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New Normal×Information(全2記事)

2020.12.28

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コロナの深刻さを実感させた「志村けんさん死去」 データでわかるLINE NEWSの裏側

提供:LINE株式会社

LINE株式会社は、「Tomorrow’s New Normal」をテーマに、「Life on LINE」のビジョンのもと、コロナ禍がもたらした“新しい日常=New Normal”において、人々の日常を支えるプラットフォーマーとしての取り組みについて発表を行いました。LINEが提供するさまざまなサービス・事業における“「New Normal」への新たな挑戦”、そしてLINEが提供する新たな未来・ライフスタイルについての講演が行われ、本パートでは「New Normal×Information」と題して、LINEメディアポータル事業を統括する島村武志氏が、LINE NEWSがコロナ禍で行った活動の裏側や、やりきった先で見えた課題について紹介します(登壇者の肩書き等はイベント当時のものです)。

志村けんさん死去がコロナの深刻さを広く実感させた

島村武志氏:こんにちは。LINEのメディアポータル事業を統括しております島村です。本日は新型コロナ禍でのLINE NEWSの取り組み、その先に見えたさまざまな課題を明らかにしながら、情報と人のNew Normalな関係とは何かについて、みなさんと一緒に紐解いていけたらと思います。

セッションの後半ではYahoo!ニュースなど、ヤフーのメディア事業を統括されています宮澤さんをお招きし、ヤフーさんでのお取り組み、お考えなどいろいろとお話を伺いながらこのテーマへの理解をさらに深められたらと思います。

今、私たちが新型コロナによって生活の面、仕事の面、あらゆる面で先の見通しが立ちにくい状況に置かれていると思います。今何をすべきか。何をしないほうがいいのか。今何を選ぶべきなのか。選ぶべきではないのか。生きるということは選択の連続です。そして情報はその選択に大きな影響を与えます。

改めてですが、LINE NEWSのミッションは人と情報をもっともっと近づけることです。言い換えると、みなさま一人ひとりの選択をしっかりサポートできる情報サービスを実現することにあります。その意味では新型コロナの状況は、このミッションをどこまで私たちが実現できているか。実践できているか。その真価が問われる機会とも言えます。

だからこそ私たちは国内最大のニュースプラットフォームとして、今できるすべてを尽くし、このコロナと向き合ってまいりました。今日はその取り組みの紹介から始めようと思うのですが、その前に新型コロナのここまでの流れを少し振り返ってみたいと思います。

LINE NEWSには現在1,000を超える提携メディアの中から毎日1万件近くの記事が配信されています。その中で新型コロナに関連する記事が何件あったか。その推移を示したのがこのグラフです。

1月16日、日本で初の感染者が報告されます。1月30日、WHOが国際緊急事態を宣言します。2月5日、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が発生しました。2月28日には小中高一斉休校の要請がありました。このあたりから記事数は急激に増えています。

そして3月30日、志村けんさん死去の報道がありました。とても皮肉なことに新型コロナの深刻さを広く実感させることになった契機だったと思います。4月7日には7都府県で緊急事態宣言が行われました。ここで記事数はピークを迎えます。

その1週間後の4月16日、全国で緊急事態宣言が出されました。以降、感染者の減少とともに記事数もやや減少していきます。そして5月14日には39県で緊急事態宣言が解除されました。7月29日には1日の感染者が1,000人を超え、第2波が来たということに沿って記事がまた増加傾向を示すと、こういう流れになっています。

このように情報が爆発的に増え、錯綜していく状況の中で私たちが最初に取り組んだのが、押さえておくべき情報を一元的に、総覧的に整理して伝えるまとめページの制作でした。

新型コロナのまとめページはLINE NEWSのトップページ上部からいつでもアクセスできますので、もしまだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会に一度ご覧いただけたらと思います。

このページは新型コロナの最新情報はもちろん、感染者数などの数字データも載っていますね。それ以外には行政の発表、政策等の解説、それからデマ、不確かな情報への注意喚起。感染対策に関する情報、経済や仕事など各種支援の情報など。

日々増え続ける膨大な情報の中で埋もれるべきではない情報をいかにわかりやすくして整理して伝えるか。LINE NEWSの編集部が手作業で毎日編集に取り組んでいるページです。

