2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
New Normal×Food(全1記事)
提供:LINE株式会社
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藤井英雄氏:みなさん、こんにちは。出前館・代表取締役社長の藤井と申します。ここから、ニューノーマルにおける出前館の事業戦略についてお話ししますが、ちょうどお昼の時間なので、本日はみなさまに出前館をご利用いただきながら、私のセッションを聞いていただきたいと思っております。
まず最初に、出前館とLINEの今までの取り組みと、現在に至るまでの流れをご説明させていただきたいと思います。
2016年5月に業務提供を発表。その年の10月に資本業務提携をしまして、LINEは40億円で出前館の全株式の20パーセントを取得しました。そして2017年7月には出前館のシステムと連携して、LINE上でデリバリーの注文が可能な「LINEデリマ」をリリースしました。
LINEデリマはわずか1年で会員登録数650万人を超えて、出前館では取り込めていなかった若年層の女性ユーザーを取り込むなど、大きな成果を出しました。出前館とLINEのさらなるシナジーを発揮するために今年3月、LINEグループは出前館に300億円の出資を行ってグループに迎え入れ、2社の関係性がさらに強固なものになりました。
現在、LINEではエンタメや金融など幅広い領域で事業を展開していますが、その中でもO2O領域として、出前館を注力事業と位置づけています。
ここからは出前館について、説明させていただきたいと思います。出前館は2000年にサービスを開始しまして、その後2017年に飲食店の代わりに配送を代行する「シェアリングデリバリー®」のサービス、さらにクラウドキッチン事業の「インキュベーションキッチン®」をそれぞれスタートさせました。現在は、国内最大規模のオンラインフードデリバリーサービスになっています。
出前館に出店している加盟店は、出前館という新たな送客チャネルを得ることができ、ユーザーはアプリやWebを通じて豊富な飲食店・メニューの中から、その日の気分にあった料理と出会うことができます。また食事は、最短20分でお届けすることが可能です。
加盟店舗数は3万店舗を超えていて、多くの有名チェーン店に加盟いただいています。また魅力的な新規加盟チェーンも続々と決まっていて、さらにユーザーの選択肢が増えていきます。出前館といえばチェーン店中心というイメージも強いかもしれませんが、実は地域の人気店にもたくさん出店いただいています。日本中の地域に根差した飲食店の獲得にも、今後さらに注力していきます。
ここからは今年のテーマである「New Normal×Food」について、出前館の戦略をお話しさせていただきたいと思います。
まず世界を見てみると、フードデリバリー業界の統廃合が加速しています。最近ではUSでJust Eat Takeaway.comによるGrubhubの買収提案や、お隣の韓国でもDelivery Heroによる「配達の民族」の買収といった動きがありました。日本においても、海外勢のUber EatsやWolt、国内勢のmenuなど新規参入が相次ぎ、マーケットの競争が激化しております。
こちらのグラフをご覧ください。コロナ禍以前の、世界各国の飲食市場に占めるフードデリバリーの比率を示しています。ご覧のとおり、韓国や中国、欧米と比較すると、日本のフードデリバリーの比率は非常に低いことがわかります。しかしみなさんも感じているように、コロナ禍が日本の市場にも大きな変化をもたらしています。
在宅勤務へのシフトにより市街地の人出が減少して、それに伴い外食する機会や、大勢で飲み会をすることが減りました。その代わりに、自宅で食事をとる機会が増加しています。また、コロナの感染者数が増加している地域では、営業時間の自粛要請や、ソーシャルディスタンスを保つために座席数の削減が余儀なくされています。
そうした流れにより飲食店、そしてユーザーも、店内飲食からデリバリーやテイクアウトにシフトしていきました。その証拠に、緊急事態宣言の期間中は出前館の利用も非常に伸びました。前年と比較して新規登録店舗数で447パーセント、新規会員登録数で453パーセントも伸びました。またユーザーアンケートによると、テレワーク中の食事で約7割の方が「デリバリーを利用した」と回答しました。
このようにコロナウイルスの出現により生活様式が変化して、フードデリバリーがニューノーマルになってきています。そして我々は、このニューノーマル時代のデリバリーに求められるものは「日常化」だと考えています。
