うと思うんですけど、その中の除菌消臭は全部このA2Careが使われています。もし見たら「これは大阪大学の開発した製品だ」と思っていただいたらと思います(笑)。

それでこの二酸化塩素がなんで航空機に使われたかというと、それまではアルコールでが使われていたんですね。でもアルコールは燃えますので、飛行機に載せられないんです。可燃物は飛行機の中に搭載できない。空港にもたくさん貯蔵できないんですね。

でもこの「A2Care」はアルコールを使ってない。なのでいくらでも飛行機に載せられるので、航空機では飛びながら除菌もできる。なのでこれが今採用されたわけです。

そして、今狙っているのは新幹線です。新幹線はなかなかアルコールをやめようとしないですね。アルコールの会社から何かもらってるのかもわからないですけど(笑)。

(会場笑)

新幹線は駅にアルコールを置いておくだけでいいので、駅はぜんぜん規制かからないのでアルコールで粘ってますけど。

ただ赤ちゃんとかにアルコールは好ましくないんですね。私は子どもが3人いるんですが、保育園に行くと、アルコール消毒液が置いてあるんですよ。

うちは1歳なんですが、1歳の子どもにアルコールを使うのって、やっぱり「え!?」と思うんですよ。だから保育園に「A2Care」を持っていって。無料でいいですからと言って。今置いてもらってるんです。

研究のブレイクスルーとなった出来事

この二酸化塩素が私の研究の1つのブレイクスルーでした。これを研究し始めたのは今から4年前です。ちょっとこの写真を見てほしいのですが、これは人の顔なんですよ。

この人は口腔がんの末期の症状の患者さんで、顔が膿だらけになるんです。患者さんの言い分によると、膿なのですごく匂いが出てしまう。その匂いだけでも消してくれたら、お見舞いに来てくれる人が来やすいので、匂いが消えませんか? ということを求めていると知りました。

膿の周りにスプレーをしたら消えるんですけど、根本から消したいと。そこで顔に「A2Care」を含ませた布を湿布したんですね。すると膿がほとんどきれいになくなって。調べると、口腔がんもほぼ治っていたんです。

そこで医学部の先生に共有したら、「ほかのがんもけっこう消えるぞ」と。なので今、抗がん剤の研究もこっそりやっています。この除菌剤を買って、「ちょっと俺がんになってきたんちゃうか?」と思ったらガーっとふりかけてもらって。

(会場笑)

まだ医薬品になっていないので副作用が出るのか検証できていないのですが、自己責任で試してもらう分にはいいのかなと思っています。

既存物質の新しい使い道を模索していく

大久保:「潰瘍性大腸炎」という安倍総理が患っている病気があるんですね。あれは大腸にできものができる病気なんですが、まだマウスの段階ではあるものの、潰瘍性大腸炎がきれい治ることまでわかっていて。新しいがんの薬になる可能性があるという感じで、今こっそりと研究を進めていて。

またこれも気持ち悪い画像を見ていただきたいんですが、これは私の唇の裏側なんですけど。あんまり自分の唇をドアップで見せるのは恥ずかしいですが、ここにポチっと口内炎があります。この口内炎ができた瞬間にさっきの除菌剤(注:次亜鉛酸を含んだ除菌液「A2Care」)をピュッとかけると、4時間後には小さくなってるんですね。

次の日はきれいさっぱりです。これは、口内炎ができた瞬間にかけるとかなり効きます。除菌剤を口にかける人なんてまずいないんですよね。なんで自分にかけようと思ったか忘れましたが。こんな用途もあったりとかですね。まあ、ここだけの話ですけど。

(会場笑)

これみんなに「使えるぞ!」とは言えなくて。薬として登録するにはすごくたくさんの手続きが必要なんですね。ただ自己責任だったら大丈夫です。ほんまに効きます。

他にも、二酸化塩素を用いた除菌消臭剤はいろいろあるんですが、よくテレビでコマーシャルしてるのは「クレベリン」ですね。大幸薬品、正露丸の会社です。実は「クレベリン」の有効成分は二酸化塩素です。トイレとかにも使えるんですけれども。二酸化塩素には除菌効果があって、もう1つ、次亜塩素酸ソーダというのがけっこう古くから使われているんですけれども。両方とも菌は消えます。

用途として「次亜塩素酸ソーダ」はけっこう「ブリーチ」に使われています。食器などを除菌するブリーチとかハイターとか、あれを想像してもらったらいいんですけど。塩素の匂いがします。除菌しながら塩素の匂い嗅いでるだけっていうね。

ある幼稚園のインフルエンザ発症者が0人になった裏側

大久保:あと安全性というと、キッチンハイターは目に入れたらちょっと危ないような気がしますわね。実際危ないです。使用期間も二酸化塩素は非常に安定ですのでずっと使えます。こんなかたちで自分のいいところだけ二重丸をバーっと書くんですけども。

(会場笑)

みなさん使ってくださいということで、今徐々に広がっています。たぶん月曜日にまた新聞で発表されるんですけど、男性化粧品のマンダムからですね。たぶん汗とかの消臭にも使えますよ、というのが出てくると思います。予告です。

飛行機にも使われたりとかですね。あと一番使われているのがトイレですね。羽田空港のトイレに行きますと、実はこういう箱が置いてあるんですね。もし飛行機に乗られたら探してみてください。まだ国際線しか置いてないんですけれども。ここからずっと噴霧してます。噴霧でトイレ全体を除菌してしまうと。

これこっそりうちの息子、娘が通ってる保育園にも置いてもらってるんです。そうすると今年の冬、去年の冬もずっと保育園でインフルエンザ0でした。それまではずっと、保育園閉鎖になるんじゃないかくらいの勢いでインフルエンザが蔓延していたんですけど。

保育園に行ったらね、よだれダラダラの子どもたちがウロチョロしてるわけですよ。子どもたちが叩き合ったりくっついたりしてるわけなので、肉弾戦をやっているような状態のところで、これを噴霧してるだけでインフルエンザの発症者が0人ですから。相当効くなぁと。そういうところでどんどん使ってもらいたいなと思います。あんまり商品について説明すべきではありませんが。

研究者の成果はコロナに対してどう作用するか?

大久保:それで今はコロナですね。これはちょっと資料が古くて、当時の名称である新型肺炎と書かれていますが、武漢が槍玉に挙げられていた時期ですね。もう今は世界中に広まっているんですけれども。作ったのは2月くらいですので、感染状況が左下のようになってるんですけど。

実は、A2Careはコロナウイルスに対してけっこう効きます。大学の中で実際にコロナウイルスを取り寄せて調べることもやってまして。コロナウイルスって別に今生まれてきたわけじゃなくてですね。10年くらい前から話題になってて、MERSとかSARSとか。そういう名前で呼ばれてたんですけども。そういうものに完全に効きます。

1分間浸すだけで98パーセントのウイルスが完全に死にます。それどころか肝炎のウイルスとかデングウイルス、これらは熱帯の地方のウイルスですけれども。そういった種類のウイルスにも完全に効きます。けっこういろんなウイルスに対してほぼ完全に除去できることがわかっています。

今新型コロナはカラムには入れてないですけど、それも実際に効くということで6月に新聞発表しています。今日本ではあんまり除菌剤を道路で噴霧とかしないですけど、海外のニュースとか見るとけっこう噴霧してるんです。あれは次亜塩素酸を使っているんですけれども、実はこの二酸化塩素のほうが効く。低い濃度でも効きます。

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