コロナ禍で行ったLINE NEWSの対応

データに関しても当初は編集部が手動で更新しておりましたが、4月からJX通信社が提供するAI緊急情報収集サービス、FASTALERTと連携し、地域別の感染状況、それから国内の感染者、死亡者マップなどがリアルタイムで更新されるようになりました。

グラフィックレコーディングという会議などで議論を可視化する手法があるんですけど、LINEのNEWSグラフィティというものがあります。これを時事、またはイシューの解説に応用しようというLINE NEWS編集部独自の取り組みになります。

そして4月には、LINE NEWSのカテゴリタブの中に新型コロナのタブを新しく追加しました。このタブの一番の特徴はパーソナライズです。ほかのカテゴリタブと同様、LINE NEWSが持つディープパーソナライゼーションを活用して、新型コロナの記事を一人ひとり個人別に推薦しています。またユーザーの地域情報を推測し、該当する地域のニュースを表示することも行っています。

もちろん新型コロナのLINE公式アカウントも開設しています。公式アカウントの最大の特徴は、プッシュ通知で伝えることができる。そういうことですので、速報だったり感染情報のデイリーレポート、記者会見の中継などを、よりタイムリーに受け取ってもらえるように運用しています。

いろいろとご紹介してきましたが、一方でこのさまざまな取り組みも多くの人に見てもらってナンボ、気づいてもらってナンボということで、Smart Channelでの配信も積極的に行ってきました。Smart ChannelというのはLINEのトークリスト最上部にある情報枠のことなんですけども。現在までにここに表示された新型コロナ関連の情報は8億インプレッションという数にのぼります。

NEWSグラフィティはLINE NEWSの内外含めて2億インプレッションが参照されています。それから、LINE公式アカウントは440万人の友だちをすでに集めている状況になっています。

また「新型コロナ」タブの設置も接点を拡大する重要な役割を果たしています。これはPVのデータです。新型コロナタブの設置以降、新型コロナ情報へのアクセスが非常に大きく増加していることが見てとれると思います。

やりきった先で見えた課題とは?

これもちょっとおもしろかったデータなので持ってきたんですけど。新型コロナタブの中で各都道府県別に記事が表示されると紹介しましたが、その各都道府県の記事がどのくらいクリックされたかを表すCTRのデータになります。

見ていただくとわかるとおり、地域ごとに関心の高まるタイミングが異なっていることがわかります。これは各都道府県で感染者が出たタイミングでピークを迎えるという流れになっているんですけれども。情報のニーズの地域差ということを改めて表していると思います。

では今回のテストの答え合わせ。やりきった先にあったもの。どうでしょうということで、私たちはコロナ禍で十分に自分たちのミッションを果たせたのでしょうか? う~ん、正直言ってモヤモヤしているということが本音でございます。

繰り返しになりますが、私たちは毎日1万件の記事を集めて、データも活用可能なものはすべて反映して、しかもリアルタイムですね。埋もれてはいけない情報をいろんな解説、支援系の情報も人手を惜しまずにしっかり編集して、LINEの中の導線も最大限使って、AIやパーソナライズといった仕組みも使って、地域別の出し分けということも行ってきたわけです。

今これを聞いていただいているみなさまからは「LINE NEWSがんばってるね」と言っていただけると思います。では、なぜモヤモヤするのか? 何が足りないのか? そこで私は情報を受け取る側、そして情報を届ける側、両方から今回の新型コロナの情報流通に関して課題に感じたことをヒアリングしてみました。

すると、「タイムラグや集計のズレがある」「感染者数だけで本当にいいの?」「自分の身近な感染状況がちょっとわからない」。そういう声が届いています。

では一方で情報を届ける側の声はどうかと言うと、「統一されたデータフォーマットがない。必要だった」「プライバシーに関わるものをどこまで報じるの?」「周辺の感染情報を出すということは個人のプライバシーにも関わる問題がある」と。また「煩雑なグラフやデータをどう伝えていけばいいの?」という声がありました。

ここから見えてきたものはデータを使うこと、データを伝えることの大きな課題です。別の声をみてみると「マスクはどこで売っているのかわからないよ」「お店の営業時間、休業情報を知りたい」「コロナに対応できる病院はどこなの? 連絡先がわからない」。また「役所や学校、デジタル化されていない情報がたくさんありますね」「情報とされるのは都市部の情報ばっかりです」「実用的な情報ももっともっと知りたいです」。

