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イベントテック事業戦略説明会(全2記事)

2020.10.08

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Sansanが新たなイベントテック事業を発表 オンラインイベントでの「つながり」の課題解決へ

提供:Sansan株式会社

Sansan株式会社は、2020年10月8日(木)に「Event Tech事業戦略説明会」を開催し、イベントテック事業における強みと新サービスを発表しました。新型コロナによってニーズが増したオンラインイベントの課題を解決するイベントテック事業の戦略を解説しています。本パートではイベントテックが日本で広がりにくい理由や、事業の重要性、強化を図る目的などについて明かされました。

Sansanが挑むイベントテック事業の新展開

寺田親弘氏:Sansanの寺田です。オンラインではありますが、当社のイベントテック事業戦略説明会にお集まりいただき誠にありがとうございます。本日は、当社の新しい事業展開についてお話したいと思います。

改めまして、当社は「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げ、人と人の出会いからビジネスを後押しし、イノベーションを起こそうとしている会社です。

ビジネスの出会いのシーンで交換する名刺。この出会いの証とも言える名刺を軸に、法人向けクラウド名刺管理サービスSansanと個人向け名刺アプリ「Eight」を提供しています。創業当初から提供している法人向けのSansanは、名刺管理を入り口に企業の働き方を変えていこうというもの。

契約数は2020年5月末時点で約6,700件。私たち自身の手でこれまでなかった新しい市場を作り上げ、現在ではたくさんの企業様にご活用いただいております。また最近では、Sansanに蓄積した出会いのデータを外部のサービスと連携させ、新たな価値を生み出すSansan Plusという取り組みも開始しました。

他方、2012年から提供している個人向け名刺アプリ「Eight」は、名刺管理機能だけでなくビジネスSNSの要素も取り入れ、日本にはこれまでなかったビジネスSNSという存在として、270万を超えるユーザーに日々ご利用いただいております。

そして、オンライン名刺。業務がオンラインにシフトする中でも、これまでと変わらず名刺交換ができます。SansanとEightの両方でオンライン名刺のURLを発行でき、誰とでもオンライン名刺交換が可能です。

このように、出会いの証とも言える名刺からどれだけの価値を生み出せるか? それが我々がこれまで向き合ってきたことです。そして本日ご紹介するのは、1年以上前から徐々に仕掛けてきた「出会いからイノベーションを生み出す当社」の新しい展開。「イベントテック」についてお話したいと思います。

一口にイベントと言っても、ライブやお祭りなどのエンターテインメント向けのものではなく、展示会やビジネスカンファレンスなど、企業向けイベントのことを指しています。この「イベント」を変えていくテクノロジー、「イベントテック」についてお伝えします。 

その前に、出会いというものの重要性について少しお話させてください。新しい文化も新しいビジネスも、人と人が出会わなければ生まれない。あらゆるイノベーションは人と人の出会いから始まります。

例えば、みなさんのお手元にあるパソコンやスマートフォン。誰か一人の手によって作られたものではありません。誰かと誰かが出会い、その出会いの連鎖によって生まれてきた。もしも、その最初の出会いがなかったらどうなっていたのか?

今では当たり前となったさまざまなイノベーション。そのどれもが出会いによって生まれてきたのです。そして、ことBtoBビジネスの領域においては、出会いの場は必須のものです。

展示会や大規模なカンファレンス、小規模のセミナーなど、本日の発表会もそうだと思いますが、人と人が出会う場所として、こういったものがなければビジネスは成り立ちません。しかし、この「出会いの場」、イノベーションを必要としている部分が山ほどあります。

オンライン化で生まれた課題を解決へ

例えば、ビックサイトなどで行われる大規模な展示会。長蛇の列に並んで受付で名刺を出し、会場に入ったあとは誰が誰だかわからないままに声を掛けあって名刺交換をする。せっかく時間を調整して行ったのに、限られた時間では目的の情報を得られなかったということもある。多少の変化はあれど20年前と大きく変わっていないのです。

出会いの証である名刺に向き合ってきた我々だからこそ、その名刺を使う場所である「出会いの場」、ここにイノベーションが必要だと感じています。テクノロジーの力でこの「出会いの場」をより良いものにしていけるよう、1年以上前から少しずつ準備をしてまいりました。

