2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
New Normal×Payment(全1記事)
提供:LINE株式会社
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長福久弘氏:LINE Payの長福と申します。Paymentもコミュニケーションの1つの形として、ここ数ヶ月で大きく変容を遂げようとしています。
昨年、日本のキャッシュレス比率は26.8パーセントとなり、中でもQRコード決済は、昨年対比で6倍成長と、スマホ決済は確実に生活に浸透してきております。大手スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどは、ほぼすべてがキャッシュレス対応となり、スマホ決済に関してもだいぶ使えるようになってきました。
残る中小店舗やSMB(Small and Medium Businesses)についても、今年の6月まで実施されていた消費者還元事業後には、当初の導入率約27パーセントから36パーセントまで進んだと言われております。
全体的なキャッシュレス比率は上がってきましたが、国内事業者の90パーセント以上がSMBだと言われている日本で、全国区で利用が進んだかと言うと、まだ都道府県によってばらつきがあるのも現状です。
私たちLINE Payは2018年に行われたカンファレンスにて、”Payment Revolution”(ペイメントレボリューション)戦略を打ち出し、SMBへのキャッシュレス導入に注力してきました。初期費用0円、決済手数料0パーセントをいち早く発表し、マーケットに対してやらない理由の排除を行ってきました。
しかしそれだけでは、諸外国に比べてキャッシュレス化が遅れている日本が抱える本質的な課題を解決できていないという、漠然とした思いを持っていました。
そんなとき新型コロナウイルスが発生しました。感染拡大による緊急事態宣言の発令によってキャッシュレスの登場人物である、お店・消費者それぞれに大きな変化が起こりました。
本日のテーマであるPaymentにおける「Tomorrow’s New Normal」を表すキーワードは「非接触」です。
これまで国外での急速なキャッシュレス化、スマホ決済の普及を横目に、国内ではなぜキャッシュレス化するのか、それは必要かという議論が、幾度となく行われている状況でした。私もメディアを含めたくさんの方から、キャッシュレス化の是非を問うご質問を多くいただきました。
しかし、このコロナ禍で現金を取り扱うことへの危機感が急激に発生し、「非接触」という言葉が重要なキーワードとなっています。
これまで私たち決済事業者は、生活者にとって直感的でわかりやすいキャッシュレスのメリット=「お得」のイメージ作りと、一度体験したら戻れない利便性を強調してきました。キャッシュレス戦争を振り返ってみると、生活者にとってキャッシュレス化する意義は、「お得で便利」以上でも以下でもなく、他国のように生活課題を解決する必然ではなかったのです。
しかし、コロナ禍によって”現金=衛生的ではない”、”やりとりしないほうがいいもの”という新しいインサイトが日本にも生まれ、生活者にとってキャッシュレスはお得で便利なだけではなく、衛生的で健康を守るものに変わりました。
事業者にとってのキャッシュレスも、人手不足の解消を背景としたレジの効率化や決済データを元にした販促といった企業目線だけでなく、顧客ニーズに応える事業継続のための必須事項になってきていると感じています。
こちらの4月に当社が行った加盟店アンケートでも、70パーセント以上の加盟店が「非常に大きな影響がある」と回答。30パーセント弱が「事業継続ができない・すでに廃業、閉店した」と回答をしています。
この状況を目の当たりにし、このままだと日本のキャッシュレス化のカギであるSMB領域が特に大打撃を受けると思い、私たちにできることを考え始めました。
その中で、加盟店支援施策として大きく2つの施策を実施しました。4月に加盟店向けの有料サービスである「入金申請」を一時的に無料化。LINE Payでの売上金をすぐに現金化しやすくしました。
施策開始直後から多くの申請が発生し、初日には実施前の約5倍。最も多い日で約12倍の申請があり、加盟店のキャッシュフロー改善に少しでも貢献できたと思っております。
次に、6月より全加盟店を対象に基本の精算サイクルを短縮しました。月末締め翌月末入金から翌月3営業日入金とし、最大で1ヶ月程度早く売上金を受け取れるようにしました。
またオフライン店舗では”ソーシャルディスタンス”が叫ばれ、非対面ビジネスへの移行、オンライン化への需要が一気に広がりました。このタイミングでECサイトを立ち上げる加盟店さまもいましたが、加盟店の需要の本質としては「もっと早く困難な状況下でも簡易的に売り上げが上がる、売り上げが作れる仕組みが欲しい」といったものでした。
そこで私たちは、加盟店が簡単に決済用のURL・リンクを生成可能な「LINE Pay 支払いリンク」機能のプロトタイプ版を7月にローンチしました。