ここで、日常化に向けた取り組みを2つのポイントからご説明します。1つ目はサービスの拡大です。日本の都市部でも地方でも料理のラインナップを充実させて、その日の気分に合った料理を食べられるようにしていくこと。もちろんプロダクトも、日常化に応じたレコメンデーションの機能など、便利にしていく必要があります。もう1つは配送品質の向上です。我々の運ぶものは料理ですので、作られたままの状態で清潔、そして安全にお届けする義務があると考えています。
まずはサービスの拡大についてお話しいたしますが、その前に、出前館のビジネススキームの話を少しさせていただきたいと思っています。スキームの1つ目は、出前館で注文を受けて、店舗の配送員が配達するモデルです。我々はこのモデルのことを「自配モデル」と呼んでいます。
もう1つは我々が「シェアリングデリバリー®」と呼んでいる、配送代行をするモデルです。出前館に注文が入ると、飲食店が料理を作って、出前館の配送員が飲食店に代わってお客様へ配送するモデルです。このモデルにより飲食店は、配送員を雇用することなくデリバリーを始めることができます。
この2つのモデルを比較すると、配送代行のシェアリングデリバリー®が圧倒的に伸びています。取扱高の推移を見ると、コロナ禍の影響が大きかった4月から6月では、昨年対比で約400パーセント伸びました。まさにシェアリングデリバリー®が出前館の成長を牽引していると言っても、過言ではありません。
また、この2つのスキームをマーケットの規模の観点で比較してみると、日本の飲食店で自分で配送員を抱えている店舗が3万店舗なのに対して、配送員を抱えていない店舗は60万店舗あり、店舗数の規模で20倍の差があります。これら60万店舗を獲得するために、シェアリングデリバリー®を今後さらに拡大・強化していきます。
こちらのグラフは配送拠点の拡大の推移ですが、シェアリングデリバリー®の拡大には配送エリアの拡大が欠かせません。現在384拠点ですが、今後1年で150拠点強のオープンを予定していて、急激に配送エリアが拡大していく予定です。
こちらの4,200万というのは、どのような数字かわかるでしょうか。答えは「2021年にシェアリングデリバリー®を利用可能なエリアの人口」になります。日本は1億人以上の人口ですのでまだまだ拡大の余地がありますが、来年には多くの地方都市でもシェアリングデリバリー®が利用可能になります。
また、出前館の加盟店舗数はすでに3万店を超えていますが、2022年には10万店舗を超える計画をしております。そうすることでデリバリーの日常化が、都市部だけではなくて地方都市でも、非常に近づいていくと考えています。
もう1つのニューノーマルに向けた出前館の取り組み、配送品質の向上についてお話しします。出前館では料理人が作った大切な料理を、最後にお届けするまで責任を持つというところにこだわっています。そもそもユーザーが求める配送品質とは何でしょうか。我々は2万5,000人以上のユーザーアンケートをもとに、配送品質を定義しました。
そしてユーザーアンケートの結果、このような3つに定義しました。1つ目は「料理ができたてのまま、崩れずに届くこと」。2つ目は「配送時間の正確性」。時間に関しては早く届くよりも、表示している時間通りに届くということが、圧倒的に支持されていました。3つ目は「配送スタッフの身なりが清潔なこと」です。
これらの配送品質を実現するために、まずは配送員の教育や育成。そしてプロダクトへの反映、例えば配送員と店舗をマッチングするシステムの精度をアップしていきます。最後に資材のアップデートということで、ユニフォームや配送資材を常に清潔に保っていきます。
出前館は新たなチャレンジもしていきます。「日常化」が今後のデリバリー拡大のキーポイントとお話ししましたが、特別なシーンに使っていただける取り組みもスタートしています。
1つ目の取り組みは、クラウドキッチンの展開です。クラウドキッチンとは、複数の飲食店の調理を1つのキッチンで行うビジネスモデルのことです。出前館ではインキュベーションキッチン事業にて、予約の取れない有名店とコラボして、シェフ監修のもとで開発したメニューを出前館のクラウドキッチンで調理して、ユーザーにお届けするモデルを提供しています。プロの料理人の味を自宅で楽しむことができて、みなさんの自宅がレストラン化します。
クラウドキッチンとしてコラボレーションしたのは、ミシュランガイド宮城にも掲載された仙台の高級中華料理店「KUROMORI」です。オーナーシェフの黒森氏は、複数の名店を渡り歩いて広東料理を学び、仙台に店舗をオープンしました。出前館では、黒森氏が監修した特製担々麺などをメニューとして展開しています。