そんな中、イベント領域を大きく変えたwithコロナという新しい時代。期せずしてオンライン化は急激に進みましたが、同時にたくさんの課題も生まれました。参加者側からすると、どこでどのようなイベントが行われているのか、情報のキャッチアップが難しくなっていたり、会った人の印象が薄く新しい出会いが生まれづらい。また、交流を通じた知識の共有などもできなくなってしまっています。

そして、主催者側から見ると参加者の情報を正確に取れない。参加者をつなげるネットワーキングがうまくいかない。手間がかかった割に成果が出づらいなど、カンファレンスやセミナーを成功させることが難しくなっています。

このように、オフラインイベントでもさまざまな課題があった中で、急激にオンライン化されたことにより、新たな課題も次々に生まれています。これらを解決すべく、当社はこのイベントテック領域に向き合ってきました。

例えば、5,000名規模の自社イベントの実施やイベントテック企業への投資、企業の子会社化。また、今回発表するイベントテックサービスの開発などです。

今回発表するイベントテックにより、ビジネスの出会いがより身近でよりスマートになる。そのような世界を実現していきたいと考えています。具体的な戦略部分と今回発表するサービスについて、当社CFOの橋本と新規事業開発を担当する林からご説明します。

イベント運営の悩みを解決する「イベントテック」

橋本宗之氏:みなさん、初めまして。CFOの橋本です。私からはイベントテックの事業戦略についてお話いたします。

先ほど寺田から簡単にオフライン・オンラインのイベント運営に対する課題などの説明もありましたが、私からはそもそもイベントテックとはどういったものなのか、またイベントにまつわる課題は、具体的にどのようなものなのか。そして、当社が展開するイベントテックの取り組みについて、ご紹介します。

まずは、イベントテックについて。イベントテックとは、まだ日本では馴染みのない言葉ですが、イベントの準備から開催、またその後において、運営の効率化、参加者の満足度向上、そして効果の最大化を図るために、テクノロジーを用いて、イベント運営にまつわる課題を解決するためのソリューションと捉えています。

イベントテックにはさまざまなものがありますが、一部のものを簡単に紹介すると、例えば、イベントに関わるものを総合的に管理するイベント管理ソフトウェア。急速に増えつつあるオンラインイベントであれば、動画配信サービスなどとの連携も求められます。Webから参加者が登録を行ったり、その登録者情報を管理する登録受付システム。参加者のネットワーキングを支援するシステムや、開催後のアンケートシステムなどが挙げられます。

ではなぜ、イベントテックが必要なのか。開催前、開催中、開催後の3つのプロセスに分けて、イベントの開催にまつわる課題をご紹介します。

まず、開催前です。主催者は参加者を集客するため、イベントの告知をしなければなりません。従来の集客活動は、印刷や郵送サービスを使ったアナログなものがほとんどでした。例えばイベントの告知がDMで送られてくる。参加申し込み書はFaxで送らなければいけない。古くからの集客活動は今でも主流であり、大きくは変わっていません。そのため、集めた参加者の情報はExcelや紙で管理し、出席者リストを作るだけでも手間が掛かっていました。

そういった課題はオンラインイベントでも変わっていません。参加者にとってWebフォームでの情報入力は手間であり、省略した情報や間違った情報を入力するケースが多く発生しています。つまり、マーケティングに必要な正確な見込み顧客の情報が集まらず、せっかくのイベントが効果的なマーケティング施策につながらないこともありました。

イベントテックの重要度・存在感は増加傾向

次に開催中です。特に、大きなイベントでは受付に時間がかかります。さらに、目的の展示ブースがどこにあるかわからない。見つかったとしても担当が不在で話ができない。そういった課題はよくあることです。

また、オンラインイベントにおいても、参加者同士が交流できない。商談につながらない。そういった課題があります。名刺交換ができないため、他の参加者同士がどんな属性の人かわからず、積極的な交流や商談がしづらい状況になっているのです。

そしてイベント開催後ですが、アンケートを紙で取得したものの、記入者の情報に不備があり使えないアンケート結果となってしまうことも多くありました。また、そもそも参加者の情報を正しく取得していない場合や紙などのアナログなもので管理している場合では、参加者のデータを効果的に活用することができません。

オンラインのイベントでも同様です。デジタル化したアンケートでも情報に不備があったり、統合的に管理されていなければ、自社の顧客データベースと紐づけることは難しい。そのため、せっかく参加者の声を集めてもマーケティング施策への活用ができないなど、イベントの効果を最大化できない要因となってしまいます。