これに対して届ける側の声はというと「ローカルな情報を集める手段がそもそもない」「デジタル化されていない情報、バラバラな情報はどうやって整理して集約して届ければいいの?」「情報はあっても必要な人に届けられてないんじゃないのかな」。そういう声が出てきました。

ここから見えてくるものは、もともと知りたい情報がない、生成されていないという課題です。どうして生成されてないのでしょうか? 情報は注目度の高い事柄ほど生成されやすくなって、狭域的な情報ほど生成されにくいという基本的な傾向があります。私はチームで話す時にこの問題を「マス的なフィルターがかかってるね」という言葉で表現します。

先ほど新型コロナ記事数の推移というデータのグラフをご覧いただいたと思うんですが、注目度の高さと記事の量に相関性があるというところで、私たちが提供する各種ランキングにもこの傾向を活用することがあります。

都市部の状況、それから国民的な関心事には多く情報が報道されるけれども、自分の身近な情報はなかなか流れてこない。結果として報道を自分とは別の世界のできごとだと受け止めがちであるというふうに思います。私はこれをマスという情報フィルターの課題の1つだと考えています。

「情報のNew Normal」実現が重要に

では自分の身近な情報を得るにはどうしたらいいんでしょう? こういう場合に連想されるのはSNSですよね。また声を聞いてみましょう。「デマの情報が多くて、本当かどうか判断できない」「デマだとわかっていても買い占めが怖くて自分も買い占めてしまう」「情報が錯綜してSNSやニュースを見ること自体がストレス」という声まであります。

ではこれを届ける側から見てみます。「注意喚起をすること自体がさらにデマを拡大するんじゃないか?」「すべてをファクトチェックすることはなかなか難しいですね」「医師や専門家、個人として情報発信されているものをどう扱っていけばいいのか」。

これは本当にみなさんも実感があると思いますが、情報の錯綜、デマという課題です。SNSは生活者自身が発信し合い、シェアし合うことで情報の取捨選択を行う。いわゆるソーシャルフィルターの機能があります。マスフィルターではこぼれ落ちる狭域な情報を得られるメリットはあります。

ただ実際にはシェアされやすいもの、つまり人々の注目が集まりやすい情報が広がりやすい。情報の偏りはここにも存在しています。加えて、本当かどうかを裏付けることがとても難しいというソーシャルフィルター特有の課題もあります。

声を見ていくと「どこを見てもコロナ、コロナで疲れてしまった」「過剰に不安を煽られている」「息抜きすらできない雰囲気だ」と。またこんな声もあります。「報道が差別や風評被害を助長してしまうのではないか?」「過度な注意喚起で不安を煽ってしまっているのではないか?」「クラスターや感染者を特定する情報を報道していいのか?」「お出かけコンテンツはどこまで自粛するのか?」。

人々の判断を助けるはずの情報が逆に混乱させてしまっている。不安を煽ってしまっている。そういう課題です。

メディアとはつまり情報のフィルターです。私たちが手にする情報、目にする情報はフィルターによって浮かび上がってきたり、またはこぼれ落ちたりします。マスというフィルター、ソーシャルというフィルター、その作用自体に良い悪いはなく、それぞれにとても大切で重要な役割を果たしていると思います。

一方で、ここまで見てきたように新型コロナの状況は、人と情報を巡る課題も改めて浮き彫りにしました。マスフィルターだけ、ソーシャルフィルターだけではこの問題を解決しきれないことも確かではないでしょうか?

情報のNew Normalとは、マスフィルター、ソーシャルフィルターだけではなく、第3、第4の新しいフィルターの登場によってもたらされるのではないでしょうか。

私たちが今、必要とする情報はもはや年代、性別といったデモグラフィックだけでは測れません。住んでいるエリア、家族の構成、住宅環境、生活環境、仕事の内容、好きなもの嫌いなもの。人それぞれが持っているステータス別に情報の意味、また重要さが変わっていく時代です。

こうしたステータス、それぞれの状況に対して必要な情報が生成され、選別され、流通していく仕組み、これをどう作っていくべきなのか? これが情報のNew Normalを実現していく最初の一歩になると私は考えています。

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