加盟店さまへご案内したところ、すでに1,000件を超える申請があり、予想を上回る反響をいただいています。LINE Pay支払いリンクは、LINE公式アカウント等で加盟店と顧客が(商品やサービスに関して)やりとりする中で、加盟店が決済ページへのリンク(URL)を生成し、顧客に送れるようになる機能です。
(決済完了後)入金確認もすぐにできますので、その後の商品やサービスの提供も大変クイックに行っていただけます。LINEのトーク上で決済まで提供することはこれまでも物理的には可能でしたが、SMBや個人経営の方が実装するには技術的にも費用的にも難しい状況となっていました。
この「支払いリンク」は開発なしで簡単に使える機能ですので、多くの事業者さま、特に簡易的な通販、デリバリー、テイクアウトの事前決済や、オンラインレッスンなどで便利にお使いいただけると想定しています。
現在プロトタイプでの提供ですが、11月に正式サービスローンチとしてLINE公式アカウントの管理画面からもURLが生成できるようになります。
プロトタイプ版をいち早く導入いただいた加盟店さまの声をまとめたビデオを作成しましたので、どうぞご覧ください。
(映像流れる)
イメージいただけましたでしょうか。簡単で速いだけではなく、対面接客と同じような感覚でビジネスに利用いただけるサービスです。LINEの強みであるコミュニケーションと、LINE Payの決済を掛け合わせたLINEらしいサービスだと思っています。
これからのビジネスはDX。DXを推進するうえでキャッシュレス化は大前提となります。時代の変化に対応し、顧客とうまくコミュニケーションをとれる企業・店舗だけが生き残れる時代だと思います。LINE公式アカウントとLINE Payを併せてご利用いただくことで、接客から決済まで一気通貫で行うことが可能になります。
新しいビジネスが創出できるようなプラットフォームになるべく、日々改良を行っていますのでどうぞご期待ください。
なお、この「支払いリンク」機能はプリントQR(印刷した決済用QRコードを掲出し決済を行うサービス)同様、2021年7月まで手数料0パーセントでお使いいただけます。正式版のリリース日程や詳細は改めてご案内します。
ここまで説明してきたように、加盟店サイドはますますリアルとオンラインの垣根がなくなっていきます。キャッシュレス決済は、今まで以上に「非接触」であることを期待されています。
(スライドを指して)こちらは紙の請求書や払込書をLINE Payのコードリーダーで読み込んで料金を支払える「請求書支払い」サービスの決済推移です。自動車税シーズンの需要や、在宅時間増加の影響から4月・5月は、前月から約40パーセントずつ利用者数が増加し続けました。
対応請求書の拡大が好調なこともあり、5月の利用は前年同月比310パーセントと急成長しました。対応請求書は今月1日(2020年9月1日)時点で、全国の自治体・民間合わせて約1,700団体、公共料金で300団体以上、税金や料金関連が375団体まで広がっています。
大変ニーズが広がっている「請求書支払い」サービスですが、さらにその先を行く取り組みとして、東京ガスさまと提携し、来年春ごろにはガス料金の払込書をLINEでの通知に置き換えられるようにします。これは業界初の取り組みとなる予定です。
この実現により、時間や場所を問わず料金が支払えるだけではなく、不要な外出も控えられ、さらに払込書のバーコードを読み込む手間もなくなります。また、料金通知も支払いのリマインドもLINE上で行いますので、ペーパーレスが実現できます。
請求金額の通知・支払い・未払い時のリマインド・支払い履歴確認・家計簿サービスとの連携の流れが、すべてLINE上でシームレスにつながりますので、現在紙の払込書でお支払いをしているユーザーの利便性が飛躍的に向上できます。
そしてLINE Payは、さらに「非接触」を強化します。ついに、Apple Payにも対応します。すでにAndroidユーザーはGoogle Payを使ってかざして支払うことが可能になっていますが、さらに非接触型決済の強化策としてApple Payにも対応します。これにより、iPhoneやApple Watchなどでもかざすだけで支払うことが可能となります。
これでLINE Payは、コード決済、クレジットカード、プリペイドカード、端末をかざしての決済など、現在普及しているすべての決済手段に対応することになり、サービス当初から描いていた決済プラットフォームが完成します。
今年4月の3パーセントの高還元カード「Visa LINE Payクレジットカード」提供開始を皮切りに、5月以降毎月最高GMV(流通取引総額)を更新し、1人当たりの決済額・回数も上昇しています。
この要因として、クレジットカードによる新規ユーザーの獲得、カードを紐付けて後払いが可能になる「チャージ&ペイ」機能や、「LINEポイントクラブ」の特典として提供しているLINE Pay支払いで利用可能な「特典クーポン」など、さまざまな施策が功を奏しています。