その他にも、麻布十番の人気のイタリアン「la Brianza」ともコラボしています。7年連続ミシュランガイドにも掲載されており「感動のイタリアン」とも称されています。イタリア全土で修行を積んだオーナーシェフの奥野氏の料理は、地産地消にこだわっていて、体に安全で安心な料理として幅広い層から支持されています。
これらのクラウドキッチンの店舗では、出前館の通常客層よりも150パーセント以上のリフトアップをしていて、30代~40代の高級志向の客層や特別なシーンの利用客を取り込めています。
そして出前館は、新たなデリバリー形態の創出にもチャレンジしています。Bリーグにおいて、客席にできたての料理をお届けする「アリーナデリバリー」を行いました。ユーザーは出前館アプリから注文すると客席まで料理が届くため、試合中やハーフタイムに離席することなく試合と料理を楽しむことができます。
また、現在はコロナウイルスの影響によって、スタジアムでのスポーツ観戦が難しい状況にあります。新たな観戦スタイルを創出する取り組みとして、セレッソ大阪とリモート観戦でのフードデリバリー利用を促進するキャンペーンを展開していました。今後も新たなフードデリバリーの形態創出にチャレンジしていきます。
またニューノーマルの時代において、社会インフラとしての取り組みも強化しています。具体的にはこちらにあるような「感染予防対策」「自治体連携」「CSR強化」です。コロナウイルスの感染予防対策として、手洗いや検温、消毒・マスクの着用を配達員に徹底しています。少しでもユーザーのみなさまに安心していただけるように努めています。
また、緊急事態宣言の営業自粛により売上が低下してしまった飲食店を少しでもサポートすべく、自治体と連携したデリバリー促進も行ってまいりました。飲食店支援として、サービス利用料や配達代行手数料を軽減して新規出店を支援したり、ユーザー向けには注文額の一部をポイント還元することで、デリバリーの利用を促進していました。
大きな成果が出た事例として、大阪府の取り組みでは対象エリアの取扱高が200パーセント以上増加しました。ご覧のように、大阪府知事からのSNS投稿も大きな反響がありました。
またCSRの取り組みの一環として「子ども食堂」という、児童養護施設への無償食事提供を行いました。全国各施設から5,000食以上のお申込みをいただき、食事を提供しました。出前館は引き続き、社会インフラとしての取り組みを行ってまいります。
最後に、LINE社と資本業務提携をした出前館の、今後の展開についてお話します。LINEのIDによる会員基盤の活用、位置情報をもとにしたサービスへの誘導、AIによるレコメンドなど、今後、LINEと深く連携することで、出前館のサービスをさらに進化させていきます。
今年をめどに、LINE社で運営しているLINEデリマを出前館ブランドへ統合していきます。そうすることで8,400万人のLINEユーザーを、シームレスに出前館へ送客できるようになります。
また、出前館のブランドのリブランディングも行います。このロゴの「De」では「Delicious」「Delight」「Delivery」という3つの意味を込めました。この「De」をコンセプトに、出前館をリブランディングしていきます。そしてリブランディングに伴って、配送員の制服もこのようなリニューアルを計画しております。
また今後はデリバリーに加えて、テイクアウト領域も同様に伸びていくことが予想されています。LINEではすでに「LINEポケオ」という、テイクアウトサービスを提供しています。LINEポケオのテイクアウト機能を出前館に取り込むことで、テイクアウト領域にもスピーディーに参入していきます。
LINE社で提供していたLINEデリマ・LINEポケオを出前館に統合し、デリバリーだけではなくテイクアウトまで事業領域を拡大していきます。最終的には店内飲食のイートインのサービスも含めた、飲食店のマーケティングを総合的にサポートする、フードマーケティングプラットフォームを目指していきます。
最後に、少しだけ採用の話をさせてください。今後さらに成長していく出前館で一緒に働き、サービスを拡大していきたい方を募集しています。セールスマーケティング、開発などの各職種で採用を強化していますので、ぜひご応募ください。
以上、ご清聴ありがとうございました。
LINE株式会社
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