一方、海外ではコロナ禍以前からこのイベントテックが大きな盛り上がりを見せています。例えばコロナ前においても、イベント管理ソフトウェア市場は全世界で5,000億円の規模があると言われています。

Cvent(シーベント)、Bizzabo(ビザボ)といったイベント管理ソリューションをはじめ、数々のプレイヤーがイベントテック市場で急成長を遂げています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、世界的にイベントがオンラインへ移行し、イベントテック自体の重要度、存在感は増しています。

イベントテックが日本で広がりにくい理由

「イベントテック」という名称自体あまり聞き慣れない通り、日本国内ではまだその市場が確立されておらず、いわば空白です。先ほどあげた海外のプレイヤーは、どの企業も日本市場への参入を果たせておらず、いまだ国内企業はイベントテックの恩恵を受けることができていません。

これは、イベントが持つローカル性、独特の文化や、日本国内のデジタルトランスフォーメーションの遅れなどが一因であると考えられます。

例えば、アメリカであれば国土が広いこともあり、もともとオンラインでの交流も一般的でした。イベントの参加者についても遠方から来る人が多いため、街を1週間ジャックして自社の展示会を行ったり、1日中歩き回っても全ブースを回りきれないような大規模なイベントを行うなど、出張を伴うものとして開催することや、そもそもオンラインでやってしまおうということも多くあります。

その点、日本では対面での交流を大切にする文化が根強いことから、懇親会を重要視したり、土地の狭さを補うために限られたスペースの中にコンテンツを凝縮したりと、海外のイベントスタイルとは大きく異なります。このように、イベントは土地柄や商習慣の面でローカル性の強いものでもあり、海外企業にとっての参入障壁になっていると考えられます。

振り返ると当社自身、2016年ごろよりマーケティング活動におけるオフラインイベントを強化する中で、イベントテックの必要性を強く感じてきました。

そうした中、2019年初頭より、出会いの場をより良いものにするため、イベントテック参入に向け、本格的にその準備を行って参りました。1つずつご説明いたします。

まずはイベントの主催です。もともとオフラインでリッチな出会いの場を提供し、ビジネスの交流を後押ししていた当社は、2016年から「Sansan Innovation Project」という大型のオフラインイベントを開催していました。

自社のマーケティングのための自社開催イベントですが、その開催規模は年を追うごとに大きくなり、2016年は1,000名、2018年は3,000名、そして2019年には5,000名の規模になりました。手前味噌ですが、各社からB2B企業のイベントとして参考にしたいと問い合わせをいただくことも多くなりました。

自社のマーケティング目的ではなく、顧客企業のための事業としてイベント領域に携わったのは、2019年。Eightのネットワークを活用した新しいビジネスマッチングイベント「meets」が初となります。現在コロナの影響でオンライン開催に移行していますが、Eightの大きな収益の柱となっています。

今年に入り、コロナ禍で大規模なオフラインイベントは行えなくなりましたが、「Sansan Evolution Week」という5日間に渡るオンラインイベントを実施し、6,000名を超える参加者、3,000回を超えるオンライン名刺交換を達成するなど、オンラインの波を捉えながらイベントの開催を行ってきました。

積極的にイベントテック事業を強化

また10月28日には、1,500名規模を予定しているSansanのユーザー向けオンラインイベント「Sansan Innovation Summit 2020」を開催予定です。1,500名の参加者全員が、オンライン名刺を設定した状態で参加するまったく新しいイベントです。イベントテックの柱とも言える、名刺を使ったスマートなエントリー機能での参加登録が可能です。

さらに11月には1万人規模を予定しているテレビ東京と幻冬舎、そしてEightによる合同開催の大型オンラインイベント「Climbers」も計画中です。

そして、イベントテックへの投資、自社開発。この領域において、外部企業との連携も積極的に行ってきました。昨年、セミナーやイベントの満足度調査などに利用するアンケートサービスのCreative Surveyへの出資を行いました。

その後、イベントプラットフォームであるイベントハブへの出資を行い、関連会社としています。そして2020年8月には、セミナーやイベントの書き起こしメディア「ログミー株式会社」を当社のグループに迎え入れました。

また、今年の当社の株主総会では、会社の定款変更も行い、その事業目的に「イベントの企画及び実施、並びに関連するサービスの提供」と「業務のデジタル化支援サービスの提供」という2つを加えて、イベントテックへの参入を株主のみなさまにもご承認いただきました。