また、LINE Payはペイメントプラットフォームとして次々とアライアンスを拡大し、現在の決済可能箇所は全世界6,000万店舗以上、9,000万以上での決済利用が可能となってきています。
またオフラインだけでなく、オンラインでのLINE Pay導入や、公共料金等の払込書に対応する「請求書支払い」でも対応箇所が拡大しています。今後は(前述の)「支払いリンク」機能で中小店舗やフリーランス等の支払いニーズにも対応し、LINE Pay決済をさらに普及させていきます。
ここで私たちの戦略をフェーズごとに整理しご説明します。LINE Pay1.0フェーズでは、決済可能箇所の拡大を第一目標に、どこでも支払い可能な環境整備を行ってきました。
LINE Pay2.0フェーズでは、決済箇所の広がりとともに、企業や店舗のLINE公式アカウントとLINE Payの連携によるマーケティングソリューションとしての決済サービスを目指してきました。
そして今後LINE Payは、LINE Pay3.0フェーズに向かいます。LINE Pay3.0は、本人確認機能を活用する決済プラットフォームの特性を生かし、公共性の高い認証ツールになることを目指します。非接触への注目やDX推進といった背景が後押しとなり、キャッシュレス化・オンライン化は今年以降も急速に進むことは間違いありません。
今までご説明してきたように、「New Normal」な生活に合ったキャッシュレス化・オンライン化は利便性というメリットもありますが、急速に利用が拡大することによる弊害やリスク、問題が発生することも宿命と言えます。
顔の見える対面ではなく非対面・非接触だからこそ、物やサービスとお金をやりとりするうえで相手への信用がより一層重要な世の中になってきます。その信用こそが安心・安全な取引を成立させるものだと思っています。そのキーとなるのが本人確認です。
さまざまな本人確認スキームの中でも注目されているのがeKYCです。LINE Payはサービス開始当初から安全な送金や出金のために本人確認を推進してきました。
eKYC(electronic Know Your Customer)とは、サービスの利用申請を行った人が本人かどうかをオンラインのみで確認できるサービスです。窓口にわざわざ行かなくても電話や郵送物での確認をしなくても、お手元のスマホ操作のみで完結できる非常に便利な本人確認手段です。
LINE Payでは、昨年よりこのeKYCを本人確認手段として導入し、運用実績を蓄積してきました。現在では、LINEポケットマネーなどのLINEのファミリーサービスにもこのスキームを提供しています。
これまでの金融サービスがなかなか普及しにくかった原因の1つとして、申し込み時のハードルの高さが挙げられると思います。お金にまつわることなので、簡単だけが正しい選択とは決して思いませんが、サービスを受けるため、口座を開くためにいくつもの書類と何日もの日数がかかるのが現実でした。
LINE Payは店舗等でのさまざまな決済手段に加え、CtoC・BtoC・GtoC取引におけるペイメントを今後さらに強化すると共に、LINE Payの本人確認情報を増やしていきます。
LINE Pay3.0で重要となるのが”LINE ID Passport構想”です。一度LINE Pay内で本人確認をしたら、その情報がパスポートのような機能を果たし、他のLINEファミリーサービスを使い始めるときに、スムーズな本人確認が可能となります。
さらに、将来的には外部企業との連携を進め、LINE ID Passportを導入する企業のサービスでも、パスポートのように“本人である”と信用が担保される、次世代の本人確認サービスとなっていく予定です。
現在本人確認が最も必要とされる金融領域だけではなく、今後は、民泊などのシェアリングエコノミー市場、短期バイトやクラウドソーシング、エンタメ領域でのチケット販売やリセール、飲食店の予約など多くの本人確認ニーズが発生するとみています。
また、自治体や公共領域でも証明書発行や給付金申請だけではなく、公共施設の予約、子育て関連での申請など、支払いを伴うさまざまな申請においてLINE Payの本人確認機能を活用いただけるポテンシャルがあると考えています。
これまでさまざまな国の支援ならびに”キャッシュレス戦争””還元合戦”などと言われるほど、熾烈な事業者同士の戦いにより、日本のキャッシュレス業界は大きく成長しました。
政府の掲げる2025年までに40パーセントという普及目標は、前倒しで達成しそうな勢いです。キャッシュレスもDX同様に、キャッシュレス化することが目的ではなく、世の中をより良くしていくことが目的だと考えます。
LINE Payはこれからも、ユーザー・加盟店のために本質的価値を提供するサービスとして成長していきます。これからのLINE Payに引き続きご期待ください。本日はありがとうございました。
LINE株式会社
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