そしてつい先日、名刺を使って正確で簡単にイベントへの参加登録を実現する自社開発の「Smart Entry」をリリースしました。このように、オンラインとオフラインを問わずイベントテックの展開に向け、自社開発と外部企業との連携の両軸で準備を整えてきました。その提供価値をポートフォリオにまとめるとこのようになります。

順を追って説明します。

イベントプラットフォーム「EventHub」

まずイベント開催前から、開催後まで管理、運営の基盤になるのが当社の関連会社「EventHub(イベントハブ)」のシステムです。EventHubは、イベント主催者・参加企業同士のコミュニケーションを促進し、イベントマーケティングの効果を高めるイベント管理システムです。

イベントのチケット販売から、参加者の登録管理など、イベント運営に必要な機能が提供されており、イベント運営を効率化することができます。また、マーケティングオートメーションや、SFA・営業支援ツールとも連携することができ、イベント後の営業活動に効果的につなげることができます。

続いて、開催前の部分からご説明していきますが、イベント企画を立ち上げたのち、その情報を拡散し集客に活用できるのが、Eightの広告ソリューション「Eight Ads」です。

270万のEightユーザーのうち、そのイベントに最適なビジネスセグメントにイベントの案内を出すことができ、イベント主催者や参加企業のために必要な参加者を集めることができます。

次にSmart Entryは、先月の9月24日に発表した新世代のエントリーフォームです。これまで、参加者の登録は、自身の名刺情報を手入力したり、イベントの受付で名刺を渡す。そんなアナログな体験を強いていました。

Smart Entryを活用することにより、参加者は、スマホカメラでQRコードを読み取るだけで、名刺情報を使ってイベントへのエントリーが可能になります。こちらについての詳細な説明は、後ほど、林より差し上げます。

開催イベントが多くの人に届く「ログミー」の参画

続いて開催中ですが、コロナ禍でオンラインのイベントが中心となった中、みなさんが困っているのが参加者同士の交流です。当社が提供しているオンライン名刺を活用することにより、その課題も解決されます。

オンライン名刺は、法人向けSansan、個人向けEight、両サービスで提供している機能です。Sansan、Eightのユーザーは、オンラインの名刺を持つことができ、専用のURLリンクを送り合うことでオンライン名刺交換をすることができます。

また、先ほど紹介したイベントハブとも連携をしており、よりシームレスにオンライン名刺交換をすることが可能です。そして、開催後にもポートフォリオは続きます。

参加者の声を正確に集め、満足度や次のイベントに生かすための改善点をしっかりと集める必要があります。この参加者の声を優れたUXで回収することができるのが、当社が出資しているCreative Surveyです。参加者の声は、主催者や参加企業へのフィードバックに必要な重要な要素です。

さらに、イベント内容は参加者だけに留めず、イベントに参加できなかった人々へも提供するべきです。当社グループに参画した書き起こしメディアのログミーは、その書き起こし記事のノウハウで、ビジネス系イベント、テック系イベント、IR系イベントにおいて、読みやすい書き起こし記事を作り、提供しています。

このログミーにより、イベントコンテンツはオンライン上でストックされ、多くの人に届くようになります。

そして、参加者の情報は、すべてクラウド名刺管理サービスのSansanで管理・共有することが可能です。紙の名刺情報やオンライン名刺情報が正確に蓄積され、企業のデータベースとなります。

それらのデータベースをイベント後の営業・マーケティング活動に有効に活用することが、イベントや展示会の本来の意義であり、最終的に我々が、このイベントテック領域において顧客企業にもたらすことができる価値となります。

このように、既存サービスや出資先のサービスにより、大きなポートフォリオを描くことができました。そして、今回新たに2つのサービスを発表し、この事業展開を加速していこうと考えています。

「Sansan Seminar Manager」は、イベントハブと同様にイベント管理のためのシステムですが「セミナー」に特化して、運営を支援します。これを我々の新しいSaaSのプロダクトとして、SansanとEight、双方の法人顧客に対して販売をしていきます。

また、「Eight ONAIR」はこのオンライン化時代にふさわしい、新しいイベントとの出会いの形です。イベントやセミナーが変わっていく時代だからこそ、よりスムーズに最適なイベントと出会える、そんな体験を提供していきたいと考えています。

本日発表するこの2つのサービスについて、このあと新規事業開発室の林よりご紹介いたしますが、イベントテックの柱ともいえる、先日発表したSmart Entryについても、改めて詳細をお伝えしようと思います。

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